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Entry 2020/06/13
Update

映画『ストーリー・オブ・マイライフ 』ネタバレあらすじと感想。グレタガーウィグが若草物語に登場する四姉妹のキャラクターを魅力的に描く

  • Writer :
  • 西川ちょり

あなたらしく生きればいいのよ。

映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』が2020年6月12日(金)より、全国順次公開されています。

ルイザ・メイ・オルコットの不朽の名作『若草物語』を、『レディ・バード』(2017)のグレタ・ガーウィグ監督と主演のシアーシャ・ローナンが再タッグを組み映画化。

19世紀、アメリカ北部で慎ましくも心豊かに暮らす四姉妹が成長する姿を、見事な脚色のもと、温かい視点で見つめています。

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映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』の作品情報


(c)Little Women

【日本公開】
2020年公開(アメリカ映画)

【原題】
Little Women

【原作】
ルイザ・メイ・オルコット著『若草物語』

【監督・脚本】
グレタ・ガーウィグ

【キャスト】
シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、ローラ・ダーン、ティモシー・シャラメ、メリル・ストリープ、トレイシー・レッツ、ボブ・オデンカーク、ジェームズ・ノートン、ルイ・ガレル、クリス・クーパー

【作品概要】
ルイザ・メイ・オルコットの名作小説『若草物語』を『レディ・バード』(2017)で監督デビューを果たしたグレタ・ガーウィグが映画化。

南北戦争下の四姉妹の物語を、作家を夢見る次女ジョー(シアーシャ・ローナン)の視点で描きます。第92回アカデミー賞では作品賞はじめ計6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞。

映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』あらすじとネタバレ


(C)Little Women

マーチ家の四姉妹の次女であるジョーはひとり、ニューヨークに出て、作家として商業的に成功することを目指していました。

その日も出版社に友人から預かってきたものだと言って、原稿を持ち込んでいました。道徳的な部分は飛ばしてもっと短くという注文が付きましたが、採用が決まり、ジョーは帰路につく際、喜びを爆発させます。

姉のメグは隣人のローリーの家庭教師をしていたジョン・ブルックと結婚し、2人の子どもに恵まれました。ジョンの稼ぎでは生活は苦しく、贅沢する余裕などありません。しかし、2人は確かな愛で結ばれていました。

四女のエイミーはマーチ伯母のお供でヨーロッパに来て、本格的に絵の勉強をしていました。馬車に乗っていたエイミーはローリーの姿をみつけ、馬車を停めてもらい、彼の名を呼びながら駆け寄りました。久々の再会を喜ぶ2人。

その日の夜、エイミーはローリーとパーティーに行く約束をしますが、ローリーは遅れてきた挙げ句すっかり酔っ払っていました。

ローリーはジョーに結婚を申し込んだのですが、ふられてしまい、それ以来、何も手につかず、荒れた生活をしているのです。

マーチ伯母はエイミーに裕福な人と結婚するようにと助言していました。マーチ伯母はエイミーがフレッドという裕福な家の青年と仲良くしていることを嬉しく思っていました。

ジョーは同じ下宿で暮らしているフレデリック・ベアという男性から一度あなたの作品をみせてほしいと言われ、これまで書いたものをみてもらいます。

しかし、思いもよらない辛口の批評が返ってきて、ジョーは激高。その場を立ち去りました。

ジョーは南北戦争時代、父が従軍牧師として戦地に赴き、母と四姉妹だけで家を守っていた懐かしい娘時代のことを思い出していました。

初めて社交パーティーにメグとジョーが参加したとき、これまで喋ったことがなかった隣家の少年ローリーに会い、すっかり意気投合したこと。

屋根裏部屋に集まって姉妹だけで密かに行っている秘密倶楽部にローリーが新会員として参加した時のこと。

エイミーが先生の似顔絵を書いたことを咎められ、手にムチの罰を受けて泣いて帰ってきたこと。

ローリーに誘われてメグとジョーがお芝居を観に行こうとしていたらエイミーが自分も行きたがってだだをこね、連れて行ってもらえなかった仕返しにジョーの大事な原稿を焼いてしまった日のこと。

翌日ローリーと一緒にスケートに出かけたジョーは、エミリーが仲直りしようと追いかけてきたことを知っていて無視したところ、氷がひび割れてエミリーが溺れそうになり、ローリーと二人がかりで必死で助けたこと。

