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Entry 2020/06/29
Update

映画『キラーソファ』ネタバレ感想と考察評価。やばいガチ怖ホラーはモノボケで降臨⁉︎|未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録4

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第4回

ポスト・コロナの時代に負けず、埋もれかねない佳作から迷作・怪作まで、世界の様々な映画を紹介する「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。第4回で紹介するのは、トンデモ設定で注目を集めるホラー映画『キラーソファ』。

人を不幸にする呪われた品々、恐ろしいです。呪いを抱いた人形、ありそうです。その人形が動き出して人を襲う、将にホラーの世界です…。

だったら他の物でも、家具のソファが人を襲ってもイイのでは?そんな人を喰ったようなアイデアが、成立するのがホラー映画の世界。開いた口がふさがらない恐怖(?)が見る者を襲う、そんな珍品映画がまた1つ誕生しました。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020延長戦見破録』記事一覧はこちら

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映画『キラーソファ』の作品情報


(C)2018 Mad Kiwi Films LTD, All Rights Reserved

【日本公開】
2020年(ニュージーランド映画)

【原題】
Killer Sofa

【監督・脚本・撮影・編集・製作】
バーニー・ラオ

【キャスト】
ピイミオ・メイ、ジェド・ブロフィー、ナタリー・モリス、ジム・バルタクセ

【作品概要】
美女の元に届いたソファが見つめる、動く、襲う!という、家具離れした恐怖(?)を映像化した、オカルトホラー・コメディ映画です。監督は数多くの短編映画を自ら製作し、実績を重ねているニュージーランドの新鋭・バーニー・ラオです。

主人公はもちろんソファ。監督が発掘したピイミオ・メイを主演に、仲間たちと作り上げた低予算ホラー映画は、奇抜な設定が話題となり、世界のファンから注目を集めました。

映画『キラーソファ』のあらすじとネタバレ


(C)2018 Mad Kiwi Films LTD, All Rights Reserved

何か儀めいた祭壇に、女の写真が飾られていました。その脇で口を塞がれ、縛られた男の前に、電動ナイフを持った男が現れます。

縛られた男のうめき声にも構わず、その体を切断してゆく男。その光景を、背もたれに付いた2つのボタンを、つぶらな瞳のようにして見つめるソファ…。

数日後、男女3人組が倉庫に現れます。オカルトめいた品が並ぶ倉庫の中に、目当てのソファ、正しくは変形できるリクライニングソファが、立っているかのように置かれていました。

その頃、ダンサーのフランチェスカ(ピイミオ・メイ)は、友人のマキシ(ナタリー・モリス)や偏執的に見守る男ラルフの前で、演奏に合わせ踊っていました。

踊り終えたフランチェスカの前に、2人の人物が現れます。フランチェスカのマネージャーと称したマキシに、2人は刑事のグレイビー(ジェド・ブロフィー)とグレープだと告げます。

男女2人の刑事は、殺人事件の捜査ののためにフランチェスカを訪ねたのです。マキシと共に警察署に向かうフランチェスカ。

彼女は切断され発見された、無惨な足の写真を見せられます。それはフランチェスカがかつて付き合っていた男、フレデリコの体の一部でした。

警察は彼と関係のあったフランチェスカに、事情を尋ねます。しかし彼女は既にフレデリコと別れており、その後ストーカーじみた振る舞いをした彼から身を隠します。

それは警察から得た、接近禁止命令で証明できると話すフランチェスカ。何かが引き寄せるのか、彼女は妙な男から付きまとわれる、そんな経験を繰り返していました。

家に家具が到着するので帰らねばならないと告げ、フランチェスカとマキシは立ち去ります。

彼女の何が男を引きつけるのか、女刑事のグレープに理解できませんが、フランチェスカの容姿を見て、妙に納得するグレイビー刑事。

例のソファを運ぼうとした3人組の女が、金属部品に手を挟み怪我をします。出血が収まらずもう1人に面倒を見せさて、残る男1人で配送することになります。

配送の男はフランチェスカの家と誤り、マキシの祖父ジャック(ジム・バルタクセ)が経営するアンティーク店に現れます。ジャックはそれが、孫娘の友人宛ての荷物だと気付きました。

