Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2022/03/11
Update

『ウィークエンド・アウェイ』ネタバレあらすじ考察と結末感想の解説。サスペンス映画おすすめは異国の地で謎が謎を呼ぶスピーディな展開へ⁈|Netflix映画おすすめ89

  • Writer :
  • 山田あゆみ

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第89回

クロアチア旅行中に親友が姿を消したことによって巻き起こるサスペンス映画『ウィークエンド・アウェイ』。

本作は、Netflixで2022年3月3日(木)から配信開始された、小説をもとにしたアメリカ映画です。

監督は『虹蛇と眠る女』(2015)『アンストッパブル』(2010)のキム・ファラントで、主演は、ドラマシリーズ「ゴシップガール」(2007)のレイトン・ミースターです。

異国の地クロアチアで久しぶりの再会を果たした親友同士のケイトとベス。ベスは、ケイトの強引な誘いで行ったクラブで酔っ払い、記憶を失ってしまいます。

翌朝目覚めるとケイトの姿はなく、そのことをきっかけに思いがけない窮地に立たされていくベスの姿を、スピード感満点に描いた映画です。本作の見どころと感想を解説していきます。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『ウィークエンド・アウェイ』の作品情報


Netflix「ウィークエンド・アウェイ」

【日本公開】
2022年(アメリカ映画)

【監督】
キム・ファラント

【キャスト】
レイトン・ミースター、クリスティナ・ウルフ、ジアド・バクリ、ルーク・ノリス、アマール・ブコビッチ、イバ・ミハリッチ、アドリアン・ペズディルク、パート・タケラル

【作品概要】
監督は主にドキュメンタリー作品を手がけた後、ニコール・キッドマン、ヒューゴ・ウィーヴィング出演のサスペンス映画『虹蛇と眠る女』(2015)で長編劇映画デビューしたキム・ファラント。

2019年には、2008年のフランス映画をノオミ・ラパス主演でリメイクした『アンストッパブル』も手がけています。

主演のレイトン・ミースターは、人気ドラマシリーズ「ゴシップガール」にレギュラー出演ほか、「Dr.HOUSE‐ドクターハウス‐」や「24 TWENTY FOUR」にもゲスト出演しているフロリダ出身の女優です。

ドラマ「スタートアップ」や『シャザム!』(2019)で知られるアダム・ブロディと結婚しています。

映画『ウィークエンド・アウェイ』ネタバレあらすじ


Netflix「ウィークエンド・アウェイ」

クロアチアに観光にやってきたベス(レイトン・ミースター)は、友達のケイトの元を訪れます。ケイトが手配した豪華なゲストハウスへと迎えられました。

ベスは招待してくれたお礼にケイトに、ブラックオニキスのネックレスをプレゼントします。

ベスは着替えながら、ロンドンの家に残してきた夫のロブと赤ん坊のアスターに、モニター通話で話しかけます。

アスターはケイトの名づけ子でした。モニター越しにケイトもアスターとロブに挨拶し、ベスにシャンパンを注ぎます。

ベスはゲストハウスの家主のセバスチャンに挨拶をして、ケイトと夕食へ出かけます。

ケイトは夫のジェイの浮気にイラつき、夫のカードで高いメニューとシャンパンを頼みました。

ケイトはベスの夫婦関係について尋ねます。1年以上夫婦間の肉体関係がないと話すと、別れたらいいとケイトに言われます。今は夫婦の山場なのだと説明するベス。

べスは疲れていたので帰りたがりましたが、ケイトにどうしてもと言われて渋々クラブに向かいました。

タクシー運転手のゼインとベスは話します。彼はシリア出身でした。ベスは以前、人道支援団体で働いていたのでアラビア語で話しかけました。

クラブに到着した2人。ケイトがそこにいた男性2人に話しかけて同席しお酒を飲んだ直後、ベスの記憶が遠ざかっていきました。

酔いつぶれ、抱えられる記憶と、ケイトが「最低」と叫ぶ断片的な記憶のみ残りました。

翌朝ゲストハウスで目が覚めると、ケイトの姿はなくお酒を飲んだ形跡と床に血痕が残されていました。

何度電話やメールをしてもケイトは返事をしません。

警察に行き、警官のパビッチに事情を説明しましたが、飲みすぎて連絡が取れないだけだと真面目に取り合ってくれませんでした。

ベスは昨晩の運転手ゼインに協力してもらい、クラブにいた男たちの居場所を突き止めます。

昨夜の男たちはマテオとルカという名前で、ケイトが手配したエスコートでした。

ゼインに協力してもらい、マテオとルカを呼び出したベス。2人を待つ間に、ゼインの亡くなった奥さんの話をしたり、ベスとケイトの出会いのきっかけなど話します。

ベスらを見て逃げ出したマテオたちを、ゼインが追いかけ崖の上で脅して、彼らがケイトの鞄と携帯を盗んで質に入れたことを白状しました。

べスは荷物を質屋に取り戻しに行き、そのまま警察へ向かいました。ゼインからは自分の名前を出さないでほしいと頼まれました。ビザが取り消しになったら困るからです。

警察で改めて事情を説明しますが、パビッチは取り合わず、女性の警官のコバッチが相談に乗りました。マテオとルカのことを調べるよう頼み、べスは暴行を受けていないか病院に検査を受けに行きました。

