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Entry 2019/06/02
Update

映画『きみと、波にのれたら』あらすじネタバレと感想。湯浅政明監督らしい世界観と物語が作風とベストマッチ!

  • Writer :
  • 村松健太郎

アニメ映画『きみと、波にのれたら』は、2019年6月21日より全国公開!

2018年の第31回東京国際映画祭で“湯浅政明の世界”として特集上映が行われた湯浅政明監督の2年ぶりの新作長編アニメーション作品。前作『夜明け告げるルーのうた』に続くオリジナル作品となります。

ボイスキャストには「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の片寄涼太、女優として大活躍中の川栄李奈。この二人に加えて松本穂香と伊藤健太郎も出演。

主題歌には、片寄所属の「GENERATIONS from EXILE TRIBE」が唄う『Brand New story』が起用されています。

映画『きみと、波にのれたら』の作品情報

(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【監督】
湯浅政明

【キャスト】
片寄涼太、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎

【作品概要】
海辺の町を舞台に、女子大生と消防士の間で繰り広げられる青春ラブストーリー。

監督は、『夜は短し歩けよ乙女』(2017)や『夜明け告げるルーのうた』(2017)などで国内外から高い評価を得ている湯浅政明が務め、前作『夜明け告げるルーのうた』に続き、オリジナルの長編アニメーション作品となっています。

主人公・港の声を声優初挑戦となる「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の片寄涼太が担当し、ひな子の声を川栄李奈がそれぞれ担当。

脚本は『夜明け告げるルーのうた』などで湯浅監督とタッグを組んでいる吉田玲子が担当します。

映画『きみと、波にのれたら』のキャラクターとキャスト


(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

向水ひな子(川栄李奈)
女子大生。海とサーフィンを楽しむ新生活を過ごす。

雛罌粟港=ヒナゲシミナト(片寄涼太)
消防士で正義感が強い。幼い頃にひな子と出会っていた。

雛罌粟洋子(松本穂香)
港の妹でぶっきらぼうな性格。

川村山葵(伊藤健太郎)
港の後輩で、同僚の消防士。

映画『きみと、波にのれたら』のあらすじとネタバレ

(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

海とサーフィンをこよなく愛する、ひな子は大学進学を機に、子供ころ住んでいた港町に帰ってきて一人暮らしを始めます。

そんなある夜、隣のマンションに忍び込んだ輩が花火を好き勝手に打ち上げて暴れ、その日がひな子の部屋にも飛んできて火事が起きてしまします。

そこにやってきたのは消防士の雛罌粟港(ヒナゲシミナト)。

このことがきっかけで港にサーフィンを教える約束をしたひな子。

(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

やがて、惹かれあうようになった二人は恋人同士になります。

すっかりサーフィンの腕も上がった港との日々はひな子にとって幸せな日々でした。

二人の様子に港の妹の毒舌家の洋子もあきれるほどです。

ところがある冬の海、海で救助に出た港は帰らなぬひとなりました。

いつまでも一緒にいようと誓い合った二人に唐突な別れが訪れたのでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『きみと、波にのれたら』ネタバレ・結末の記載がございます。『◯きみと、波にのれたら』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

ショックから立ち直れないひな子。

ある日、思い出の唄を口ずさんだところ、水の中に港の姿が現れます。

水の中の港はひな子だけにしか見えない存在でしたが、水の中の港もひな子を認識していて、二人の間ではコミュニケーションが取れていました。

大型のスナメリの風船に水を詰めて唄を歌うとその中に等身大の港が現れます。

ひな子は奇跡的な再会に喜び、スナメリの中の港と共に街を出歩きます。

しかし周りからは港の姿が見えておらず、港の同僚の山葵や洋子はひな子の心理状態を心配します。

(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

火事から一年が経つ頃、火事騒動を起こした輩がまた集まって、違法の花火打ち上げを始めます。彼らを尾行していたひな子と洋子は火に包まれます。

その時、思い出の唄を歌ったひな子、港は大量の水と共に現れ火事を消し去ります。

ひな子が立ち直った姿を見た港は水の中から別れを告げ、姿を消しました。

映画『きみと、波にのれたら』の感想と評価

(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

湯浅政明の作風に最適の物語

湯浅監督の作風は、“緩やかな曲線とサイケデリックな描写”を特徴としています。

独特の流体、水流を思い起こさせる画風は“湯浅印”とでも言う、印象的な画で一目見ると湯浅監督の作品だとわかってしまうのです。

Netflixで配信された『DEVILMAN crybaby』(2018)ではさらに磨きがかかって、登場人物と世界観が緩やかに絡み合うさまは、新しいデビルマンを見せてくれました。

そして、この“緩やかな曲線とサイケデリックな描写”がぴったりの“水と海”をメインの題材にしたのが本作『きみと、波にのれたら』なのです。

吉田玲子の世界

本作『きみと、波にのれたら』の脚本を手掛けたのは吉田玲子。

1990年代からアニメの脚本を手掛け始め、2002年のスタジオジブリ作品『猫の恩返し』や2016年の『聲の形』などを数々のヒット作を手がけています。

湯浅監督とは『夜明け告げるルーのうた』(2017)に続くコンビです。

現実ベースのファンタジーの物語に定評があり、2014年と2017年には東京アニメアワードのアニメオブザイヤー脚本・オリジナル原作賞を受賞。

湯浅監督の世界観との相性もよく、今後もこのコンビで長編作品が見られることが期待されます。

まとめ

(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

サーフィンと海をきっかけに出会う若者たちの恋物語から始まり、じょじょにSF&ファンタジーテイストが溢れるストーリーが展開されます。

全編を通して“水”が重要なキーアイテムとなっていきますが、それが湯浅監督の“緩やかな曲線とサイケデリックな描写”と見事にマッチしているのがポイントです。

間もなく公開の渡辺歩監督作品『海獣の子供』(2019)、新海誠監督の待望の新作『天気の子』(2019)など、注目のアニメーション作品とのの描写を見比べてみるてはいかがでしょうか。


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