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Entry 2022/09/09
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【松本卓也監督インタビュー】『ダイナマイト・ソウル・バンビ』映画の“面倒くさい部分”という一味違う美味しさを味わってほしい

  • Writer :
  • Cinemarche編集部

『ダイナマイト・ソウル・バンビ』は2022年9月10日(土)より新宿K’s cinemaにて1週間限定先行レイトショー!その後も全国順次公開予定!

商業映画デビューのチャンスを得た若手監督の顛末、そして撮影現場で繰り広げられるインディペンデント映画業界の明暗を描いた松本卓也監督の映画『ダイナマイト・ソウル・バンビ』。

2017年に撮影されながらも、2022年現在の映画業界を予見したかのような作品内容は、2019年の第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭にてワールドファンタスティック・ブルー部門に選出されるなど、世界各地の映画祭で話題となりました。


(C)Cinemarche

このたび劇場公開を記念し、本作を手がけたのみならず、主人公である架空の若手監督・山本拓也役を自ら演じられた松本卓也監督にインタビュー。

「映画監督」である主人公・山本を自ら演じられたその意味、ご自身が考える映画と映画監督の「美味さ」など、貴重なお話を伺いました。

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期待を裏切らないために


(C)2022 シネマ健康会

──本作の企画は、どのような経緯で始まったのでしょうか。

松本卓也監督(以下、松本):『ライブハウス・レクイエム』という長編映画で「MOOSIC LAB 2015」に参加させていただいた際、賞自体には絡まなかったんですが、作品を推してくださった映画館関係者の方が多かったんです。中でもシネマスコーレさんと横川シネマさんは、同作の完全版を特別に上映してくださったほどでした。

そうしたきっかけからシネマスコーレさんと接点ができたんですが、同館の名物支配人・木全純治さんと副支配人・坪井篤史さんと直接お会いした際にも、木全さんから「俺と坪井は映画の趣味が違うんだけれど、この映画は久々か、初めてと言えるぐらいお互いに趣味が合った」「二人でグランプリに推したんだ」と言ってもらえました。

その後、愛知県の中川運河をロケーションに用いて映画を撮る「Filmusic in 中川運河」という企画をご紹介いただき、そのプレゼンのために企画を練り始めたのが、本作の始まりの始まりでした。

木全さんは「中川運河を出してくれたら、それ以外は自由だよ」と言ってくれましたが、それは「お前だったら、ちゃんとした映画を作ってくれるよな」という信頼があったからこその言葉だと受け取りました。その期待を裏切らないためにも、「ちゃんとがんばろう」と思いましたね。

「一味違う映画体験」を本編に盛り込む


(C)2022 シネマ健康会

──「劇中劇としての映画本編と、その本編を撮影をするメイキング映像、主人公である若手監督の過去作など様々な映像が交錯していく」という本作の構成は、どのように着想されたのでしょうか。

松本:映画をレンタルDVDなどで観る時の楽しみの一つに、特典映像として収録されている本編のメイキングがありますが、本編だけでは分からない映画の意外な裏側を知れるという面白さは、映画館での鑑賞とはまた一味違う映画体験だと感じています。

ある時、ふと「その面白さを、映画本編に持ち込めないかな」と思ったんです。メイキング映像を観た上で改めて本編を観てみると、また違う面白さを感じられる。その映画体験そのものを本編の構成に組み込めないかと考えたんです。

僕は映画作りにおいて、「ベタなものを外装にし、中身はベタじゃない」あるいは「外装はべタじゃないように見えて、中身はベタ」という風に、ベタとそうでないものを混在させることを大切にしているんですが、「映画本編に、そのメイキング映像や別作品の短編が入り混じる」という構成の映画は少なくとも自分は観たことがなかったし、複数の映画が一つの場所で上映される映画祭に来たような感覚を味わえる映画を作ってみたいと思ったんです。

