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映画『ロンドン、人生はじめます』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 福山京子

映画『ロンドン、人生はじめます』は2018年4月21日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか公開

アカデミー賞女優ダイアン・キートンが、またもチャーミングなヒロインのエミリー役を務め、多くの問題を抱えて心満たされない役柄を演じます。

ストーリーは実話を基に描き、手作り小屋で自由に暮らすホームレスのドナルドが一夜にして資産家になる、衝撃の感動作!

映画『ロンドン、人生はじめます』の作品情報


(C)2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2017年(イギリス映画)

【原題】
Hampstead

【監督】
ジョエル・ホプキンス

【キャスト】
ダイアン・キートン、ブレンダン・グリーソン、レスリー・マンヴィル、ジェイソン・ワトキンス、ジェームス・ノートン、アリステア・ペトリー、フィル・ディヴィス

【作品概要】
実話を基にホームレスの男性が一夜にして資産家になった大人の恋を描くロマンティック・コメディ。

『新しい人生のはじめかた』『ラブ・パンチ』で知られるジョエル・ホプキンス監督が演出を務め、『アニー・ホール』のダイアン・キートンと、「ハリー・ポッター」シリーズのブレンダン・グリーソンによる共演作品。

映画『ロンドン、人生はじめます』のあらすじとネタバレ


(C)2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

エミリーは朝の日差しに目を覚まし、黒縁メガネをかけ部屋を出ます。

階段を降りと高級マンションの玄関にいるコンシェルジェが挨拶を交わし、玄関を出るとエミリー。

デモの呼びかける青年がチラシを渡します。

夫をなくした後も、その店の仕事をボランティアで手伝っています。

「今度は何?」「サーモンの養殖反対です。」話を適当に流してお店に入ります。

若い母親と小さな娘がお店に入ってきて、母親は娘の背中に付けているリードの紐をエミリーに渡して、奥の試着室へ服を持っていきます。

娘は母親の姿が見えなくなると、店内に掛かっている服を取っては散らかします。

仕方なくエミリーは、リードをお店の柱に括り付けていると、試着室から出てきた母親がそれを見て、すごい剣幕で怒ってお店を出ていきました。

エミリーは事の次第に不満を抱きますが、こらえて自宅マンションに帰宅。その際に管理人から手紙で届いた税務署からの請求書を受け取ります。

また、エントランスでは同じマンションに住む奥様たちが待ち構えていました。

彼女たちはマンションの老朽化に備え、負担額をエミリーに示します。

その金額はエミリーにとって、あまりにも高額なものの、彼女は冷静を装い笑って話を合わします。

ある日、マンションの階段を降りて行くと、またもや、あの奥様たちが井戸端会議。

「エミリー、あの自然の森の奥に閉鎖された幽霊病院があるところ、あの一帯を開発したい会社があるのよ。早く買い取って綺麗にしてほしいわ。なんか物騒でしょ、そう思わない?」と友人のフィオナは言います。

エミリーは軽く会釈して、通り過ぎようとしますが、奥様たちは彼女に言葉をたたみ掛けます。

「ジェームスが会いたいって言ってるのよ。もちろん、会計士としてあなたの力になりたいって言ってるし…」「今日は息子と夕食することになってるの」「いつまでも1人じゃ淋しいでしょ、1人でどうするの・これから…」。

エミリーは話もソコソコに途中で出て行きました。

その後、エミリーと息子フィリップが一緒に回転寿司を食べながら、母親エミリーに「お金のこと大丈夫?」と尋ねます。

エミリーは「あの人が亡くなってから、どんどん請求書が送られてきて生活がもう火の車なのよ…」と言いながら、価格の高い寿司のお皿を取ったところ、「それお店で一番高いお皿、そんな高いもの取ったら…」フィリップに咎められます。