しかしジャックは、ソファを見たとたん、言い知れぬ不安に襲われます。ソファに触れた彼は、衝撃を受け何かを幻視します。

それは何か怪しげな儀式を行う現代の男と、何者かに追われる古風な衣服の女の姿でした。

意識を失い倒れたジャックを、配送の男が介抱して目覚めさせます。男は彼を案じますが、ジャックは自分の身より、今見た幻視と目の前のソファを恐れていました。

ジャックからフランチェスカの家を聞き、ソファは配達されました。彼女は同居中のパートナー、TJに2階までソファを運んでもらいます。

マキシに言わせるとゲイのTJですが、妙な男に執着されてきた彼女には、TJのような男こそ安心できる相手でした。早速ソファの座り心地を確認するフランチェスカ。

その頃マキシは、祖父のジャックと彼のパートナーの女、アシャンティと食事をとっていました。マキシは経営が思わしくない、祖父の店の売り上げを伸ばすアイデアを話します。

しかしジャックは、今日見た幻視の方が気になっていました。アシャンティは彼の父親譲りの霊感の力を高く評価し、今日見たものにも意味があると信じていました。

あの体験の謎を解こうと、オカルト関係の文献をあたり、ユダや文化に伝わる悪魔”ディブク”について調べるジャック老人。

シャワーを浴びていたフランチェスカを、家を訪れたマキシが驚かせます。彼女はフランチェスカを元気づけに現れたのです。

2人はソファにパソコンを置き、映画を鑑賞しました。友人に対しフレデリコのことは忘れ、前に進むよう励ますと、帰って行ったマキシ。

車に乗ろうとした彼女が振り返ると、2階の窓からフランチェスカが見ていました。ふと隣の部屋の窓を見ると、あのソファがボタン製の瞳でこちらを見ています。

驚いた彼女がもう一度窓を見ると、ソファの姿はありません。

マキシが去るとフランチェスカは、リクライニング機能を使い背もたれを倒し、ソファに身を委ねます。何故かソファをなで始め、恍惚の表情を浮かべるフランチェスカ。

フランチェスカが我に返って目覚めた時、彼女はベットの上にいました。彼女を見つめるように鎮座するソファの後ろに、何者かの人影がありますが、消えていきます。

自分の体験が気になっていたジャックは、オカルト研究家のマクツが語る動画を見ていました。

彼は強力な悪霊が、身近にいる人間の心や体を奪おうと企て、その者の体に様々な影響を引き起こすと語っていました。

それは今、ジャックの身に起きている症状と一致するものです。

朝になりフランチェスカが目覚めると、床にロウソクが並べられています。それに導かれて歩むと、彼女はソファの前にたどり着きました。

ソファのひじ掛けには、手作りのクッキーとコーヒーが、花と一緒に置いてあります。

ソファと見つめ合う(?)フランチェスカ。そこにTJが現れました。

彼女はこれをTJが用意したものと思い、彼にキスをします。その心当たりは無く、よく判らないままクッキーを取って食べるTJ。

警察署ではグレイビー刑事が、酒を飲みながら体の一部が見つかった、フレデリコについて調べていました。残された所持品やブログを見ると、彼はオカルトに傾倒していたようです。

