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Entry 2021/12/24
Update

映画『ヴォイス・オブ・ラブ』ネタバレ結末感想とあらすじ評価解説。セリーヌ・ディオンが世界的歌姫として見つけた“真実の愛”

  • Writer :
  • 松平光冬

世界的アーティスト、セリーヌ・ディオンの半生を華麗に映画化

映画『ヴォイス・オブ・ラブ』が、2021年12月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷にて先行公開、および31日(金)より全国公開となります。

世界的歌姫セリーヌ・ディオンの半生をモチーフに描いたラブストーリーを、ネタバレ有りでレビューします。

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映画『ヴォイス・オブ・ラブ』の作品情報

(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

【日本公開】
2021年(フランス・カナダ合作映画)

【原題】
Aline

【監督・脚本】
ヴァレリー・ルメルシエ

【製作】
エドアール・ウェイル、アリス・ジラール、シドニー・デュマ

【美術】
エマニュエル・デュプレ

【撮影】
ローラン・ダイアン

【キャスト】
ヴァレリー・ルメルシエ、シルバン・マルセル、ダニエル・フィショウ、ロック・ラフォーチュン、アントワーヌ・ベジナ

【作品概要】
アルバム総売上2億5000万枚を超え、音楽史上最も人気のあるアーティスト、セリーヌ・ディオンの半生を、「最大限に事実に基づいた物語」として30億円の製作費で映画化。

監督と脚本、および主演をフランスが誇る国民的スターのヴァレリー・ルメルシエが担当し、5歳から47歳までを1人で演じています。

そのほかのキャストに、シルバン・マルセル、ダニエル・フィショウ、アントワーヌ・ベジナ。

第74回のカンヌ国際映画祭において、アウト・オブ・コンペティション部門に正式出品されました。

映画『ヴォイス・オブ・ラブ』のあらすじとネタバレ

(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

現代。一人の女性が大きなベッドに子供たちと一緒に眠るも、彼女はサングラスをかけ、ヘッドフォンをしています。

時は遡りカナダ・ケベック州の田舎町。ここに、夫アングロマードと妻シルヴェットのデュー一家が暮らしていました。

13人もの子宝に恵まれたこの一家に、また1人新たな命が誕生。アリーヌと名付けられた彼女は、5歳にして結婚式の余興でリードヴォーカルを務めるなど、音楽好きの一家の中でもずば抜けた歌唱力を持っていました。

その才能に気づいた家族は、地元の音楽プロデューサー、ギィ=クロードにデモテープを送ります。

12歳の少女の歌声を「ダイヤの原石」と絶賛したギィ=クロードはすぐさま、彼女をデビューさせるプロジェクトを発足。フランスのテレビ番組出演を皮切りに反響を呼びます。

母のシルヴェットは、娘をもっと大きな舞台に立たせてほしいとギィ=クロードに言うも、彼は時期尚早として、世界で通用する大人の歌が歌えるアーティストに育てたいと語ります。

英語を学んで歯列矯正をしつつ、ダンス教室にも通うなど華麗に成長していくアリーヌは、ギィ=クロードの目論見どおり、世界各国で人気を博していきます。

アリーヌのライブツアーは年々大規模となり、スタッフとして兄のジャン=ボバンや、シルヴェットも帯同するように。

そんな中アリーヌはギィ=クロードを一人の男性として意識するようになり、それに気づいたシルヴェットは、26歳も年上で、しかも離婚歴のあるギィ=クロードとは釣り合わなすぎると反対します。

しかしアリーヌは、「私は彼のためだけに歌ってるのよ」と反発。

ギィ=クロードも、アリーヌへの想いに変化が生じていることを自覚するも、シルヴェットに交際は認めないと言われ、ツアー帯同を止めます。

やがてダブリンで行われる歌謡コンテストに出場することとなったアリーヌですが、突然の急病でシルヴェットが帯同不可に。

出番直前、愛する者が傍らにおらず不安となるアリーヌの前に、ギィ=クロードが現れます。

自信を取り戻したアリーヌは見事コンテストに優勝。その夜2人は結ばれます。

(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

2人が恋人となったことに、当初は戸惑うシルヴェットでしたが、娘の思いを汲んで結婚を祝福します。

公私ともに順調に思えた矢先、アリーヌが声帯を痛めてショーを中断する事態となり、さらになかなか子どもが出来ないことから不妊治療を受けることに。

声帯が回復するまで3ヶ月間喋ることを禁止され、不妊治療の効果も見えないアリーヌは焦るも、その悩みを、写真撮影で知り合ったゲイのメイクアップアーティストのフレッドに告白。

やがて声帯も戻ったアリーヌは、「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」をアカデミー賞授賞式で披露する際にフレッドのアドバイスで衣装を変えるなど、2人は親友となります。

そしてついに子宝にも恵まれ、長男ジュニアの出産を機にラスベガスのシーザーズ・パレスに移り住むのでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ヴォイス・オブ・ラブ』のネタバレ・結末の記載がございます。本作をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

