エディとヴェノムの友情が終わる最後の旅
「スパイダーマン」の宿敵として有名なキャラクター「ヴェノム」。
彼は己の空腹を満たすために人を喰らう寄生体ですが、2018年にはまさかの主人公としての映画が作成され世界的なヒットを記録しました。
今回は「ヴェノム」を主人公とした人気シリーズの3作目であり、エディとヴェノムの物語の最終章となる映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(2024)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の作品情報
【日本公開】
2024年(アメリカ映画)
【原題】
Venom: The Last Dance
【監督・脚本】
ケリー・マーセル
【キャスト】
トム・ハーディ、キウェテル・イジョフォー、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンス、ペギー・ルー、アラナ・ユーバック、スティーヴン・グレアム、アンディ・サーキス
【作品概要】
「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」こと「SSU」の5作目となり、「マーベル・コミック」の人気キャラクター「ヴェノム」を主人公としたシリーズの3作目に当たる作品。
『ウォルト・ディズニーの約束』(2014)や『ヴェノム』(2018)で脚本家を務めたケリー・マーセルが長編映画初監督を務め、シリーズで主人公を務めた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)のトム・ハーディが引き続き「ヴェノム」に寄生された男・エディ・ブロックを演じました。
映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のあらすじとネタバレ
闇の世界を支配していた「ヌル」は自身が創り出した生命体「シンビオート」による反乱にあったことで、今は力を封じられ牢獄に閉じ込められていました。
牢獄を脱するためには「コーデックス」と呼ばれる鍵が必要であり、ヌルは「ゼノファージ」に全宇宙から「コーデックス」を探し出すように命じます。
サノスが全生物の半分を消し去った「アース616」で酒に溺れていたエディとヴェノムは、ヌルの活動開始に共鳴してか自身の宇宙に引き戻されました。
久しぶりに戻った自身の宇宙では、カーネイジとの戦いで死亡した刑事のマリガンの死がエディの仕業として報道されており、知り合いの判事を脅し無罪を勝ち取るためにテキサスからニューヨークを目指すことにします。
その頃、地下に隠されたエリア55の存在を隠すため、宇宙開発の噂が流れ観光客が留まることのないエリア51の解体が始まっていました。
インペリウムの研究者であり、外来生物との共存を訴えるテディ博士とサディ、一方でエリア55で現場任務にあたる兵士のストリックランドは外来生物との共存は夢物語と考えていました。
エリア55は回収したマリガンが命を落とす前にその体に「シンビオート」を打ち込んでおり、目を覚まして「シンビオート」との共生を完成。
テキサスからニューヨークへ向かうため、飛行中の旅客機にしがみついていたエディとヴェノムでしたが、その場に「ゼノファージ」が現れ、撃退こそ出来たものの、飛行機を離れて地上からニューヨークへと向かわざるを得なくなります。
ヴェノムはヌルが動き出したことを感じ取り、自身がエディの体を乗っ取ると「ゼノファージ」に気づかれるとして、完全体となることを避けていましたが、位置を特定し2人の捕獲を試みるストリックランドが率いる兵士たちからの襲撃を受けます。
エディを救うためヴェノムが完全体となったことで、「ゼノファージ」に場所を特定され、乱入した「ゼノファージ」によってストリックランドの兵士3人が殺害されてしまいました。
捕獲に失敗したストリックランドが基地へと戻ると、マリガンに取りついた「シンビオート」はヌルの話をテディたちに伝えます。
「コーデックス」は「シンビオート」が他の生物と完全な融合を果たしたときにのみ生成されるものであり、地球ではエディとヴェノムしか所持していないと言います。
宿主か寄生体のいずれかが死ぬことで「コーデックス」は破壊されると言うと同時に、ヌルが解放されれば全宇宙が滅亡すると警告。
部下を殺害されたストリックランドは、「ゼノファージ」との戦闘ではなくエディを殺害することで「コーデックス」を破壊することを考え始めていました。
映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の感想と評価
最後の旅路で試される2人の絆
『スパイダーマン3』(2007)で登場した「シンビオート」こと「ヴェノム」は、寄生した人の欲望を引き立てることで人を操り悪事を行っていました。
しかし、本シリーズに登場する「ヴェノム」は取りついた人間こそ『スパイダーマン3』と同じエディ・ブロックでしたが、本シリーズでのエディは元々が正義感の強い新聞記者であったこともあり、「ヴェノム」と対話を続けることでお互いをよき理解者とすることに成功。
そして、いくつもの戦いを乗り越えたことで絆を深めた2人は「残虐な庇護者」として、世にのさばる悪を「喰らう」ことで己の欲望を満たしつつ世直しも行っていました。
そんな2人の最後の旅となる本作では警察と軍隊、そして未知の敵に追われる四面楚歌の状況でありながら、いつものように軽いやり取りを繰り返しながら旅路を進めていきます。
果たして2人の旅路はどのような結末を迎えることになるのか、2人のやり取りが永遠に続いてほしいと願ってしまうような作品でした。
遂に登場する「SSU」のメインヴィラン
『ヴェノム』『モービウス』(2022)『クレイヴン・ザ・ハンター』(2024)と、マーベルコミックスで主に「スパイダーマン」と関わりのあるヴィランの映像化を進める「SSU」。
しかし、現状では「シリーズ」とはなっているもののそれぞれの作品に繋がりは薄く、未だに大きな関りがないままシリーズが進行しています。
そんな現状で公開された本作には創造主と呼ばれる規格外のヴィラン「ヌル」が登場し、彼の創造した「ゼノファージ」一体を倒すために多くの「シンビオート」が犠牲になるなど、その圧倒的な強さを見せつけました。
「ヌル」は本作以降も活動を続けることが示唆されており、この強大な敵を打ち破るのが「SSU」の主人公たちで結成されるヴィラン・グループ「シニスター・シックス」ではないかと期待されています。
今後の展開に重要な意味を持つ作品としても、本作は大注目の作品となっています。
まとめ
主人公に人を喰らうと言う特性がある一方で、エディとヴェノムの親友のようなやり取りに和むことの出来るシリーズとして安定感のある「ヴェノム」シリーズ。
そんな2人の関係性に終止符が打たれることとなる『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は、ハラハラといつも通りの安心感、そして最後のやり取りに涙もできる作品となっていました。
「SSU」の鍵を握る作品としてもオススメの映画です。