証拠の写真から判断すると、彼は一方的に思いを寄せたフランチェスカに、ブードゥーの魔術をかけたようでした。

この日も呼び出されたフランチェスカとマキシは、グレイビーとグレーブ両刑事から、フレデリコについて訊ねられます。

別れた後、ストーカー行為を行う彼から逃れ、転居したと彼女は説明します。今や自分の支えは、ダンスと友人のマキシだけと説明するフランチェスカ。

彼女は自分には、男を執着させる何かがあるようだと語ります。フレデリコと付き合っていた際、暴力を振るわれたかと聞かれると、彼女はそれを否定します。

2人の間の暴力沙汰は、あくまでベットの上の行為の結果と説明するフランチェスカ。

今同居しているTJについて刑事から聞かれ、彼女は執着や暴力に全く縁のないタイプだと説明します。彼はゲイだと補足するマキシ。

その頃家で料理をしているTJの姿を、ソファの背もたれの黒いボタンが見つめます。

鼻歌まじりでキッチンに向かう彼の背後で、何かを引きずる音がします。振り返っても誰もいません。また音がして振り返ると、ソファが先程より近い場所にあるようです。

ソファは彼の背後に忍び寄り、スプリングの尖った先を彼のふくらはぎに突き立てます。悲鳴をあげるTJ。

警察でフランチェスカとマキシが、フレデリコのオカルトブログの動画を見せられていると、助けを求めるTJからの電話がかかってきます。

フランチェスカがグレイビー刑事と共に家に戻ると、部屋の中は焦げた料理の煙で満ちています。浴槽に逃れたTJは足から出血し、悲鳴を上げていました。

グレイビー刑事は、煙の中に鎮座するソファを見つめます。

ジャック老人は電話で、自分が悪魔”ディブク”に遭遇したらしいと、隠居したユダヤ教のラビであり霊能力者でもある父に訴えていました。

父はラビではないジャックに、悪霊は手に負える存在ではない、と警告しますが、父から能力を受け継いでいると信じ、”ディブク”を滅ぼそうと決意するジャック。

フランチェスカは家の血痕を掃除していました。負傷したTJは母の家に帰りました。動きが不自由な彼は母を呼びますが、イヤホンをする母にその声は届きません。

やむなく杖を持って動くTJ。その家の2階の窓の外に、伸びたスプリングの先端が現れます。

その音に気付いたTJが窓を開け、下を覗くとそこにソファがありました。背もたれを動かして、つぶらなボタンの瞳でTJを見上げているソファ。

慌てたTJですが、スプリングの先が邪魔して窓を閉めることができません。どれだけスプリングが伸びたのか、恐ろしくて想像すらできません。

忍び寄るスプリングに捕えられたTJに、その鋭い先端が迫ってきます…。

パートナーのアシャンティがブードゥか何かの魔術の儀式を行う脇で、オカルト研究家のマクツの動画を見て、悪魔”ディブク”について調べるジャック老人。

“ディブク”は罪を犯し、輪廻転生できなかった者の悪霊を支配します。悪霊は人に憑依し、”ディブク”は犠牲者の魂を喰い強くなります。TJはその犠牲になったのでしょうか。

ジャックはアシャンティの術で、自分が見た幻視を再度体験し、正体を突き止めようとします。

彼はフレデリコを目撃し、遠い昔の古風な服装の、何者かに追われている女性に遭遇します。彼女の落した袋には、いやな臭いのする花が入っていました。

その女は現れた、別の女の前で自らの喉を斬り死にました…。

幻視を体験した後、意識を取り戻したジャックは、目撃した光景をアシャンティに語りました。遠い昔に毒草を持った女が、自殺する光景だと説明するジャック。

その夜家で休んでいたフランチェスカは、何かの気配に気付きます。彼女の下着を漁る、何者かがいるようでした。窓が開いており、誰かが忍びこんだようです。

ベットで目覚めたフランチェスカ。今見たものは夢でしょうか。懐中電灯を手に部屋の中を調べると、映し出されたソファがいきなり動き、彼女は悲鳴をあげました。

家の外で震える彼女の元に、連絡を受けたマキシが現れます。2人は様子を見に家に入りますが、懐中電灯に映し出されたソファが、動き出す訳がありません。

それでもフランチェスカを落ち着かせるため、マキシは車に彼女を乗せ、共に立ち去ります。その姿を、自力でベランダに出た(!)ソファが見つめていました。

翌朝、TJの母は掃除機の中に、息子のミンチ状にされた脳みそと目玉を見つけます。

明るくなり自宅に戻ったフランチェスカは、例のソファの前に立ちました。背もたれのボタンの瞳と見つめ合う彼女。

警察から呼び出しを受け、彼女が玄関を出るとそこにラルフがいました。フレデリコのように彼女に執着しているラルフは、TJが家を出たと知り早速現れたのです。

気味の悪いモーションをかけてくるラルフを無視して、彼女は警察署に向かいます。彼女が去ると郵便受けから手を差し入れ、ドアをこじ開け家に侵入するラルフ。

グレイビー刑事はフランチェスカに写真を見せ、TJの頬に「FR」の文字が残されていたと示します。犯人は彼女に執着している者だと、刑事は考えていました。

刑事は今までフランチェスカにストーカー行為を働いた、男たちのリストを見せます。存命の者で一番怪しいと思うのは誰か、と彼女に訊ねるグレイビー。

彼女が選んだのは、マキシのいとこでもあるラルフでした。そのラルフは今、無人のフランチェスカの家にいました。

彼女の家に盗撮カメラを仕掛けるラルフ。殺人ソファは首、ではなく背もたれの向きを変え、その姿を見守っていたのです…。

以下、『キラーソファ』のネタバレ・結末の記載がございます。『キラーソファ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2018 Mad Kiwi Films LTD, All Rights Reserved

