連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第207回
映画『WALK UP』は、4階建てのアパートを舞台に紡がれる、芸術家たちの4章の物語。ベルリン国際映画祭で数多の銀熊賞受賞という快挙を果たした、韓国を代表する映画監督ホン・サンスが手がけました。
映画『WALK UP』は、2024年6月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、Strangerほかで全国順次公開!
4階建てアパートにおける芸術家たちの人間模様がモノクロ映像で綴られ、名匠ホン・サンス監督によるリアルな人間ドラマが展開します。
映画『WALK UP』の作品情報
【日本公開】
2024年(韓国映画)
【原題】
Walk Up
【監督・製作・脚本・撮影・編集・音楽】
ホン・サンス
【キャスト】
クォン・ヘヒョ、イ・ヘヨン、ソン・ソンミ、チョ・ユニ、パク・ミソ、シン・ソクホ
【作品概要】
『WALK UP』は韓国のホン・サンス監督が、都会のアパートを舞台に芸術家たちが織りなす人間模様をモノクロの映像で綴った人間ドラマです。
4階建てアパートの階段をひとつずつ上がって部屋の扉を開けると、各部屋ごとに4つの章の物語が展開。ビョンスと彼を取り巻く4人の女性の人間模様が予測不能な方向へ進みます。
『それから』(2018)『逃げた女』(2021)のクォン・ヘヒョが主役の映画監督ビョンスを演じ、『あなたの顔の前に』(2021)のイ・ヘヨン、ホン・サンス作品の常連俳優ソン・ソンミ、チョ・ユニらが共演。
映画『WALK UP』のあらすじ
映画監督のビョンスは、インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンスと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍する旧友ヘオクの所有するアパートを訪れました。
そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっていました。
3人は和やかに語り合い、ワインを酌み交わしますが、仕事の連絡が入りビョンスはその場を離れます。
ビョンスが戻ってくると、そこには娘のジョンスの姿はなく……。
映画『WALK UP』の感想と評価
『WALK UP』の舞台は4階建てのアパートです。映画監督のビョンスが娘と旧友の所有するアパートを訪ねるところから物語は始まります。
アパートは、1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃貸住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場となっており、各階に女性たちがいます。
インテリア関係の仕事を志望する娘のジョンス(パク・ミソ)と、アパートのオーナーのヘオク(イ・ヘヨン)。ビョンスの熱烈なファンだというレストランの店主兼シェフのソニ(ソン・ソンミ)に、世話好きな不動産業者の女ジヨン(チョ・ユニ)。
4人の女性がそれぞれの持ち場ともいえる部屋で、ビョンスと織りなす人間ドラマが展開します。
ビョンスを演じるのは、ホン・サンス作品では『それから』(2018)以来の単独主演を務めるクォン・ヘヒョ。
ソン・ソンミがレストランシェフのソニ、不動産業者のジヨンを演じるのはチョ・ユニと、ホン・サンス作品の常連俳優が脇を固め、ラストまで続く息の合った演技が見ものです。
また作中にはビョンスがギターを弾くシーンがあり、クォン・ヘヒョの生演奏が聴けるのも魅力です。
まとめ
韓国のホン・サンス監督が手がけた映画『WALK UP』をご紹介しました。
『それから』(2018)『クレアのカメラ』(2018)『逃げた女』(2021)『小説家の映画』(2023)など、多くの人気作を作り続けるホン・サンス。
長編第28作目となる本作は、エレベーターのない4階建てアパートを舞台にした4章の物語。全て端正なモノクロ映像で紡がれ、4人の女性と主人公が奏でる人間ドラマとなっています。
ホン・サンス監督がこだわるモノクロ映像に漂うのは、ノスタルジックでどこか懐かしい雰囲気です。ホン・サンスの世界観に満ちた映像がたっぷりと楽しめる作品でした。
映画『WALK UP』は、2024年6月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、Strangerほかで全国順次公開!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。