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映画『もったいないキッチン』ネタバレ感想と考察。斎藤工の吹替ナレーションでフードロス問題を追究するドキュメンタリー

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

食の“もったいない”を美味しく楽しく解決!

映画『もったいないキッチン』は、ジャーナリストのダーヴィド・グロスと通訳のニキが共にオリジナルキッチンカーで日本中を旅し、各地で様々な人と出会い、様々な視点から日本のフードロスついて考え、廃棄食物を使って美味しい料理を人々に届けていくドキュメンタリー。

日本人が大切にしてきた“もったいない”の精神。それが根付いているはずの日本ですが、フードロスは世界トップクラス。それは何故なのでしょうか。

『もったいないキッチン』は、2020年8月8日(土)からシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中です。

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映画『もったいないキッチン』の作品情報

(c)UNITED PEOPLE All Rights Reserved.

【公開】
2020年(日本映画)

【監督・脚本】
ダーヴィド・クロス

【キャスト】
ダーヴィド、塚本ニキ、井出留美

【日本語吹き替え版ナレーション】
斎藤工

【作品概要】
『もったいないキッチン』は、オーストリアのジャーナリスト、 ダーヴィド・クロスがニキと旅をしながら“もったいない“精神のもと、様々なアイデアで食物を取り扱っている人々と出会い、その考えに触れることでフードロス解決の糸口を探していくドキュメンタリー。

ダーヴィド・クロスは、前回「食品ロスを楽しく解決!」をモットーに、ヨーロッパで廃棄食物を使って料理を作り、人々に届けるドキュメンタリー『0円キッチン』(2017)を手がけました。今作では、日本の持つ“もったいない”の精神にインスパイアされ、日本のフードロスについて考えていきます。

映画『もったいないキッチン』のあらすじとネタバレ

(c)UNITED PEOPLE All Rights Reserved.

ダーヴィド・クロスは日本の“もったいない”精神にインスパイアを受け、通訳のニキと共に、福島から鹿児島まで4週間1600kmの旅を通して、日本のフードロス、更には持続可能な世の中のためについて考えていきます。

まずは日本のフードロスについて考えていくために、食料リサイクル工場を訪れます。共に訪れるのはフードジャーナリストの井出留美さん。

“もったいない”の精神が根付いているはずの日本ですが、フードロスは世界トップクラス。

年間 643万トンもの食料が廃棄されており、これはおおよそ国民一人あたり毎日おにぎり一個分捨てている計算になります。

1家庭あたりですと、年間6万円分の食物が廃棄されていることになります。それも全て食べられるはずの食物です。

食料リサイクル工場に集まってくる食物は形が悪くて商品にならなかったものや、コンビニで賞味期限が切れた食物などです。

まだ食べることが出来そうな食物も沢山見受けられます。何故このように沢山廃棄されてしまうのかを知るために、次はコンビニの工場を訪れます。

コンビニの商品は安全に食べることができる時間が決められており、その時間を越えた商品はまだ食べることは可能であっても廃棄されてしまいます。

このような廃棄されてしまう食物を減らすにはどうすれば良いのかを考えるために、ダーヴィド・クロスとニキは日本各地の“もったいない”の精神のもと、様々な取り組みをしている生産者やシェフらに会いに行きます。

以下、『もったいないキッチン』ネタバレ・結末の記載がございます。『もったいないキッチン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ダーヴィド・クロスとニキは廃棄されてしまう食物を活用している人々に会いに行きます。その一つが大阪釜ヶ崎のホームレスが多く暮らしている地域にありました。

そこでは廃棄される前の食物が沢山運ばれてきます。中には腐っていて食べることが出来ない物もあるそうですが、多くはホームレスの方々で調理などして食べているそうです。

また、賞味期限が切れそうな食材を買い取って安く売るという事業を行っている人もいました。

更に2人は東京の台東区にあるお寺を訪ねます。そこでは食材の全てを使って精進料理を作っています。普通は捨てるものと思っている皮や茎などの部分でさえ、アイデア次第で美味しく食べることができるといいます。

