第68回ゴールデングローブ賞主演男優賞ほか多数の賞を受賞した社会派ドラマ!
バリー・レヴィンソンが監督を務めた、2010年製作のアメリカの社会派ドラマ映画『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』。
末期病状の患者を救うため、医師ジャック・ケヴォーキアンが患者の自殺幇助に関与し、「死の医師」と呼ばれ逮捕されてしまう姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
人間の“死ぬ権利”を問いかけた実在のアメリカ人医師を、アル・パチーノ主演で描いたR15+指定の社会派ドラマ映画『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』の作品情報
(C)2021 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
【公開】
2010年(アメリカ映画)
【脚本】
アダム・メイザー
【監督】
バリー・レヴィンソン
【キャスト】
アル・パチーノ、スーザン・サランドン、ダニー・ヒューストン、ブレンダ・ヴァッカロ、ジョン・グッドマン、ディードル・オコンネル、トッド・サスマン、ジェームズ・アーバニアク、ルターニャ・アルダ、ヘンリー・ストロジャー、サンドラ・シーキャット、コッター・スミス、デヴィッド・ウィルソン・バーンズ、ジェレミー・ボブ
【作品概要】
『レインマン』(1988)や『嘘の天才~史上最大の金融詐欺~ウィザード・オブ・ライズ』(2017)などを手掛ける、バリー・レヴィンソンが監督を務めたアメリカの社会派ドラマ作品。
第68回ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)や、第62回プライムタイム・エミー賞主演男優賞(テレビ映画部門)ほか、多数の賞を受賞・ノミネートした作品でもあります。
主演を務めるのは、「ゴッドファーザー」シリーズや『オーシャンズ13』(2007)などに出演するアル・パチーノです。
本作はR15+指定作品のため、15歳未満の方の鑑賞は推奨されていません。
映画『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』のあらすじとネタバレ
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1980年代、アメリカ・ミシガン州。デトロイトの病院などで病理学者として活動する医師ジャック・ケヴォーキアンは、末期の病状に苦しむ患者を救う方法はないか模索していました。
そこでケヴォーキアンが目をつけたのが、既にヨーロッパの方で認められている、患者に苦痛を与えずに死に至らせる「安楽死」でした。
1989年。ケヴォーキアンは元地下研究所の技術者であり、現在は「ラブスコ医薬品」という薬局を営む親友ニール・ニコルと、姉のマーゴ・ヤヌスによる協力のもと、末期病状に苦しむ患者の自殺幇助活動を開始。
彼の活動は地元紙を独占し、全国区の週刊誌「ニューズウィーク誌」の一面を飾るほど世界的に議論を呼びました。
1990年、ケヴォーキアンとマーゴは初めての患者となる、アルツハイマー病を患う女性ジャネット・アドキンズとその夫としたビデオ協議の映像を見て、彼女の自殺を幇助するかどうか議論します。
「彼女の自殺を幇助したら、“地元の偽医師”とあなたを呼んできた世間の目が変わり、マスコミが注目する。だから引き受けて」
「マスコミや世間なんて関係ない、重要なのは私の患者の気持ちだ」「一見健康そうに見える彼女は毎日、いつ自分が失われるのかという恐怖心に襲われている」
ケヴォーキアンがマーゴとそう議論したのは、死を処方する医師として続けていくために、内心医師として葛藤していた気持ちを整理しておきたかったからです。
「このまま活動を続け、自分が“本物の医師”であることを証明する」と、気持ちの整理がついたケヴォーキアン。
彼は、「人には死の形を選ぶ権利があるとして、尊厳ある死を与えるべきだ」と訴えるヘムロック協会の代表ジャネット・グッドの元を訪れ、医療場所を紹介してくれるよう頼みます。
グッドは豪邸である自宅を医療場所として提供してくれましたが、直前になって元警官の夫に強く反対されてしまい、ジャックに電話をかけ、「他の場所を紹介する」と言いました。
その時既に、マーゴがジャネットを迎えに行っていたこともあってか、ケヴォーキアンは激怒。「これ以上君と話すことは何もない」と言って電話を切ります。
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ケヴォーキアンたちは悩んだ末、湖のほとりにある公園に車を停め、車内を医療場所とすることにしました。
