Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

【ネタバレ感想】チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム|あらすじ結末と評価解説。ホラーミステリーとして“命の選択”を迫る恐怖ゲームを描く|Netflix映画おすすめ97

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第97回

人生は選択の連続であり、些細なことから自分の未来を左右する大きな決断まで、時にひとりで決めなくてはなりません。

そんな選択を無機質なゲームに迫られる恐怖を描いたホラー映画がNetflixに登場。

今回は2022年4月15日に配信が開始された映画『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』の作品情報


Netflix『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』

【配信】
2022年(イギリス映画)

【原題】
Choose or Die

【監督】
トビー・ミーキンズ

【脚本】
サイモン・アレン

【キャスト】
アイオラ・エバンス、エイサ・バターフィールド、エディ・マーサン、ロバート・イングランド、ライアン・ゲイジ、ケイト・フリートウッド

【作品概要】
トビー・ミーキンズ監督が長編映画監督デビューを果たしたイギリスのホラー・スリラー映画。

アイオラ・エバンスが映画初主演を務め、『エンダーのゲーム』(2014)で主演を務めたエイサ・バターフィールドや『おみおくりの作法』(2015)のエディ・マーサンが共演として映画に参加しました。

映画『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』のあらすじとネタバレ


Netflix『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』

「呪者 呪われた現実」と書かれたレトロゲームを起動した男はそのゲームのテキストに記載された出来事が実際に起こることに興奮します。

しかし、そのゲームは男に「妻の耳」か「息子の舌」を選択させ、男が恐怖から手を止めると「選択か死か」と言うテキストが乱立。

男が「息子の舌」を選択すると、何も知らないはずの妻が息子の舌を切り落としていました。

3ヶ月後、プログラマーとしての就職活動に失敗し続け、大企業「キスメット」でただひたすらに広い空間を掃除するバイトを続けるケイラは、パソコンの修理を生業にする友人のアイザックのオフィスから「賞金12万5千ドル」と書かれたレトロゲームを見つけ譲り受けます。

賞金が未だに健在であることを知ったケイラは喫茶店でゲームで起動すると、店員の行動が予測されていたかのようにテキストとして表示されることに気づきます。

続けてゲームは選択を迫り出し、コップを割る店員を前に「もっと割る」と「片付ける」と表示。

ケイラが「片付ける」を選択すると店員は割れたコップを本人の意思に逆らい食べ始め、ケイラは必死に店員を止めますが彼女は死ぬまで止めることはなく、ゲーム画面には「レベル1クリア」と表示されます。

翌日、夜に掃除のバイトを行うケイラの前で突如「レベル2」のゲームが開始。

家にいる母親の前にネズミの化け物が現れ、ゲームの指示通りケイラは母親の逃げ場を電話で指示しますが、追い詰められた母親に窓から飛び降りるように指示すると「レベル2クリア」と表示されます。

母親は重傷を負いながらも助かり、ケイラはアイザックに相談しに行きますが、アイザックはゲームのプログラムに不審な点はないと断言。

その後、コードを取り込む際に発生する音がプログラムになっていることに気づいたアイザックはプログラムの解析を行いますが、「レベル3」のゲームの開始時刻になってしまいます。

未来を予測するテキストの文章にアイザックは信じざるを得なくなり、ふたりは部屋に突如現れた青と赤の扉のどちらかを選択することとなります。

青の扉から「死ね」と言うことが聞こえたことからふたりは赤い扉に入ると、その先にはケイラの弟のリッキーが溺死したプールが広がっていました。

深い霧の中でアイザックと分断されたケイラでしたが、アイザックの悲鳴が聞こえ音の方向に駆けつけるとアイザックとリッキーが横たわっているのが見えます。

ゲームはケイラに「アイザックかリッキーのどちらを助ける」と問うと、ケイラはアイザックを選びますが起き上がったリッキーがケイラを襲い、ケイラはリッキーの首を絞めて殺害。

するとリッキーはその場から消え、「レベル3クリア」と表示されるとアイザックの部屋に戻りアイザックも目を覚まします。

アイザックは賞金の問い合わせ電話先からゲームの開発会社の住所を特定し、北部の倉庫へとケイラと共に向かいました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』のネタバレ・結末の記載がございます。『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

無人の倉庫に侵入したふたりは倉庫の奥で制作者のビデオを見つけ再生します。

制作者のベックは特定の記号には超常現象的作用をもたらす効果があり、この記号を使った呪いを誰かにかけることで呪いをかけた人間が恩恵を得ることが出来るとカメラの前で語り実演します。

映像の中にゲームの改造のきっかけとなる情報を見つけたふたりはビデオを抜き取り持ち帰ろうとしますが、突如映像の中のベックが「レベル4」と発言し、不正を行った人間としてアイザックが身体からテープを吐き出し死亡。

