Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/08/04
Update

映画『妖怪大戦争(2005)』ネタバレ結末感想とラストのあらすじ解説。神木隆之介が大活躍の三池崇史監督作!【邦画特撮大全94】

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第94章

今回の邦画特撮大全は『妖怪大戦争』(2005)を紹介します。

今年2021年8月13日(金)から劇場公開される映画『妖怪大戦争ガーディアンズ』。2005年に公開され興行収入20億円のヒットを記録した前作『妖怪大戦争』(2005)に続く令和版『妖怪大戦争』で、三池崇史監督が再び監督を務めます。

近藤正臣に阿部サダヲ、竹中直人に忌野清志郎、遠藤憲一や石橋蓮司ら著名な芸能人が特殊メイクで妖怪に扮し話題となった2005年版『妖怪大戦争』。今回は『妖怪大戦争ガーディアンズ』の公開に先駆け、『妖怪大戦争』を紹介していきます。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

スポンサーリンク

『妖怪大戦争』の作品情報


(C)2005「妖怪大戦争」製作委員会

【公開】
2005年(日本映画)

【原作・脚本プロデュース】
荒俣宏

【監督】
三池崇史

【脚本】
三池崇史、沢村光彦、板倉剛彦

【出演】
神木隆之介、宮迫博之、南果歩、成海璃子、佐野史郎、津田寛治、宮部みゆき、大沢在昌、柄本明、菅原文太、近藤正臣、阿部サダヲ、高橋真唯(現・岩井堂聖子)、竹中直人、忌野清志郎、三輪明日美、吉井怜、田口浩正、遠藤憲一、石橋蓮司、根岸李衣、岡村隆史、荒俣宏、京極夏彦、水木しげる、栗山千明、豊川悦司

【作品概要】
角川グループ創設60周年記念作品として製作された映画『妖怪大戦争』(2005)は、かつて大映京都が製作した同名の映画『妖怪大戦争』(1968)をベースにした特撮ファンタジー映画です。漫画家の水木しげる、作家の荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきによって結成されたプロデュースチーム「怪」が企画・原案を担当。

『桐島、部活辞めるってよ』(2012)や『3月のライオン』(2017)などで知られる神木隆之介の子役時代の主演作品で、この作品で第29回(2006年)日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞しました。監督は『クローズZERO』(2007)、『十三人の刺客』(2010)の三池崇史

『妖怪大戦争』のあらすじとネタバレ


(C)2005「妖怪大戦争」製作委員会

小学生・稲生タダシは両親の離婚により、東京から母の実家のある鳥取へ引っ越しました。

父と姉タタルと別れ、母と祖父と3人暮らしで半年。内向的なタダシは田舎に馴染めず、同級生たちからもいじめられていました。

夏祭りの日。タダシは地元に伝わる獅子舞“麒麟獅子”に噛まれ、“麒麟送子”に選ばれます。麒麟送子に選ばれた子どもは、地元の守り神となった妖怪・大天狗が棲むという山へ、聖剣を取りに行かなければいけません。

しかし気弱なタダシは山へ行くも、怖くなってすぐさま帰ってしまいます。その帰路でタダシは怪我をした猫のような生き物と出会いました。

タダシはこの生き物を家に連れて帰り、傷の手当をしてあげますが、その姿は彼にしか見えません。

タダシが出会ったこの生き物は“スネコスリ”という妖怪だったのです。

タダシは境港の水木しげる記念館で、妖怪雑誌「怪」の編集者・佐田と出会います。佐田も子供の頃に一度だけ妖怪と出会ったことがあると言います。

一方、魔人・加藤保憲は大怨霊ヨモツモノを復活させ、妖怪と人間が捨てたゴミを溶鉱炉で溶かし合体させた怪物“機怪”を生み出し、人間世界への復讐を実行し始めました。

タダシが家に帰ると「大天狗の山で待つ じいちゃん」と祖父の置き手紙が残されていました。タダシは祖父の身が危ないと、スネコスリを連れて大天狗の山へと向かいます。

※以下、ネタバレ

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『妖怪大戦争』ネタバレ・結末の記載がございます。『妖怪大戦争』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

山に登ったタダシはのっぺら坊、ろくろ首、大首といった妖怪たちから次々に脅かされます。怖がるタダシでしたが祖父の苦しむ声を聞き、意を決し祖父の元へ走ります。

しかしタダシの前に現れたのは、麒麟獅子の先導役・猩々、河童の川太郎、川姫の3匹の妖怪。

助けを呼ぶ祖父の声は猩々が真似たもので、これはタダシが麒麟送子に相応しいか妖怪たちによる試験だったのです。

3匹とスネコスリと一緒に大天狗の洞窟へ向かうタダシ。タダシは大天狗から聖剣を受け取りますが、そこへ魔人・加藤に心酔し味方の妖怪を裏切った鳥刺し妖女アギが現れます。