帰り道で、ジェイに連絡をしますがケイトの失踪は自作自演だと言われてしまいます。

宿泊先へ戻ると、宿主のセバスチャンがチェックアウトの時間だと言って、勝手にべスの荷物を片づけていました。

他のホテルを探すと言うベスに、下の部屋を使ったらいいと案内しました。その部屋の置くには厳重にカギがかけられた鉄の扉がありました。

セバスチャンに夕食に誘われましたが、断って外に出たベスはゼインと夕食に行こうとしていました。そこに夫のロブが現れます。アスターをシッターに預け、心配でベスに会いに来たと言います。

警察から、ケイトの死体が水面下で見つかったと知らせが入ります。

検視結果を待つためにベスはクロアチアに残り、ロブは娘のために帰国しました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ウィークエンド・アウェイ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ウィークエンド・アウェイ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ベスはパビッチにケイトに最後のお分けれをしたいと連れてきてもらいました。彼が席を外している間にケイトのスマホを顔にかざしてフェイスロックを外します。

スマホを開くと、ロブの着信履歴が残っていて、夫のロブとケイトがひそかに浮気していたメールが残っていました。

警察ではケイトもベスも体内からコカインなど薬物が検出されました。ベスは、マテオたちに薬物を盛られたのだと説明しますが、マテオたちは事件当時のアリバイがあり、警察はベスがケイトを殺害したのではないかと疑い、パスポートを没収されてしまいました。

ベスはジェスに浮気のことを知っていたのかと電話します。ベスは出産間近だったから言えなかったと弁解し、ケイトとロブは大学のころ一度酔って寝てしまい、そのことをケイトは引きづっていたとジェイは言います。

ベスはゼインと夕食を食べながら話を聞いてもらいました。ロブを疑わないのかと聞かれ、ベスは電話で話したから不可能だと答えます。

その晩、電話でロブに不倫のことを問い詰めます。本気ではなかったと弁解するロブ。

翌朝、ベスはケイト殺害容疑で警察に逮捕されました。

警察がゼインの身元を調べたところ、アルバニアの暴力組織の一員で、彼に依頼してベスがケイトを殺させたのだと警察は決めつけます。ケイトとロブの不倫が動機です。

弁護士を雇い、宿に戻ったベス。ゼインがベスの部屋にいました。父親が人身売買の組織をしていましたがゼインは関係ないと弁明します。ベスは信じました。

部屋に盗聴器があることに気づいたベス。セバスチャンのカギを手に入れて、部屋の奥にある扉を開けて入りました。

そこには、ゲストハウスの全部屋に仕掛けられた監視カメラの映像がモニターに映し出されていました。

事件の日のカメラの映像を確認したベス。クラブの男たちから鞄を盗まれた後、タクシーで彼らを追ったケイトの姿と、何者かの車で帰ってきたケイトが映っていました。

部屋にあった血痕は、ケイトがグラスを踏んでしまってできたものでした。

映像を見ている途中でセバスチャンが帰ってきました。安全のためにカメラを仕掛けていたと話すセバスチャン。

警察にケイトとロブの不倫のことを言ったのに、事件の日の映像を見せなかったことをベスに責められて動画を削除してしまいました。

追ってくるセバスチャンを押し倒して、逃げるベス。ゼインの車で、事件の日にケイトを乗せたタクシーの運転手に話を聞きに行きます。

ケイトは警察署に盗難被害届を出しに行ったことがわかります。パビッチが盗難届をもみ消したのではないかと疑います。

テレビでは、ベスの顔写真と共に殺害容疑の報道がされていました。そこへ警察が押しかけ、ベスとゼインは追われます。

ベスはパビッチの車が、事件の日にケイトを家まで送った車だと気付きます。

ベスを追いかけるパビッチ。ケイトからふられた腹いせに殺したのだとパビッチを問い詰めるベス。塔の上でもみ合いになり、パビッチは足を滑らせて塔の上から落ちて死んでしまいました。

