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映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』あらすじ感想と解説評価。ドキュメンタリーでクイーンの素顔と在位70年の軌跡を観る|映画という星空を知るひとよ99

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第99回

「世界で最も有名な女性」と呼ばれるエリザベス女王殿下。2022年4月で女王は96歳となられました。

映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』は、25歳の若さで即位し公務を行う現在までにエリザベス女王が出会ったさまざまな場面をとらえた長編ドキュメンタリーです。

監督は、『ノッティングヒルの恋人』(1999)などで知られるロジャー・ミッシェル。 

「既視感のある、ありきたりな王室ドキュメンタリー」ではなく、むしろ「機知の富んだイタズラ心とサプライズがあるものを作りたい」という思いで取り組んだ本作は、エリザベス女王の在位70周年となる祝福の年に公開となります。

映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』は2022年6月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開です。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

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映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』の作品情報


(C)Elizabeth Productions Limited 2021

【日本公開】
2022年(イギリス映画)

【原題】
Elizabeth: A Portrait in Part(s)

【監督】
ロジャー・ミッシェル

【製作】
ケヴィン・ローダー

【音楽】
ジョージ・フェントン

【出演】
エリザベス2世、フィリップ王配、チャールズ皇太子、ウィリアム王子、ヘンリー王子、キャサリン妃、ジョージ王子、メ―ガン妃、ダイアナ元妃、ザ・ビートルズ、エルトン・ジョン、ダニエル・クレイグ、マリリン・モンロー、ウィンストン・チャーチル ほか

【作品概要】
2022年で在位70周年となる英国君主エリザベス2世の初となる長編ドキュメンタリー。

2021年9月に急逝した『ノッティングヒルの恋人』(1999)などで知られるロジャー・ミッシェル監督が手がけました。

本作では、1930年代から2020年代までのアーカイブ映像からエリザベス2世の足跡をたどり、これまでにあまり見られることのなかった女王の素顔に迫ります。

王族はもちろんのこと、ザ・ビートルズ、エルトン・ジョン、ダニエル・クレイグ、マリリン・モンローといったスターのほか、歴代政治家やセレブなど、そうそうたる人物の登場にも注目したい作品。

映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』のあらすじ


(C)Elizabeth Productions Limited 2021

「王冠は重いわよ」と言う25歳の若さで即位した麗しき姿から、にこやかに公務を行う現在まで。

戴冠式での緊張した姿や凛々しい乗馬姿、レースに熱狂する笑顔のエリザベス女王なども交え、生誕95年そして在位70周年のエリザベス2世を祝う、豪華でスキャンダラスなロイヤルファミリーの知られざる軌跡を追います。

英国のみならず、日本をはじめ世界中から注目される王室の中心にあるエリザベス2世は、2022年4月に96歳の誕生日を迎えられました。

女王でありながら一人の女性として存在感を発揮するその瞬間をさまざまなカットが捉えます。

これまでのテレビや報道映像では見られなかった“素顔のエリザベス女王”。その魅力が、次々とスクリーンに登場します。

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映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』の感想と評価


(C)Elizabeth Productions Limited 2021

エリザベス女王の軌跡

エリザベス2世が、一国の女王になったのは奇遇なものでした。

在位70周年を迎えるエリザベス女王陛下ですが、彼女の父親は当時の英国国王の次男。普通なら、皇位継承とはいきません。

ですが、父の兄エドワード8世が国王となって1年足らずで退位。かわってエリザベス2世の父・ジョージ6世が王になり、彼女は王位継承者となりました。

その後、1952年に父ジョージ6世が逝去となり、エリザベス2世が25歳で即位しました。

戴冠式は1953年6月2日に行われ、以来半世紀を超えるエリザベス女王の公務が始まります。

2015年9月には、高祖母ビクトリア女王(1819~1901)の約63年7カ月の最長在位記録も更新しました。

本作では、女優のような神々しい美貌の映像も交え、日々精力的に公務に勤しむ毎日から、母らしい姿を切り取った日常と女王の素顔が映し出されます。

国とロイヤルファミリーを支える微笑み


(C)Elizabeth Productions Limited 2021

一国の国王でありながらもロイヤルファミリーの中心的存在のエリザベス陛下。

彼女は、即位前に結婚し、チャールズ皇太子、続いてアン王女を出産。10年以上を経て、さらに第三子アンドリュー王子、第四子エドワード王子と4人の子宝に恵まれました。

順風満帆な日常で、時代の変化に合わせて王室改革を実施。「開かれた王室」として国民からの人気も高く、国民の母のような存在であることが伝わってきます

スクリーンに映し出されるエリザベス女王の笑顔は慈愛に満ち溢れ、国民一人ひとりの心配や憂鬱を優しく包み込んでくれるようです。なんと絶大な包容力

親しみやすい微笑みで、国民のアイドルまたは母として親しまれるエリザベス女王。武力で国を治めるトップとは大きな違いです。

英国が長らく平和で安泰していると思われる理由は、こんな所にもあるのに違いありません。

また本作では、エリザベス女王が母であることも強調しました。最愛の夫の死、長男の家庭内ゴシップ、長女の離婚騒動など、心労を極める出来事もこれまでに少なからずありました。

高齢となられた女王が、心を痛めている様子もありのままの映像で映し出されます。

「わたくしのすべてをご覧にいれましょう」というキャッチコピーそのままの本作

笑顔でパレードに出る姿や、子どもと戯れる良き母の一面、女王蜂に群がるミツバチの映像もあり、クスリと笑みもこぼれます。

高貴な美貌のエリザベス女王の素顔におちゃめな女性の一面も加わり、心の和む長編ドキュメンタリーとなっています。

まとめ


(C)Elizabeth Productions Limited 2021

英国王室って堅苦しいところでは? こんな先入観を持たれている方も多いのではないでしょうか。実際はそうではないようです。

重苦しいイメージのある王室を、在位70周年を迎えるエリザベス女王が、親近感のある開けたものに変えて行きました。

その記録を過去と現代を交えた映像とポップな音楽で表現したドキュメンタリーが、本作『エリザベス 女王陛下の微笑み』です。

英国では、2022年6月2日から4日間、英国君主として初の‟プラチナジュビリー”(70周年の記念式典)が行われ、エリザベス女王を祝福するといいます。

英国史上最高齢かつ最長在位の君主エリザベス2世のドキュメンタリーを作ろうと思い立ち、実際にそれを完成させたロジャー・ミッシェル監督は、残念ながら2021年9月に急逝されました。

けれども、その描きたかったものは、確かに本作を観る観客の皆様に届くことでしょう。

映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』は、2022年6月17日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国公開

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。


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