ローリーの祖父のローレンス氏が、「うちのピアノを調律代わりに誰か弾きに来てもらえないだろうか」と言ったとき、いつも内気なベスがすっと前に出て名乗り出たことに皆が驚ろいたことなどが昨日のことのように思い出されました。

その頃、ヨーロッパで絵の勉強をしていたエミリーは自分の才能に限界を感じていました。絵をやめてどうするの?とローリーに尋ねられて、「うんと自分を磨いて社交界の大物になるわ」と応えます。

「フレッドと結婚するの?」と問うローリー。ローリーはエミリーに愛を告白しますが、エミリーは「いつもジョーの2番手はいやなの」と言って、ローリーをはねつけます。

そんな折、ジョーは姉から連絡を受け、三女のベスの具合がかなり悪いことを知ります。ジョーは下宿を引き払い、故郷に戻りました。

ジョーは再び思い出していました。父が戦地で体調を崩し、心配した母が看病するため、ブルックさんとともに現地に向かった時のことを。姉妹たちは自分のことだけで精一杯で、近所の貧しい家の様子を見に行くという母のいいつけを守っていませんでした。ひとり、ベスが訪ねていき、そこでベスは猩紅熱にかかってしまったのです。

猩紅熱に免疫のないエミリーはすぐさま、マーチ伯母のところに隔離されました。

あの時も、ベスはなかなか回復せず、皆はとても心配し、母も知らせを聞いて、ブルックさんに夫の看病を頼むと姉妹の元に返ってきました。

クリスマスの日、ジョーが目を覚ますとベッドの中にベスの姿はなく、おそるおそる階下に降りていくと、ベスは回復してテーブルに向かって座っていました。

安堵と喜びにひたっていると、ローリーがやって来て「クリスマスプレゼントだよ」と叫びました。なんと元気になった父が帰ってきたのです。その年のクリスマスはとっても賑やかなクリスマスになりました。

猩紅熱から回復したベスでしたが、その後も病気をすることが多く、今度はもう本人も覚悟をしているのだというくらい具合はよくありませんでした。

ベスはジョーに小説家になってほしいと伝えますが、ジョーは自信を失っていました。ベスは自分のための小説を書いてほしいと頼み、ジョーはベスのために自分たち姉妹の物語を書き、読んで聞かせるのでした。

ある日、ジョーが目覚めるとベッドにベスがいませんでした。以前のように恐る恐る階段を降りていきましたが、階下に座っていたのは母だけで、母は悲しそうに首を振りました。2人は泣きながら抱き合いました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物』ネタバレ・結末の記載がございます。『ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ベスが亡くなったという知らせを聞き、エミリーとマーチ伯母は帰国の準備をしていました。そこにローリーがやってきます。エミリーはこの前のことを謝ります。そしてフレッドのプロポーズを断ったことも告白しました。ローリーは彼女に近づき、唇を重ねました。

ジョーは一人でいるのが寂しくなり、あのとき、ローリーのプロポーズを受けておけばよかったのかしらと悩んでいました。そして、もう一度やり直しましょうと手紙を書き、姉妹とローリーだけの秘密の郵便ポストに手紙を投函しました。

しかし、エミリーたちがヨーロッパから戻った日、ローリーはすぐさまジョーのところにやってきてエミリーと結婚したことを報告しました。動揺する気持ちを悟られないように、ジョーは笑顔を作ってふたりを祝福しました。そしてそっと手紙を取りに行き、契って川に捨てました。

ジョーは過去に書いた原稿をひとつひとつ燃やしていましたが、ベスのために書いた作品を読み直し、家族の物語を一心不乱に書き始めました。

数十ページ書けたとき、出版社の編集長に原稿を送ってみましたが、残念ながらこれは売れないだろうという返信が返ってきました。

ある日、フレデリック・ベアがジョーを訪ねてきました。マーチ家は彼を歓待し、楽しい時間を過ごしました。カリフォルニアに行くというフレデリックを見送っているジョーの後ろ姿を観て、エミリーが叫びました。「ジョー! 彼に恋してるわね!」

馬車を出し、ジョーにフレデリックを追うように言います。戸惑っていたジョーも駅につくとフレデリックの姿を探します。ちょうど駅に入ってきたフレデリックがジョーの姿を認めました。2人は駆け寄りました。

その頃、編集長の家では、彼が持ち帰ったジョーの原稿を娘たちが夢中で読み、続きはないの?とねだっていました。

ジョーは編集長と向き合ってすわっていました。編集長は「物語はハッピーエンドでなくては駄目だ。女性は結婚しなくてはね」と言い、ジョーもその条件を呑むことにしました。

