ヒロイン・アレックスの輝ける夢と愛!
プロダンサーを目指すヒロインの夢と愛、友情を描いた世界的大ヒット映画『フラッシュダンス』。主演を務めたのは、本作が映画初主演となったジェニファー・ビールスです。
監督は『危険な情事』(1988)のエイドリアン・ライン。またアイリーン・キャラによる主題歌『フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング』も大ヒットしました。
ダンスに生きる喜びのすべてをぶつける純粋な主人公・アレックスの魅力の虜になる作品です。
2022年4月には4Kデジタルリマスター版で公開された不朽の名作の魅力をご紹介します。
映画『フラッシュダンス』の作品情報
【公開】
1983年(アメリカ映画)
【原案】
トム・へドリー
【監督】
エイドリアン・ライン
【脚本】
トム・へドリー、ジョー・エスターハス
【製作総指揮】
ドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマー
【キャスト】
ジェニファー・ビールス、マイケル・ヌーリー、リリア・スカラ、サニー・ジョンソン、カイル・T・ヘフナー、リー・ヴィング、ベリンダ・バウアー、ステイシー・ピックレン、マルコム・ダネア
【作品概要】
プロダンサーになる夢を追う主人公の愛と葛藤を描く青春ドラマ。オーディションで選出されたジェニファー・ビールスの主演デビュー作であり、共演は『ヒドゥン』(1988)のマイケル・ヌーリー。
監督は『危険な情事』(1988)のエイドリアン・ライン。また製作総指揮では、ドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマーというヒットメーカーが初のコラボを果たしています。
アイリーン・キャラが歌う印象的な主題歌『フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング』も大ヒットとなり、アカデミー賞歌曲賞を受賞しました。
映画『フラッシュダンス』のあらすじとネタバレ
工業都市ピッツバーグに住むプロのダンサーを目指す18歳のアレックス。
昼は製鉄所の溶接工をし、夜はクラブのセクシーダンサーとして働いている彼女。同じ店でプロスケーターを目指す親友のジェニーはウェイトレスを、彼女の恋人であるコメディアン志望のリッチーは調理を担当していました。
倉庫だった部屋に住みながら、毎日ダンスの練習に励む彼女のステージを製鉄所社長のニック・ハーリーが見ており、翌日彼女に挨拶します。
ある日彼女は、名門ピッツバーグ・ダンス・アンド・レパートリー・カンパニーのオーディションを申し込みに行きますが、応募者がバレエ経験者ばかりであることを知って自信を失い、そのまま逃げ去りました。
ダンスの師であるハンナ・ロングは、まずは応募することが大切だとアレックスに諭します。
アレックスを口説こうとししては断られてきたニックでしたが、ストリップクラブで働くジョニー・Cに絡まれていた彼女を助けたことをきっかけに距離が縮まります。
ある日、スケート競技会に出場したジェニーを、アレックス、リッチー、ニッキー、そして彼女の両親が見守ります。しかし彼女は2回転倒して立ち上がれなくなりました。
帰りにアレックスはピザをテイクアウトしてニックを自宅に招きます。その夜ふたりは結ばれました。
映画『フラッシュダンス』の感想と評価
愛と感動のつまった圧巻のダンスシーン
空前の世界的大ヒットとなった名作『フラッシュダンス』のみどころは、なんといっても圧巻のダンスシーン。特に大ヒット曲『フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング』をバックにヒロインのアレックスが踊るラストのオーディションシーンは伝説となっています。
「人生を信じて ステップを踏めば世界は私のもの」という歌詞が、アレックス自身と完全に一体となった名シーンであり、この歌詞は「私のステップが世界を魅了する」という意味だけではなく、「ステップを踏んでいるとき、私はダンスですべてが満たされる」という意味がこめらているように思えます。
ジャズダンスやブレイクダンスを取り入れた本作は、今日まで続くダンスブームの先駆けとなりました。
プロを夢見ながら昼は溶接工、夜はクラブのセクシーダンサーとして働くハングリーなアレックスを演じるのは、本作が初主演となるジェニファー・ビールス。当時イェール大に入学したばかりだった彼女の、ネイティブ・アメリカンの血をひく情熱的な顔とバネのようにしなかな体、愛らしい表情が観客を虜にしました。
ラストの成功シーンに至るまで、いくつもの葛藤や苦しみも丁寧に描かれます。
正式なレッスンを受けたことがなかったアレックスは、オーディションを受けるまで葛藤し続けます。周囲はバレエの経験者ばかりなのを見てとった彼女はコンプレックスに苦しみ、一度は逃げ帰ってしまうのです。
また彼女と同じように、大きな夢を追う友人たちも登場します。
プロスケーターを目指して努力してきたジェニーは、大切な本番で転倒したことが原因で挫折してストリッパーにまで身を落とします。その後、熱い友情で結ばれたアレックスが親友を助け出しました。
またジェニーの恋人でコメディアン志望のリッチーは夢を叶えるためにロスへ旅立ちますが、すぐに帰ってきてしまいます。
夢を叶えられる者と、夢に破れる者のリアルな姿が描かれているからこそ、この作品は多くの人々の心を強く打ったのに違いありません。
純粋で激しいアレックスの恋
もうひとつ注目したいのはアレックスと雇い主である社長のニックとの恋の行方です。
ニックは離婚歴のあるいわゆる大人の男性です。社長という社会的な地位もあります。そんな彼が、クラブで踊るアレックスに一目ぼれ。敏捷な小鹿のように自由に跳ねまわる彼女の、ほとばしる生命力や輝きに魅せられる気持ちはよくわかります。
目を閉じると音楽が見えると言って、ニックに目を閉じて確認するように言うアレックス。なにより彼が魅了されたのは、アレックスのそんな純粋さだったに違いありません。
以前は上流階級の妻と「建前」を大切に暮らしていた彼は、自分が本当に求めていたのは純粋で情熱的なアレックスだと気付きます。
まだ若いアレックスは、怒りをコントロールすることができません。ほかの女性といたのを見ただけでニックの家の窓に石を投げつけて割ったり、彼女がオーディションを受けられるよう裏で手を回したことを許せず車道でいきなり降りてしまったり激しい行動を繰り返します。
しかし、彼女より成熟した精神性を持つニックはアレックスがオーディションを恐れていることを見抜いていました。そして、夢を捨てるのは死ぬのと同じだと厳しい言葉をあえて彼女に投げかけます。その根底にあったのは、アレックスの才能への信頼でした。
自分を導き、見守り、温かく受け入れてくれるニックというホームがあったからこそ、アレックスは夢を叶えることができたのです。
そんなふたりをいつも見つめている、ぶさかわいい犬のグラントもたまらなくチャーミングで癒されます。
まとめ
伝説的な人気を誇るダンス映画の名作『フラッシュダンス』は、製作総指揮を務めた巨匠ジェリー・ブラッカイマーとドン・シンプソンが最初に大ヒットさせた一作でもあります。
ミュージックビデオスタイルは、その後の彼らのヒット作『トップガン』(1986)にも受けつがれました。
また、ジャズダンスやブレイクダンスを取り入れたシーンがダンスブームを巻き起こすなど、さまざまな方面でのその後に大きな影響を与えることとなった記念碑的作品です。
魅力あふれるヒロインの夢と愛、そして情熱的なダンスは今なお多くの人々に愛され続けています。