Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2017/07/25
Update

映画『世界は今日から君のもの』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • 馬渕一平

『アットホーム・ダッド』や『結婚できない男』、NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』など数々のTVドラマの脚本を手掛けてきた尾崎将也監督。

監督第2作目となる本作では、主演に門脇麦をむかえ“引きこもりのオタク女子”を描きます。

今回は『世界は今日から君のもの』をご紹介します。

以下、あらすじや結末が含まれる記事となりますので、まずは『世界は今日から君のもの』の作品情報をどうぞ!

スポンサーリンク

1.映画『世界は今日から君のもの』の作品情報

【公開】
2017年(日本映画)

【監督・脚本】
尾崎将也

【キャスト】
門脇麦、三浦貴大、比留川游、岡本拓朗、安井順平、駒木根隆介、マキタスポーツ、YOU

【作品概要】
人気脚本家・尾崎将也の長編監督作は、不器用な女の子が一歩外の世界に踏み出す成長物語。ヒロイン・小沼真実を演じるのは、持ち前の独特な雰囲気を活かしてテレビドラマ・映画で大活躍の女優・門脇麦。個性的なキャストがヒロインを取り巻きます。

真実の才能を見抜くゲーム会社社員の矢部遼太郎に三浦貴大。真実を居候させることになるスタイリストの安藤恵利香に人気モデルの比留川游。心配性の父親・英輔に個性派のマキタスポーツ、真実の心を縛ろうとする母親・美佳をYOUが演じます。他にも安井順平、駒木根隆介など魅力的なキャストが勢揃い。

フジテレビ系月9ドラマ『ラヴソング』でヒロインに抜擢されて注目を集めた、シンガーソングライターの藤原さくらが主題歌を提供。カントリー調メロディーと英語歌詞による楽曲「1995」が、ヒロインの心に寄りそいます。

音楽は『機動警察パトレイバー』や『攻殻機動隊』などでおなじみの川井憲次が担当。この作品のユーモラスで暖かみのある世界を多彩なメロディーで彩ります。

劇中のファッションも要注目。外の世界に踏み出せないものの、自分の世界をきちんと持っている真美のキャラクターを表現するために、門脇麦が身に着ける衣裳はすべて古着からチョイス。『アメリ』のオドレイ・トトゥのような “ちょっと風変わりな女の子”を現代日本にリアルに誕生させました。

2.映画『世界は今日から君のもの』のあらすじと結末

(C)クエールフィルム

引っ込み思案な性格で自分の世界に閉じこもってきた真実は、自立するために工場でバイトを始めるが、クビになってしまい、ニート生活に逆戻り。

真実は娘との距離感を上手くつかめない父・英輔と2人暮らし。娘の個性を認めない母・美佳と英輔は、真実が高校生の時に離婚していた。

娘の将来を心配した英輔は、新たなバイト先を見つけてくる。それは新作ゲームに不具合がないかを探す”デバッカー”という仕事。真実は誰とも会話せずに黙々とゲームをプレイし、バグ探しの日々を送り始める。

ある日休憩中に非常階段で一人菓子パンを食べていた真実は、新作ゲームのキャラクターのイラストが描かれた資料を拾う。

それは製作部ディレクターの矢部遼太郎が担当する新作ゲームのキャラクター・デザインだった。遼太郎はこのキャラクターの修正に苦心している最中だった。

真実はイラストを遼太郎に返そうとするが、引っ込み思案なあまり行動に移すことができなかった。その翌日、遼太郎のパソコンに一通のメールが届く。それは完璧に手直しされたキャラクターイラストだった。しかしその送り主は謎。

その正体不明のデザイナーこそ、真実だった。引きこもり生活を送る中で、真実は好きな漫画やイラストを正確に模写することだけが楽しみだった。

その5年間で培われてきた腕前はプロ顔負けのもの。やがてメールの送り主が真実だと知った遼太郎によって、真実は能力を認められることに。

単調な日々が一転、初めて自分自身の存在を肯定された真実は、気持ちを新たに真っ白なスケッチブックに向き合うのだが・・・。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『世界は今日から君のもの』結末の記載がございます。『世界は今日から君のもの』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

依頼していたデザインの締め切りが迫り、遼太郎は真実の家を訪ねます。しかし、なぜか真実はその姿を見て逃げ出しました。

真実の家に入り、スケッチやパソコンを探しても描いた形跡は一切ありません。焦る遼太郎は公園で真実を見つけ、理由を問いただします。

人の創作物の真似しかしてこなかった真実は自らの作品を生み出すことができなかったのです。遼太郎の説得も聞かず、真実は再び逃げ出します。

真実の携帯に母から電話が掛かってきました。母との電話中に、以前のサバゲーで知り合った遼太郎の元恋人・恵利香とバッタリ顔合わせ。

なぜか彼女の家に居候することになった真実は、再びデバッカーのアルバイトに戻ります。

ひょんなことから真実は人前に立って、自らの引きこもりの体験を話すことになってしまいました。

実体験を言葉にしていくうちに本当の意味で引きこもりをまだ克服できていないことに気付きます。会場を後にする真実に声をかける女の子が一人。

小さい頃の真実を思わせるようなその子は、真実に綺麗なガラス玉をくれました。

何かが吹っ切れたような表情の真実は家に戻り、自らが思うまま自由にスケッチブックに描きました。

ある日、真実が神社で絵を描いていると、目を離したすきにスケッチブックが無くなってしまいます。

恵利香と一緒に遼太郎の仕事場に乗り込んだ真実ですが、盗んだ犯人は遼太郎ではありませんでした。

真実のツイッターのフォロワーから母を疑い、真実は母のお店を訪ねますが母も犯人ではありません。

結局犯人は、真実のイラストの実力が気になっていたゲームデザイナーでした。

母は私と一緒に暮らそうと提案し、また真実をコントロールしようとしますが、真実は首を横に振り、お店を後にしました。

自らの才能を発揮させた真実は、ゲームデザイナーのアシスタントとして新たな一歩を踏み出しました。

スポンサーリンク

3.映画『世界は今日から君のもの』の感想と評価

(C)クエールフィルム

本作は、5年間の引きこもりを経験した真実が悩みながらも新たな一歩を踏み出すまでの成長物語がゆっくりと描かれていきます。

尾崎監督はTVドラマで有名な人気脚本家ですが、映画は本作で2本目のため、監督としてはまだ新人の部類。その辺りのことは公式HPに丁寧に書かれていて非常に好感が持てます。