フィリップは「俺もいつまでも助けられないからな、海外赴任しそうなんだ」というと、「だから今日急に連絡したのね。」エミリーの苦虫を潰したような表情を見せます。

ある日、エミリーが夫の遺品を整理していると、アンティークな双眼鏡を見つけ、ふと、屋根裏部屋の窓から見えるの緑の残る公園内のヒースを眺めます。

すると、どうみても手作り小屋があり、1人の男を見つけます。

しかも池で水浴びをしたり、外には野菜がたくさん栽培されていました。

数日後、エミリーは気になって双眼鏡で屋根裏部屋からあの男を覗き見します。

すると、彼が何者かに襲われている現場を目撃して、慌てて警察に通報しました。

あくる日、その男のことが心配になったエミリーは、男を探しに行くことを決意。ヒールの森へ足を踏み入れます。

公園内のヒールにいた毛むくじゃらの巨漢な男はドナルドと名乗りました。

ドナルドはエミリーに自給自足の生活を17年前からはじめ、ここに住んでる言います。

最近、不動産開発会社の標的となり、不法占拠として立ち退きを迫られていました。

また、小屋を壊されたり、落書きをされるなどの嫌がらせを受けていることも話しました。

そんな事情もあってドナルドは、エミリーを警戒心を見せる態度を取っていました。

しかし、エミリーも始めこそ、ドナルドに拒否感を抱いていましたが、庭でディナーに誘われたり、気ままに読書したりする時間を重ねると、ありのままで生きるドナルドの温かな心持ちに、エミリーは惹かれていきます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ロンドン、人生はじめます』ネタバレ・結末の記載がございます。『ロンドン、人生はじめます』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

ある日、ハイゲイト墓地にある夫のお墓まいりにへ向かったエミリー。

お墓にお花を手向けると、「なんで女の人と!しかも、亡くなってからわかるなんて!」、罵倒しながらヒールを脱いでお墓に投げつけます。

スッキリした後、さらに墓地の奥へと向かいます。

そこは世界的に有名人のお墓が立っていて、ドイツの哲学者カール・マルクスのお墓の前で本を読み耽っているドナルドと会います。

数日後も、エミリーとドナルドはここでデートをします。

エミリーは前々から帽子屋で買いたかった、紫色の素敵な帽子を買い、カールの墓の前へと向かいます。

そこでドナルドは少しづつ心を開きはじめ、アイルランドで農場を経営してた家で育ったこと、早くに両親を亡くし、逃げるように放浪してロンドンに着き、カフェで働いていた女性と一緒になったこと、その女性もガンにかかり死ぬ前に逃げてしまったことなど静かに語ります。

そんな2人が小屋に帰ると、小屋が壊されていて見る影もありませんでした。

呆然とするドナルドを見たエミリーは、マンションの屋根裏部屋へ連れて行きます。その後、2人はベットで結ばれるのでした。

翌朝、エミリーが目玉焼きを焼いていると、息子のフィリップが訪ねて来ました。

動揺するエミリーは先に朝食を食べさせ、「もう私仕事に行くわ。」。

「ああ、僕もすぐ出るよ。でもなんかいつもと違うなぁ、僕に隠してない?」と言い、見つめるフィリップの後ろに風呂上がりの男の姿。

「あ、紹介するわ。」とエミリーが言うと、「初めまして、ドナルド…」とドナルドは全く動揺せずにバスタオル姿で、握手を求めます。

逃げるように出て行くフィリップの姿にはにかんむエミリー。

それから、2人は壊れた小屋に戻ると、1人の青年の姿があり、「僕も手伝うよ。」とデモのチラシを配っていた青年がいました。

小屋をエミリーとドナルドと3人で修理します。するとエミリーはある決意をして、「闘うためには、弁護士に会いに行きましょう!」。

エミリーとドナルドは、バスに乗ってロンドンの弁護士事務所へ向かいました。

ドナルドはジャケットを着込み、いつになく緊張した表情で弁護士に向かい合いますが、当の弁護士はリンゴを頬張りながら、話を聞いてはペンを探して落ち着かない様子。

エミリーは不安ながらもペンを貸します。

「ああ、ありがとう。話はわかりました。心証が一番大切です。何よりも謙虚に話してください。誠意を持って」と話出した弁護士は、真剣な目になり、2人も少し安堵しました。

マンションでは奥様グループが、ドナルドを追い出す署名で盛り上がっていました。

知らないふりをして、過ぎ去ろうとするミリーをフィオナが呼び止め、「ジェームスが相談したいって言っているのよ。今夜、食事しながらでもって」「こんな素敵なレストランでお金の話なんか、いいの?予約も取れたなんて」。

