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映画『巴里のアメリカ人』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • ちょり


『巴里のアメリカ人』は、アーサー・フリード、ヴィンセント・ミネリというMGMミュージカルの黄金コンビが、ジーン・ケリーを主役に、新星レスリー・キャロンを迎えて撮った傑作ミュージカルです。

以下、あらすじやネタバレが含まれる記事となりますので、まずは『巴里のアメリカ人』映画作品情報をどうぞ!

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映画『巴里のアメリカ人』作品情報

【公開】
1952年(アメリカ)

【原題】
An American In Paris

【監督】
ヴィンセント・ミネリ

【キャスト】
ジーン・ケリー、レスリー・キャロン、オスカー・レバント、ジョルジュ・ゲタリ、ニナ・フォック

【作品概要】
ジーン・ケリーがパリで暮らす画家志望の青年に扮し、レスリー・キャロン演じる女性に恋をする。ミュージカル史上に燦然と輝く名作。

映画『巴里のアメリカ人』あらすじとネタバレ

画家志望のアメリカ人青年

アメリカ人のジェリー・マリガンは、戦争でパリに派兵されたあともその場に残り、狭いアパルトマンで暮しながら画家を目指していました。

ピアニスト志望のアメリカ人留学生アダムや、フランス人歌手アンリという友だちもでき、通りに出れば皆が顔見知りで賑やかな毎日です。

パリの街を歩いて移動し、モンマルトルまで来ると、持ってきた作品を壁に並べます。こまっしゃくれたアメリカ人の美大生に酷評され追い返していると、落ち着いた雰囲気の女性がやって来ました。

彼女はミロといい、絵を気に入ったと2枚買ってくれましたが、ジェリーは半信半疑です。なにしろこれまで絵が売れたことがなかったからです。

ミロはお金がたりないからホテルまで取りにきてくれというので了承すると、運転手付きの高級車が現れました。

ホテルの部屋は立派なスイートルームで、彼女はお金を渡すと、今夜はパーティーがあるからあなたもいらっしゃいと誘います。

ミロは彼の絵よりも彼自身に興味があるようです。ジェリーが正装して彼女の部屋を訪ねると、客は他に誰もいません。

ジェリーは、「金は返すから絵はもらっていくよ」といい、「遊び相手ならもっと別のやつを探せ」と出ていこうとしますが、ミロは笑って「普通に誘ったら来なかったでしょ。あなたは才能があるわ。力になりたいのよ」と言います。

リズとの出逢い

彼女に誘われて来たカフェでジェリーは隣の席の可愛い女性の虜になってしまいます。ジェリーにずっと見つめられて思わず視線をそらす彼女。

ジェリーは強引に声をかけるとダンスに誘いますが、「ずうずうしいのね」と言われてしまいます。「私はあなたが思うような女じゃないわ」と彼女はご立腹。

ジェリーはめげずに電話番号を聞きます。彼女は嘘の番号を教えたのですが、連れの紳士がご丁寧に本当の番号を教えてしまうのでした。

帰りの車の中で、ミロに「あなたの態度はとても失礼だったわ」と言われ、ジェリーは怒って車を降りてしまいます。

翌朝、ジェリーがアパートの一階にあるカフェにいると見慣れた高級車が前に止まっています。いつの間にかミロが隣の椅子に座っており、昨日は悪かったわと謝ってきました。

もう忘れてしまったよ、とジェリー。ミロはジェリーのスポンサーになって、彼を応援したいと考えているのです。とはいえ、彼に気があることも否定できません。

ジェリーは昨日の女性のことで頭がいっぱい。電話をかけ、彼女が香水店で働いていることをつきとめます。

女性の名前はリズ。熱心なジェリーに心動かされ、ランチならご一緒してもいいわと言いますが、ミロと絵のことで打ち合わせをする予定がはいっているジェリーは夜9時にカフェで会う約束をとりつけます。

嬉しさでいっぱいのジェリーは街を飛び跳ね、アパートに戻ると、アダムの伴奏で元気いっぱいにタップを踏み、最後は二人で連弾して熱唱します。

謎めいた彼女

その頃、リズはアンリと食事をしていました。ジェリーとの約束の時間が気になっているのですが、このあと、アンリが新曲を発表するショーがあるというのです。

約束の時間よりかなり遅れてきたリズにもう来ないかと思ったよと言うジェリー。リズは人目を気にしているようでなんだか挙動不審。

セーヌ川のほとりに場所を変え、ジェリーは画家になる夢を語ります。そして「はっきりと手応えがある」とバラードを歌い、彼女の手をとると、ともに踊り始めます。歌とダンスの終わりに二人はキスを交わします。

しかし彼女は突然「行かなきゃ」と言い、走り出しました。ジェリーはあわてて引き止めて土曜日の昼に会う約束を取り付けました。

リズがアンリのところへ駆けつけると、アメリカ人の興行主が来ていて、アンリにアメリカ行きを薦めていました。アンリはリズに結婚を申し込みます。一緒にアメリカに行こうと。

ミロに支援を受け、必ず借りは返すという約束で個展の準備を始めたジェリー。しかし、リズの煮え切らない態度が気になります。自分もミロのことを話していないのであまり追求できません。

そんな胸のうちをアダムに打ち明け、リズの名前を告げるとアダムはひどく驚きます。そこにアンリがやってきて、相手も君が好きなようならちゃんと愛の告白をしなくてはとアドバイスします。

二人は「彼女は僕が好き」と一緒に歌いだしますが、同じ女性のことを歌っているのを知っているアダムは落ち着きません。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『巴里のアメリカ人』ネタバレ・結末の記載がございます。『巴里のアメリカ人』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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リズとの約束の場に元気に飛んでいったジェリーは、愛していると告白しますが、なんと彼女はもうお別れよ、アンリと結婚するのと告げます。

