切なさに満ちたとびきり美しい純愛ストーリー
沖縄出身のバンド「HY」の同名楽曲をモチーフにして生まれたオリジナルラブストーリー映画『366日』。沖縄と東京を舞台に、20年の時を超えて織りなされる純愛が描かれます。監督はラブストーリーの名手・新城毅彦。
主演は『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(2022)の赤楚衛二。恋人役を上白石萌歌が演じます。
中島裕翔、玉城ティナ、石田ひかり、国仲涼子、杉本哲太らが共演します。
心の底から愛し合い、大切にし合っていた湊と美海。しかし、残酷な運命がふたりに襲いかかります。切なくも美しい純愛ラブストーリーの魅力をご紹介します。
映画『366日』の作品情報

(C)2025映画「366日」製作委員会
【公開】
2025年(日本映画)
【監督】
新城毅彦
【脚本】
福田果歩
【編集】
穗垣順之助
【キャスト】
赤楚衛二、上白石萌歌、中島裕翔、玉城ティナ、稲垣来泉、齋藤潤、溝端淳平、石田ひかり、国仲涼子、杉本哲太
【作品概要】
人気テレビドラマ『あすなろ白書』(1993)やNetflix『君に届け』(2023)、映画『潔く柔く』(2013)など恋愛映画の名手として知られる新城毅彦監督が、沖縄出身バンド・HYの同名楽曲をモチーフに描くオリジナルラブストーリー。恋をしたある男女の20年間が描かれます。
主人公の湊を、『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(2022)の赤楚衛二が演じます。
ヒロインの美海役に『子どもはわかってあげない』(2021)の上白石萌歌。
中島裕翔、玉城ティナ、国仲涼子、杉本哲太ら実力派が脇を固め、作品を盛り上げます。
映画『366日』のあらすじとネタバレ

(C)2025映画「366日」製作委員会
2003年、沖縄に住む高校生の湊は、同じ高校の後輩である美海と出会います。音楽の趣味が合う2人は自然とひかれあい、湊の卒業式の日に告白し付きあいはじめました。
母を病気で亡くし、音楽を作るという自分の夢を諦めかけていた湊でしたが、美海に背中を押されて東京の大学に進学します。2年後には美海も上京し、東京での幸せな日々がスタートしました。
音楽会社への就職が決まった湊と、通訳という夢に向かって奮闘する美海は、この幸せがずっと続くよう願っていました。就職活動がなかなかうまくいかない美海は、湊の側で生きていくために夢をあきらめて別の仕事につこうとします。
しかしある日突然、湊は美海に別れを告げて去ってしまいました。

(C)2025映画「366日」製作委員会
映画『366日』の感想と評価

(C)2025映画「366日」製作委員会
本当の愛をめぐる物語
高校時代に恋に落ちた主人公の湊と美海の20年の愛の軌跡を描く感動のラブストーリーです。しかし、そこに描かれるのは、甘く美しいハッピーエンドではありません。「本当の愛」とは何かについて、深く考えさせられる作品となっています。
10代から30代までを演じる、赤楚衛二、上白石萌歌、中島裕翔の演技が見どころの一つです。特に、上白石萌歌の表現は繊細で、初々しい女子高生から、子を産み育てる壮年期、死期を迎える晩年までを丁寧に演じています。
お互いに愛し合い、誰よりもわかり合っていたはずの二人でしたが、湊が病魔に襲われたことにより終わりを迎えます。相手を思うがゆえに湊は自分の病気のことを美海に伝えられず、美海もまた彼の子を身ごもっていることを告げられないまま二人は別れてしまいました。
一番話さなければならないはずのことを、結局言えなかった二人。すべてをさらけ出せないまま、人生を共に生きていくことなど出来るはずもありません。
一方、美海のすべてを受け入れ、愛し続ける琉晴の大らかで優しさに満ちた愛は対照的です。愛する沖縄に引き寄せられるのと同じように、美海は自分を包み込んでくれる琉晴と共に生きていくことを選びます。
ラストで、実は結婚式の前日に湊と美海が砂浜で偶然再会していたことが明らかになります。ふたりは思わず互いに駆け寄りそうになりながらも思いとどまり、言葉を交わすことなくすれ違います。そこで二人の恋は区切りを迎えていました。
しかしその後、恋の残り火に突き動かされるかのように、美海は「366日」のMDを湊の実家のポストに託し、湊もまた必死で美海の元に引き返します。もし、MDが湊の手に渡っていたなら。そして結婚式に湊が乗り込んでいたなら。二人の運命は大きく変わっていたことでしょう。
しかし、果たして二人が幸せになれたかどうかはわかりません。美海が掴んだ通訳の夢、整理のついた恋心、そして琉晴への大きな信頼と深い愛情。やっとの思いで手にした幸せを、また手放すことになるのですから。
MDは琉晴が預かり、結婚式で陽葵が笑顔で湊に手を振ったことにより、激情の火種は生まれる前に消し止められました。
いつの間にか琉晴こそが美海にとって最愛の人となり、陽葵の本当の父親となっていました。そのことを誰より理解し、命の終わりを迎えようとしている美海に会わない選択をする湊。彼にとってはそれこそが本当の愛の形だったと言えます。
幸せとは何か

(C)2025映画「366日」製作委員会
湊が美海との別れを決めたのは、自身が白血病に侵されたためでした。心も弱ってしまうことも病の怖さの一つです。
正常な精神であれば、病だからと身を引くことは相手の心を引き裂くことだと気付けたかもしれません。もし逆の立場だったなら、何でも出来ることをさせてほしいと湊も懇願したことでしょう。
しかし、もしかしたら美海が本当の幸せにたどり着くためには、必要な別れだったのかもしれません。そう思わされてしまうほど、幼なじみの琉晴の美海への愛は大きなものでした。
優しさから身を引いた湊と、美海のすべてを当たり前に受け入れた琉晴。人生の後半を琉晴と生きた美海が、穏やかな幸福に包まれていたことは疑う余地がありません。
一方、病から生を勝ち取った湊は、自分の夢を叶えるために、また仕事に猛進したのではないでしょうか。
美海には、どうしても沖縄のゆったりと流れる空気と光と風が必要だったのではないかと思えてなりません。
まとめ

(C)2025映画「366日」製作委員会
決してハッピーエンドとはいえないストーリーなのに、見終えた後はふんわりと温かなものが胸に残る秀作『366日』。バックに流れるHYの歌声にもグッとくることでしょう。
人生にとって必要ではない経験は何一つないことを、湊と美海に教えられます。二人で一緒に幸せになれなくても、二人でいた時間があったからこそ新たな幸せに出会えたこと。そのすべてを大事に抱きしめて生きればよいのだと、二人がスクリーンから語りかけているように思えてなりません。


































