連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第289回
スティーヴン・キングの原作小説を、『ドクター・スリープ』(2019)を手掛けたマイク・フラナガン監督が映画化した『サンキュー、チャック』。
映画『サンキュー、チャック』は、2026年5月1日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショーされます。
世紀末がささやかれる災害・人災に襲われる地球。テレビやラジオで、チャールズ・クランツに感謝の意を唱える謎の広告が大量に現れます。
チャールズ・クランツ、通称チャックとは誰なのか? 広告は何を意味するのでしょうか? 答えられる人は誰もいません。
主役に『マイティ・ソー』(2011)や「アベンジャーズ」シリーズで活躍するトム・ヒドルストンを迎え、キウェテル・イジョフォーやカレン・ギラン、ジェイコブ・トレンブレイ、マーク・ハミルなど、実力と人気を兼ね備えた”アベンジャーズ級”の名優たちが集結しました。
2024年・第49回トロント国際映画祭で観客賞受賞した本作の見どころをご紹介します。
映画『サンキュー、チャック』の作品情報

(C)2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
【日本公開】
2026年(アメリカ映画)
【原作】
スティーヴン・キング
【監督・脚本】
マイク・フラナガン
【キャスト】
トム・ヒドルストン、キウェテル・イジョフォー、カレン・ギラン、ジェイコブ・トレンブレイ、マーク・ハミル、ベンジャミン・パジャック
【作品概要】
作家スティーブン・キングが2020年に発表した短編小説『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』を、『ドクター・スリープ』(2019)のマイク・フラナガン監督が映画化したヒューマンミステリー。
主人公チャックを演じるのは、「アベンジャーズ」シリーズのトム・ヒドルストン。青春期のチャックは、『ワンダー 君は太陽』(2018)のジェイコブ・トレンブレイ、少年期のチャックは、ベンジャミン・パジャックがそれぞれ担当しています。
『それでも夜は明ける』(2013)のキウェテル・イジョフォー、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ(2014~)のカレン・ギラン、「スター・ウォーズ」シリーズ(1977~)のマーク・ハミルが共演。
『ラ・ラ・ランド』(2017)で振付を担当したマンディ・ムーアが本作でもダンスシーンを手がけました。2024年・第49回トロント国際映画祭で観客賞受賞。
映画『サンキュー、チャック』のあらすじ

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ついに世界は終わろうとしていました。次々に起こる自然災害と人災が地球を襲い、人々は世紀末だと絶望しかけています。
ネットもSNSも繋がらなくなったその時、街頭やTV、ラジオに「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という広告が現れました。
チャック(トム・ヒドルストン)とは何者? 感謝の意味は何なのか? その答えを知る者は誰もいません。
恐怖に駆られた高校教師のマーティ(キウェテル・イジョフォー)は、別れた妻のフェリシア(カレン・ギラン)に会おうと家を飛び出します。
誰もいない街は、チャックの広告で埋め尽くされていました。
無事に出会えた二人は、星空を眺めながら刻々と近づく終末を感じ固く手を握り合います。
……ですが、場面は一変、広告の男・チャックの視点へと移り変わり、チャックの人生ドラマが始まります。
映画『サンキュー、チャック』の感想と評価

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映画『サンキュー、チャック』は3部構成となっています。
冒頭では、全世界が自然災害や人災、疫病に襲われていました。生きることに絶望した人々は自殺を図り、病院は死体置き場と化しています。
世紀末が来ると恐れられ、ネットも繋がらなくなり、残された日々を好きなように過ごそうと、姿を消す人も少なくはありません。
そんな殺伐とした街の中で、一人の男・チャックへの感謝を述べる広告だけが存在するようになります。希望も何もない暗い町で、人々は‟死”の瞬間を待つだけでした。
2幕目は、ダークなムードから打って変わって、明るい町の場面で始まります。陽気なドラマーによって演奏が始まると、町の道路が一人のためのダンス会場と変貌を遂げました。
映画『ラ・ラ・ランド』の振付師マンディ・ムーアが担当したという、チャック演じるトム・ヒドルストンのリズムに乗った力強いダンスは必見です。
彼のエモーショナルなダンスに吸い付けられるように魅入ってしまうことでしょう。
そして最終章に描かれる、チャックの少年時代。ここでなぜ彼がダンスが上手になったのか、その理由がわかります。チャックの学生時代でのダンスシーンもまた素晴らしい。
最終章では本作のミステリー性を欠くことなく、ストーリーは進行するのですが、好きなことをのめりこんでやれる幸せを感じ、ほとぼしる‟生きている感”を満喫するのに違いありません。
まとめ

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『サンキュー、チャック』は、スティーヴン・キングが2020年に発表した小説『The Life of Chuck』の映画化です。
監督・脚本は、『ジェラルドのゲーム』(2017)『ドクター・スリープ』(2019)に続き、キングと信頼の絆で結ばれたマイク・フラナガンが担当しました。
アメリカ屈指のモダンホラーの先駆者であるスティーヴン・キングらしい物語を、原作通りの3部構成で描き切った監督の手腕が光ります。
映画の中のような自然災害や人災に見舞われる現実ですが、そんな恐怖もどこへやら。鑑賞後、今この瞬間を生きることの歓喜に包まれることでしょう。
本作は、生きる喜びを伝える感動のヒューマン・ミステリー作品なのです。
映画『サンキュー、チャック』は、2026年5月1日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショーされます。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。


