フランチェスカの姿が無い家で、彼女の私物を漁り出したラルフ。ところがドアの向こうから、何かがきしむ音がします。

その正体を気にしながらも、ベットの上に彼女の帽子や下着を並べ、布団を被って良からぬことを始めたラルフ。

馬鹿げた行為に励む彼を、立ち上がった(!)ソファが見つめます。そしてアイロンのコードを掴むと、ベットの側まで歩いて行くソファ。

そしてソファは、布団の中で独り悶えるラルフに、アイロンを振り下ろします。

フランチェスカにストーキング行為を行い、足など体の一部が発見されたフレデリコ。その後発送された彼のソファの行方を、警察は追っていました。

警察から確認の電話を受けたマキシの祖父、ジャック。この連絡で彼は、フレデリコの家からフランチェスカに送られたソファこそ、自分に幻視を見せた品だと気付きます。

ジャックはマキシに確認しようと電話をかけます。その頃マキシは、家に帰るのを嫌がるフランチェスカと共に、モーテルにいました。

祖父に会わなければいけないと、モーテルを出るマキシに、彼女はついでに自分のソファの様子を見て欲しいと頼みます。

警察署ではグレイビー刑事が、事件の手がかりを得ようとフレデリコのオカルトブログの動画を見ています。妻子と別れて以来、彼は捜査にのめり込んでいました。

そんな彼を心配して、同僚のグレープは一緒に飲み行こうと誘いますが、返事すらしないグレイビー。彼も他の男同様、フランチェスカの何かに魅かれたのでしょうか。

その時、映像の中でフレデリコの背後に移るソファが、フランチェスカの家にあるものと同じだと気付いたグレープ。

ジャック老人はアシャンティと共に、フランチェスカのソファは、邪悪なものが憑依しており、早く彼女に伝えねば危険だと、孫娘のマキシに伝えます。

彼女がソファを恐れていると知っているマキシは、体の具合が悪いジャックを残し、フランチェスカの家に向かいました。

その家に入り、ソファを処分しようとした彼女は、ベランダにラルフの死体があると気付きます。その死体は、何者かに引きずられ動きます。

恐る恐る近づくと、巧みに独りでに動きベランダから死体を投げ捨てる、ソファの姿を目撃して、思わず息を呑んだマキシ。

物音を立てた彼女はソファに見つかります。慌てて身を隠しますが、彼女は部屋に自動車の鍵を落します。

浴室に追い詰められたマキシは、危険を承知で2階から飛び降ります。彼女はゴミ箱に落ち意識を失い、蓋が閉じゴミ箱に閉じ込められました。

フランチェスカは、何者かの声を聞いた気がします。気のせいかと思い、服用している精神安定剤を飲みますが、声は収まりません。

声は流しの排水口から聞こえ、ヴァレリーと呼びかけます。それは彼女の家の流しの排水溝から呼びかける、ソファの発する声でした。

そこに彼女の安全を確認しにグレイビー、グレープ両刑事が現れます。排水口からヴァレリーと呼ぶ声がすると聞き、彼女の正気を疑うグレープ。

しかし祖父に会いに向かい、そして彼女の家の様子を見に行ったマキシが戻って来ないと聞き、彼らはフランチェスカの家に向かいます。

家にマキシの姿はありません。しかし外には彼女の車があり、床に車の鍵が落ちています。確認のためマキシに電話をかけるフランチェスカ。

すると彼女の電話が鳴る音が響きます。音は家の外、ベランダの下から聞こえてきますが、不運にもバッテリーが切れ音は停まります。

2人の刑事はベランダの下を探します。そこにラルフの遺体がありました。

それを見て息を呑むフランチェスカ。そして彼女の背後には、ソファが忍び寄っていました。ソファからヴァレリーと呼びかけられ、悲鳴を上げたフランチェスカ。

家から飛び出した彼女が上を見上げると、2階の窓から男とソファが、並んで彼女を見下ろしていました。

彼女は刑事を残して、マキシの車に飛び乗って逃げ出します。

車の中で一夜を明かしたフランチェスカの元に、ジャック老人から電話がかかります。彼女は老人の家に向かいました。

彼女はマキシの身を案じますが、迎え入れた老人はあの子は強い子だと言って、フランチェスカを安心させます。そして彼女を救おうと、本題に入るジャック。

