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Entry 2019/04/14
Update

映画『ガルヴェストン』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。メラニー・ロランの創り出す詩的な色彩と光

  • Writer :
  • 奈香じゅん

日本での公開は、2019年5月17日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかロードショー!

映画『ガルヴェストン』は、癌を告知されたマフィアの殺し屋・ロイと偶然出会った19才女性・ロッキーの逃避行を描いたフィルム・ノワール作品。

キャリアの長い『X-MEN:ファイナルディシジョン』のベン・フォスターがロイを演じ、先日21才になったばかりの『マレフィセント』で知られるエル・ファニングがロッキーに扮します。

オーロラ姫役から一転、娼婦役を体当たりで演じており、ベテラン俳優のフォスターと見事なコンビを見せています。

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映画『ガルヴェストン』の作品情報


COPYLIGHT 2018 EMERALD SHORES LLC – ALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2018年10月19日(アメリカ映画)
2019年5月17日(日本公開)

【原題】
Galveston

【監督】
メラニー・ロラン

【キャスト】
エル・ファニング、ベン・フォスター、リリ・ラインハート、アデペロ・オデュイエ、マリア・バルベルデ、C・K・マクファーランド、ボー・ブリッジス

【作品概要】
『イングロリアス・バスターズ』で美貌の復讐者を演じ注目されたメラニー・ロランが監督を務めます。脚本を手がけたのは、原作『逃亡のガルヴェストン』の著者ニック・ピゾラット。

ピゾラットは製作者の支持を受けたロランが独自の解釈で様々な変更を加えたことから、ジム・ハメットと言うペンネームで脚本担当としてクレジットされています。

映画『ガルヴェストン』のあらすじとネタバレ


COPYLIGHT 2018 EMERALD SHORES LLC – ALL RIGHTS RESERVED

病院を訪れたロイは、肺癌と診断される。動揺を隠しマフィアのボス・スタンが営むドライクリーニング工場へ行きました。

スタンが次の仕事をロイに命じ、今回は弁護士を脅すだけで良いので拳銃を持参しないよう忠告。

その晩、指示通り相棒と忍び込んだ弁護士宅で返り討ちに遭ったロイは、目の前で相棒が射殺される中、反撃して辛くも生き延びます。その場に拘束された若い女性を発見し、一緒に連れて町から逃走します。

ロイは、スタンの情婦と自分が前に関係を持っていたことを、スタンが疎ましく思っていたのを知っていました。

その絡みで自分の命が狙われた事に気づいたロイは、暫く身を潜めようと考えます。

助けた女性・ロッキーは、電話帳に載ったエスコートサービスを真面なビジネスと思い込み、娼婦をしていたことを明かします。

ロイが向かう先も聞かず一緒に行くと言い出します。途中で置いて行くわけにもいかず、ロイはそのまま車を走らせました。

故郷のガルヴェストンを目指すロイだが、途中ロッキーの頼みで彼女の実家が在るテキサス州オレンジ郡へ寄ります。

ロイが家の外で待っていると、突然、銃声が聞こえます。幼女・ティファニーを抱えて車に戻って来たロッキーは、義父を脅すために壁を撃ったと言います。

スタンに後を追われているロイは、これ以上状況を複雑にすることに難色を示しますが、ロッキーは妹を絶対に離さないと強い決意を見せ、ロイは仕方なく2人を同乗させます。

3人はガルヴェストンに近い海辺の簡易宿泊所にチェックイン。

ティファニーは一度も海を見たことが無いと聞き、ロイは2人連れて浜辺で一緒に1日を過ごします。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ガルヴェストン』ネタバレ・結末の記載がございます。『ガルヴェストン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ある日、ロイはテキサス州オレンジ郡で男性が射殺体で発見され、娘ラケルとティファニーが行方不明と伝える報道を新聞で目にします。

ロッキーに問いただすと、義父に強姦されて生まれたのがティファニーだと分かります。娘を愛していると嗚咽するロッキーを、ロイはそれ以上責めず2人の将来に思考を巡らせました。

そんな時、宿泊客の1人・トレイがロッキーとティファニーの事を知り、ロイを脅して来ます。

ロイはトレイを誘き出して殺害し、遺体をあぜ道に捨てました。その後、押入った弁護士宅で見つけた貨物明細を利用し、オペレーションをばらすとスタンを恐喝。

ロッキーを初めてデートに誘ったロイは、岬で夕暮れを2人で眺めながら、ロッキーに高校の卒業証明を取るよう勧めました。

収入の目処が有るので援助すると申し出るロイに、ロッキーは冗談だろうとイタズラな視線を投げ返します。

ロイは、幼い娘や自分の為に何かをやり遂げろと励まします。

ロイの真剣な表情を見たロッキーも頷き、自分の未来へ思いを馳せる様に海の彼方へ視線を向けます。オープンバーで踊り楽しい時間を過ごした2人は、笑顔で帰路に着きます。

しかし、スタンの手下達が待ち伏せていた。ロイの目の前で泣き叫ぶロッキーが男達に連れ去られる。スタンのドライクリーニング場の一室でロイは酷い拷問を受けた。その間、ロッキーが相当な抵抗を見せたとスタンは嘲笑います。

