ブルース・ウィリス主演。引退した元CIAエージェント達が大暴れするアクションムービー
ウォーレン・エリス&カリー・ハマーの同名グラフィック・ノベルを映画化した『RED レッド』。
(C)2010 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved
引退した元CIAエージェントのフランクは刺激のない年金生活を送っていました。
唯一の楽しみは年金事務所のサラとの電話で、サラと会う約束をしたその夜、フランクは何者かに暗殺されそうになります。
誰が何の目的で? フランクはかつての仲間と共に黒幕を探し、かつての古巣に侵入するのですが……。
ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレンの豪華共演によるアクションムービー。
映画『RED レッド』の作品情報
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【公開】
2011年(アメリカ)
【監督】
ロベルト・シュベンケ
【原作】
ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー
【キャスト】
ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレン、メアリー=ルイーズ・パーカー、カール・アーバン、リチャード・ドレイファス、ブライアン・コックス、アーネスト・ボーグナイン
【作品概要】
ウォーレン・エリス&カリー・ハマーの同名グラフィック・ノベルを『フライトプラン』(2006)のロベルト・シュベンケが映画化。
「RED」引退した危険人物(Retired Extremely Dangerous)たちを演じるのは、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレンの豪華キャスト陣。
彼らを追うCIAエージェント役に『スター・トレック』シリーズのカール・アーバンが出演。
映画『RED レッド』のあらすじとネタバレ
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元CIAのエージェントだったフランク。今は引退し、田舎でのんびり生活をしています。日常の楽しみは、年金事務所の電話担当サラと話すことでした。話すうちに互いに惹かれ合うようになった2人は、とうとう会う約束をします。
その夜、フランクの家に何者かが侵入し、フランクは殺されそうになります。工作員の勘で返り討ちにしたフランクは、そのままサラの元へ向かいます。
仕事から家に帰ってきたサラの目の前にフランクが現れます。驚くサラに対してフランクは冷静に状況を説明します。今すぐここを出ないと危ないとサラの荷造りをし、掃除までしたと言います。
状況を把握できずパニックになったサラを拘束して車にのせ、強引に連れ出します。こんな出会いは不本意ではなかったと説明するフランクに、「今話してくれれば警察に通報しないであげる」とサラは言いますが、フランクは「危険だ」と言い、CIAの元エージェントであることを明かします。
フランクは、かつての仕事仲間であるジョー・マシスンを訪ねます。癌を患ったジョーは、老人ホームで暮らしていました。ジョーに頼んで誰が自分を襲ったのか調べてもらいます。
フランクが出かけている間、モーテルのベッドに縛り付けられていたサラは、自力で抜け出し、通報します。しかし、フランクを含めたリストの人物に対する暗殺命令を受けたCIAのエージェント・ウィリアムが電話の履歴からサラに目をつけ、拘束するよう指示を出していました。
サラの通報でやってきた警官が、サラを車に連れ込もうとしていたところ、フランクが帰ってきてサラを助けます。次にフランクが向かったのは、電磁波が嫌いだという変わり者のマーヴィンの元でした。
かつての仲間たちが集まり、ニューヨークで女性の記者が殺され、そのリストが自分たちが載っている暗殺リストと同じもので、そのメンバーが1981年秋のグアテマラでの作戦に関わったものたちであることに気づきます。
映画『RED レッド』の感想と評価
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ウォーレン・エリス&カリー・ハマーの同名グラフィック・ノベルの映画化『RED レッド』。
ブルース・ウィリスをはじめ、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレンと豪華キャスト陣が「RED」(Retired Extremely Dangerous=引退した危険人物)を演じ、そのクセ者っぷりで楽しませてくれます。
引退したものの“普通の生活”がわからず、日々どうすれば良いのか困っていたフランク。そんなフランクにとって日々支えになっていたのは、電話の窓口のサラとの時間でした。
何かと理由をつけ電話をし、日常のことを話すうちに2人は惹かれ合います。しかし、そんな2人の初対面は最悪の形になってしまいます。やむを得ない事情があったとはいえ、家に不法に侵入し、サラの口をテープで塞いで拘束するのです。
最初はパニックになっていたサラでしたが、本気で逃げようと思えばいつでも逃げられたはずなのに、逃げようとはしませんでした。
フランクに恋をしているだけでなく、スパイ活動という非日常のスリルの虜になっているのです。
CIAのエージェントとして危険な業務に従事していたフランクは、恋をすることを避けていました。サラとの恋はフランクにとって初めての恋なのです。
現役顔負けの作戦とアクションを見せるREDメンバーの魅力が印象的な本作ですが、不器用なサラとフランクの関係性も大きな見どころといえます。一方で、大人な恋愛を感じさせるヴィクトリアとイヴァンの関係性も面白いところです。
更にフランクとクーパーの関係性も印象的です。クーパーの姿にフランクは、かつての自分を見出しています。優秀なエージェントだけれど、目の前のことに盲目になってしまうところがあり、組織のためと上の指示にただ従っていたクーパーの良心に訴えます。
今回の事件の背後にいたのは、軍事産業で稼ぐ大物ダニングであり、その指示の元でCIAが動いていたのでした。クーパーがフランクに手錠をかけた際に鍵を渡さなければ、フランクの命は危なかったかもしれません。
フランクが育てたエージェントが、クーパーの先生であることが2人の乱闘の中で明かされます。レジェンドであるフランクと若手のクーパーの対比、そして若手にも同等に戦えるフランクの凄さが際立っています。
そのように、アクションだけでなく、恋愛や、仲間との絆など人間関係にもきちんとドラマがあり、観客を飽きさせないエンタメ大作になっています。
まとめ
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引退して年金生活を送る元CIAのエージェントたち。しかし、危険な業務や、崩壊の危機を救ったという刺激や正義心は、いわゆる“普通の生活”では得られないものでしょう。
マーヴィンは常に警戒していますし、ヴィクトリアも刺激が欲しくて仕事を受けたりすると話しています。そんなREDメンバーが、命を狙われかつてのように工作活動を始めると途端に生き生きしていきます。
見応えのあるアクションシーンばかりですが、その中でもヘレン・ミレン演じるヴィクトリアのガンアクションは格好良くて魅力的です。また、キャラクターのクセの強さもありますが、戦闘では頼れる存在でもあるマーヴィンも良い役どころです。
ジョーは、皆のために囮になり作戦の途中で命を落としてしまいます。しかし、その別れが必要以上にシリアスなトーンで描かれないのは、仲間の死を見てきた、そして人も殺してきたエージェントたちという背景もあるのかもしれません。
そんな現役顔負けの引退したエージェントたちの中にいて、スパイとは程遠いサラの存在がコミカルさを誘います。
『RED レッド』の3年後に公開された『REDリターンズ』(2013)は、更にパワーアップしたアクションと、世界各地で暗躍するREDたちが楽しめる映画になっています。