ショー出演と育児を駆け足で行う日々を送っていたアリーヌでしたが、ある日の出番直前に父アングロマードの訃報を知らされるも、涙をこらえつつ熱唱。

やがて双子の女児を出産し、さらに育児が忙しくなる中、ラスベガスで開かれる長期ショーの準備に入ります。

しかし、その頃から体調を崩していたギィ=クロードがマネージャー業から退き、ショーの帯同を控えるように。

やがてガンに侵されていることが分かり寝たきり状態となるも、ライブ映像で「アイム・アライヴ」を歌う妻を満足げに見守るのでした。

ほどなくしてギィ=クロードは息を引き取り、悲しみに暮れるアリーヌ。

夫のいない生活が始まり、大きなベッドに子供たちと一緒に横たわるも、サングラスをかけてヘッドフォンをしないと寝られなくなります。

それでもベガスのショーを続けなければならない彼女は、子どもたち全員が合宿や旅行に出ており、自宅に1人ではいられないと、フレッドの家に泊まることに。

夢の中で、アリーヌがベッドに添い寝するギィ=クロードに「もう歌う気力がない」と弱音を吐くと、「君の好きなように、できることをすればいい」と告げられます。

朝、目覚めたフレッドが、一緒のベッドに寝ていたはずのアリーヌがいなく慌てるも、その頃彼女はワシントン通りを彷徨っていました。

開始時刻になっても姿を現さないため、ジャン=ボバンがショーの中止をアナウンスしようとすると、ステージに立つアリーヌの姿が。

“私は音楽に人生を捧げた普通の女”、という思いを歌詞に認めた「オルディネール」を熱唱するのでした――。

(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

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映画『ヴォイス・オブ・ラブ』の感想と評価

(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

本作『ヴォイス・オブ・ラブ』は、フランスの国民的スターで、映画監督としても活躍するヴァレリー・ルメルシエが、世界的アーティストのセリーヌ・ディオンの半生に感銘を受け、映画化したものです。

ヴァレリーは、過去に発表されたセリーヌの伝記本や記録映像を参考に、インスピレーションや自身の人生観などを加えて脚本を執筆。

ただセリーヌ本人の公認を得ていないので、登場人物はセリーヌを「アリーヌ」、後に夫となる音楽プロデューサーのルネ・アンジェリルは「ギィ=クロード」という名に変えられています。

とにかく驚かされるのは、セリーヌよりも実年齢が上にもかかわらず、なんと5歳(!)から47歳までをヴァレリー1人で演じる点です。

5歳時のクローズアップした表情を皮切りに、12歳時のアリーヌを、セットの備品を大きく作ったり、遠近法を使って自身を小さく映したヴァレリーが演じたというこだわりようで、これについては一人芝居で何度も子役をこなしてきた経験が活きたとか。

ただ本作に限って言えば、撮影時50代半ばのヴァレリーが少女時代を演じたのはかなり無理があったと言わざるを得ず、ネット上の感想でも、やはりその点が気になる方が少なくなかった模様。

成人して以降のパワフルにして情熱あふれるアリーヌは、セリーヌ本人を彷彿とさせるものがあるだけに、前半での少女時代の違和感が残念なところです。

(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

ストーリーは、アリーヌと夫のギィ=クロードの恋愛模様に重きを置いています。

12歳で知り合い、26歳の時にマネージャーだった52歳のギィ=クロードと結婚したアリーヌ。

「私は貴方のために歌うだけ」というアリーヌに「私ではなく客席から目を離さずに歌いなさい」と諭し、「老いぼれはいつか死ぬが、若い君は世界を幸せにしてあげなさい」と優しく語るギィ=クロード。

年齢差のある結婚をマスコミに揶揄されながらも、出会うべくして出会った2人の運命をエモーショナルに描きます。

そして何よりも見どころは、随所に散りばめられたアリーヌの熱唱シーン。若手歌手ヴィクトリア・シオの歌唱力は、セリーヌの名曲の数々を絶妙にカバーしており、使用曲も母やギィ=クロードに対するアリーヌの心情を代弁した、作劇のポイントを抑えた選曲がなされています。

ただ、セリーヌの代表曲と誉れ高い「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」(『タイタニック』の主題歌)もカバーしているものの、ほかの曲と比べて扱いがぞんざいなのが気になるところ。これに関してヴァレリーは「セリーヌ自身、あまりこの曲が好きというわけではないから」と答えています。

(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

まとめ


(C)Rectangle Productions/Gaumont/TF1 Films Production/De l’huile/Pcf Aline Le Film Inc./Belga

ラスト、ギィ=クロードを失ったアリーヌは落ち込み、歌う気力を無くすも、「できることをすればいい」という思いに立ち返り、「オルディネール(普通)」を歌い上げます。

この曲が収録されたセリーヌの2016年8月発売のアルバム「Encore Un Soir(英語で「ワン・モア・ナイト)の意」は、同年1月に亡くなった夫レネに捧げられています。

亡き夫や子ども、そしてファンへの愛を綴った曲で構成された「Encore Un Soir」の中でも、「オルディネール」は、「私の人生は音楽」「自分は人気歌手ではなくただの普通の女」というアイデンティティと、ファンのために歌い続けるという、セリーヌのゆるぎない意志が込められています。

ただ本作の日本公開直前に、本人全面協力のドキュメンタリー映画製作を開始した一方で、健康面の不安からラスベガスのショーをキャンセルしたというニュースが飛び込みました。

いずれのニュースも続報が気になるところですが、その美声で「世界を幸せ」にしてきたセリーヌ・ディオンのこと。

活動再開を願いつつ、本作を観て彼女の軌跡をたどってみてはいかがでしょうか。

映画『ヴォイス・オブ・ラブ』は、2021年12月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷にて先行公開、および31日(金)より全国公開

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