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Entry 2020/11/24
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映画『ザ・リチュアル』ネタバレ考察とラスト感想解説。英国ホラー注目のいけにえの儀式と北欧神話の関係を描く|Netflix映画おすすめ1

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第1回

日本のホラー映画に「神道や仏教の僧侶が現れ除霊を行う」と言う解決方法があるように、その国の宗教とホラー映画は密接な繋がりがあります。

今回はファンタジー作品で良く知られる「北欧神話」を題材としたホラー映画『ザ・リチュアル いけにえの儀式』(2018)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

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映画『ザ・リチュアル いけにえの儀式』の作品情報


Netflix映画『ザ・リチュアル いけにえの儀式』

【原題】
The Ritual

【配信】
2018年(Netflix限定配信)

【監督】
デヴィッド・ブルックナー

【キャスト】
レイフ・スポール、アッシャー・アリ、ロバート・ジェームズ=コリアー、サム・トラウトン、ポール・レイド

【作品概要】
VHSを題材としたオムニバスホラー映画『V/H/S シンドローム』(2013)など、数々のホラー映画を手掛けたデヴィッド・ブルックナーが、アダム・ネヴィルによる小説「The Ritual」を映像化した作品。

主演を務めたのは『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)で印象的な悪役を演じたレイフ・スポール。

映画『ザ・リチュアル いけにえの儀式』のあらすじとネタバレ


Netflix映画『ザ・リチュアル いけにえの儀式』

パブで大学時代の同期の友人4人(ロバート、フィル、ドム、ハッチ)と次の旅行先について話し合うルーク。

ロバートは「王様の散歩道」と呼ばれるスウェーデン北部のトレッキングルートを歩きたいと提案しますが、他の4人が否定的でありその日は旅行先が決まりませんでした。

飲み足りないルークはロバートと酒屋に入りながら、同期と集まり食事をしても楽しくなくなったと愚痴を言います。

直後、酒屋の店主の女性が倒れている姿を目撃した2人は、奥の倉庫にいる武装をした強盗を発見。

ルークは即座に棚に身を隠しますが、その場に居たルークは出てきた強盗に結婚指輪を渡すように脅迫され、それを拒否したことで殺害されてしまいます。

6ヶ月後、罪の意識を抱えるルークは亡きロバートを偲ぶためフィル、ドム、ハッチとスウェーデン北部の「王様の散歩道」を歩いていました。

旅の途中、ドムが足を捻挫してしまい正規のルートを歩くことが困難になり、4人は前日の夜に丘の上から見えた近場のロッジを目指すため森を抜けることにします。

森の中で4人は内臓を取り出された鹿が磔にされるように木の枝に刺されている異様な様子を目撃。

大雨が降り始め、野営する場所を探すルークは奇妙な記号が刻まれた木々の奥に廃屋を見つけます。

廃屋で一夜を明かすことにした4人は、廃屋の2階にある木の枝で作られたような、頭部の無い手に鹿の角を持った人の形をした置物を発見。

その置物に気味の悪さを感じながらも、スウェーデンの神話を基にした信仰だろうと納得し、ルークたちは廃屋の中で眠りに着きます。

朝、ルークはロバートが殺害された日の酒屋にいる悪夢を見て廃屋の外で目が覚めます。

自身の胴体に記号のような傷があることに気づいたルークは急いで廃屋に戻ると、ドムとハッチも悪夢にうなされ、さらにフィルは全裸で2階の人形に祈りを捧げていました。

フィルにはその行動に至った記憶がなく、気味の悪さと居心地の悪いを感じる4人は急いで森を抜けるべく準備をします。

予定とは違い道沿いを歩き、住んでいる人を探す4人。

道中、足を捻挫しているドムの疲労は限界となり森を進むことが困難になります。

尾根から人里を探すべく1人で森を進むルークは木を駆けあがっていく「何か」を目撃します。

急いで3人の元に返ったルークは3人に目撃したものを伝えますが信じてもらえません。

それどころかドムが今回のことをロバートを見捨てたルークの性にしたことから関係に亀裂が入り始めます。

夜が近くなり野営をすることにした4人は、草に埋もれたテントを見つけます。

テントの中にあったクレジットカードは20年以上前に期限が切れており、森を抜け出せなかった人間がいたことを示唆していました。

複雑な気分のまま眠りに着くルークはその日も酒屋の悪夢を見ます。

叫び声に気づき目を覚ましたルークはハッチが居なくなっていることに気づき、フィルとドムに声をかけ探索しますがハッチは見つかりませんでした。

迷う前に引き返すことをドムが提案し、後で戻ってくることを誓いながら来た道を戻る3人。

しかし、道中に森の中で見つけた鹿のように、内臓を抜かれ木の枝に磔にされたハッチの死体を発見してしまいます。

ハッチの死体を木から降ろし埋葬した3人は森からの脱出のため南西へと足を進めます。

夜が近づき、フィルの精神面が限界を迎えフィルとドムはその場に止まってしまいます。

ルークは森の先を見通すためひとり高台に登ると、遠くに森の出口が見えました。

喜び勇みそのことを2人に教えようとするルークが戻ると、フィルが素早い動きのする「何か」に襲われる姿を見て咄嗟に隠れてしまいます。

同じ場所に隠れていたドムと同時に、とにかく外に向かって走ることにしたルーク。

2人は南西へとひたすら走り、火で灯された道を発見します。

その道の端にはフィルが木に磔にされており、「何か」の追ってくる気配も未だ健在でした。

道の先に向かってひたすら走るとそこには住居があり2人はそこに逃げ込みます。

住居の中には人がいましたが、2人は失神させられ目を覚ますと拘束されていました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ザ・リチュアル いけにえの儀式』のネタバレ・結末の記載がございます。『ザ・リチュアル いけにえの儀式』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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壁の隙間から外を覗くと、十数人の村人と思われる人間が何かを建築しています。