リズは苦しい胸のうちを明かします。アンリは恩人でレジスタンスの両親を持つ私を命がけで助けてくれたのだと。だから離れられないのだと。ジェリーもミロというスポンサーがいることを告げると、寂しく去っていきます。

ミロを訪ねたジェリーは彼女を美術学校のパーティーに誘います。パーティーは大勢の人で賑わっていました。

その会場にリズとアンリも来ていました。アンリはジェリーとミロにリズを紹介し、明日結婚するんだと嬉しそうです。ジェリーとリズは初めましてとぎこちなく挨拶を交わしました。

二人と別れたあと、ミロはあの娘、どこかで会ったように思うわと言います。ジェリーは彼女に詫びて、実はリズを愛しているのだと告白します。ミロはリズがカフェで隣に座っていた娘だということを想い出します。

一人バルコニーで佇んでいるジェリー。落ちていたチラシを手に取ると、絵を描き始めました。そこへリズが現れました。愛し合いながらも別れなければならない二人。最後の抱擁をしてリズは去っていきます。

それを影で見ていた人がいました。アンリです。アンリはリズを連れて長い階段を降りていきました。ジェリーが二人を見ています。リズはジェリーを見上げ、涙を浮かべます。

にわかに風が強くなり、ジェリーが引き裂いた絵が再び一枚の絵となり、凱旋門の見える風景が目の前に現れました。デュフィ、ルオー、ユトリロ、ロートレックを思わせる舞台で彼は様々な人と踊ります。

やがてリズが現れ、二人は愛を確認します。しかし突然何もかもが消え、ジェリーは落ちていた一本の赤い薔薇を拾うのでした。

夢だったか、と肩を落とした時、アンリの車が戻ってきて、リズが階段を駆け上がってきました。リズの心をアンリが汲んだのです。駆け下りるジェリー、駆け上がるリズ。

二人は堅く抱き合うのでした。

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映画『巴里のアメリカ人』の感想と評価

『巴里のアメリカ人』は、『雨に唄えば』(1952年)と並ぶ、ジーン・ケリー主演の傑作ミュージカル映画です。

MGMが創立50周年を記念して1974年に制作した『ザッツ・エンターティンメント』は様々なミュージカル作品の傑作を取り上げていますが、そのトリを飾ったのが本作でした。

冒頭、ジーン・ケリー扮するジェリーの友人が数珠つなぎのように紹介されます。アパートメントの窓をとらえてカメラが上昇していくのですが、別の人物の部屋の窓で止まって「おっとこれは違う、もう一つ上」とフェイントをかけるなど、洒落た演出が施されています。

朝、目覚めたジェリーが天井からぶら下がっている紐をひくと、ベッドが上がっていき、洋服ダンスから机と椅子が出て来るなど、狭い部屋を効率よく使っている様子が見ていてワクワクさせられます。

ヒロイン役のレスリー・キャロンはバレリーナとして活動していたところをジーン・ケリーに見出され、本作でデビュー。二人の男性の間で揺れ動く難しい役どころを可憐に演じています。

ジェリーとアンリとリズの三角関係を唯一知っているアダムが俄に落ち着きがなくなるシーンは非常に愉快なシーンになっていますが、アダムを演じたオスカー・レバントの多才さが観られるのも本作の見どころの一つです。

ピアニスト(志望)の彼がオーケストラのピアノ伴奏をしている妄想シーンがあるのですが、指揮者に演奏者、そして観客まで、全てがオスカー・レバントで、実にユニークです。

ラストのジェリーの妄想シーンにおける華やかなダンスの連続は圧巻の一言ですが、ダンスの素晴らしさだけでなくジェリーが敬愛する画家、デュフィ、ルオー、ロートレックらの画風を取り入れたセットも見事というしかありません。

巴里への憧れ、芸術の讃歌に溢れた究極のエンターティンメント、それが『巴里のアメリカ人』なのです。

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まとめ

ジーン・ケリーのダンスを観ていてまず頭に浮かんだのは、なぜか他のミュージカル映画ではなく、山下敦弘監督の『オーバー・フェンス』の蒼井優でした。

彼女は映画の中で鳥の求愛ダンスを踊ります。全身全霊を込めて愛を伝える鳥を真似て、なぜ、人間は愛を伝えないのかと踊るのです。取り繕っていないで感情を露わにしなさいよと彼女は訴えるのです。

ジーン・ケリーのダンスは感情の爆発です。嬉しさを隠しきれずに、街をステップしてしまいます。幸せな感情を周りにも伝染させます。タップを踏み、バレエのステップを踏み、ダンスのしぐさで優しさを露わにします。

本作でのジーン・ケリーの役柄は画家志望であり、ダンサーや役者、音楽家ではありません。ゆえにダンスシーンは全て彼の感情のほとばしりということになります。

舞うこと、踊ることの高揚感に包まれてとびっきり幸せな気分になる。ミュージカル映画の真髄がここにあります。踊るということはつまりダイレクトなコミュニケーションでもあるわけです。

ラスト十数分、延々と続くダンスシーンは素晴らしい限りですが、実はこれは主人公の妄想です。しかし、主人公が妄想して踊り続けたことがヒロインを引き戻したのではないでしょうか。

ダンスにはそのような力があるに違いありません。そんなことを思わせるのがジーン・ケリーのダンスなのです。

そして『オーバー・フェンス』における蒼井優の求愛ダンスも彼女が『花とアリス』で見せたバレエシーンと同じく立派な「舞踏」なのです。

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