ケヴィン・コスナーとホイットニー・ヒューストンの名ラブストーリー
元シークレットサービスのフランク・ファーマーは、個人でボディガードの仕事をしていました。そんなフランクの元にやってきた依頼は、人気歌手レイチェル・マロンの警護でした。
しかし、レイチェル自身に危機感がなく、スタッフ含めフランクの言うことを聞こおうとせず、断ろうとしたフランクですが、引き留められ警護をすることになります。
最初は互いに気が合わないと思っていた2人ですが、次第に距離が近づいていきます。
ホイットニー・ヒューストンが映画初出演し、主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー」や挿入歌「アイ・ハヴ・ナッシング」「ラン・トゥ・ユー」はグラミー賞やアカデミー歌曲賞にノミネートされました。
そして、映画のサウンドトラックは、1994年の第36回グラミー賞で「最優秀アルバム賞」を受賞しました。
映画『ボディガード(1992)』の作品情報
【監督】
ミック・ジャクソン
【脚本】
ローレンス・カスダン
【キャスト】
ケビン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン、ゲイリー・ケンプ、ビル・コッブス、ラルフ・ウェイト、トマス・アラナ、ミシェル・ラマー・リチャード、マイク・スター
【作品概要】
『L.A.ストーリー 恋が降る街』(1992)のミック・ジャクソンが監督を務め、『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(1981)のローレンス・カスダンが脚本を担当しました。
歌手のホイットニー・ヒューストンが映画初出演を果たし、本作の大ヒットで絶頂期への上り詰めます。ボディガード役を務めたのは、『アンタッチャブル』(1987)のケビン・コスナー。
映画『ボディガード(1992)』のあらすじとネタバレ
レーガン大統領のシークレットサービスだったフランク・ファーマー。
しかし、フランクが非番の日にレーガン大統領は撃たれ、暗殺未遂事件が起きます。
責任を感じたフランクは仕事を辞め、個人でボディガードをしていました。
そんなフランクの元に、トップスターのレイチェル・マロンの付き人であるビルが現れ、レイチェルの警護を依頼します。
まずは来てくれと言われたフランクはレイチェルの邸宅を訪れますが、レイチェルは「邪魔はしないで」と危機感もなくスタッフもレイチェルが仕事しやすいようにするだけで危機感はありません。
「意見が合わないようだな」と言ってフランクは帰ろうとしますが、ビルはそんなフランクを引き留め、殺害を予告する脅迫状が何通も届いていることや、レイチェルの寝室に侵入し、マスターベーションした形跡もあったと言います。
更にレイチェルには、不安にさせないために、そのことを告げていないと言います。
異常事態であることは歴然であるのに、危機感がないとレイチェルに伝える前提で、フランクは引き受けます。
庭の木を刈り込んで日が差し込みやすくしたり、防犯カメラを設置したりするフランクですが、レイチェルは「静かに暮らしたい」とフランクを邪魔者扱いします。
そして、レイチェルは夜にクラブに出かけ、そこで新曲のビデオのお披露目とライブをすると言います。しかし、そこにも脅迫状が届いていました。
レイチェルはそこで初めて以前も脅迫状が届いており、部屋に侵入されたことがあると知り、自分だけでなく息子のフレッチャーにまで危険が及んでいることに動揺します。
フランクはライブを止めにして帰るべきだと言い、レイチェルもそれに従っていましたが、「ステージからは逃げない」と引き返しステージに立ちます。
スターとしてのレイチェルのプライド、そして彼女のパワフルなショーに魅了されますが、ファンの暴走に気が気ではありません。
レイチェルはそんなフランクに大丈夫だと制しますが、とうとう暴走したファンに囲まれ危険になったところをフランクに抱き抱えられ逃げ出します。
フランクはドライバーと連携して、スタッフを巻いてレイチェルを車に乗せ家に帰ります。
パニックになっていたレイチェルは、反発していたフランクに対して信頼するようになります。
映画『ボディガード(1992)』の感想と評価
トップスターとボディガードの王道のラブストーリー映画『ボディガード(1992)』。
かつてレーガン大統領のトップシークレットとして働いていたフランクは、非番の日にレーガン大統領が撃たれるという暗殺未遂事件に責任を感じています。
トップシークレットを辞めても、依頼主のためにプロフェッショナルに徹しようとするフランクですが、レイチェルには通用しません。レイチェルは人と人としての交流を求め、自分に危険が生じていることにも自覚がありませんでした。
トップスターとして輝きを放つ姿、そして人間味にあふれたレイチェルに翻弄されながらも恋に落ちていくフランク。2人は一度関係を持ちますが、フランクは間違いだった、この関係を続けることはできないと言います。
プライドを傷つけられたレイチェルは怒り、当てつけのような行動を取りますがフランクのプロ意識は揺らぎません。フランクは、レイチェルへの思いがあったからこそ、自分の不手際でレイチェルに危険が及ばないよう守りたいと思ったのでしょう。
どこまでも2人は自分の仕事から離れることができないのです。フランクは仕事を投げ打ってひとりの人間として、レイチェルに向き合うことは、レイチェルを狙う人がいる限り無理なのです。
大切な人を失うかもしれないという恐怖がフランクを突き動かしている以上、フランクは仕事を離れて人を愛することは難しいのかもしれません。
一方でレイチェルもトップスターとしてのプロ意識があります。常に輝くスターでいるために動揺した姿を見せることは出来ません。そう簡単に引退してスターではない普通の人になることもできません。
だからこそ2人は互いに愛しているにも関わらず、最後には別れることを選ぶのです。立場を超えて愛し合った2人が、最後は別れを選ぶ、そんな切なさも本作がラブストーリーとして人気な理由といえます。
2人の思いが表れているような主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー」にも注目です。
まとめ
ホイットニー・ヒューストンが映画初出演を果たした映画『ボディガード(1992)』。
本作はヒットし、映画のサウンドトラックは、1994年の第36回グラミー賞で「最優秀アルバム賞」を受賞するなど、ホイットニー・ヒューストンは成功を収めます。
その後、2000年代に入ると低迷し、私生活での問題が取り沙汰されたりと晩年はスキャンダラスで、2012年に48歳で急死したホイットニー・ヒューストン。
2022年には、そんなホイットニー・ヒューストンの伝記映画である『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』が公開され、今もなお人々に愛されるトップスターであることが分かります。
そんなホイットニー・ヒューストンの魅力がつまっているのがまさに本作と言えます。スターであるが故に危険もつきまとい、自由のない様子は、当時のホイットニー・ヒューストンの私生活にも少なからず近いものはあったのではないでしょうか。
トップスターであるレイチェルがその仮面を脱ぎ捨てて、フランクとのデートを楽しむ姿は自然体で、2人のロマンチックなムードに思わずうっとりしてしまいます。
そんな時にバーで流れていたのが、「オールウェイズ・ラヴ・ユー」でした。レイチェルはこの歌を聴いて「暗い曲ね」と言います。それに対しフランクは「誰かが誰かを捨てる、よくある話だ」と答えています。
この会話がそのままフランクとレイチェルの未来を表しているかのようです。最後レイチェルはフランクに向けて、「オールウェイズ・ラヴ・ユー」を歌います。それは「私はあなたを愛し続ける」というメッセージとも言えるのではないでしょうか。