ケヴォーキアンはフリーマーケットで購入した、30ドル程度の純金属のガラクタを利用して作った、自作の自殺装置「タナトロン」を使って、ジャネットの自殺を幇助しました。
まず、ケヴォーキアンがジャネットに点滴装置を取りつけ、生理食塩水の点滴を開始。次にジャネット自身がスイッチを押すと、その1分後にチオペンタールの点滴が始まります。
それにより、ジャネットが昏睡状態に陥った後、今度は塩化カリウムの点滴が始まり、最終的に彼女は心臓発作によって死亡しました。
ジャネットの自殺幇助を無事成功させたケヴォーキアンは、こう思いました。「苦しむ患者が死を迎える時、医者は本当の仕事を請われる」
「患者の願いに沿って、最善を尽くすべきだ」「慈悲深く、素早く苦痛のない死のために」と………。
このジャネットの死はマスコミに大きく取り上げられ、ケヴォーキアンは「死の医師」と呼ばれるようになりました。
ケヴォーキアンは、以前取材を受けた報道記者のジャック・レッセンベリーから、大勢の人が通勤中に聞くという朝のラジオ番組「ボブ・ベンダーの朝のドライブ・ショー」の生放送への出演を依頼されます。
快く依頼を引き受け、生放送に出演したケヴォーキアンの話を聞いた視聴者の3~4割は、彼の活動に賛同しました。
そのラジオ番組を聞いてなのか、グッドが謝罪しに、一人暮らしをしているケヴォーキアンの家を訪問。そんなグッドを、新たな協力者として迎え入れたケヴォーキアンは、マーゴが撮影してくれた次の患者2人とビデオ協議した映像を見せました。
2人目の患者は、10年前から多発性硬化症を発症し、今はほとんど体を動かせない女性シェリー・ミラー。診断から1ヶ月後に彼女の夫は去ってしまいました。
3人目の患者は、骨盤に深刻な痛みを抱えるマージョリー・ワンツ。10回手術するも効果はなく、痛みで衰弱していました。
ケヴォーキアンはジャネットの件で、一度殺人罪で起訴されそうになったことから、2人同時に自殺幇助することにしました。
ミラーたちが死亡した後、ケヴォーキアンは2人の自殺幇助に関与したとして、警察に逮捕されてしまいました。
ジャネットの件同様、マコーム群の検事ディック・トンプソンは、ケヴォーキアンを殺人罪として起訴しようとしますが、ジャックの弁護士ジェフリー・フィーガーは、「患者自身が安楽死を頼んだ証拠映像があるため、2人の医師としてジャックがした行為は殺人ではない」と強く主張します。
逮捕から3日後、フィーガーが保釈金を支払ってくれたおかげで、ケヴォーキアンは保釈されたものの医師免許を剥奪され、自殺幇助に使う薬物を入手できなくなってしまいます。
1992年。ケヴォーキアンを殺人罪で起訴したトンプソンたち検察と、ケヴォーキアンとフィーガーによる戦いが行われました。
この対決は、自殺幇助は犯罪ではないという判決が判事マクナリーから下され、検察側の告発を却下。ケヴォーキアンが勝利を勝ち取りました。
判決に不服のトンプソンは、取材しに来た報道記者にこう言いました。「ケヴォーキアンの行いが合法化されてしまえば、ミシガン州は自殺の中心地となってしまう」
「医療費の負担に苦しむ病人や家族は多い。自殺幇助がその費用削減策に悪用されかねない」
以下、『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』ネタバレ・結末の記載がございます。『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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薬物を入手できなくなったケヴォーキアンは、新たに考案した自殺装置「マーシトロン」を使い、ニールと一緒に自殺幇助の活動を続けていきました。
マーシトロンによる自殺幇助は、一酸化炭素のシリンダに接続されたマスクを患者に被せ、バルブを開いて一酸化炭素を吸入することによって発生する一酸化炭素中毒を利用して、患者を死に至らしめるというものです。
12人目の患者イザベル・コレアの死後、ケヴォーキアンは患者のファイルを保管していたレンタル倉庫に足を運びましたが、警察によって南京錠がかけられていました。
それはマーゴの娘アバが、支払期限が過ぎた請求書の支払いに、ケヴォーキアンの名前で小切手を送ってしまったことで足がつき、警察にレンタル倉庫に患者のファイルを保管していたことがバレてしまったからです。
そのことでマーゴを激しく叱責するケヴォーキアンは、人目も気にせず彼女と激しく口喧嘩し、娘のことを非難されて激怒した彼女から、縁を切られてしまいました。
それでもケヴォーキアンは、グッドとニールの協力のもと、死の医師として自殺幇助活動を続行。安楽死を望む多くの患者が、彼に救いを求めに来ました。
そんなある日、絶縁宣言したはずのマーゴが、突如ケヴォーキアンの家を訪問。マーゴからの申し出で和解した2人でしたが、ケヴォーキアンは支払いが滞っているせいか家を売却しなくてはならず、片やマーゴは数週間前に職を失ってしまいました。