2人の囚われている部屋に老婆が入ると、老婆はルークと同じ模様の傷を持っており、ルークにだけ水を飲ませます。

村人はドムを連れて行くと儀式の準備だと言って暴行します。

部屋に戻されたドムは自身が死ぬことを予期し、ルークに生き延びてこの村を燃やすようにと懇願されます。

儀式が始まり、ドムは外に建てられた木の台に磔にされます。

やがて、森の奥から「何か」がやってくる気配がすると、「何か」はドムの妻ゲイルの格好をしていました。

しかし、そのゲイルの姿は幻覚であり、四つ足で頭部に腕を数本生やした「何か」はドムを連れて行くと木の枝にドムを刺し磔にし殺害。

ドムの磔にされた木の周辺には何人もの磔にされた人間たちがいました。

その様子を部屋の隙間から覗いていたルークは指の骨を外し拘束を外します。

村の中で唯一英語の分かる女性が部屋に来ると、同じ模様を持つルークは心に強いトラウマを持っていることで「何か」を崇拝することを許可された人間になったと言われます。

「何か」は神話に登場する巨人族ヨトゥンであり、「何か」はロキの末裔であると彼女はルークに説明します。

「何か」を崇拝し生贄を捧げることで寿命を超え生き続けることができると話す女性はルークを自分たちの村に誘いますが、ルークは拒否。

女性は「信仰しないならば死ぬしかない」とルークに言い部屋を去っていきます。

拘束を解いた手を後ろに隠していたルーク、女性が去った後に部屋を脱出し、松明を持ち2階へと登ります。

2階の部屋には生贄にされたと思しき人間たちがおり、死んでいるにも関わらずまるで唸っているかのように声をあげていました。

ルークは松明の火を彼らに移すと小屋は炎上を始め、生贄を燃やされ怒り狂った「何か」が村人たちを殺害していきます。

その混乱に乗じ森へと逃げ込むルークは小屋にあった猟銃で「何か」を撃ちますが「何か」には効かず、ルークを追い始めます。

「何か」は四つ足の素早さでルークに追いつき彼を転倒させ殺害しようとします。

転倒したルークは全てを諦め隣を見ると、そこにはあの日酒屋で死んだロバートが自身を鼓舞するかのようにこちらを見ていることに気づき、落ちていた斧を手に取り「何か」に反撃。

「何か」が怯んだ隙に森を走ったルークは森から出ることに成功します。

「何か」は森から出ることが出来ずルークに対し雄叫びを挙げると、ルークも「何か」を威嚇するかのように叫びます。

夜が明け、車通りのある道まで来たルークは王様の散歩道を1人歩いて行くのでした。

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映画『ザ・リチュアル いけにえの儀式』の感想と評価

宗教的恐怖とモンスターホラーを堪能

スウェーデンの北部に広がるトレッキングルート「クングスレーデン」。

別名「王様の散歩道」とも呼ばれる全長約450kmのトレイルルートを舞台としたホラー映画『ザ・リチュアル いけにえの儀式』。

本作は物語の序盤と終盤で恐怖の方向性を変化させており、映画の最後まで意外性を持ったまま楽しむことが出来ます。

物語の序盤では異国の「見も知らぬ宗教的雰囲気による恐怖」が前面に出され、映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)のような恐怖感が演出されます。

逆に終盤では宗教的恐怖よりも、実際に未知の「何か」に追われ逃げ惑う「モンスターホラー」に近い恐怖があり、ホラー映画として全く違う2つのジャンルを堪能できる作品でした。

北欧神話と関係性について

『ザ・リチュアル いけにえの儀式』には物語の根幹部分として「北欧神話」が登場します。

本作でルークたちを襲う「何か」は、物語の中で「ヨトゥン」と呼ばれ「ロキ」の子孫であることが明らかになります。

「ヨトゥン」は北欧神話における「霜の巨人」と呼ばれる種族のことを指し、自然を人格化した存在とも言われています。

大自然の広がる北欧神話が信仰された地域においては、しばしば自然を悪鬼羅刹のように描写し自然の強さや恐ろしさを伝えていました。

本作もスウェーデンに広がる「森」を「霜の巨人」として具現化して描くことで、先の見通せないどこまでも続く「森」の恐怖を再現していたように感じました。

まとめ

スウェーデンにおける新興宗教を描いた作品と言えば、アリ・アスター監督による『ミッドサマー』(2020)が連想されます。

本作『ザ・リチュアル いけにえの儀式』は「深いトラウマも抱えた主人公」や「大学の同期との旅」など『ミッドサマー』との共通点が多い作品。

しかし、映像的に暖かいイメージのある『ミッドサマー』と、寒さまで伝わってくるような本作のように映像効果から鑑賞後感まで様々な点が真逆とも言えます。

スウェーデンの自然に魅入られ、恐ろしい宗教観と対峙する作品、それが『ザ・リチュアル いけにえの儀式』です。ぜひその目で確かめてみてください。

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