食べるものではないという考えがそもそも本当にそうなのかと、問いかけることが大切だと2人は学びます。

また、2人は福島第一原発事故の現場を訪れ、その後福島県いわき市の農家を訪れます。野菜が出来ても汚染されているため全て廃棄しなければならなかった辛さを農家の方が語ります。

そんな時目をつけたのが長葱の花。何故かその葱は食べられるのではないかと感じたそうです。そしてレストランと共同して葱の花を活用し、料理や調味料などに生き返らせることに成功しました。

そのように食材を惜しむことなく使う方法を考えて実践する人がいる一方で、究極のサステナブル、身近な自然を活用している人々もいました。

その一つが京都府綾部市に住む“野草おばあちゃん”の生き方でした。山や身近にある野草を収穫し、生活する究極の自給自足生活を実践しているのです。もう一つは昆虫食に着目したイベントをしている団体でした。

東京都奥多摩郡で実際に自分で昆虫を採取し、みんなで昆虫を調理して食べるというイベントを行っていました。

そのような食への取り組みはフードロスという観点だけでなく、地域おこしなどの観点から食への新たな試みをしようという動きもあります。

その事例の一つが熊本県小国町の地熱を利用した地熱エネルギー、地熱を活用した料理です。

地熱燃料だでなく、プラスチックの廃棄を何かに活かせないかと模索し、バイオ燃料を活用した試みをしている北九州市の工場にも2人は出向きました。

そこにあったのは、なんとあの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でおなじみのデロリアン! 同映画に影響を受け、バイオ燃料で走るデロリアンを作ってしまったそう。

食から地域再生について考える試みを行っている鹿児島県枕崎市の鰹節産業や、鳥取県智頭町のパンやビールなどの発酵食品を使って地域循環に活かす試みなど、フードロスの問題だけでなく地域再生、持続可能な社会などの問題についても考える糸口に2人は出会います。

こうして、フードロスの問題から始まって、生き方など様々なことを学んだ2人は、最後に埼玉県小川町で皆から集めた食材を使って皆で料理をし、“0円”で作り上げたもったいないキッチンパーティーを開催します。

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映画『もったいないキッチン』の感想と評価

(c)UNITED PEOPLE All Rights Reserved.

ダーヴィド・クロスは前作『0円キッチン』で、廃油で走るキッチンカーでヨーロッパを旅し、廃棄食物を救い出し、美味しい料理に変えるという試みをしてきました。

そんなダーヴィド・クロスは “もったいない”の精神で、食や自然に対して古くから畏敬の念を有してきた日本が世界トップクラスのフードロス大国であるという矛盾に疑問を持ちました。

そして、日本におけるフードロスの問題を見つめながら、その解決作の糸口を探そうとしていきます。

廃棄食物が集まる工場には規則や几帳面な日本人だからこそ、不良品が多く集まり廃棄されてしまう、コンビニにおいても規則が厳しいが故に廃棄がなくならないという問題がありました。

その一方で、様々な人々が食材を余すところなく活用する方法を考え実践していました。

その結果フードロスの問題だけでなく、持続可能な世界へと繋がってくる糸口が見えてくるようなドキュメンタリーになりました。

一見難しいドキュメンタリーのようですが、ダーヴィド・クロス監督と通訳のニキの軽妙なトークもこのドキュメンタリーの魅力となっています。

まとめ

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フードロスについて考えるドキュメンタリー映画『もったいないキッチン』について紹介しました。

日本におけるフードロスの問題だけでなく、日本人がいつの間にか忘れていた“もったいない”の精神など、95分という時間の中に様々な情報や気づきがギュッと凝縮されたドキュメンタリーとなっています。

「SDGs」が最近いろいろなところで話題となることが増え、7月からはレジ袋有料化も始まりました。そんな今だからこそ『もったいないキッチン』を観て、フードロスや環境問題について考えてみるのも良いかもしれません。

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