それは、死の医師であるケヴォーキアンの姉だからという理由で、職場からクビを言い渡されたからです。
和解したケヴォーキアンたちは、フィーガーとその妻フィーガー夫人の自宅でディナーを楽しみます。
ディナーを楽しんだ後、フィーガーは女性陣が席を立ったのを見計らい、ケヴォーキアンにこう言いました。
「まもなく州知事が禁止令にサインし、これまで犯罪にならなかった自殺幇助が、禁固4年の重罪になる」
後日。ケヴォーキアンは金物ショップで買った金属を使った透明な箱を作り、その箱を患者の頭部を覆い密閉することで、入手困難になってしまったガスを節約しようとしました。
しかしビニールで覆っているせいか、箱の中が高温になってしまい失敗。暑さによる苦しさを訴える14人目の患者を見て、ケヴォーキアンたちは自殺幇助の延期を勧めます。
ところが、肺気腫を患うその患者、元アメリカ空軍の軍人ヒュー・ゲイルは、自殺幇助の続行を懇願。ケヴォーキアンは体を覆っていたビニールを外し、箱だけ使って自殺幇助することにしました。
無事ヒューの自殺幇助は成功したものの、ニールはガスを節約するためとはいえ、病人にビニールを巻くことに不安を感じていました。
その後、デモ隊の1人がニールの家のごみ箱に捨てられていた、ヒューの自殺幇助に関する最終報告書を入手。
その報告書には、ヒューがマスクを外すよう懇願した1文が修正液で削除され、「患者は紅潮し動揺した様子で、筋緊張はあるが正常範囲」と書き直された跡が見つかりました。
1993年。トンプソンたち検察は、ケヴォーキアンが何かを隠蔽しようとした虚偽報告書に関する検視審問会を開き、ニールとヒューの妻ゲイル夫人を呼び出し尋問します。
その結果、ニールは「単純にタイプミスしただけ」と供述し、ゲイル夫人からは「何度も自殺しようと思った夫は9か月間、私に止められてもなお、博士(ケヴォーキアンのこと)との面会を望んでいた」と供述されたことで、トンプソンはケヴォーキアンを起訴できませんでした。
またしても無罪放免を勝ち取ったケヴォーキアンの元に、「マーゴが心臓発作で亡くなった」という病院からの訃報が届きます。
マーゴはすぐ治まると軽視していたせいで、病院に搬送されるのが心臓発作を起こしてから数時間後だったため、病院に搬送された時点で死亡が確認されました。
姉の訃報を聞いて病院に駆けつけましたが、ケヴォーキアンはマーゴの死を認めたくないという恐怖心からか、霊安室の前で立ち止まり、踵を返して病院から去っていきました。
1993年。ミシガン州の新たな知事となったエングラーによって、ケヴォーキアンやその他の個人が、人の生死を決めることを禁じる新州法が制定されました。
住んでいる家から強制退去させられたものの、フィーガーの厚意により、湖のほとりにある新居を手にしたケヴォーキアン。彼はフィーガーに、自分の活動を邪魔する法律を失くすある方法を提案します。
それは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患った30歳のトーマス・ハイドを、マーシトロンで自殺幇助したことをビデオテープに記録し、自分の行いは犯罪ではないことを証明することでした。
この16番目の患者トーマスへの自殺幇助により、ケヴォーキアンは警察に再び逮捕され、法廷でトンプソンたち検察と真っ向勝負に挑むことになりました。
1994年には16番目の患者となったトーマスの自殺幇助と、自殺幇助を禁止とする新州法、1996年には患者の自殺幇助が殺人に該当する習慣法を争点とした裁判の結果、ケヴォーキアンはトーマスへの自殺幇助を記録したビデオテープのおかげで全て勝訴しました。
トンプソンに何度も勝利したことで、気が大きくなったのでしょう。フィーガーは州知事選挙に立候補し、好感度を狙ってかマスコミからの取材に対し、「医師による自殺幇助には反対だ」と答えたのです。
フィーガーの出馬によって、街中が大騒ぎになっている中、ケヴォーキアンは次々と末期病状に苦しむ患者たちの自殺幇助を行っていきました。
病床に臥すグッドは、自宅に見舞いに訪れたケヴォーキアンにこう言いました。「家族がいないあなたには、もっと味方になってくれる人が必要よ。信用できる人を増やして」
「そのためには自分を見せるしかないのに、あなたは誰が相手でも自分の感情を隠してしまう」
「本当は、末期病状に苦しむ母親を救えなかったことが悔しかったのでしょう?」
そう、ケヴォーキアンが末期病状に苦しむ患者を救うため、安楽死を処方することを思いついたのは、同じく末期病状で苦しんでいた亡き母親を救えなかったことへの贖罪でした。
ケヴォーキアンは狭く寒い病室で苦しむ母親に、医者が彼女を生かそうと努めている中、ただ立ち尽くしていることしかできなかった自分の無力さを呪い、ずっと悔やんでいました。
