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アート・オン・スクリーン『ミケランジェロ 愛と死』の感想と劇場情報

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

「アート・オン・スクリーン」シリーズが、2018年6月23日(土)より、東京、愛知、大阪、兵庫ほかで公開

美術が好きな人はより深く芸術の奥行きを知れる本シリーズ。しかし、このシリーズのは美術を知らない映画ファンのあなたにも、きっと楽しめる作品になっています。

例えば、イタリアルのネッサンス期のミケランジェロという名前は、なんとなく知っていてもよくご存じないなら、本作の鑑賞は絶好の機会となる映画です。

彫刻家という顔だけでなく、画家、建築家、詩人といった多彩な才能を持ち、西洋美術史上のあらゆる分野に影響を与えた芸術家ミケランジェロとは?

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アート・オン・スクリーン『ミケランジェロ 愛と死』の作品情報

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【公開】
2018年(イギリス映画)

【原題】
Michelangelo: Love and Death

【監督】
デビッド・ビッカースタッフ

【作品概要】
多くの芸術家に影響を与え、美術史そのものを大きく変えた芸術家に焦点をあてた、「アート・オン・スクリーン」シリーズ。その第1作は、ルネサンスの巨匠ミケランジェロのドキュメンタリー。

バチカンやローマ、そしてフィレンツェの教会や美術館などに残る彼の作品から、ミケランジェロの生涯を描き出した作品。

アート・オン・スクリーン『ミケランジェロ 愛と死』のあらすじ


『ダヴィデ』アカデミア美術館 (R)デビッド・ビッカースタッフ

欧州の各地にある製図室屋、また、バチカン、ローマ、フィレンツェといった美しい教会や美術館を巡り、ミケランジェロという人物に焦点を当てていきます。

ミケランジェロの人生を追体験することで、波乱万丈の人生をどのように彼が駆け抜け、イタリアのルネサンス期の巨匠にまで登り詰めたのかを探っていきます。

ミケランジェロ本人の書き残した言葉を初め、美術史や評論家、キュレーターたち専門家の解説により、ミケランジェロが残した作品を通じて彼の謎めいた人生とは…。

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アート・オン・スクリーン『ミケランジェロ 愛と死』の感想と評価

ミケランジェロという芸術家といって、映画ファンのあなたは何をイメージしますか。

やはり、その才能でしょうか?

ミケランジェロは、1475年3月6日に、現在のトスカーナ州アレッツォ近郊にあたるフィレンツェ共和国のカプレーゼに生まれました。

1564年2月18日に亡くなるまでの生涯で、イタリアのルネサンス期の彫刻分野のみならず、多くの芸術活動、絵画や詩などに勤しみ多くの作品をこの世に残しました。

彼はよく、レオナルド・ダ・ヴィンチと同じく、ルネサンス期の典型的な“万能的な天才”に挙げられていますよね。

SF映画に引用されるミケランジェロ

ミケランジェロの制作した大理石の彫刻を見たと時に、あなたは何かある有名な映画を思い出しませんか。

SF映画の名作、リドリー・スコット監督の「エイリアン」シリーズです。

もちろん、その映画に直接的にミケランジェロが登場することはありません。

しかし、ミケランジェロが大理石に掘った彫刻を目にした時、『エイリアン』の美術造形を担当した画家H・G・ギーガーを彷彿させる“生命の艶かしさ”が作品に見られます。

例えば、アート・オン・スクリーンの『ミケランジェロ 愛と死』の中には、1492年頃にミケランジェロの制作したレリーフ『ケンタウロスの戦い』が登場します。

石版に半立体として構築された人体の生命力の重なり合いは、鉱物というマテリアルに人体構造を深く知ろうとしたミケランジェロの強さが出ており、命のない大理石が生命力を宿していく素晴らしい作品です。

これを見ながら、2017年に公開された『エイリアン:コヴェナント』も、さらには思い起こさせます。

『エイリアン:コヴェナント』に登場したマイケル・ファスベンダー演じるデヴィッド(David)は、この前作でプロメテウス号に随行していたアンドロイドです。

名前がデヴィッドであることからも分かりますが、ミケランジェロの1504年の作品『ダビデ象』という彫刻からつけた名前です。

デヴィッドは機械でも、人間でもないものを混合体を創造しようとした様子は、どことなくミケランジェロという万能的な天才を連想させるように、デヴィッドというキャラクターが作られたことに気がつきます。

また、ミケランジェロの描いた絵画からも、もうひとつ、SF映画の関連をご紹介しましょう。

ヴァチカンにあるシスティーナ礼拝堂に残された、1508〜12年の作品『システィーナ礼拝堂天井画』。

この一部に描かれた『アダムの創造』が有名です。

スティーヴン・スピルバーグ監督が制作した1982年の公開作品『ET』にも、ミケランジェロの影響が見られます。

スピルバーグ監督はミケランジェロの『アダムの創造』を引用して、少年と宇宙人の交流をする重要な場面のコンタクトの仕草になっています。

神とアダムの指と指が接触しようとした瞬間が、スピルバーグ作品では、父親という絶対的な存在を失った少年の喪失感の孤独の淵で、出会ったのが、宙から来たETでした。

それはコンタクトという“触覚”が映画には大切なキーワードになっているからです。

本作『ミケランジェロ 愛と死』の中でも美術史家が、ミケランジェロのコンタクトについて、「石、紙、空間」に触れるミケランジェロの豊かさを述べていました。

何かとコンタクト(触覚)することを、芸術家や映画監督は心得ていて、作品にその要素を入れ込んだものに秀でた傑作は多いものです。

このようにルネッサンス期のミケランジェロといっても、あまり馴染み深くない日本人にとっても、実は映画などで引用されることが多く、そのことも同じく天才と呼ばれたダビンチと一緒ですよね。