ケイトの検視結果がわかります。後頭部を殴打された後、まだ息があったものの、港に落ちたことによる溺死でした。

パビッチは風紀犯罪課におり、暴行された女性は他にもいた事が判明します。パビッチがケイトを殴り殺したのだろうとコバッチから聞かされます。

マテオたちの自宅からクスリが発見され、ケイトとベスはクスリを盛られたということがわかりました。警察は起訴することにしました。

帰国したベス。アスターをベビーカーに乗せてロブの元を訪れます。

車のスペアキーを探していると、ロブのジャケットのポケットから、ベスがケイトに渡したネックレスの石が出てきました。

ベスはロブにケイトを殺したのか問い詰めます。ロブは、ケイトからすがりつかれて仕方なく殴ってしまったと話しますが、実際はケイトが2人の関係が過ちだったと、ベスに打ち明けようとしていたのを止めるためにロブが殺したのでした。

パトカーが家へと向かう中、ケイトはロブを殴り倒し、娘を抱いてその場を去りました。

映画『ウィークエンド・アウェイ』の感想と評価


Netflix「ウィークエンド・アウェイ」

本作は、旅先で合流した親友が急に姿を消したところから巻き起こるサスペンス映画です。

主人公のベスは、親友のケイトに何が起きたのか、なぜその夜の記憶がないのか、といった謎を解き明かすべく異国の地「クロアチア」を奔走します。

次々に展開が変わるテンポの良さと、物語が進むにつれ次第に追い詰められていくベスの危機的状況にハラハラさせられる内容となっています。

物語は、ケイトの死体が発見されてから大きく動き出します。一体誰が犯人なのか、真相はどこにあるのか、段々と謎が解き明かされていくのですが、多少の‟あら”があっても目をつぶれるほどのスピード感が本作のおもしろさだと言えます。

‟あら”と言える部分としては、警察の捜査の描き方にあります。

真相が明らかになればなるほど、「いや、もう少しちゃんと捜査したらすぐに解決したのでは??」と、本作の警察は無能に見えてきます。展開上やむを得ないとしても、さすがにクロアチア警察に失礼ではと思えてしまいます。

また、強く生きていく女性像というのを前面に出したかったことが伺えるラストシーンもあまりにも唐突で、サスペンスの最後の締めにしては軽すぎると感じました。

しかし、効果的な音楽やテンポの良いストーリー展開によって、観ていて飽きる部分はありませんでした。

ただの観光に来ていたはずのベスがみるみる窮地に立たされる姿にはぞっとさせられ、信頼していた親友を含め、周りの誰を信じたらいいのか分からないという緊張感を味わうことができます。

まとめ


Netflix「ウィークエンド・アウェイ」

この映画の最大のポイントは、旅先が事件の舞台になっているということです。

異国の地で巻き起こる非日常の出来事が、自らの日常生活と地続きになっているということを想像できるのかが、重要なキーになってくるのです。

また、もう一つポイントをあげるのならば、それはベスに赤ん坊がいることでしょう。

結末を観ればその意味がわかるはずですが、子育てにいそしむ親ほど好感の持てるものはないでしょう。

結末を知った上でもう一度はじめから観ても、また違った面白さを感じられる作品となっています。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら


関連記事

連載コラム

映画『恵まれた子供たち』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。エリート階級の子供の過去のトラウマと裕福な生活に潜む陰謀とは?|Netflix映画おすすめ84

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第84回 2022年2月6日(木)にNetflixで配信された学園ホラー映画『恵まれた子供たち』。 ドイツで大人気のヤングアダルト小説「時間 …

連載コラム

【東京国際映画祭2019 受賞作品一覧】東京グランプリは『わたしの叔父さん』に決定|TIFF2019リポート11

2019年10月28日から11月5日まで開催された、第32回東京国際映画祭(TIFF)の「コンペティション部門」をはじめ、各部門の受賞作品と受賞者が発表されました。 2019年のTIFFの各受賞結果を …

連載コラム

映画『パーキングエリア』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。吹雪によって閉じ込められた駐車場で対峙した誘拐犯【SF恐怖映画という名の観覧車160】

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile160 人の良し悪しに関わらず自然による猛威はあらゆる人間に降りかかります。 冬を代表する「雪」はそんな自然の猛威の中でも特に危険であり、毎年世 …

連載コラム

映画『大綱引の恋』感想評価と内容解説レビュー。三浦貴大と知英で描く伝統行事と恋愛模様の“青春”|OAFF大阪アジアン映画祭2021見聞録4

第16回大阪アジアン映画祭上映作品『大綱引の恋』 毎年3月に開催される大阪アジアン映画祭も今年で16回目。2021年3月05日(金)から3月14日(日)までの10日間にわたって、アジア全域から寄りすぐ …

連載コラム

『帝都物語』ほか日本SF大賞受賞作品が与えた社会的影響と関係性とは|SF恐怖映画という名の観覧車10

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile010 小説『太陽の塔』でデビューし、2017年には『夜は短し歩けよ乙女』が劇場アニメとして製作公開されるなど、独特の語り口や世界観が根強いファ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学