人が居なくなった隙にスタンの情婦がロイを解放。足を引きずりロッキーを探すロイは、全裸でうつ伏せに息絶えたロッキーを発見しました。

ロイは、顔や体が傷だらけの彼女をカーテンで覆います。

見つからないようスタン達の目をかすめてビルを脱出したロイは、見張りの男を殺して車を奪います。しかし、先を急いで交通事故を起こし、ロイは病院へ搬送されました。

検査をした病院は、ロイが癌に罹患していないと告げ、治癒可能な真菌による感染症だと話します。

警察に逮捕されたロイの下へ、スタンの顧問弁護士が訪問。スタンの名前を出さず黙って服役すれば、ティファニーの命は保証すると条件を提示します。

20年後、刑期を終えたロイは、ひっそりとガルヴェストンに暮らしていました。

巨大台風が迫り町民が窓に板塀を貼って備えている頃、若い女性がロイのアパートを訪ねます。大人になったティファニーでした。

人を雇いロイの刑務所記録を追跡して住所を突き止めたと話すティファニーは、美しく成長していました。忽然と消えた“姉”に捨てられたと思っていた彼女は、20年前何が起きたのか教えて欲しいと涙ながらに頼みます。

グラフィックデザイナーの職に就き、結婚を間近に控えたティファニーの成長を見つめながら、ロッキーは姉では無くティファニーの母親であり、娘の為に勇気ある行動を取る女性で、決してティファニーを見捨てなかったとロイは静かに話しました。

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映画『ガルヴェストン』の感想と評価


COPYLIGHT 2018 EMERALD SHORES LLC – ALL RIGHTS RESERVED

登場人物の心情を台詞に頼らず、場面の雰囲気を説明せず、絵画の様に表現することに長けているのがフランス人監督ですが、メラニー・ロランの創り出す映像も詩的で色や光の使い方が巧みです。

ロッキーがロイとのデートで着た赤いドレスを差し色で使い非常に印象的。

退廃的な人生を送り出会うべくして出会う2人がその場の成り行きで情事を重ねる、と言うありきたりな物語ではない『ガルヴェストン』。

友だち以上恋人未満のプラトニックな関係だからこそ成立する心の近さを丁寧に描いています。

本気でロッキーを思うようになる気持ちの変遷をベン・フォスターが細やかに演じ、エル・ファニングが危うい19才のそれでも必死な若き母親を瑞々しく表現。

また、悲観さが終始漂う2人の逃避行を、観客は応援せずにはいられないロランの巧みな構成が見どころです。


COPYLIGHT 2018 EMERALD SHORES LLC – ALL RIGHTS RESERVED

ニック・ピゾラットが当初書いた脚本に魅了されたロランは、もっと登場人物に寄り添って描きたいと考え、演じる俳優陣と話し合いを重ねて脚色を進めました。

自身が俳優でもあるロランは、登場人物の心情を演者だけが汲み取れる瞬間がある事を熟知していると言えます。

暴力に頼ることに何の躊躇も無いロイが性的不能だというアイデアを盛り込むなど、より人物に深みを加えています。

また、ロランのファンだったファニングは出演決定に喜び、ファニングの清純な評判を聞いていたフォスターは、共演を希望。

本作で脇を固めるのは、トレイ役を務めた『ゲーム・オブ・スローンズ』のロバート・アラマヨ、そしてキャリアの長いボー・ブリッジスが冷徹なマフィアのボス・スタンを演じています。

まとめ


COPYLIGHT 2018 EMERALD SHORES LLC – ALL RIGHTS RESERVED

それぞれ孤独で静かな地獄を生きて来たロイとロッキー。

社会の底辺を彷徨う2人が出会い、もう一度未来に目を向けてやり直そうと考えます。

お互い何も求めず、ただ3人一緒に歩もうとしたロイとロッキーですが、脆く細い糸で結ばれ恋にも似た短い旅は残酷に終焉します。

しかし、2人が言葉を交わさずとも守り通した幼い命は繋がれ、ティファニーが愛する人と将来を築くことでロイとロッキーの思いは継承されます。

『ガルヴェストン』は、キスシーンやベッドシーン抜きで男女の心の揺れ動きを美しく描いた余韻の残る作品です。

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