戦場を包む’絶望’の道を大将軍が切り開く
累計発行部数が9900万部を突破した原泰久による大人気漫画「キングダム」。
2019年から実写映画化が開始された「キングダム」シリーズは2023年までに3作が製作され、3作全てにおいて興行収入50億円を突破する大ヒットシリーズとなりました。
2024年、前作『キングダム 運命の炎』(2023)の衝撃的なラストシーンから地続きとなる続編作品がついに公開。
今回は原作シリーズにおいて、根強い人気を誇る「馬陽の戦い」の後半を描いた映画『キングダム 大将軍の帰還』(2024)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『キングダム 大将軍の帰還』の作品情報
【公開】
2024年(日本映画)
【原作】
原泰久
【監督】
佐藤信介
【脚本】
黒岩勉、原泰久
【キャスト】
山﨑賢人、吉川晃司、小栗旬、吉沢亮、新木優子、清野菜名、岡山天音、三浦貴大、橋本環奈、山田裕貴、高嶋政宏、要潤、山本耕史、長澤まさみ、玉木宏、佐藤浩市、大沢たかお
【作品概要】
2006年から『週刊ヤングジャンプ』で連載が開始された原泰久による漫画シリーズ「キングダム」の実写映画シリーズ第4弾。
製作陣およびメインキャストが続投した本作には、前作のラストに登場したロックシンガーであり『るろうに剣心』(2012)などの実写映画作品にも俳優として出演し強い印象を残す吉川晃司や、『銀魂』(2017)などで主演を務める小栗旬がメインキャストとして出演しました。
映画『キングダム 大将軍の帰還』のあらすじとネタバレ
飛信隊の宿場に現れた龐煖を名乗る男は次々と飛信隊の隊員を殺害。
怒りに震える信と羌瘣は龐煖を挟み打ちにして襲撃しますが、武神の如き強さに圧倒され信も羌瘣も重傷を負います。
飛信隊であり信の親友でもある尾平と尾到は信を殺害しようとする龐煖から、身を挺して信を守り、飛信隊は壊滅状態に陥りました。
秦軍が宿場の異常に気付き、応援が駆け付けると龐煖こそが趙の「三大天」と呼ばれる将であり、今回の戦争の総大将であることが分かり、龐煖の援軍に駆け付けた趙の将兵たちとの乱戦状態となります。
沛浪は生き残っている飛信隊の面々に退却を命じ、尾平と尾到は気を失った信を抱え、混乱に乗じて戦地を脱出。
尾平が追跡してくる趙軍の万極を撒くために信を尾到に託すと、尾到は信を連れて安全地帯まで到達しますが、尾到は龐煖の攻撃で致命傷を負っており、目を覚ました信に大将軍の夢を託し死亡しました。
生き残った飛信隊の隊員は山奥で合流を果たし、信が抱えてきた尾到の死体を見た尾平は信を守り抜いた尾到を称えます。
秦軍の総大将である王騎は、一夜にして半数以下となりながらも、戦意が決して削がれていない信を見て評価すると同時に次なる攻勢に出ることに決めます。
山間での戦いとなるため王騎は全兵士に「本陣のある丘に建てられた旗が見える場所」までの追撃しか認めていませんでしたが、戦地に龐煖を見つけた蒙武は王騎の命に反して奥地へと追撃を開始。
しかしそれは趙荘の仕組んだ罠であり、龐煖の偽物を殺害した蒙武は趙軍に囲まれ窮地に陥ってしまいます。
蒙武の窮地を察した王騎は飛信隊と共に山間部に自ら隊を率いて乗り込み、飛信隊に敵兵に囲まれた蒙武の救出を命じ、自身の側近である騰に趙荘への突撃を命令。
一見無謀にも見える王騎の采配によって、王騎が敵本陣へと向かうための道が完成し、王騎は自ら敵陣へと突撃を行いますが、そこに王騎との強い因縁を持つ龐煖が立ちふさがります。
【過去】
かつて秦には「秦六将」と呼ばれた摎と言う女性の将軍が居ました。
王騎の側近の娘と言う身分でありながら、戦いの神に愛されているとも呼ばれる戦術と武力によって瞬く間に秦軍の重役に上り詰めた摎には、昭王の娘であると言う秘密がありました。
摎はその事実を知りながらも権力を求めることはせず、将として100個の城を攻め落とした暁には王騎の妻になるという幼少期の約束を胸に戦い続けていました。
しかし、100個目の城となる馬陽を落とした日に龐煖に襲われ殺害され、怒りに燃える王騎が龐煖を切り捨て、龐煖は死んだと思われましたが恐るべき生命力で生き延びていたのでした。
【現在】
趙荘は王騎の博打とも言える攻勢の速さに違和感を覚えていました。
王騎と龐煖の一騎打ちの戦いが始まり、戦いを極めた武神である龐煖は王騎が自分に劣らないばかりか、同格以上の力を持っていることに疑問を抱きます。
王騎は自分のために死んだ多くの命が自身に宿っていると言い攻勢を強めると、龐煖は徐々に押され始めます。
あと一歩のところで龐煖を討ち取れるとなったその時、戦場の後方から大きな音が響き始めました。
映画『キングダム 大将軍の帰還』の感想と評価
王騎 vs 龐煖
前後編で実写化された「馬陽の戦い」の完結編となる本作では、原作の名シーンでもある秦軍の総大将・王騎と趙軍の総大将・龐煖の一騎打ちが描かれます。
たった一振りで十数人を吹き飛ばす猛者同士の打ち合いともなれば、相応の迫力が無ければ納得が出来ないものとなってしまいますが、本作ではその高いハードルを軽々と越えるものとなっていました。
大矛同士の戦いとなるため、大振りかつ鈍重な殺陣が繰り広げられるのかと思いきや、人を越える動きでありつつも漫画っぽくなりすぎない程度のスピード感に溢れた殺陣となっており、「武神」の戦いに納得がいくものとなっています。
大将軍に憧れる信が、この時点では手が届かない「大将軍」同士の戦いを目にするシーンとして、非の打ち所が全くないと言える大満足の一騎打ちシーンでした。
魂と共に受け継がれていく意志
本作で描かれた「馬陽の戦い」は原作漫画「キングダム」でも特に重要なエピソードであり、この戦いをきっかけに生き残った登場人物たちは大きな変化を見せるようになります。
特に前作から王騎に不満を抱える武将のひとりとして登場し、本作で秦軍を窮地に陥らせてしまうきっかけとなった蒙武は「馬陽の戦い」を契機に秦軍のメインキャラクターとなるほどに成長。
2024年現在で70巻を越える漫画の僅か5巻ほどのエピソードでありながら、根強い人気を持ち続ける「馬陽の戦い」。
本作は漫画で読んだ人であっても、原作で味わった絶望と絶望を打ち崩す「大将軍」の活躍にもう一度感動すること間違いなしの実写化作品でした。
まとめ
大人気漫画『キングダム』を実写映像化し、大成功を記録した実写映画「キングダム」シリーズ。
そんな実写映画シリーズの「最終章」と銘打たれた『キングダム 大将軍の帰還』は、信と王騎を巡る物語の締めくくりとして原作ファンとしても納得の作品となっていました。
原作はこの後もまだまだ続くため、実写映画でも次なる展開を期待してしまいますが、今はこの壮大な物語を映像化した製作陣にエールを送りたいと言う気にさせてくれる「実写映画」としてもオススメ出来る完結作品です。