エミリーは気が進まない気持ちを抑えながらも笑顔を見せています。

「全部見たけど、結構大変な状況ですね。でも大丈夫、君は払わなくていいから、どう?休みに地中海のホテル一緒に行かない?」とパンフレットを見せるジェームス。

「また今度ね。」と話をごまかすエミリーの手に、ジェームスはそっと手を重ねるのでした。エミリーは仕方なく受け入れます。

今日は、エミリーの誕生日。夕方屋根裏部屋へドナルドを誘いました。

ウキウキしながらマンションに戻ります。部屋へ戻った途端、「お誕生日おめでとう!」多くのマンションの奥様たちとジェームス率いる音楽隊。音楽を奏でながら、ジェームスが歌い上げます。

ご馳走とワイン、サプライズを受けて、エミリーは焦りながらもスピーチを始めます。

エミリーは「本当にありがとう、皆さんのおかげで元気に過ごすことができました。でも…」と全てを話しはじめ、「実は彼氏ができました。その彼氏は」とジェームスがエミリーを見つめる瞬間。

「あの小屋の大男が屋根裏部屋に入ったぞ!」とコンシェルジェ。「ええ?」全員が屋根裏部屋へ向かいます。

ドナルドは憤慨している様子。「どういうことだ?!」ジェームスがバイオリンの弦を振りかざしながら先頭に立っています。

ドナルドが無言で立ち去った後、エミリーが全員に言い放ちます。「そうよ、ここで何度も寝たわ!私たちは愛し合ってるのよ!」

エミリーはすぐにドナルドを追いかけて小屋へ行き、「俺を恥ずかしがっているあんたが耐えられない」とドナルドと言います。

エミリーは「違うのよ、私が恥ずかしかったのよ。借金がいっぱいあるのにいい格好をして、好きでもない友達と過ごして、言い寄られてもお金の支払いをしなくていいと思って相手に気を持たせて…、あなたは真っ直ぐに信念を持って生きているのに。」と思いを全てぶつけます。

エミリーとドナルドの2人は固く結ばれていきます。

裁判が始まりました。

不動産開発会社の弁護士は、ドナルドに向かって「17年そこに住んで来たと主張するなら、17年分の固定資産税、所得税を払いそして地域への貢献などを全てやって来たのですね。払っていないのなら、今17年分を遡って払うつもりですよね」と言います。

ドナルドは声を荒げて、「自給自足の生活をしてきた!誰にも迷惑をかけてない!そこらにいる金持ちが出すゴミ、年間その処理費用、俺は何も必要ない!!」と反論します。

すぐにドナルドの弁護士が「落ち着いて。」と、そっと声を添えます。

裁判官が「何よりも被告人が17年前から住んでいる証拠を提示しない限り、被告人の主張を立証することができません。一旦休廷します」言いました。

「このオーブン確か運んでもらったって言ってたわよね。」エミリーは薪を入れながら、小屋で落ち込むドナルドに話しかけます。そのオーブンを寒いのでストーブがわりに17年間使って来たのでした。「ああ、そいつと喧嘩したから、家も憶えてる…」

2人は、オーブンを運んだ人の家へ。「こいつの家に運んだよ。」

「証人に聞きます。あなたは被告人の家に17年前にオーブンを運んだのですね。」「はい、運びました。」「なぜ憶えているのですか?」「喧嘩したからです。運んだ後、こっちに置けだの釘付けしろだの注文がうるさくて…」相手の弁護士が聞きます。

「なぜ手伝ったのですか?」「俺もホームレスだったからです。」裁判所に立ち会っている人々の歓声が上がります。

相手の弁護士は怯むことなく質問を続けます。

「では、どうやって17年前を立証しますか?ただの記憶だけでは。照明にはなりませんよ。」「ここに病院に行った領収書がある!釘を打ったときに、神経と筋肉まで打ち付けて、そらもうあとあと痛くて痛くて!」裁判官にそなるどの弁護士が領収書を差し出しました。

領収書を見つめる裁判官は「被告の居住権を認めます」と判決を下します。

弁護士がドナルドとエミリーとに目を合わせます。

2人で小屋で穏やかに過ごす中、エミリーは「私も歳をとるわ。この生活を続けることはできない。あなたとこれからを考えたい。」「俺は、この生活に信念を持っている。一生変える気はない。」。

