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Entry 2022/11/24
Update

ホラー『禁じられた遊び』映画原作のネタバレあらすじと感想評価。清水カルマの死者が蘇る怖い描写で倍増するものとは⁈

  • Writer :
  • 星野しげみ

清水カルマのホラー小説『禁じられた遊び』がついにスクリーンに!

第4回「本のサナギ賞」大賞受賞の小説『禁じられた遊び』。

著者の清水カルマが新人離れした恐怖の表現力で描いた人気ホラー小説が、2023年度映画化されることになりました。


(C)2023映画『禁じられた遊び』製作委員会

映画の監督を務めるのは、『リング』(1998)『スマホを落としただけなのに』(2018)『事故物件 怖い間取り』(2020)『‟それ”がいる森』(2022)など、ホラー、サスペンスなどのあらゆる恐さを追求し、世に送り出してきた中田秀夫監督です。

小説で描かれたゾッとする恐ろしい場面を、中田監督がどのようなホラー映像にするのかと、期待も高まります。

2023年の映画公開に先駆けて、小説『禁じられた遊び』をネタバレ有りでご紹介します。

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小説『禁じられた遊び』の主な登場人物

【伊原直人】
主人公。郊外に庭付きの一軒家を購入し妻子と暮らす。

【伊原美雪】
直人の妻。交通事故で亡くなる。超常的な霊能力の持ち主。

【伊原春翔】
直人と美雪の一人息子。

【倉沢比呂子】
フリーのビデオ記者。かつての職場で直人に好意を寄せていた。

小説『禁じられた遊び』のあらすじとネタバレ


清水カルマ:『禁じられた遊び』ディスカヴァ―文庫刊2019

伊原直人は、美人の妻・美雪と息子の春翔と共に、平穏で幸せな生活を送っていました。

都心の郊外に念願のマイホームを購入し、引っ越した矢先のある日のこと。

春翔が庭で遭遇したトカゲを捕まえようとしました。トカゲは、尻尾だけ切って逃げてしまいました。

驚く春翔に直人は、「トカゲは危機を感じると尻尾を切って身を守る」と教えました。

春翔は「じゃあ、この尻尾からトカゲさんが生えてくるの?」と問いかけました。

直人はいたずら心から、「尻尾を土に埋めて、エロイムエッサイム…”と呪文をかけていると、尻尾から体が生える」と教えました。

その日から春翔は毎日、熱心に庭で呪文を唱えます。

「まだトカゲさん、生えてこないね」と毎日庭をのぞき込む春翔を見かねて、直人は別のトカゲを捕まえて土に埋めてそのトカゲが土から出てくる場面を演出します。

「ほら、出てきたよ」と……。喜ぶ春翔を見て、自分のついた嘘に直人の心はほんの少し痛みましたが……。

そんなある日、美幸が交通事故で亡くなってしまいます。

美雪が事故で亡くなってから、春翔は事故の日にねじ切られてしまった美雪の指を持ち帰り、庭に埋めました。

「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム……」

母親を生き返らせるために、春翔は毎日、毎日、熱心に呪文を唱えて祈り続けます。

直人は、母親が亡くなったことを受け止めきれずにいる春翔を憐れみ、トカゲの再生と同じようにしようとする春翔の行為を無理に止めることが出来ません。

一方、その頃、フリーのビデオ記者の倉沢比呂子の身の回りで奇妙な怪奇現象が起こりはじめました。

実は、倉沢比呂子はかつて勤めていた会社で直人と同僚でした。

上司のセクハラから直人に救われたことがあり、彼に好意を抱いていました。また、直人も部下の比呂子をかわいらしいと感じていました。

子どもの頃から不思議な霊能力があった美雪は、2人の様子を敏感に感じ取ります。

その後、美雪は嫉妬と憎しみを抱えた生霊として、比呂子の周囲で奇妙な現象を起こすようになりました。

これに驚いた比呂子は、会社を辞めて直人と顔を合わせるのをやめ、美雪の生霊に悩まされることも次第に少なくなっていったのですが、またしても起こり始めた怪奇現象に比呂子は嫌な予感を覚えます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『禁じられた遊び』ネタバレ・結末の記載がございます。『禁じられた遊び』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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そんなある夜、直人が庭を見ていると、指を埋めた辺りの土が盛り上がり、中から裸の美雪が出てきました。