聖剣を抜いて機怪を倒すタダシでしたが、大天狗は捕獲され、聖剣もアギによって折られてしまいました。さらにスネコスリもアギに捕らわれてしまいます。

折られた聖剣をどうするか、猩々は妖怪たちの知恵袋・油すましに相談。刀鍛冶の妖怪・一本ダタラに打ち直して貰おうと提案されますが、雲外鏡に一本ダタラの様子を映させると彼はすでに加藤に囚われていたのです。

敵が加藤保憲だと知り、油すましやぬらりひょんら妖怪たちは尻込みし、タダシたちに手を貸してくれません。さらに機怪を生み出すヨモツモノ工場が東京へ飛び、東京都庁を吞み込んでしまいます。

タダシは「スネコスリを助けに行く」と加藤と戦うことを決意。猩々、川姫、川太郎、足が痺れて動けなかった小豆洗いと共に東京へ向かいました。

囚われた一本ダタラとスネコスリは「折られた聖剣を打ち直す」約束をしました。しかしアギの魔の手が一本ダタラに迫ります。スネコスリは一本ダタラをかばい彼を逃がすのでした。

一本ダタラに聖剣を打ち直して貰ったタダシは、機怪を次々に倒していきます。しかし敵の数が圧倒的に多く、苦戦を強いられていました。

そんな時、ヨモツモノ工場を目指して日本中からたくさんの妖怪が集まってきたのです。

能天気な日本の妖怪たちはこの騒動をお祭りと勘違いしてやって来たのです。結果として馬鹿騒ぎしつつも、妖怪たちは敵を倒して行きます。

また「怪」編集者の佐田もこの騒動に巻き込まれていました。妖怪が見えない佐田でしたが、酒を呑むと妖怪の姿を見ることが出来るようになったのです。佐田はタダシを追います。

加藤を追って工場の内部へ進んだタダシと川姫の前に一体の機怪が現れます。左足に包帯を巻いたその機怪はスネコスリの成れの果てだったのです。タダシは泣きながら機怪を斬り、加藤への怒りを強めるのでした。

ついにタダシは加藤と対峙しますが、加藤の圧倒的な力の前には歯が立ちません。加藤は自身に心酔するアギを殺し、彼女の抱く愛情を憎悪に変えることでヨモツモノの力を増幅させようとします。

そして加藤はヨモツモノと合体するため溶鉱炉へ飛び込みます。

佐田はタダシの元へ辿り着きます。佐田がかつて会った妖怪は川姫だったのです。喜ぶ佐田は彼女の元へダイブし、その衝撃で小豆洗いが吹き飛ばされます。

小豆洗いの小豆が溶鉱炉の中へ飛んでいき、加藤とヨモツモノの合体は阻止されました。

山ン本五郎左衛門と神ン野悪五郎の二人の魔王は、妖怪世界の頂点に立つ妖怪大翁に今回の戦勝を報告します。

しかし大翁は「戦争は腹が減るだけ」と一笑に付すのでした。そして妖怪たちは夜明けとともに姿を消していきます。

そして数年後――。

大人になったタダシの前にスネコスリが現れますが、タダシにその姿を見る事はもう出来ませんでした。淋しがるスネコスリの前に、近付いたのは魔人・加藤保憲でした。

スポンサーリンク

『妖怪大戦争』の感想と評価


(C)2005「妖怪大戦争」製作委員会

妖怪は戦わない

本作『妖怪大戦争』は大映京都が製作した映画『妖怪大戦争』(1968)のリメイクではありますが、ほとんど内容は別物の映画となっています。

本作はオリジナルと登場人物も時代背景も全く違っており、妖怪の連合軍が強大な敵と戦うという物語の骨子以外に共通点はありません。

そして「妖怪VS強大な敵」という骨子は同じでも、その妖怪たちの態度が全く違っています。オリジナルではバビロニアから飛来した吸血妖怪ダイモンから、自身の棲み処を守るために日本の妖怪が立ち上がるのです。つまり妖怪同士の縄張り争いでした。

一方、本作の妖怪たちが立ち上がる理由は「敵に仲間が捕えられているから」というもので、決して人間のためではないのです。

さらに敵は荒俣宏の小説『帝都物語』に登場した魔人・加藤保憲。そのため自分たちでは歯が立たないと、多くの妖怪たちは尻込みして逃げてしまいます。

本作のクライマックスでは総勢120万の妖怪が敵に呑み込まれた東京に大集結。特殊メイクと着ぐるみで表現された妖怪たちの大集合はまさに圧巻です。

加藤保憲が生み出した怪物・機怪と120万の妖怪の戦いが描かれるのですが、妖怪たちは積極的に戦いに参加しに来たわけではなく、“祭り”と勘違いして集まり結果的に敵を倒してしまうのです。

