Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アクション映画

Entry 2019/03/16
Update

高良健吾映画『多十郎殉愛記』あらすじと感想レビュー。名匠 中島貞夫の渾身の時代劇とは

  • Writer :
  • 村松健太郎

巨匠・中島貞夫監督が20年ぶりに完成させた映画『多十郎殉愛記』。
2019年4月12日(金)より全国ロードショー!

1960年代から活躍し、『木枯し紋次郎』『真田幸村の謀略』『極道の妻たち』などの作品を作り続けた中島貞夫が20年ぶり、84歳にして撮り上げた最新作がこの『多十郎殉愛記』。

時代劇というよりもチャンバラ、剣戟という言葉がピタリと来るこの映画の主演は『横道世之介』『シン・ゴジラ』の高良健吾。

共演に『トラさん』の多部未華子、『帝一の圀』の木村了、名バイプレイヤーの寺島進、『赤い雪』の永瀬正敏。

大阪芸術大学芸術学部映像科で中島監督と師弟関係にあった、熊切和嘉監督が監督補佐として巨匠を支えます。

スポンサーリンク

映画『多十郎殉愛記』の作品情報


©️『多十郎殉愛記』製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【脚本】
谷慶子

【脚本・監督】
中島貞夫

【監督補佐】
熊切和嘉

【キャスト】

【主題歌】
中孝介『Missing』

【作品概要】
「893愚連隊」や「狂った野獣」、または「極道の妻たち」シリーズなど、さまざまな代表作を生み出した日本映画界の伝説的存在である中島貞夫監督。20年ぶりとなる時代劇作品。

主人公の多十郎役を高良健吾が演じ、おとよ役を多部未華子が務めます。多十郎の腹違いの弟である数馬役を木村了が共演。

監督補佐には中島監督の秘蔵っ子で、『私の男』の熊切和嘉が参加しています。

映画『多十郎殉愛記』のキャラクター&キャスト

清川多十郎(高良健吾)
長州藩を脱藩し、今は長屋で浪人暮らしをする男。剣の腕は藩内でも屈指の使い手だった。

おとよ(多部未華子)
多十郎の住む長屋の大家の娘、わけありで出戻ってきた身。多十郎を密かに慕っている。

清川数馬(木村了)
多十郎の弟で、生真面目な性格。脱藩した兄は天下国家のために京都で動いていると思っている。

桂小五郎(永瀬正敏)
長州藩の勤王の志士をまとめ上げる実力者。新撰組や京都見廻組に追われている。

溝口蔵人(寺島進)
京都見廻組の指揮官。剣の達人。

スポンサーリンク

映画『多十郎殉愛記』のあらすじ


©️『多十郎殉愛記』製作委員会

ときは幕末、京都。

尊王攘夷、更には倒幕も狙う長州藩の志士たち。しかし追手はすぐそばにまで迫っています。

長州藩の指導者のひとり、桂小五郎を中心に集まって密かに会合を開きますが、そこに溝口蔵人率いる京都見廻組が急襲します。

なんとか桂を守って逃げ切った長州藩の志士たちですが、厳しくなる追手に対抗するためにある男を探し始めます。

その男こそ清川多十郎でした。

多十郎は他の志士と共に脱藩し京に上りましたが、それは溜まりに溜まった借財をうやむやにするためでした。

そして今では、町の一角の長屋で浪人暮らしをしていました。

剣の腕は一級品の多十郎に協力を求めるために、長州藩の志士たちが訪ねてきます。

しかし天下国家については興味がない多十郎は、協力するかどうかは金次第だと言って煙に巻きます。

一方で多十郎は、長屋の大家の娘のおとよが働く居酒屋で、馴染み客兼、用心棒のような生活を送っていました。

おとよは密かに多十郎に想いを寄せていて、あれこれと世話を焼いていました。

多十郎もそのことは薄々感じていましたが、本気にならないようにと煙に巻いています。

長州藩の志士たちと多十郎が接近したことで、多十郎もまた見廻組に追われる身になってしまいます。

さらに、兄を追って多十郎の弟・数馬が京都にやってきます。

故郷に帰るように数馬を説得する多十郎ですが、弟は聞く耳を持ちません。

やがて、見廻組の急襲を受けた多十郎と数馬。切り合いになる中で、数馬は目を切られてしまいます。

おとよに数馬を託した多十郎は一人、京の街中を走り回り追手を惹きつけ時間を稼ぎます。

のらりくらりと物事を交わして生きてきた多十郎が初めて命を懸けた戦いに向かうのですが…。

映画『多十郎殉愛記』の感想と評価


©️『多十郎殉愛記』製作委員会

中島貞夫ってだれ?

中島貞夫と言ってピンと来るのは、オールドファンと言ってもいいでしょう。

84歳にして現役の監督ではあるものの、新作は20年ぶり、21世紀に入ってからは一本も新作がなかったことになります。(脚本協力やテレビドラマなどはあります)

この20年間、この巨匠は映画祭のプロデューサーや、大学での後進の指導に当たってきました。

そんな大ベテランは、1950年代末に映画業界に入ります。

監督デビュー作『くノ一忍法』(1964)

助監督などの仕事で経験を積むと、1964年に『くノ一忍法』で監督デビューを飾ります。

その後、主に東映でいわゆるエログロものや、実録モノといったジャンル映画を撮り続けました。

若山富三郎、松方弘樹、千葉真一、菅原文太といった大スターを主演に迎え、松方主演の『893愚連隊』(1966)、千葉主演の『日本暗殺秘録』(1969)菅原主演『懲役太郎 まむしの兄弟』(1971)同じく『木枯し紋次郎』(1972)などを作ります。