あまりの恐怖から現場に駆け寄った直人は「すまないが生き返らないでくれ」と謝りながら、美雪の体に杭を打ち込みました。

すると、美雪は叫び声をあげながら、土の中に戻っていきました。

次の日、土に埋めた指を毎日拝んでいた春翔は、土の中の美雪の異変に気がつき、「パパのせいでママが生き返れなかった」と直人を責めます。

片や比呂子の方では、美雪がなくなったことを知ってから、再び周囲で怪異とでもいうべき異変が起こり始めます。

取材で出会った霊媒師の大門の自宅を夕方訪れ、お祓いの儀式をしてもらいますが、美雪の怨念が強すぎて振り払うことはできません。

かえって大門に美雪の怨念が乗り移り、大門から殺されそうになります。比呂子は必死で逃げて難を逃れました。

その後も、夜に自宅を訪れた親友などからも同じように襲われて、夜間に美雪の霊力が強まることを悟りました。

そこで比呂子は、美雪の力が弱まる昼間に美雪との直接対決をしようと、、直人の家に向かいました。

死人から生き返ろうとする美雪の存在を知ってしまった直人は、息子の春翔からも「ママを生き返らせる邪魔しないで」と責められ、自責の念と後悔から引きこもりのようになっていました。

春翔もこのままだと危険だと判断した直人は、春翔を祖父母に預け、比呂子が訪ねた時は直人一人でした。

直人の家に夕闇が迫り始めると、庭の盛り上がった土がますます盛り上がり、地面から美雪が現れました。

比呂子は直人とは何もやましいことはなかったと何回も言いますが、嫉妬の塊となった心だけを持つ、人間でない美雪には通じません。

直人と2人で美雪から逃げ惑い、捕まりそうになるたびに、棒や石で撃退します。しかし、飛び散った美雪の血や体液から、再び美雪は復活しようとします。

すべてを終わらせるため、ついに直人は、家に火を放とうとしました。けれどもそこへ、春翔がやってきました。

「パパがいじめる。助けて」とママに呼ばれたと言う春翔。お婆ちゃんに送ってもらい、戻ってきたと言います。

「ママ頑張って」と微笑みながら、またあの呪文を唱えます。

美雪の不思議な力は春翔に遺伝しており、彼女が生き返ったのは、春翔の力だったのです。

春翔の抑えようのない不思議な能力は、竜巻を生み出しました。それは嵐に変わり、直人が春翔を助けようとしたときには、雷が春翔に落ちました。

この雷により、春翔はまたたくまに炎に包まれて亡くなってしまいます。事故後、直人は愛犬のポチが何かを咥えているのを発見。

それは、ポチが春翔を助けようと身体を噛んで引きずった際にもぎとられた、春翔の身体の一部でした。

一時的なショック状態と判断された直人は入院させられました。

直人が退院したという知らせを受けた比呂子は、直人の家を訪れました。

荒廃した庭の片隅にひざまずき、直人は希望に満ちた笑顔を浮かべながら、肉片を土に埋めと思われるあたりを拝み、呪文を唱えています。

「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム…。少し大きくなったみたいだな、春翔。もう少しで再生できるからな」。

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小説『禁じられた遊び』の感想と評価

清水カルマが描いた『禁じられた遊び』は、全国の書店員が選ぶ『本のサナギ賞』の第4回大賞受賞作です。

『本のサナギ賞』は、既存の小説に物足りなさを感じている「本の虫」の心をつかむ、個性的でクオリティの高い濃密な小説に与えられる賞と言います。

本作の内容は、トカゲの尻尾がまた再生するということから身体の一部を土に埋めて祈れば、人間も生き返ると信じた少年により、夫の浮気を疑う妻が嫉妬の塊となって生き返るというもの。