初めて自身の気持ちを打ち明けたケヴォーキアンに、感謝を伝えるグッド。彼女は家族に別れを告げ、82人目の患者として、マーシトロンで安楽死しました。
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1998年9月17日。130人目のALS患者トーマス・ユークの自殺幇助に関しては、まず、ケヴォーキアンの手で彼の右腕に眠らせるための薬「セコナール」を投与。
トーマスが眠ったのを確認した後、ケヴォーキアンが彼に、呼吸を止める筋弛緩剤を投与。その後、心臓を停止させる塩化カリウムを投与し、安楽死させました。
通常であれば、患者自身がマーシトロンを作動させますが、トーマスは自力で作動させるのが不可能なほど、病状が悪化していたからです。
直前、これまでケヴォーキアンを信じ協力してきたニールは、ケヴォーキアンに「あんたが直接、患者に手を下すのなら、俺は手伝えない」と言っていました。
後日。ケヴォーキアンはトーマスの自殺幇助を記録したビデオテープを、安楽死が殺人かどうか裁判を起こすための起爆剤として使うべく、テレビ番組で放映して欲しいとレッセンベリーに売り込みに行きました。
その2か月後、11月22日に放映されたアメリカのCBSテレビのドキュメンタリー番組『60 Minutes』にて、ケヴォーキアンがトーマスの自殺幇助した記録映像が公開。検察はケヴォーキアンの思惑通り、彼を第一級殺人と危険物質の投与の罪で起訴しました。
1999年。意見を違えたフィーガーと袂を分かったケヴォーキアンは、弁護士の手を借りず、たった1人で5度目となる検察との対決に挑みます。フィーガーはこの時、州知事選挙でエングラーに大敗を喫していました。
1999年4月13日。ケヴォーキアンは第二級殺人と、危険物質の投与の罪で有罪となり、10~25年の実刑判決が下されました。
その後、刑務所に収監されたケヴォーキアンは8年半服役し、2007年6月1日に仮釈放された時には、彼は79歳でした。連邦最高裁判所は上告を却下しました。
映画『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』の感想と評価
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自作の自殺装置を使って、末期病状に苦しむ患者を安楽死させる死の医師ケヴォーキアン。彼は末期病患者の積極的安楽死の肯定者でした。
というのもケヴォーキアンは昔、末期病状に苦しむ自身の母親を、彼女が死ぬまでにその苦しみを取り払ってあげることが出来ず、自分の無力さを悔やんだ過去があったからです。
余命宣告を受けたグッドに、ケヴォーキアンが初めて隠していた自分の気持ちを打ち明けた場面は、辛く悲しいもので涙が止まりません。
辛い過去があったからこそ、ケヴォーキアンの末期病状患者に対する思い入れ、助けたいという気持ちが強いです。
ただケヴォーキアンにだって、患者の命を助ける医師であるにも関わらず、患者に死を処方しなくてはならないことへの葛藤がないわけではありません。
初めて死の医師として患者を受け持つとなった時、デモ隊の中にいた車椅子の少年が「僕を殺さないで」と記した紙を掲げている姿を見た時、ケヴォーキアンは「自分がしている安楽死は、本当に正しい判断なのか」と内心葛藤していたことでしょう。
ただケヴォーキアンは、自分の感情を最愛の姉にさえ隠してしまうのです。ケヴォーキアンのことを良く知る人でさえ、全てを理解してあげられなかった彼の苦悩は、想像するだけで苦しくなります。
まとめ
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末期病患者の積極的安楽死を肯定する病理学者ケヴォーキアンが、死の医師として患者に安楽死を与えていく姿を描いた、アメリカの社会派ドラマ作品でした。
ケヴォーキアンの活動の裏では、姉のマーゴをはじめとする、親友のニールやグッドたち、彼のことを支える支援者の姿がありました。
その数少ない支援者の存在があったからこそ、ケヴォーキアンは自分の信念を貫き通すことができたのでしょう。
ただ、実在の人物である病理学者であり、医師でもあるジャック・ケヴォーキアンは、仮釈放後は自殺幇助活動は行っていません。
腎臓疾患を患い、83歳で亡くなるまでの間ずっと、ケヴォーキアンは安楽死・尊厳死の啓蒙活動を続けたといいます。
最後まで患者の苦しみを取り除く方法を模索し、研究し、世間に提唱し続けたケヴォーキアンを完璧に演じきったアル・パチーノの演技は素晴らしいです。
実在の医師が死ぬまで提唱し続けた、末期病患者の安楽死問題を取り上げた社会派ドラマ映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。