多い時では年間で2~4本の索引を発表しつけました。

1980年代以降は「極道の妻たち」シリーズやテレビの仕事、また脚本を手掛けることも増えてきました。

今回、チャンバラ・剣劇復興を目指して『多十郎殉愛記』を創り上げましたが、実は監督作品の中には時代劇があまりないのも不思議な話です。

映画からテレビへと移行する時代に合わせてテレビドラマの監督や、脚本提供をなどをするようになってから時代劇を手掛けることが増えているようです。

かつてあったとされる日本映画の黄金期を知る監督のまさかの新作。

失礼な言い方になるかもしれませんが、次があるかもわからないので、この機会を是非つかんでください。

中島貞夫監督プロフィール


©️『多十郎殉愛記』製作委員会

中島貞夫は1934年8月8日、千葉県東金市生まれる。1944年の10歳の頃に父親をなくし、その後、通っていた都立日比谷高校時代は野球選手として活躍します。

1955年に東京大学文学部美学美術史学科に入学。後に脚本家と知られる倉本聰と「ギリシャ悲劇研究会」を結成。日比谷野外公会堂公演の演出を担当します。

大学卒業後、東映に入社。助監督時代はマキノ雅弘、沢島忠、田坂具隆、今井正に師事。

1964年に『くノ一忍法』で監督デビュー、京都市民映画祭新人監督賞受賞。

1967年よりフリーの監督として、やくざ、風俗、任侠、時代劇、文芸、喜劇などなど多種多様の作品を手がけるようになります。

代表作は1966年の『893 愚連隊』のほか、「まむしの兄弟」シリーズ、「木枯し紋次郎」シリーズ、「日本の首領」三部作、『真田幸村の謀略』(1979)、『序の舞』(1984/インド国際映画祭監督賞受賞)、『女帝 春日局』(1990)、「極道の妻たち」シリーズなど。

受賞には京都市文化功労賞(2001)、京都府文化功労賞(2002)、牧野省三賞(2006)など多数あります。

スポンサーリンク

まとめ


©️『多十郎殉愛記』製作委員会

本作『多十郎殉愛記』には、映画界のレジェンドである中島貞夫監督の熱い想いのために、中島監督が教壇に立っていた大阪芸術大学の教え子で、自身も映画監督である熊切和嘉が監督補佐を務めています。

彼を筆頭に映画制作に力のあるスタッフたちが集結しました。

あまり時代劇を見たことない人でも、この作品を観ればフレーム内に描かれた時代劇の美術や衣装に、深い味わいを感じるはずです。

また、それら優秀な映画スタッフたちが、中島監督を現場の中心におきながら、監督のやりたいことを実現させていきました。

それは84歳という年齢にも関わらず、殺陣の指導中に熱が入る、“中島貞夫という活動屋(映画人)”に魅せられたからです。

手に持っていた杖を剣に見立てて、“ちゃんばら(時代劇の呼び名)”指導していたという中島監督。「“ちゃんばら”を後世に伝えたい」という熱い想いを目の前でスタッフ陣は未来へと伝授されていたのいです。

また映画『多十郎殉愛記』という作品は、巨匠・伊藤大輔監督に贈られた“ちゃんばら”だという点にも注目をしてください。

なぜ、このような時代劇なのか。伊藤大輔監督を知っている映画ファンには納得の作品かもしれません。

映画『多十郎殉愛記』は、2019年4月12日(金)より全国ロードショー!

関連記事

アクション映画

映画『キャノンボール』ネタバレあらすじと感想。日本人役のジャッキーとマイケルホイを筆頭にバート・レイノルズが君臨!

不朽の人気を誇る、お気楽ロードレース・コメディ映画! かつて香港を代表する映画会社であったショウ・ブラザース。そこを離れたレイモンド・チョウらが設立した映画会社ゴールデン・ハーベストです。 彼らはカン …

アクション映画

映画『イコライザー2』あらすじネタバレと感想。ラスト結末の評価【キャストはデンゼルワシントンが再び続投】

前作『イコライザー』(2014)から4年ぶりの続編。 昼はタクシードライバー、夜には19秒で悪を倒す元CIAエージェント“仕事請負人=イコライザー”。そんな2面性を持つ魅力的なキャラクターが繰り広げる …

アクション映画

映画『太陽は動かない』ネタバレ感想とラスト結末の解説。藤原竜也×竹内涼真が小説のイメージ通りに産業スパイを熱演

明日の事は考えなくていい。 一日一日を生きるだけ。今を生きろ! 吉田修一のスパイアクション小説『太陽は動かない』『森は知っている』の「鷹野一彦シリーズ」を原作に、羽住英一郎監督が映画化。 秘密組織「A …

アクション映画

香港映画『無敵のドラゴン』ネタバレあらすじと感想。ラスト結末に迎える衝撃と型破りな展開とは⁈

マックス・チャン主演による異色のサスペンスアクション『無敵のドラゴン』 心にトラウマを抱えた刑事が、連続殺人事件に挑む、アクション映画『無敵のドラゴン』。 『パシフィック・リム アップライジング』「イ …

アクション映画

映画ミッドウェイ(2020)考察|太平洋戦争の真実を描く海戦描写と見どころ必見3点を深堀り紹介!

映画『ミッドウェイ』は2020年9月11日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー 太平洋戦争の転機となった激戦、ミッドウェイ海戦。何度も映画化された題材です。 その戦いを開戦前から真珠湾 …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学