連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第277回
1982年のスクリーンデビューから43年を経たマイケル・キートンが、自らのキャリアの集大成として監督・主演・製作を務めた映画『殺し屋のプロット』。
記憶を急速に失う病に侵された孤高の老ヒットマンが、殺人を犯した自分の息子を助けようと、人生最期の完全犯罪に挑むノワール映画『殺し屋のプロット』は、2025年12月5日(金)kino cinéma新宿ほかで全国公開です。
老ヒットマンの主人公ジョン・ノックスを監督・製作のマイケル・キートンが演じ、ノックスの手助けをする盟友ゼイヴィアを、映画史にその名を刻む名優アル・パチーノが演じます。
記憶を失くすという絶望を噛み締めながらも、自らの人生の締め括り方を模索する老ヒットマンの”壮絶な仕事”は無事にやり遂げられるのでしょうか。
映画『殺し屋のプロット』の作品情報

(C)Aerial Films
【日本公開】
2025年(アメリカ映画)
【監督】
マイケル・キートン
【脚本】
グレゴリー・ポイリアー
【編集】
ジェシカ・ヘルナンデス
【音楽】
アレックス・ヘッフェス
【キャスト】
マイケル・キートン、ジェームズ・マースデン、スージー・ナカムラ、レイ・マッキノン、ジョン・フーゲナッカー、リーラ・ローレン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、アル・パチーノ
【作品概要】
本作は、記憶を失いつつある老ヒットマンが完全犯罪に挑む姿を描いた犯罪ノワール。『ワース 命の値段』(2023)などのマイケル・キートンが監督・主演・製作を務めました。
主人公の盟友ゼイヴィア役を名優アル・パチーノ、元妻のルビー役を『ポロック 2人だけのアトリエ』(2000)でアカデミー賞を受賞したマーシャ・ゲイ・ハーデン、息子のマイルズ役を「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデンがそれぞれ演じています。
映画『殺し屋のプロット』のあらすじ

(C)2023 HIDDEN HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2つの博士号を持ち、元陸軍偵察部隊の将校という異色の経歴を持つ殺し屋ジョン・ノックス(マイケル・キーマン)。
最近のノックスはひどい物忘れに悩んでいました。認知症を疑って神経科を受診すると、クロイツフェルト・ヤコブ病だと診断されました。
この病気は、初期症状はアルツハイマーに似ていますが、その進行速度は早く治療方法はありません。急速に記憶を失う恐ろしい病でした。医師からは「数週間以内にすべてを忘れてしまう」という残酷な宣告を受けました。
ノックスには妻と息子がいましたが、本当の職業が妻にバレて離婚していました。妻のルビー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)とは、必要に応じて連絡を取り合うこともありますが、息子のマイルズ(ジェームズ・マースデン)には16年間ずっと避けられています。
記憶を急速に失う病気では、殺し屋の仕事を続けることもできません。ノックスは、殺し屋稼業に終止符を打つ決意を固めました。
その矢先、長年絶縁状態だったはずの息子のマイルズがノックスを訪ねて来ました。マイルズは娘をレイプした男を殺したことを父ノックスに告白し、その殺人の罪を隠してほしいと涙ながらに懇願します。
ノックスは息子のために、ある‟完全犯罪”を計画。翌日、ノックスは旧知の友であるゼイヴィア(アル・パチーノ)を訪ね、協力を願い出ました。
刻一刻と記憶を失う中、ノックスは人生最後の完全犯罪に挑みます。
映画『殺し屋のプロット』の感想と評価

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『殺し屋のプロット』は、記憶が消滅する病気に罹った殺し屋ノックスが、息子の犯した犯罪を‟完全犯罪”に仕立てる作品です。
普段の生活を送りながらも、ノックスに発作が起こると記憶が飛んでしまいます。その瞬間、記憶が失われたことに絶望し、自らの人生の終末を痛感するノックスを情感たっぷりに演じるマイケル・キートン。
そんなノックスとの友情と去りゆく盟友への想いを胸に抱くゼイヴィアを、言葉少なに雰囲気だけで表現するのは、「ゴッド・ファーザー」シリーズなどで高く評価され、アカデミー賞、トニー賞、プライムタイム・エミー賞で数々の賞を受賞し、演技の三冠を達成した名優アル・パチーノ。本作で初共演を果たした名優たちの、絶大なる存在感に圧倒されます。
記憶をすべて失い、自分が自分でなくなってしまうまで、残された時間はあとわずか……。その間に絶対にやり遂げなければならない大仕事に挑むノックスと、援護するゼイヴィア。演じる名優2人の演技に釘づけになることは間違いありません。
一方、本作はアメリカで「LAネオ・ノワールの誕生」と絶賛されました。「LAネオ・ノワール」は、主にロサンゼルスを舞台にした虚無的で退廃的な雰囲気を持つ犯罪映画です。
殺し屋とはいえ、最後まで自分らしい人生の幕引きにすべてを注ぐ老ヒットマンに、人生の哀愁を感じることでしょう。

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まとめ

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映画『殺し屋のプロット』は、監督兼主演を務めたマイケル・キートンが、キャリアの集大成として全力を注ぎこんだ作品です。
記憶を失くすということは、それまでの自分の過去をすべてリセットするということでもあり、その瞬間に自分の人生も終わってしまうのです。
そんな人生の最期へのタイムリミットを抱えながら、息子を助けるための完全犯罪を成し遂げよとするジョン・ノックス。
最後の最後まで‟父親”であろうとするノックの親心が、作品の中で切なく描かれています。
映画『殺し屋のプロット』は、2025年12月5日(金)kino cinéma新宿ほか全国公開!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。


































