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Entry 2022/09/29
Update

実話『福田村事件』あらすじ/キャスト。関東大震災後に起きた虐殺事件を映画監督 森達也が映像化する

  • Writer :
  • 星野しげみ

『福田村事件』(仮題)の第2弾のキャストが公開されました!

日常に潜むグレーゾーンに光を当ててきた森達也監督が、このたび関東大震災から5日後に千葉県福田村で起こった行商団9人が地震後の混乱の中で村を訪れ殺されるという、実際の虐殺事件を映像化しました。

荒井晴彦が企画し、脚本は佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦の3名が担当。

井浦新、田中麗奈主演という第1弾のキャスト発表に続き、このたびは第2弾となるキャスト発表がありました。

1923年9月の関東大震災からちょうど100年目にあたる2023年、日本の負の歴史に新たなメスを入れようとする映画が作成されています。

映画『福田村事件』(仮題)について

本作は、1923年9月1日に発生した関東大震災を題材にしています。

関東大震災後に流された「朝鮮人が武装して襲ってくる」「井戸に毒を投げ入れている」などの流言飛語によって、多くの朝鮮人が虐殺されました。

震災5日後、千葉県の福田村で朝鮮人に間違えられ、香川県からの行商団9人が殺されます。彼らは被差別部落の人たちでした。

実際に起ったこの事件を森達也が映画化しました。

企画は荒井晴彦、脚本は佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦の3名が担当し、森にとっては、初の劇映画監督作品となります。

映画化することで、関東大震災時に各地で起きた「朝鮮人虐殺」、そして朝鮮人に限らず“善良な人々”が虐殺された日本の負の歴史をつまびらかにします。

キャスト陣は、既に発表された、井浦新、田中麗奈に続き、新たに永山瑛太、東出昌大、コムアイ、松浦祐也、向里祐香、杉田雷麟、カトウシンスケ、木竜麻生、ピエール瀧、水道橋博士、豊原功補、柄本明といった芸達者な12名が脇を固めます。

森達也監督のメッセージ

関東大震災から5日が過ぎた1923年9月6日、千葉県東葛飾郡福田村の利根川沿いで、多くの人が殺された。多くの人が殺した。でもこの事件を知る人はほとんどいない。皆が目をそむけてきた。見て見ないふりをしてきた。惨劇が起きてから99年が過ぎたけれど、事実を知る人はもうほとんどいない。
450万年前に樹上から地上に降りてきた僕たちの祖先(ラミダス猿人)は、直立二足歩行を始めると同時に単独生活だったライフスタイルを集団生活へと変えた。つまり群れだ。なぜなら地上には天敵である大型肉食獣が多い。一人だと襲われたらひとたまりもない。でも集団なら天敵も簡単には襲ってこないし、迎撃できる可能性も高くなる。こうしてヒトは群れる生きものになった。つまり社会性。だからこそこの地球でここまで繫栄した。でも群れには副作用がある。イワシやハトが典型だが、多くの個体がひとつの生きもののように動く。だってみんながてんでばらばらに動いていたら、群れは意味を失う。特に不安や恐怖を感じたとき、群れは同質であることを求めながら、異質なものを見つけて攻撃し排除しようとする。
この場合の異質は、極論すれば何でもよい。髪や肌の色。国籍。民族。信仰。そして言葉。多数派は少数派を標的とする。こうして虐殺や戦争が起きる。悪意などないままに。善人が善人を殺す。人類の歴史はこの過ちの繰り返しだ。だからこそ知らなくてはならない。凝視しなくてはならない。だから撮る。僕は映画監督だ。それ以上でも以下でもない。ドキュメンタリーにはドキュメンタリーの強さがある。そしてドラマにはドラマの強さがある。区分けする意味も必要もない。映画を撮る。面白くて、鋭くて、豊かで、何よりも深い映画だ。
荒井晴彦、佐伯俊道、片嶋一貴、小林三四郎、井上淳一、心強い映画人たちが結集した。あとは撮るだけだ。でもそのためには資金が必要だ。ある程度の予想はしていたけれど、この映画に出資してくれる企業や組織はなかなか見つからない。でもあきらめない。かつてない映画を撮る。絶対に実現します。

映画『福田村事件』(仮題)の作品情報

【日本公開】
2023年(日本映画)

【監督】
森達也

【脚本】
佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦

【キャスト】
井浦新、田中麗奈、
永山瑛太、東出昌大、コムアイ、松浦祐也、向里祐香、杉田雷麟、カトウシンスケ、木竜麻生、ピエール瀧、 水道橋博士、豊原功補、柄本明

映画『福田村事件』(仮題)のあらすじ

1923年春、澤田智一(井浦新)は教師をしていた日本統治下の京城(現ソウル)を離れ、妻の静子(田中麗奈)と共に故郷の福田村に帰ってきました。

智一は、日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者でした。

しかし、妻の静子にも、その事実を隠していました。その同じころ、行商団一行が関東地方を目指して香川を出発。

9月1日に関東地方を大地震が襲いました。

多くの人々はなす術もなく、流言飛語が飛び交う中で、大混乱に陥いります。

そして運命の9月6日、行商団の15名は次なる行商の地に向かうために利根川の渡し場に向かいました。

支配人と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いが、興奮した村民の集団心理に火をつけ、阿鼻叫喚のなかで、後に歴史に葬られる大虐殺を引き起こしてしまいます。

まとめ

関東大震災から100年目にあたる2023年。

森達也監督によって、震災後に起った福田村での大量虐殺事件が映画化されます。

なぜこのような事件が起こったのでしょうか。

誰もが見てみぬふりをしてきた日本の負の歴史が炙り出されます。

映画『福田村事件』(仮題)の続報が待たれます。

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