伊坂幸太郎の小説『シーソーモンスター』が映画化決定!
2019年に出版された伊坂幸太郎の小説『シーソーモンスター』。
ストーリーは、昭和後期に一般的な家庭の北山家に嫁いだ元情報員の宮子が、姑・セツの過去に疑惑を抱き調査を始め、次々とトラブルに見舞われるというもの。
嫁と実母の間に挟まれる北山直人の事情も交錯し、物語はミステリアスに進みます。
本作の映画化権をNetflixが獲得しています。映画は、敵同士ながら手を組むことになる主人公たちを、アン・ハサウェイとサルマ・ハエックが演じるアクションコメディの予定。
まだ映画の詳細は明らかにされていませんが、原作となった小説『シーソーモンスター』をネタバレ有りでご紹介します。
CONTENTS
小説『シーソーモンスター』の主な登場人物
【北山直人(きたやまなおと)】
主人公。製薬会社の営業マン。新しく担当することになった若院長が、保険料の詐欺を行っていることを知り、トラブルに巻き込まれます。
【北山宮子(きたやまみやこ)】
直人の妻。元特殊部隊の一員。義母のセツと気が合わずに悩んでいます。
【北山セツ(きたやませつ)】
直人の母親。直人夫婦と同居することになると、嫁いびりをします。実は宮子と同じく元特殊部隊の一員。
小説『シーソーモンスター』のあらすじとネタバレ
北山直人は製薬会社の営業マン。仕事での悩みよりも、自宅の嫁姑問題に頭を抱えています。
妻宮子と結婚する時は自分の両親とは別居という話だったのですが、直人の父が死んでしまい、母一人になったので、同居することにしたのですが、同居してから宮子と母の相性が良くないことに気が付きました。
そのことで日夜頭を痛める直人。優しい先輩の綿貫は、そんな直人の嫁姑問題の相談に乗り、愚痴を聞いてくれます。
ある日、綿貫から得意先の病院を紹介されました。
その病院の院長は、直人の死んだ父親の同級生で、直人とは初めて会ったにもかかわらず、親切にしてくれました。
そんな付き合いが続き、院長が隠居することになっても、直人は息子の若院長を接待するようになります。本来の担当営業も直人が引き継ぐことになりました。
若院長は先代とは違い、派手な遊びが大好きで、直人はやっとその遊び方についていきます。そのうちに、直人は若院長の金遣いの荒さに疑問を持つようになりました。
そして、若院長が病院で保険料の水増しを行っているのではないかという疑問を持つようになり、こっそりと証拠を押さえようと水面下で動きだしました。
一方、直人の嫁・宮子は、義母のセツとどうしても気が合わないということに悩んでいます。
もともと宮子は、優秀な特殊部隊の情報部員でした。その頃の経験もあり、メンタルトレーニングは得意のはずでしたが、セツを前にすると余計なことを言ったりするのです。
宮子がセツを苦手と思うようになった発端は、宮子が結婚前に直人の両親と顔合わせをしたときのこと。
ホテルのレストランで宮子たちは顔合わせをしていたのですが、そこに工作員による神経毒の持ち込みが行われるという情報がもたらされます。
すでに特殊部隊の仕事は辞めていた宮子はそのことを知りませんでしたが、客の中にあきらかに怪しい動きをしている人物がいることに気が付きます。
それは見張りの情報部員が見逃している人物で、宮子はそれまでの経験からどうしても見過ごすことができません。
その人物の跡をつけ、トイレで拘束することに成功。退職したとはいえ元特殊部隊の一員として大活躍をしたのですが、直人の家族には「よくトイレにいく女」というイメージを植え付けてしまいました。
以来、姑セツの宮子に対する態度は終始冷たく、初対面から嫁としてのイメージが悪かったと、宮子は悩んでいます。
そんなある日、宮子はセツの両親や夫など、セツの周りの人々がみんな不審な死を遂げていることに気が付きました。
セツが殺したのではないかと疑惑を持った宮子は、次にはもしかすると自分も殺されるのではないかと疑い、特殊部隊の仲間に頼んでセツの調査を行い始めます。
小説『シーソーモンスター』の感想と評価
もと特殊部隊の優秀な情報員であった宮子と結婚した直人。宮子が秘密にしているせいもあって、直人は宮子の前職を知りません。
現実問題として、宮子の前職よりも自分の母親・セツと折り合いの悪いことで悩んでいます。そこへ持ってきて、自分の仕事上でのトラブルにずるずると巻き込まれていきます。
宮子は宮子で、セツの周囲の人間が不審死していることに気が付き、セツを疑い始めます。
そのうちに夫婦それぞれが、自分の命を何者かに狙われていると感じ始め、物語はクライマックスへ。
優秀な情報員であるはずの宮子ですが、セツには心の中まで読まれている気がして、苦手意識を持っていました。一方、何も知らない直人にとって、あくまで宮子は可愛い妻であり、セツは大好きな母親でした。
物語は、宮子と直人目線で進みますので、秘密のベールに包まれていたセツの本当の姿はラストまで分かりません。
後半になって全て判明し、謎は解けていきます。事件が解決しても、嫁姑の過去の職業を知らされず、そのバトルに翻弄される直人は、ちょっと可哀想な役どころと言えるでしょう。
また、本作はスリルたっぷりのアクション小説ですが、ブラックユーモア含むヒューマンドラマでもあります。
お互いの心中を察しても、なお表面は対立する嫁姑を演じる宮子とセツ。2人はまさしく優秀な特殊部隊の一員であり、一種のモンスターでした。
映画『Seesaw Monster(原題)』の見どころ
誰が監督を務めるのかはまだ明らかにされていない本作ですが、脚本はハサウェイも出演した『オーシャンズ8』(2018)で共同脚本を務めたオリヴィア・ミルヒが務めます。
伊坂幸太郎作品の映画化といえば、2022年の『ブレット・トレイン』が頭に浮かびます。これは、原作小説『マリアビートル』をブラッド・ピットを主役として、デビッド・リーチ監督が手がけたものです。
本作は、不運続きの殺し屋が主人公の『ブレット・トレイン』(2022)とは異なり、主人公は嫁姑という間柄の2人の女性。日常的にネチネチバチバチの底意地の悪いバトルが繰り広げられると予想されます。
たまらないのは、2人の間を取り持とうとする一家の主の男性でしょう。彼の嫁姑問題を抱えて悩む様子、そして2人の女性たちの真の正体に気が付いたときの驚愕は見ものです。
映画『Seesaw Monster(原題)』の作品情報
【日本公開】
未定(アメリカ映画)
【原作】
伊坂幸太郎:『シーソーモンスター』(中央文庫)
【監督】
未発表
【脚本】
オリビア・ミルチ
【プロデューサー】
アキヴァ・ゴールズマン、アン・ハサウェイ、サルマ・ハエック、三枝亮介、寺田悠馬
【キャスト】
アン・ハサウェイ、サルマ・ハエック
まとめ
伊坂幸太郎の『シーソーモンスター』をネタバレ有りでご紹介しました。
本作は、特殊部隊の情報員という前職を持つ妻と折り合いが悪い実母の様子を、夫目線で描く究極の嫁姑問題を柱に、仕事がらみの事件も交えた痛快アクション。
何も知らずに2人を取り持とうとする夫・直人の気苦労も交え、2人の女性モンスターが火花を散らしながら送る日々を描きます。
この小説がNetflixによって映画化されました。詳細はまだ発表にならないのですが、キャストとしてアン・ハサウェイ、サルマ・ハエックという、実力派の美女たちの名前が挙がっています。
映画の日本公開はもちろん、続報が待ち遠しいものです。