連載コラム「邦画特撮大全」第97章
今回の邦画特撮大全は、『仮面ライダー×仮面ライダーフォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGAMAX』(2011)をご紹介します。
「フォーゼ&オーズ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映ビデオ・東映
2021年に放送開始から10周年を迎えた、仮面ライダー生誕40周年記念作品『仮面ライダーフォーゼ』。
本作は、この『仮面ライダーフォーゼ』と『仮面ライダーオーズ/OOO』の劇場版作品として製作されました。
ゲストキャラの仮面ライダー1号からストロンガーまでの第1期昭和仮面ライダー7人と、仮面ライダーWをメインに据えた2つの副章が用意され、「序章(7人ライダー編)」→「オーズ編」→「ブリッジ(W編)」→「フォーゼ編」→「MOVIE大戦」の5部構成となっています。
CONTENTS
『仮面ライダーフォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGAMAX』の作品情報
「フォーゼ&オーズ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映ビデオ・東映
【公開】
2011年(日本映画)
【原作】
石ノ森章太郎
【監督・アクション監督】
坂本浩一
【キャスト】
渡部秀、福士蒼汰、三浦涼介、高田里穂、岩永洋昭、君嶋麻耶、有末麻祐子、甲斐まり恵、宇梶剛士、高橋龍輝、清水富美加、坂田梨香子、富森ジャスティン、土屋シオン、志保、吉沢亮、田中卓志、鶴見辰吾、荒井敦史、真野恵里菜、ダンテ・カーヴァ―、渡辺梓、桐山漣、菅田将暉、益岡徹
【作品概要】
仮面ライダー生誕40周年記念作品。渡部秀、福士蒼汰ら『仮面ライダーフォーゼ』とその前作『仮面ライダーオーズ』のメインキャストが集結しました。敵役レム・カンナギは多くの映画・ドラマで活躍する益岡徹が演じます。
脚本はオーズ編をアニメ『進撃の巨人』『ジョジョの奇妙な冒険』の小林靖子、フォーゼ編とMOVIE大戦パートを劇団☆新感線の座付き作家・中島かずきが担当しています。監督は『仮面ライダーフォーゼ』のメイン監督である坂本浩一。
『仮面ライダーフォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGAMAX』のあらすじとネタバレ
「フォーゼ&オーズ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映ビデオ・東映
プロローグ(序章)
仮面ライダー1号から仮面ライダーストロンガーの“栄光の7人ライダー”が財団Xを相手に世界各地で戦っていました。
その最中、地球に隕石が飛来。隕石に付着していた“SOLU”という銀色の不定形な物体を財団Xが回収しました。さらに隕石が落ちた衝撃で時空に裂け目が生じました。財団Xのレム・カンナギはSOLUを利用した巨大な計画を始動させたのです。
『仮面ライダーオーズ』編
隕石によって生じた時空の裂け目から、仮面ライダーポセイドンが出現します。裂け目を調べていた鴻上ファウンデーションの研究員たちは襲撃を受けて倒れました。
鴻上ファウンデーションの会長・鴻上は、グリードとの戦いを終え離散していた仮面ライダーたちを招集します。鴻上は現在新たなコアメダルの開発を進めていましたが、仮面ライダーポセイドンはそのコアメダルを利用した未来の仮面ライダーで、戦いだけを求める存在だったのです。
火野映司/仮面ライダーオーズはメダルの平和利用を模索し国外にいましたが、今回の招集によって帰国。映司を迎えに行く泉比奈と鴻上の秘書・里中エリカでしたが、仮面ライダーポセイドンの襲撃を受けます。
そんな比奈たちのピンチに駆けつけたのは映司でした。しかし映司もポセイドンの攻撃に倒れてしまいます。
続けて駆けつけた伊達明/仮面ライダーバース・プロトタイプ、後藤慎太郎/仮面ライダーバースの2人。しかしその2人をしても、仮面ライダーポセイドンの猛攻を止めることが出来ません……。
『仮面ライダーフォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGAMAX』の感想と評価
「フォーゼ&オーズ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映ビデオ・東映
公開当時の新ライダー“フォーゼ”と1年先輩のライダー“オーズ”、新旧ライダーが共演するいわゆる仮面ライダー冬映画の第3弾である本作。
さらに本作ではオーズ編に未来からやって来た仮面ライダーポセイドン、フォーゼ編には宇宙からやって来た仮面ライダーなでしこ、人気作品『仮面ライダーW』(2009)の主人公・左翔太郎とフィリップ、そして仮面ライダー1号から仮面ライダーストロンガーまでの“栄光の7人ライダー”と呼ばれた昭和ライダーたちも集結。
つまり、過去・現在・未来の3つの時間軸のライダーたちが本作に勢ぞろいしたのです。
本作を手がけた坂本浩一監督は、スタントマンとしてキャリアをスタートさせ、スーパー戦隊シリーズのアメリカ・ローカライズ版『パワー・レンジャー』シリーズでアクション監督やプロデューサーを歴任していた人物です。
そのため本作もふんだんにアクションを取り入れた作品となっています。
「素面アクション」といわれる主要キャストの変身前の戦闘シーン。ライダーたちだけではなく女性キャストのアクション。
仮面ライダーオーズと仮面ライダーポセイドンの水中戦と水上バイク。ワイヤーアクションとCGエフェクトを融合させた仮面ライダーフォーゼと超進化生命体サドンダスの戦闘。そして主役ライダー2人と超銀河王との宇宙での戦い。
アクションがバラエティ豊かな一方、本作はテーマが明確な物語が展開されました。オーズ編では未来からやって来た湊ミハル/仮面ライダーポセイドンと火野映司/仮面ライダーオーズの出会いを描いています。
TVシリーズのテーマを援用しつつ、映司が未来からやって来た青年・湊ミハルを励ますのは、先輩から後輩への仮面ライダーの意志の継承といえるでしょう。
一方、フォーゼ編では宇宙からやって来た仮面ライダーなでしことの出会いが描かれます。別の世界からライダーがやって来るというコンセプトはオーズ編と同じですが、学園ドラマであるフォーゼらしく主人公・如月弦太朗の初恋が描かれています。
また本作に登場した敵キャラクター・超銀河王とサドンダス。そのオリジナルは『仮面ライダー(スカイライダー)』の劇場版『8人ライダーVS銀河王』(1980)に登場した銀河王とサドンダスです。
栄光の7人ライダーが登場したのもこの作品を踏襲したもので、先輩ライダーたちが再生怪人と戦い現役ライダーたちを決戦へ向かわせる展開も同じなのです。
まとめ
「フォーゼ&オーズ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映ビデオ・東映
オーズ・フォーゼ・Wの共演。未来からやって来た仮面ライダーポセイドンと宇宙からやって来た仮面ライダーなでしこ。そして7人の昭和ライダーたちの集結。
現在・過去・未来そして宇宙の仮面ライダーの共演と、水中戦・宇宙戦というバラエティ豊かなアクション。
本作『仮面ライダー×仮面ライダーフォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGAMAX』は、タイトル通りに仮面ライダー映画の中でも“メガ”盛りの娯楽作となっています。