僕はかつてお笑い芸人として活動していたこともあり、ネタ帳のようなノートへ常にプロットのアイディアなどを書き溜めていたんですが、本作のアイディアも2015〜2017年頃に書き残していたものだと思います。

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面倒くさい部分がジャンクで、美味しい


(C)Cinemarche

──本作を通じて「映画監督」という人間を描くにあたって、松本監督が最も意識されたことは何でしょうか。

松本:僕は映画を作る際に、映画監督を、そして映画を「身近なもの」として描きたいと常に考えています。

「映画は崇高なものであり、映画監督は神格化すべき存在である」と捉えてしまっている状況は未だに残っていますが、僕自身は映画はよりジャンクなものだと捉えていますし、映画監督もまた神格化されるような存在ではないと感じています。

映画本編の感動を噛みしめるために、あえてDVDの中のメイキング映像を観ないという方もいますが、骨の近くの肉の方が旨味が強いように、映画の面倒くさい部分もまたジャンクであり、美味しい。映画も映画監督も、実は面倒くさいものだけれど、それもまた面白いんだと感じてほしいと思ったんです。

そもそも、自分は幸運にも映画監督として映画を作り続けることができていますが、「周りのスタッフさん・キャストさんに、たまたま御輿で担いでもらえている」という感覚は常にあります。それは忘れてはいけない感覚ですし、そうでないと作中の山本のようにのぼせ上がり、足元を掬われる。だからこそ、脚本を必死に直し続けるなど、限られた中で自分自身ができることを追求し続けています。

演じないという「逃げ」


(C)2022 シネマ健康会

──インディペンデント映画業界で評価されるも、プロチームも交えた初の商業長編映画の制作に翻弄され、どこまでも堕ちてゆく若手監督・山本拓也は、松本監督ご自身が演じられています。

松本:山本のキャラクターは、脚本を執筆していた2017年当時の商業・インディペンデントそれぞれの映画業界で自分が見聞きした、あるいは役者さんからお聞きしたお話をもとに、自分の想像も交えながら形作っています。

ただ当時の自分は、そうやって形作った山本というキャラクターを、自分ではない別の監督さんや役者さんに演じてもらうのは、一種の「逃げ」かもしれないと思えたんです。

どこまでも人間臭くて「面白い」と感じられる部分もあるけれど、ハラスメントを平然とする嫌なヤツであることに変わりはない。本作のヒール役である山本は「コイツは、自分ではない」と思いながら描いた、自分とは全く異なる性格のキャラクターでしたが、映画を通じて自分と同じ「映画監督」を描く以上、映画監督としての自身の一部が否が応でも映り込むのは避けられないとも感じられた。

そもそも、「絶対に自分は、山本ではない」と本当に言い切ることは、正直どんな映画監督であっても難しいはずです。だからこそ「けじめ」とまではいかないですが、「この映画を撮ろうとしている“映画監督”である、自分自身が演じなきゃいけない」と考えたんです。

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映画の「リトマス試験紙」という一面


(C)Cinemarche

──ハラスメント問題をはじめ、2022年現在の映画業界の現状を先駆けたような内容である本作は、同時に「映画作りに対する純粋な想い」も描いています。

松本:映画祭に行くと「真剣に映画と向き合っているのか?」「本当に面白い映画を撮ろうと思っているのか?」と感じてしまう映画監督を、世代に関係なく見かけることが時々あります。そしてその周囲には、いつまでもなくならないハラスメントの現実が漂っています。

僕も低予算の中で映画を作り続けているため、時にはキャストさんにも撮影を手伝ってもらうこともありますし、キャスト・スタッフチーム全体にいつも苦労をかけていると感じています。だからこそ、本作のテーマの一つであるハラスメントは常に意識すべき問題だと考えています。