彼女はなぜソファに、何者か知らないヴァレリーと呼ばれたのか、理解出来ないと訴えます。その名を聞いたジャックは納得します。

かつてヴァレリーとジェラールという、フランスで黒魔術を使う夫婦がいました。彼らはキョウチクトウの花から煎じた毒を使い、様々な悪事を働いていました。

ついに悪事は露見し、ジェラールは火あぶりにされ処刑され、人々から追求されたヴァレリーは、自ら命を絶ったのです。

ヴァレリーはマリーという女の前で、自ら命を立ちました。その光景をジャックは幻視していました。マリーは自分の曽祖母の名だと告げるフランチェスカ。

ヴァレリーの死後、村の男たちは何故かマリーを巡って争い始め、殺しにまで発展します。恐れた彼女は、尼僧となって過ごしました。

マリーの体にヴァレリーの魂が宿り、その力が男たちを惑わしたのです。ヴァレリーの魂と力は代々子孫に受け継がれ、フランチェスカの中にも存在しているのです。

彼女が男から偏執的に迫られてきたのも、呪われた力の影響でした。

一方のジェラールの魂も、この世をさまよっているはずです。そして彼女に付きまとったフレデリコは、ブードウー教に傾倒していたのです。

フレデリコの儀式が、ユダヤ教の悪魔”ディブク”と、ジェラールの怨霊を呼び出したのです。”ディブク”には憑りつく人が必要だと告げるジャック。

ジェラールの”ディブク”は、まずフレデリコに憑きました。しかし彼が足を切って死んだ今、それがソファに憑依したのでしょうか。ジャックにもそれが謎でした。

力を持った”ディブク”が物に憑いているなら、封じる方法もあるはずです。そこでジャックは計画を立てます。

“ディブク”を封印する箱を2つ用意し、そこにさまよう悪魔と怨霊を封じ、それを焼き払って消滅させる。そう告げて箱を作り始めるジャック老人。

その頃、グレイビー刑事はグレープから、フレデリコの体を切断した男、ウォーレンを捕えたと連絡を受けます。

そのグレイビーの前に、パソコン画面に映されたフランチェスカの顔がありました。

一方グレープのスマホの待ち受け画面には、グレイビーの姿が使われています。

ジャックが準備を進める中、フランチェスカは何かの幻覚を見ていました。やがて自殺した魔女、ヴァレリーと同じようにナイフを握っていたフランチェスカ。

彼女が目覚めた時、ジャックは発作を起こし、口がきけない状態でした。彼の意図を図りかね、計画で聞いた通りに彼女は、箱の1つと燃料を持ち家を出ます。

ウォーレンを取り調べるグレイビー。彼は獣医の自分がフレデリコの体を切断したと認めますが、殺害はしていないと言いました。

フランチェスカは精神安定剤を飲み、ソファが待つ自宅へと向かいます。

グレープ刑事はラルフの部屋を調べ、そこのパソコンがフランチェスカの家の中を、盗撮した映像を記録していると気付きました。

フレデリコから渡された、自らの体の切断を認める同意書を広げるウォーレン。彼は体を切断したからと言って、なぜ死んだと決めつけるとグレイビーに訴えます。

パソコンに残された、過去の盗撮動画をグレープは確認します。映像に残る独りで動くソファの姿を見て、家を飛び出したグレープ刑事。

箱を持ったフランチェスカが現れると、ソファは彼女の方を向きます。その前に箱を置き、彼女は入れと命じます。

ソファは動きますが、何かが出て来る気配はありません。怒った彼女が燃料をかけようとすると、動き回って抵抗するソファ。

それでもソファに油をかけたフランチェスカは、マッチを取りだし火を放とうとします。しかし何度やっても、マッチの炎はどういう訳だかソファに吹き消されます。

すると彼女の前でリクライニング機能を発揮し、立ち上がったソファ。それが彼女に向かって「歩いて」来るのです。

ソファの中には何かがいるようです。彼女はソファにナイフを向け震えますが、そこにグレイビー刑事が現れ、ソファに銃弾を浴びせました。

グレープ刑事も現れます。銃弾を浴びたソファの中から、恐ろしい姿の男が現れます。