主演の門脇麦の好演が光ります。尾崎監督はドラマで仕事をした時に彼女主演の映画を撮りたいと本作の企画をスタートさせたそうです。

マキタスポーツのお父さんぶりも素晴らしい。三浦貴大も役にハマっていたと思います。

私自身もニート、フリーター、会社員と全部経験している身なので真実の気持ちはよくわかる部分がありました。ただ、演出や物語で気になる箇所がいくつかあります。

TVドラマと映画の一番の違いはもちろん長さです。映画は人物描写にそこまで時間をかけられないため、演出などで工夫が必要です。

しかし、個人的にはそれと同じくらい違いを感じるのがリアリティーラインです。ドラマではなんとか許容範囲になる突拍子のない出来事も、映画に移ると途端に目の当てられないことになります。

それは多分に、基本的には無料で自由に見られるテレビと、高いお金と時間をかけて能動的に観に行っている映画、2つのフォーマットの違いのせいでしょう。

どうしても、手間をかけた分だけいい結果を期待してしまうものですから。映画監督が時折厳しい批評にさらされるのはやむを得ないことです(まったく配慮のない闇雲な批判は別)。

ギャグとしてあまり機能していないと思う表現(落武者など)、いささか説明的すぎる台詞(特に回想シーンまわり)、逆にキャラクターの行動原理の説明が足りない物語運び(真実はあんな怪しい人の言うことを聞いて講演会に行くのか?)。

本作はサバゲーを巡る描写が大きな話題になってしまいました。確かにそこは未経験の私ですら気になりました。

しかし、それ以上に気になったのはあの遼太郎の元恋人。キャラクター設定から物語上の役割に至るまで、彼女にまつわる多くの描写が首をひねるものばかり。結局、彼女が本当はどんな人物だったのか私には理解することが出来ませんでした。

もっといかせそうなキャラクターであるあの同級生を、あの役割に置き換えることは出来なかったのかなと少し思いました。

などと偉そうに個人的に気になる箇所を挙げていきましたが、そんなことを忘れてしまうくらい映画的な瞬間というのが本作には確かに刻まれていました。

明らかに真実の子ども時代を投影している女の子とのやり取りのシーン。真実の人生が自らによって肯定し合えたとても美しい場面です。

母と対峙するシーン。子どもは成長するにつれ、いつしか周りの真似っこではなく自らで道を選択しなければならなくなります。

親としては切ないけど確かに必要なこと。遅くてもゆっくりでも一歩ずつでもきちんと自分で選んで歩きだした真実の未来は明るいことでしょう。

公開館数が少ないので、迷っている方は早めに行くことをお勧めします。

まとめ

(C)クエールフィルム

その人が出ているとその作品が観たくなるという役者さんが誰しもいると思います。門脇麦という女優は私にとってその一人です。

過激なシーンにも挑んだ『愛の渦』。
ラストシーンが圧巻の『太陽』。
色気がすごかった『二重生活』。

私が観た映画では、その独特の声と雰囲気で、いずれも素晴らしい演技を披露していました。

今年だけで映画出演4本、今後のさらなる活躍が期待されます。

関連記事

ヒューマンドラマ映画

『あの日のオルガン』あらすじネタバレと感想。実話の映画化に挑んだ平松恵美子は山田洋次の秘蔵っ子で松竹で2人目の女性監督

映画『あの日のオルガン』は、2019年2月22日(金)より全国ロードショー! 東京も安全ではなくなった1944年に、実際に行われた保育園の疎開。 その難題に挑んだ保母たちの闘いを朝の連続テレビ小説のヒ …

ヒューマンドラマ映画

映画『彼らが本気で編むときは、』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

今回ご紹介する『彼らが本気で編むときは、』は、ぜひ、女の子に観てもらいたい映画。 『かもめ食堂』や『めがね』などの荻上直子監督といえば、ファンの方も多いはず。 監督自ら「“荻上直子・第二章”の始まり」 …

ヒューマンドラマ映画

Netflix映画『パドルトン』ネタバレ感想と考察評価。ラストの意味や“おじさんたちボヤキやボケ”から学ぶ人生の愛おしさ

『パドルトン』に見るおじさんふたりの温かな友情 Netflixオリジナル映画の『パドルトン』は、余命わずかで安楽死を選んだ男性が、親友にその手伝いを頼むという一風変わったストーリー。ロードムービーの味 …

ヒューマンドラマ映画

映画『ガルヴェストン』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。メラニー・ロランの創り出す詩的な色彩と光

日本での公開は、2019年5月17日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかロードショー! 映画『ガルヴェストン』は、癌を告知されたマフィアの殺し屋・ロイと偶然出会った19才女性・ロッ …

ヒューマンドラマ映画

映画『ミッドナイト・バス』あらすじとキャスト。公開日時と劇場も

映画『ミッドナイト・バス』は全国公開に先立ち、1月20日(土)より新潟先行ロードショーが行なわれ、引き続き1月27日(土)より全国順次公開されます。 最近俳優としても活躍を見せつつある原田泰造を主演に …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学