ベックは「レベル4クリア」と言うと「次はボス戦だ」と言いビデオは消えました。

カーナビの表示に従い郊外の家にたどり着いたケイラは耳を切り落とされた妻と目と舌を切り落とされた息子、そしてその父親であるハルと出会います。

ハルはゲームの参加者であったものの、ベックと交渉しゲームを複製して世に放つことで安全を保障されていました。

するとゲームは「ラスボス開始」と宣言しケイラをハルと殺し合わせます。

ラスボス戦ではケイラとハルが負う肉体的ダメージが交換されており、自身の身体を傷つけることで相手が負傷する仕組みとなっていました。

自身を攻撃することで負傷するふたりでしたが、ハルが自らの首を切ろうとしたところでケイラが重石と共にプールに飛び込むと、ハルは口や鼻から水を出し溺死。

ハルの行動に怒りを募らせていたハルの妻はケイラを助けると手当を施し、息子とふたりで生きていくことを話します。

ケイラのスマートフォンには「ゲームクリア」と表示され、報酬としてこのゲームを誰かに仕掛ける「呪者」としての権限を得ます。

ケイラは母親を薬漬けにした男にゲームを仕掛け殺害すると、呪いの恩恵としてハルとの戦いで負った傷が回復。

このゲームによって次々と恩恵を得ていくケイラでしたが、ヒーローに憧れるアイザックの「力の使い道を間違えるな」と言う言葉を思い返します。

すると、ケイラにベックから電話がかかり、自分は呪いの恩恵として大企業「キスメット」の社長としての地位を得たとケイラに言うと、彼女に対し「君は誰に呪いをかける?」と問いかけます。

ケイラはベックからの言葉に対し「報いを受けるに相応しい人間」と答えました。

映画『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』の感想と評価


Netflix『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』

死のゲームの謎を追う恐怖のホラーミステリー

行き詰まった人生を変えるため賞金目的でレトロゲームを起動したケイラは、恐怖の選択を迫られるゲームを強制されることになります。

このゲームは単なる嫌がらせなどでは決してなく、ケイラのトラウマを掘り下げ、次第に周りの人間を死に追い込み始めていきます。

周囲の電子機器を掌握し現実世界にまで侵食するゲームの恐怖をテキストベースのレトロなゲームの雰囲気が引き立てており、レトロさゆえに醸し出される無機質さがゲームを作り出した人間の「歪さ」を表現していました。

人の死や痛みを前提としたゲームを、誰が、なぜ作り出したのか。

「呪い」を生み出す人間にこそ恐怖を覚える、レトロな雰囲気を上手くホラーに落とし込んだ作品となっています。

迫られるのは命の選択

本作に登場する恐怖のゲームの最大の特徴は、自分以外の人間の命に関わる選択を強要してくる点です。

自分ではなく他者の人生の選択を迫られ、拒否した場合はプレイヤーの命を代償とするゲーム。

誰かの痛みや命と引き換えに自分が生き延びるのか、それとも自分自身を犠牲にしてでも恐怖のゲームを止めるのか。

ガラスを飲み込むシーンや包丁で首を切るシーンなど恐怖描写たっぷりのホラー映画でありながらも、思考実験として有名な他者の命の選択を題材とした「トロッコ問題」に通じる倫理的問題を問いかけていました。

まとめ


Netflix『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』

自分とは全く関わりのない人間のために涙を流すことの出来る生物でありながら、自分と深いつながりのある人間でさえも利益のために見捨てることのできる人間と言う生物。

映画『チューズ・オア・ダイ:恐怖のサバイバルゲーム』では恐怖のゲームと言う媒体を通して人間のそれぞれの思考の違いを上手に描き分けています。

僅か85分の上映時間に詰まったレトロかつ無機質なゲームを巡るミステリーホラーである本作は、デスゲーム好きな人だけでなく多くの人におすすめしたい作品です。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら





関連記事

連載コラム

映画『ファーストラヴ』ネタバレ感想と結末ラスト解説。事件の相関図と真相に絡む“社会の闇”|映画という星空を知るひとよ50

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第50回 第159回直木賞を受賞した島本理生の同名小説『ファーストラヴ』が映画化。 主演は『スマホを落としただけなのに』の北川景子、共演に中村倫也、芳根京子、窪 …

連載コラム

映画『妖怪大戦争(2005)』ネタバレ結末感想とラストのあらすじ解説。神木隆之介が大活躍の三池崇史監督作!【邦画特撮大全94】

連載コラム「邦画特撮大全」第94章 今回の邦画特撮大全は『妖怪大戦争』(2005)を紹介します。 今年2021年8月13日(金)から劇場公開される映画『妖怪大戦争ガーディアンズ』。2005年に公開され …

連載コラム

映画『処刑山ナチゾンビVSソビエトゾンビ』ネタバレあらすじと感想レビュー。ホラーにブラックな笑い満載の対決|未体験ゾーンの映画たち2020見破録33

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第33回 「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」の第33回で紹介するのは、ぶっ飛んだタイトルのゾンビ映画『処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ』。 …

連載コラム

『記憶屋』ネタバレありで映画と原作の違いを考察。ラストで犯人キャストが取った行動とは⁈|永遠の未完成これ完成である6

連載コラム「永遠の未完成これ完成である」第6回 映画と原作の違いを徹底解説していく、連載コラム「永遠の未完成これ完成である」。 今回、紹介する作品は、映画『記憶屋 あなたを忘れない』です。 織守きょう …

連載コラム

講義【映画と哲学】第1講「行為について:アリストテレスの行為論から映画を見る」

2019年2月から日本映画大学准教授である、田辺秋守氏による「映画と哲学」の講義を連載します。 第1講では、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の名作『デカローグ』(1989~90)から、映画のなかの「行 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学