男は射殺されました。フランチェスカは悲鳴を上げてトイレに籠り、精神安定剤を飲もうとします。しかしそこに潜んでいた、醜い顔の女に捕まるフランチェスカ。

中の様子を怪しんだグレープが扉を開けると、そこには平然とした顔のフランチェスカが立っていました。

騒ぎが収まった時、ゴミ箱の中に転落したマキシも意識を取り戻し、姿を現します。彼女と抱き合ったフランチェスカの、鏡に映る顔の表情が異様に変化します。

事件を解決したグレイビー刑事に、花から抽出したお茶を振る舞うフランチェスカ。彼女の容姿は妖しいほど美しくなっていました。

事件は自分の足を切断してまで、ソファに入ったフレデリコが引き起こしたもの、新聞はそのように報じていました。しかし検死官から妙な報告を聞くグレープ刑事。

2日前に射殺されたはずのフレデリコの遺体は、死後2週間経過したものでした。

まだ回復しない祖父ジャックの前で、マキシはオカルト研究家の、マクツが語る動画を見ていました。彼は悪霊”ディブク”についてこう語ります。

“ディブク”は憑りついた者が不要になると、近くの物に憑いて潜み、新たに憑りつく人間が現れるのを待つと。

お茶を飲んだグレイビーは苦しみます。それはキョウチクトウの花を使ったお茶でしょうか。今やフランチェスカは、魔女ヴァレリーの魂に支配されていました。

不審を感じ、フランチェスカの家を訪れたグレープ刑事。彼女はソファから現れた光が、グレイピーの中に入っていく光景を目にします。

その背後に忍び寄り、彼女の背中にナイフを突き立てるフランチェスカ。

車で到着したマキシは、グレイビーがグレープ刑事にとどめを刺す光景を目にします。

今や魔術師ジェラールの魂に支配されたグレイビーと、魔女ヴァレリーとなったフランチェスカは、連れ立って家から出て行きました。

家に入ったマキシは、グレープの遺体を見つけ通報します、そして彼女はあのソファと「目」が合ってしまいます。

ソファに潜む悪魔”ディブク”は、新たな犠牲者を求めていました…。

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映画『キラーソファ』の感想と評価

参考映像:『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』(1978)

人間を人形が襲う、無人の車や呪われた船、幽霊屋敷が人を襲う!物が人を襲う恐怖が成立するなら、種類は何でもいいんじゃないでしょうか?「物ボケ」はお笑いだけでなく、B級映画の世界にも君臨するジャンルです

そんな「物ボケ」恐怖映画を、悪ふざけの極みで作ったのが、今も「不朽の駄作」「元祖お馬鹿映画」「もはやZ級映画」として愛される『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』です。

これをお手本に、馬鹿げたコメディホラーが続々登場する一方(本家の続編、『リターン・オブ・ザ・キラートマト』(1988)にはジョージ・クルーニーが出演)、ホラー映画が流行しネタが尽きた1980年代に、「物ボケ」設定で大真面目に作る作品まで登場するから不思議です。

「未体験ゾーンの映画たち2020」に登場した『DRONE ドローン』(2019)は、そんな時代のホラー映画を現代に蘇らせた、いい歳をした大人たちが真剣にドローンと対決する姿を描く、何とも奇妙な味わいの珍作でした。

さて、そんな系譜に連なる作品『キラーソファ』、見るからに頭の悪そうな設定ですが、実はこの作品、監督が恐ろしいほど心血を注いだオカルトホラー映画でした。

恐るべき”ディブク”の正体とは


(C)2018 Mad Kiwi Films LTD, All Rights Reserved

さて本作に登場する”ディブク”とは、どういったものでしょうか。

その正体はヨーロッパのユダヤ人社会、時に東欧のイディッシュ文化の民間伝承に登場する悪霊です。彼らの間では人間が死ぬとその魂は、輪廻転生すると信じられていましたが、罪を犯して死んだ人間はそれが叶わず、現世を彷徨う悪霊となるのです。