純然たる善でもなければ徹頭徹尾の悪でもない、愛嬌と怖さが同居しグレーゾーンに存在する日本の“妖怪”像をしっかりと捉えているといえるでしょう。

大映妖怪三部作へのオマージュ

本作『妖怪大戦争』は作品としてオリジナルの『妖怪大戦争』と連続性はありませんが、『妖怪百物語』(1968)から始まる“大映妖怪三部作”へのオマージュがしっかりと捧げられています。

主人公のタダシが大天狗の山で妖怪たちに驚かされる場面。この一連の流れ登場する妖怪はのっぺら坊、ろくろ首、提灯お化け、大首(演じるのは名優・石橋蓮司)です。この妖怪たちは妖怪三部作の1作目『妖怪百物語』に登場する妖怪たちと一致します。

阿部サダヲ演じる河童の川太郎がメインとして活躍しますが、これはオリジナル版『妖怪大戦争』で河童が主演級に活躍していることへのオマージュです。

一方オリジナル版『妖怪大戦争』で勇ましく吸血妖怪バラモンと戦った油すましや傘お化けたちは、本作では尻込みして逃げるという真逆の態度を取っています。

本作で“妖怪キャスティング”を務めたのは作家の京極夏彦であり、こうしたオマージュは京極夏彦が仕掛けたものでしょう。

また稲生タダシたち主人公一行に危機が迫ると、近藤正臣演じる妖怪・猩々の髪が一本光って立つ描写は、『ゲゲゲの鬼太郎』の妖怪アンテナのパロディだと考えられます。

また稲生タダシという主人公の名前や序盤の妖怪たちによるタダシの度胸試し、荒俣宏演じる山ン本五郎左衛門と京極夏彦演じる神ン野悪五郎の2人の魔王の登場は、広島県三次市に伝わる『稲生物怪録』に由来しています。

本作『妖怪大戦争』はこの『稲生物怪録』伝説と大映の妖怪三部作をベースに、少年のひと夏の冒険として描かれているのです。

まとめ


(C)2021「妖怪大戦争」ガーディアンズ

子役時代の神木隆之介と、特殊メイクと着ぐるみというアナログ技術による妖怪たちのひと夏の冒険ファンタジー『妖怪大戦争』(2005)。

新作『妖怪大戦争ガーディアンズ』を前に、もう一度おさらいしてみてはいかがでしょう。

映画『妖怪大戦争ガーディアンズ』は2021年8月13日(金)より全国劇場公開です。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら


関連記事

連載コラム

新海誠『天気の子』予報②から「100パーセントの晴れ女」を解説|新海誠から考える令和の想像力4

連載コラム「新海誠から考える令和の想像力」第5回 7月19日に公開を控える『天気の子』予告編の第2弾が、5月28日に公開されました。 ここであらためて、既出の情報もふくめて、「きみとぼく」の関係を整理 …

連載コラム

NETFLIX『返校シーズン1』ネタバレ感想と評価考察。ラスト結末も【ホラーゲームの物語に“救い”を加えた補完作】SF恐怖映画という名の観覧車134

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile134 年月を重ねるごとに映画やドラマなどのオリジナル脚本の不足は深刻になったと言う闇の面と、特殊効果の進化と言う光の面から漫画やゲームの映像化 …

連載コラム

Netflix『全裸監督』第4話あらすじネタバレと感想。本番撮影でアダルトビデオ業界の掟を破る|パンツ一丁でナイスですね〜!4

連載コラム『パンツ一丁でナイスですね〜!』四丁目 Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』が2019年8月8日より配信中です。 伝説のAV監督村西とおるを描いた本シリーズ。 前話で初のAV撮影を終 …

連載コラム

映画『無限ファンデーション』あらすじと感想レビュー。全編“即興”で作り上げられた青春の姿|銀幕の月光遊戯 39

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第39回 『お盆の弟』の大崎章監督と若い俳優陣、ミュージシャンたちが即興で作り上げた驚くべき青春映画! 映画『無限ファンデーション』が、2019年8月24日(土)より、K’ …

連載コラム

ジェイソン・アイザックスのインタビュー【映画『ホテル・ムンバイ』の重要性を語る】FILMINK-vol.17

FILMINK-vol.17「Jason Isaacs: Why Hotel Mumbai Matters」 オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinemarche …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学