延々と続く問題と向き合い、解決しなくてはならないという現実がある中で、本作の脚本を執筆していた2017年当時も、映画に失望させられてしまうような話ばかりを見聞きしました。ですが、フィクションである映画だからこそ、「それでも、最後は映画に向き合うはずだ」という希望を込める必要があると感じられました。

映画には、リトマス試験紙のような側面があると思っています。本作もまた様々な「対立するもの」を描かれていて、観る人によってそれらへの反応も分かれると思いますし、分かれてほしいと考えています。

「どっちつかずじゃん」と言われてしまうとそれまでかもしれないですが、「観客の皆さんに委ねます」という昔からある言葉の通り、観る方の想像という反応が生まれるのも、映画の面白さの一つだと思っています。

インタビュー/河合のび、出町光識
撮影/出町光識

松本卓也監督プロフィール

東京都出身。映像制作チーム『シネマ健康会』の代表を務める。

約10年間、お笑いコンビとして活動していたが、相方にふられ解散。その後、独学で映像制作の道へ。オリジナリティ溢れる映画の創作を目指す。

一度見たら忘れられない、くすっと笑える人間味溢れる映像を得意とし、オリジナル脚本で撮影された映画は国内外、数多くの映画祭で賞を受賞。

映画製作を中心に、企業・商品のCM製作、テレビ番組企画・演出、MV制作、脚本執筆、演技講師、イベント司会など幅広い分野で「見たことない」表現を追求中。

サザンオールスターズのMV、ア・ラ・ポテトのCMを作るのが夢。

映画『ダイナマイト・ソウル・バンビ』の作品情報

【公開】
2022年(日本映画)

【監督・脚本・編集】
松本卓也

【キャスト】
松本卓也、岡田貴寛、イグロヒデアキ、後藤龍馬、マチーデフ、島隆一、石上亮、工藤史子、志城璃磨、芝本智美、新井花菜、真千せとか、木村仁、三浦ぴえろ、俊平、伊藤元昭、山下ケイジ、森恵美

【作品概要】
商業映画デビューのチャンスを得た若手監督の顛末、そして撮影現場で繰り広げられるインディペンデント映画業界の明暗を描いた、映画メイキング映像と本編映像が同時進行する新機軸パラレル群像劇。

監督は元お笑い芸人で『ミスムーンライト』(2017)などで知られる松本卓也。松本監督自らが主人公である架空の若手監督・山本拓也を演じている。

オムニバス映画『おかざき恋愛四鏡』(2020)のの岡田貴寛とイグロヒデアキ、『愛のくだらない』(2021)の後藤龍馬らが出演。またキャストの中には本物の映画スタッフ陣も起用されており、本作のリアリティを高めている。

2019年の第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭ではワールドファンタスティック・ブルー部門に選出されるなど世界の映画祭で話題となり、2017年の撮影から5年の時を経て2022年に劇場公開版が完成した。

映画『ダイナマイト・ソウル・バンビ』のあらすじ

インディペンデント映画業界で勢いのある若手監督の山本は、天野プロデューサーに見出され、低予算だが新作長編映画『ダイナマイト・ソウル・バンビ』制作の機会を得る。

山本は仲間のスタッフ・キャストらと共に意気込み、プロチームと合同で撮影に挑む。

その様子をメイキングカメラ担当の谷崎が記録していた……。

最低な監督と最高の仲間が選ぶ結末は?!

新宿K’s cinema・舞台挨拶イベントが決定!


(C)2022 シネマ健康会

2022年9月10日(土)〜9月16日(金)の新宿K’s cinemamでの1週間限定先行レイトショーでは、『ダイナマイト・ソウル・バンビ』舞台挨拶イベントの全日開催が決定!

松本卓也監督をはじめ本作のキャスト・スタッフ陣が連日登壇するほか、特別ゲストを招いてのトーク回も!

詳細は下記リンクよりお確かめください。

【新宿K’s cinema】映画『ダイナマイト・ソウル・バンビ』舞台挨拶イベント情報の詳細はコチラ→





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