また、アート・オン・スクリーンの『ミケランジェロ 愛と死』には、ミケランジェロの1498〜1500年に制作した、サン・ピエトロ大聖堂『ピエタ』も登場します。

映画ファンなら、ピエタと言えば、キム・ギドク監督の2012年の公開作品『嘆きのピエタ』など、いくつかの作品を思い出すはずです。

本作で芸術家としてのミケランジェロを知ることは、映画ファンならさらなる楽しみもあるはずですよ。

専門家がミケランジェロを熱く語る!

本作『ミケランジェロ 愛と死』の見どころに、挙げておきたいポイントがほかにもあります!

芸術家ミケランジェロについて、熱く語る美術史家や評論家たち専門家の説明する場面です。

実は、あまり故人の芸術家を題材にした作品のインタビューでは、専門家という関係者の話は面白くないものです。

しかし、『ミケランジェロ 愛と死』では、少し違うようです

ときに丁寧にミケランジェロについての考察を語る人、また、熱く饒舌にミケランジェロ・フリークのごとくまくしたてる人詩的な言葉で知的な分析を見せる人と様々です。

やはり、天才と呼ばれたミケランジェロについては、専門家も少し興奮するのだなと、ちょっぴり楽しめるので、その辺りもチェックしてくださいね。

もちろん!ミケランジェロの作品は、大画面でよくよく目を凝らして鑑賞しての話ですよ。

本作の公開される劇場は?

「アート・オン・スクリーン」シリーズ作品リスト

【上映作品】
『ミケランジェロ:愛と死』(デイビッド・ビッカースタッフ監督)
『私は、クロード・モネ』(フィル・グラブスキー監督)
『フィセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点』(デイビッド・ビッカースタッフ監督)

【日時・会場】

関東地区:東京 東劇

2018年6月23日(土)~7月13日(金)「ミケランジェロ 愛と死」
2018年7月14日(土)~8月3日(金)「私は、クロード・モネ」
2018年10月6日(土)~10月26日(金)「フィンセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点」

中部地区:愛知 名古屋 ミッドランドスクエアシネマ

2018年6月23日(土)~7月6日(金)「ミケランジェロ 愛と死」
2018年7月14日(土)~7月27日(金)「私は、クロード・モネ」
2018年10月6日(土)~10月19日(金)「フィンセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点」

近畿地区:大阪 なんばパークスシネマ

2018年6月23日(土)~7月6日(金)「ミケランジェロ 愛と死」
2018年7月14日(土)~7月27日(金)「私は、クロード・モネ」
2018年10月6日(土)~10月19日(金)「フィンセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点」

兵庫 神戸国際松竹

2018年6月30日(土)~7月13日(金)「ミケランジェロ 愛と死」
2018年7月14日(土)~7月27日(金)「私は、クロード・モネ」
2018年10月6日(土)~10月19日(金)「フィンセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点」

*このほか、今秋より全国のユナイテッドシネマで順次公開予定となっています。

『アート・オン・スクリーン』公式サイト:http://artonscreen.jp

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関連美術展『ミケランジェロと理想の身体』

【開催期間】
2018/6/19(火)〜9/24(月)

【場所】
国立西洋美術館(東京・上野公園)

【展覧会の概要】
「神のごとき」と称された天才、ミケランジェロ・ブオナローティ。

ミケランジェロによる大理石彫刻の名作は、所蔵する各地で至宝とみなされているため、日本で紹介する展覧会の企画自体が不可能でした。

しかしこの展覧会では、ミケランジェロの早熟な天才ぶりを示す初期の傑作《若き洗礼者ヨハネ》と、円熟した美を堪能できる壮年期の傑作《ダヴィデ=アポロ》を日本で初公開。

なお展覧会の内容は、古代ギリシャ・ローマとルネサンスの作品約70点を比較しながら、両時代に追求された男性美、理想の身体を紹介します。

展覧会公式サイト:https://artexhibition.jp/michelangelo2018/

まとめ

ミケランジェロという芸術家は、多くの芸術家から支持されている存在。

それだけでなく、映画を作るクリエーターにとっても、アイデアと創造の源だと言えるでしょう。

ミケランジェロの制作をした作品に、彼の人生が刻まれているからにほかなりません。

今なお西洋美術史上における芸術家として最高位に立つ彼を知らないなら、「アート・オン・スクリーン」シリーズの『ミケランジェロ 愛と死』はとてもオススメな作品です。

「アート・オン・スクリーン」シリーズが、2018年6月23日(土)より、東京、愛知、大阪、兵庫ほかで公開です。

また、本シリーズは、ミケランジェロ・ブオナローティに続き、クロード・モネやフィセント・ファン・ゴッホの公開されますので、そちらの芸術家の人生も、ご一緒にいかがでしょう。

ぜひ、お見逃しなく!

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