ストーリーとその表現力からも、本作は『本のサナギ賞』のコンセプトを明確に捉えていました

『禁じられた遊び』の大賞受賞の理由は、まず、美雪が生き返る場面の凄まじい描写にあると断言できます。

土から出てきた美しい人型の美雪が、空気に触れたとたんに、肌がみるみるグレーに変色し腐り始めます。形よく肉付いた身体からボロボロと腐った肉片が溶けだし、白い骨がのぞきます。

そしてあたりには、たまらないほどの腐臭が立ち込めると、小説では書いてあります。臭いだけは小説や映画では再現できませんが、想像するにとんでもなくえげつない臭いと思われます。

もはやこの状態で生き返っても、美雪がもう人間でないことは一目瞭然です。それなのに、息子である春翔は、母親に生き返ってもらいたい一心で、一生懸命に祈りを捧げます。

このいじらしい少年の心理がおぞましい恐怖を招きます。これが、受賞の第二の理由になるのではないでしょうか。

ペットにしろ愛する人にしろ、亡くなってしまった人に会いたい気持ちはよくわかります。

普通なら心の中で思うだけで終わってしまうのですが、本作では少年春翔が霊能力者であったために、本当に死者を生き返らせる行為に走りました。

母を慕うがあまりに、死んだ人を生き返らせることが許されていいのでしょうか。春翔の深い愛が衝撃的な出来事を招いたとしか思えません。

母を思う切ない少年心理に隠された霊能力の秘密がベールを脱いで現れた時、読者は深い恐怖の世界へ陥ります

映画『禁じられた遊び』の見どころ

小説『禁じられた遊び』の「感想と評価」でも触れましたが、本作の見どころは、ズバリ死者美雪が生き返るシーン

怖ろしくグロテスクな再生シーンを、ホラーのプロフェッショナルである中田秀夫監督がどんな風に描いてくれるのか、恐いもの好きにはたまらない作品です。

また、亡くなった者や動物を土に埋めて祈るという映画は、1952年に公開されたフランス映画『禁じられた遊び』を思い出します。

フランス映画の『禁じられた遊び(1952)』では、戦争で孤児となったポーレットと農家の少年ミシェルが、虫や小動物の亡骸を土の中に埋めて、十字架を立てて祈りを捧げます。

ここは死への哀悼ともう一度会いたいという気持ちのこもった切ない場面なのですが、本作では本当に土の中から死者が蘇るため、恐怖の序章を感じるシーンとなることでしょう。

因みに直人が春翔に教える呪文は、黒魔術の呪文とも言われています。魔術の呪文を霊能力が存在する子どもに唱えさせれば、次には何が起こるのか、たやすく想像できます。

直人の家の庭にぼこぼこ出現する土饅頭はすべて美雪の肉片が入っていて、そこから人間でなくなった美雪が再生しようとするシーンも、また恐ろしい……。

同じタイトルとは言え、全く違った意味を持つ『禁じられた遊び』。

清水カルマのこの作品では、何を理由に禁じられたのか、戦慄を伴う恐怖を持って証明してくれることでしょう

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映画『禁じられた遊び』の作品情報


(C)2023映画『禁じられた遊び』製作委員会

【日本公開】
2023年(日本映画)

【原作】
清水カルマ:『禁じられた遊び』(ディスカヴァ―文庫刊 2019)

【英題】
The Forbidden Play

【監督】
中田秀夫

【企画・プロデュース】
平野隆

【キャスト】
未定

まとめ

第4回「本のサナギ賞」大賞受賞の小説『禁じられた遊び』が、ホラー作品の名手・中田監督によってついに映画化が決定。

映画では、今までかつてなかったような、恐ろしくてグロテスクな映像が続出することと思われます。

小説では、愛するものを失いたくないという人間の心理が「嫉妬」や「疑惑」をもたらせ、人間を死人から蘇る化物に変えてしまうという衝撃の内容が描かれていました。

愛ゆえの独占欲が、美雪を比呂子への嫉妬の鬼へと変え、春翔を死人を蘇らせる霊能力者に変えてしまいます。

そして、美雪と比呂子の間で許しを乞うことしかできない直人は、今度は死んでしまった息子の春翔をひたすら蘇らせようとします。

三者三様の行きつく先は狂気の世界。本当に怖いのは‟人間”なのかもしれません

映画『禁じられた遊び』は2023年公開予定! 

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