著作権も譲らず、印税も提示された条件より引き上げることに成功したジョー。彼女の瞳は美しく輝いていました。

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映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』の感想と評価


(C)Little Women

映画の序盤、原稿が売れて喜びのあまり、19世紀のニューヨークの街を飛ぶように走るジョー。馬車が行き交う当時を再現する作り込まれた街並みは彼女の速さであっという間に画面から消え去っていきます。なんと贅沢な作りなのでしょうか。

伯母とともにヨーロッパにやってきたエイミーがローリーの姿を見つけて、弾むような足取りで駆け寄り、再会を歓ぶシーンでは、彼女たちの少女時代の最も大切でかけがえのないものが浮かび上がってきます。

また、貧しい一家に朝食を運ぶため、四人の姉妹が雪の中を歩いていく愛らしい姿は、窓越しに彼女たちを見ているローリーと同様、誰もがときめきを覚えるでしょう。

ジョーとローリーはまるで双子のように以心伝心で、転がるようにはしゃぎ戯れふざけあいます。ジョーとローリーは互いの衣服を交換して着ているという設定になっているということを頭に入れて2人の服装を見てみると、楽しみも倍増することでしょう。

このように原作でもおなじみのシーンが、瑞々しく映像化されています。そのひとつひとつに彼女たちのそれぞれの心の機微が宿っており、暖かい気持ちにさせられたかと思えば、時に切なく、心を揺さぶられもします。

本作のキャスティングは見事としかいいようがありません。シアーシャ・ローナンのジョー、エマ・ワトソンのメグ、フローレンス・ピューのエイミー、エリザ・スカンレンのベス、ティモシー・シャラメのローリーが、これほどまでに素晴らしいとは! 俳優たちは、それぞれのキャラクターが持つ多面的な感情を見事に表現しています。

ルイザ・メイ・オルコットの不朽の名作『若草物語』は、これまでに何度も映画化されていますが、今回のグレタ・ガーウィグ監督作は、現在から過去を回想していくという大胆な脚色を行い、物語内物語とも取れる巧みな構成が組まれています。

映画は、姉妹たちの明るく騒々しく幸せな少女時代の輝きをあますことなくとらえると共に、次第に大人になっていく彼女たちが直面するものを映し出していきます

当時の女性が一人で身を立てようとすれば、「売春宿のおかみ」か「女優」しかないと言うマーチ伯母さん。「女性」と「経済」を考えた時、女性が取るべき選択は「良い結婚」をすることだと伯母さんは言います。

女性の人生の選択肢が非常に限られていたそんな時代に、姉妹は決して周囲に流されず、悩みながらもそれぞれの道を選択していきます。その姿は、当時より遥かに女性が自由を得たかに見える今でも共鳴できるものであり、今の時代の「女性」と「経済」について改めて考えさせるものとなっています。

原稿が出版されることになり、著作権や印税に関して編集人と話し合うシアーシャ・ローナンは、ジョーであり、原作者のルイザ・メイ・オルコットでもあるのでしょう。そこには、監督のグレタ・ガーウィクのルイザ・メイ・オルコットに対する並々ならぬ敬意が込められています。

まとめ


(C)Little Women

四姉妹を取り巻く人々も多彩な顔ぶれがそろっています。マーチ家の母親を演じるのはローラ・ダン。『マリッジ・ストーリー』(2019/ノア・バームバック)で敏腕弁護士を演じたかと思えば、『きっと星のせいじゃない』(2014)の優しい母親など、幅広い役柄を自在に演じることで定評があります。本作でも思いやりのある懐の深い母親を好演しています。

現実的で気難しく四姉妹が苦手とする伯母・マーチ夫人にメリル・ストリープ、隣家のローリの祖父をクリス・クーパーという2人の名優が演じ、頑固な気質の中にも暖かな愛情を持つ人間像を作り上げています。

また、南北戦争に従軍していた父が病を克服して家に返って来たシーンで父の顔がアップになった際は少し驚いてしまいました。人気ドラマ「ベター・コウル・ソウル」(2015)のソウルこと、ボブ・オデンカークだったからです。

少ない出番ながらも、この父親の明るさが、娘たちに引き継がれているのだなと納得させる存在感を観せています。

監督二作目にして、この初々しくも堂々とした作品を生み出したグレタ・ガーウィグ。女優としても監督としてもこれからの活躍が益々楽しみになってきました。

映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』は2020年6月12日(金)より全国順次公開



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