それを聞いたエミリーは行動に移します。

マンションを売り、フィオナに借金を返してお礼を言いながらも決別。あの双眼鏡もオークションで売ります。

田園風景の一軒家、自然に囲まれ手作りの野菜とシンプルな食器が、食卓に並んでいます。

ペットの鶏が庭から駆け出します。「待って!」追いかけるエミリー。

川辺に行き着くとそこにはあの小屋を積んだ船が「ドナルド、どうしたの?」「船と引き換えに売ったよ、あの土地」。

2人のこれからの生活が始まります。

映画『ロンドン、人生はじめます』の感想と評価

作品の原題『Hampstead)』とは

この作品の舞台でもあり、『ハムステッド(Hampstead)』と原題にもなっているこの場所は、今やロンドンの中でもユニークな地域です。

都会の中の村”とロンドナーたちに言われているこの場所は、洗練されたグリーンパークやリージェンツパークのような王立公園にはない野生の要素が魅力となっています。

実際、作品のなかで子供達が走り回って凧揚げをしている場面が印象的でした。

その凧を取ろうと必死になっているドナルド、彼はこのヒースの恩恵を受けながらも大切に見守ってきたのでしょう。

何よりも2人の演技が素晴らしい!


(C)2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

ダイアン・キートン扮するエミリーは、余裕綽々の未亡人と思いきや、夫は浮気者で借金まみれ。

マンションの奥様方は暇を持て余し、友達のように振る舞うものの、心の中では足の引っ張り合い、息子は薄情者。

悩みは尽きないのに、必死にお高くとまっていて、その演技が自然でいやらしくなくてスクリーンに釘付けとなります。

また、夫のお墓の前でいきなり豹変し、お墓に靴を投げつけ罵倒して叫ぶシーンは圧巻でした。

劇中で何度も悩みながら、きりりと決意する表情と行動力。つい、行け行け、やってまえ〜!と観客も立ち上がってしまいそうです。

片やブレンダン扮するドナルド。野暮で実直、頑固な大男いい味を出しています。

気の利いた言葉を出せないアイルランドの流れ者、無骨ながら愛情をじわじわ表現していき、エミリーじゃなくて観客も心を惹かれることでしょう。

一夜を共にした朝、ドナルドがバスタブに泡をいっぱい溜めて入っているのですが、それが本当に子供のように嬉しそうにハシャいでいます。

その後、エミリーの息子にばったり出会うあの気まずさときたら、オススメの見どころです。

「人は好きなことをする権利がある」


(C)2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

この映画は実話に基づいた物語です。

さて、映画を見ていて、1つ分からないことがありました。日本では居住権を勝ち取ることができるのかという疑問です。

2007年このニュースが世界を駆け巡りました。1人のホームレスがひっそりとヒース原野に住み続け、土地を無料で手に入れたという内容です。

実はイギリスには日本人が理解しがたい法律があります。

管理されていない空き地や空き家に住み着いても違法にならないこと、ドナルドのように自家発電でインフラをまかない、器物破損もせず、一定期間すみ続けばスクウォーター(無断居住者)の権利が保障されるそうです。

カール・マルクスのお墓が有名ですが、彼の経歴を辿ると、当時ドイツから亡命した後、極貧生活をロンドンで送り、ヨーロッパを漂流しつつロンドンに度々戻っています。

ホームレスとなりながらも、毎日大英博物館で一日中勉強をしていたと書かれていました。

「人は好きなことをする権利がある」

イギリス映画の根底に流れているのは、この思いだと感じています。

この作品の見どころは、なんと言ってもその思いです。

ドナルドの掘っ建て小屋とエミリーが暮らすヴィトリア朝の高級マンションの2つの物語が、融合していく過程を観客は実際に起こっている問題として見守ることができます。

人生はエミリーのように、どんな人も多くの悩みや問題を抱えて生きています

でも、決して否定されることなく、幸せに続く道だとエンディングにメッセージを込めています。

一見ファンタジーのような夢物語が現実に起こっていく瞬間を、この作品とともに体験しませんか?

「人は、好きなことをする権利がある」のですから…。

まとめ


(C)2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

本作の脚本に惚れ込んだアカデミー賞女優のダイアン・キートンが演じる、悩みながらも自分の人生と向き合うチャーミングなエミリー。

相手役には「ハリー・ポッター」シリーズの名優ブレンダン・グリーソンの無骨な正直者ドナルド。

映画『ロンドン、人生はじめます』は2018年4月21日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか公開

この2人の奇跡のコンビ、2人の世界は共存できるのか、ぜひあなたの目で見届けてほしいです!

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