連載コラム「Amazonプライムおすすめ映画館」第15回
夏の終わりを感じながら、1年に1度のホラーの祭りでもある「ハロウィン」が迫る10月初旬。
普段はホラー映画を観ないと言う人の中にも、この時期だけはホラー映画を試してみたいと思う方もいるのではないでしょうか。
そんなホラー映画初心者の方にぴったりの作品が「Amazon Prime Video」から配信されました。
今回は少し怖くて少し不気味で少し笑える青春ホラー映画『ベスト・フレンズ・エクソシズム』(2022)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『ベスト・フレンズ・エクソシズム』の作品情報
【配信】
2022年9月30日(アメリカ映画)
【原題】
My Best Friend’s Exorcism
【監督】
デイモン・トーマス
【キャスト】
エルシー・フィッシャー、アマイア・ミラー、レイチェル・オゲチ・カヌ、キャシー・アン
【作品概要】
『サタニック・パニック』(2021)で脚本家を務めたグレイディ・ヘンドリックスによる同名小説をデイモン・トーマスが映像化した作品。
『悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ』(2022)でメインキャストを務めたエルシー・フィッシャーが主人公のアビー役を演じました。
映画『ベスト・フレンズ・エクソシズム』のあらすじとネタバレ
田舎町に住むアビーとグレッチェンは小さな頃から同じ時間を共有する親友同士。
しかし、グレッチェンの引っ越しが決まり、アビーは複雑な気持ちを抱えていました。
週末、友人マーガレットの別荘に泊まることになったアビーとグレッチェン、そして友人のグリーはウィジャ版を使って悪魔のいけにえにされたと言う謂れのある隣人モリーを呼び出そうとします。
実はマーガレットは彼氏のウォレスを別荘に呼び出しており、突然現れたウォレスは持ってきたドラッグを配り始め、5人はドラッグを服用。
その後、マーガレットに嫌味を言われその場を離れたアビーと彼女を追ったグレッチェンは、森の奥にあるモリーの廃屋に足を踏み入れました。
廃屋の奥には奇妙なカカシがあり、ドラッグによる幻覚かマーガレットの悪戯だと考える2人でしたが、カカシが目を見開くとその場を逃げ出します。
しかし、2人は離れ離れになってしまい、転倒したグレッチェンが「何か」に引き摺り込まれてしまいました。
アビーは彼女を探しにきたマーガレットとグリーと合流します。
ウォレスは既に帰宅しており、アビーは3人で再度廃屋へとグレッチェンを探しに入り、廃屋の中でグレッチェンを見つけたアビーたちは彼女を連れて帰宅しました。
休み明け、先日以降グレッチェンは明らかに様子がおかしくなっており、食欲もなく常に幻覚や吐き気に悩まされるようになります。
アビーたちはグレッチェンの異変をドラッグによるものだと考えますが、数日後には学校にすら顔を出さなくなりました。
家を抜け出したグレッチェンを保護したアビーは、彼女が廃屋にいた「何か」に常に監視されていると恐怖に怯えていることを知りました。
グレッチェンの両親や学長に相談するアビーでしたが、ドラッグを服用したと言う事実やグレッチェンがウォレスからレイプを受けたと言うアビーの考えによって誰にも相手にされず、徐々にアビーは孤立していきます。
ある日、アビーは性格が様変わりしたグレッチェンに裏切られ、アビーが密かに想いを寄せるモーガンの前で恥をかかされ、強い苛立ちからアビーはグレッチェンに絶交を宣言。
その日の夜、グレッチェンは「何か」に完全に身体を乗っ取られました。
翌日、グレッチェンは誰もが目を惹かれるほどに垢抜けた格好で学校に現れ、ウォレスを誘惑してマーガレットから奪い、マーガレットに密かに恋するグリーとマーガレットの関係を破壊。
さらにグレッチェンは2人の悩みに寄り添い、マーガレットにはダイエットシェークをグリーにはナッツ入りのブラウニーを勧めました。
映画『ベスト・フレンズ・エクソシズム』の感想と評価
気軽に観れる初心者向けホラー映画
近年ではホラー映画の技術が飛躍的に向上し、全世界を震撼させた『呪詛』(2022)や『女神の継承』(2022)のような作品が定期的に公開されるようになりました。
しかし、これらの作品はホラー映画好きでも心の底から恐怖を感じるようなホラー映画であり、怖い描写が苦手と言う人にオススメするにはややハードルが高い作品でもあります。
ホラー映画を観たいけど、びっくり系の演出や怖すぎる描写は苦手な人は珍しくなく、そんな人たちにこそオススメしたいホラー映画が『ベスト・フレンズ・エクソシズム』です。
びっくり系の演出もほとんど登場せず、序盤の少し不気味な演出も終盤に登場する少しズレた悪魔祓いのクリスチャンによって中和される本作。
ホラーにありがちなラストの後味の悪さもなく、本作からホラー映画の世界に入っていく踏み込みの作品としてもオススメです。
大事な親友が変貌する「悪魔憑き」ホラー
本作は海外では一般的な概念である「悪魔憑き」と言う現象を題材としています。
悪魔が人に取り憑くことで憑依された人間は常に幻聴や幻覚に怯え、人格や容姿が大きく変貌することもあるとされています。
実際に「悪魔憑き」による殺人事件が発生したこともあり、海外では悪魔は「恐怖の対象」として普遍なものです。
本作ではそんな「悪魔憑き」を題材とした名作ホラー映画『エクソシスト』(1974)をオマージュしたシーンも登場し、慣習や風習を知ることでより作品理解の精度が上がる作品でもありました。
まとめ
悪魔によって変貌してしまった親友を、自分がどれだけ傷つけられても助けようとする主人公アビー。
事態がどんどんと悪化していく辛さと、少し抜けた登場人物によるシュールな笑いと、親友の絆に暖かくなるホラー以外の要素も必見の『ベスト・フレンズ・エクソシズム』。
本作はホラー映画が好きな人にも、怖い描写が苦手だけどホラー映画が観たい人にも、とにかく間口の広い誰にでもオススメ出来る作品です。