“ディブク”は人に憑依して、時に別の人格の様に振る舞い、その人を精神的にも肉体的にも苦しめます。キリスト教文化に登場する悪魔憑きと、日本の憑依霊の性格を併せ持つ存在です。

実際古くは悪魔のような存在でしたが、時を経て人間の死霊の性格が強くなったようです。本作に登場する”ディブク”は、この2つの性格を併せ持つ存在として創造されました。それでもリクライニングソファに憑りつき動くのは、おそらく有史以来初めての行動でしょう。

監督・脚本のバーニー・ラオは、本作をキリスト教、ユダヤ教、ブードゥー教などの様々な要素をミックスした、練りに練ったオカルトホラーにしました。更に謎解き要素に過去の出来事、推理要素も加え、お気楽なお馬鹿ホラー映画を想像した人を、心底驚かせる映画を完成させました。

世界のB級映画ファンが認める「WTF」映画


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しかし。監督・脚本以外にも、撮影に編集そして製作と、何から何まで自分でこなした80分余りの映画に、あらゆるものを詰め込み過ぎました。

ストーリーに絡む登場人物が実に多く、それを追うだけで一苦労です。オカルト物として、また刑事物としての謎解きに展開が振り回され、物語に付いていくのも大変です。

監督の知り合い人脈を使った、素人に近いキャストもいますが、緊迫感を維持して映画は進んでいきます。このジャンルの映画にありがちな、おふざけ悪乗り演技もほぼ皆無。

主人公の女性、やたら男を引きつける女性という設定にしては地味…と思ったら、最後に化けるから納得しました。流石監督が苦労して見つけた逸材(長編映画初出演にして主演です)だと、大いに自慢する女優さんです。

一方でテンポが悪く、殺人ソファ君の熱演は大いに笑えるのに、今一つ乗れない映画になったのは残念です。もう少しエピソードを減らし、テンポの良い編集で見せれば、世界のお馬鹿映画ファンを満足させたでしょう。

この映画を「物ボケ」の「お馬鹿映画」と信じて見た世界のB級映画ファンが、このチグハグ感に戸惑い、同時に奇妙な愛着を覚えたようです。この映画を見た英語圏の多くの人が叫ぶ言葉が「WTF」の3文字、つまり「what the fuck!」の略語です。

様々な意味を持つ言葉ですが、本作を見終えた状況で使った場合、一番適当な日本語訳は「なんだこりゃ!」。多くの方が、この言葉に納得するでしょう。

そもそもつぶらな瞳で動く、殺人ソファ君に出会ったら、皆がそう叫ぶしかないでしょう。将に「WTF」映画と呼ぶに相応しい作品です。

まとめ


(C)2018 Mad Kiwi Films LTD, All Rights Reserved

お馬鹿映画にしてはあまりに力作過ぎた、それでもなお殺人ソファ君の姿に笑うしかない『キラーソファ』、心してご覧下さい。国を挙げて映画人を育成し、その目的のためならふざけた映画の製作も許す、ニュージーランド映画界らしい作品です。

しかし悪ノリやテンポの良さの面で、先輩であるピーター・ジャクソン監督の『バッド・テイスト』(1987)や『ブレインデッド』(1992)、「未体験ゾーンの映画たち2020」で上映された『ブラックシープ』(2006)の、後塵を拝していることも間違いありません。

しかし自らの手で、様々な要素の宝石箱、あるいは闇鍋のような映画を作り上げた、バーニー・ラオの力量はお見事、今後の活躍に要注目です。

ちなみにジャック老人を演じたジム・バルタクセは、監督の友人です。彼の家とそこから見える景色が映画に利用できると、監督に様々なインスピレーションを与え、実際に本作の撮影にも使用されました。

しかし彼の家と、ユダヤ教のラビのように見える彼の容姿が、何か映画に使えないかという監督のひらめきが、殺人ソファの登場する映画になるとは、誰にも想像がつかなかったでしょう。こんな映画を思いつくなんて、将に「WTF」(信じられねぇ!)です。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」は…


(C)2019 22H22 APC CHAOCORP CINE@ ALL RIGHTS RESERVED

次回の第5回は、人間の残虐性をあぶり出すバイオレンス・スリラー映画『ゲット・イン』を紹介いたします。お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020延長戦見破録』記事一覧はこちら




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タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学