連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第234回
これまで犯罪組織、悪徳警官、巨大ザメなど数々の強敵と戦ってきた無敵のヒーロー、ジェイソン・ステイサムが新たな強敵と戦う痛快リベンジアクション『ビーキーパー』。
映画『ビーキーパー』は、2025年1月3日(金)より全国公開されます。
ジェイソン・ステイサムが今回立ち向かうのは、弱者から金をだまし取る地上最悪の組織的詐欺集団。
卑怯な詐欺集団に全財産をだまし取られた老婦人のため、そして世界の秩序を守るため、元秘密部隊組織“ビーキーパー(養蜂家)”だった彼が怒りの炎を燃やして行動に移します。
映画公開に先駆けて、『ビーキーパー』をご紹介します。
映画『ビーキーパー』の作品情報
【日本公開】
2025年(アメリカ・イギリス合作映画)
【英題】
THE BEEKEEPER
【監督】
デヴィッド・エアー
【脚本】
カート・ウィマー
【キャスト】
ジェイソン・ステイサム、ジョシュ・ハッチャーソン、ジェレミー・アイアンズ
【作品概要】
本作は、主演のジェイソン・ステイサムと『スーサイド・スクワッド』(2016)のデビッド・エアー監督がタッグを組んだリベンジアクションです。
養蜂家として田舎町で静かに暮らしていた主人公が、懇意にしていた恩⼈を死に追いやったフィッシング詐欺集団へ復讐を果たすべく、あくどい奴らに立ち向かいます。その過程でビル崩壊や殺人などの罪を犯し、警察やFBIから指名手配もされますが、襲いかかる強敵たちを次々に叩きのめしていきます。
主人公の養蜂家をジェイソン・ステイサム、詐欺集団の元締めである実業家デレクをジョシュ・ハッチャーソンが演じています。
映画『ビーキーパー』のあらすじ
アメリカの片田舎でビーキーパー(養蜂家)として隠遁生活を送る謎めいた男アダム・クレイ。
ある日、彼に納屋を貸して懇意にしていた善良な老婦人がフィッシング詐欺に遭って全財産をだまし取られました。彼女は、絶望のあまり自ら命を絶ってしまいます。
その事実を知ったクレイは、怒りに燃えて社会の害悪を排除するべく立ちあがりました。
実はアダム・クレイは、かつて世界最強の秘密組織と言われる「ビーキーパー」の一員だったのです。彼は、独自の情報網を駆使して詐欺グループのアジトを突き止め、単身乗り込んだ末にビルごと爆破しました。
爆破事件を起こしたことで、警察やFBIから指名手配を受けますが、そんなことにはお構いなしに事件の黒幕に迫ります。
事態はFBIやCIA、傭兵部隊や元同業者まで入り乱れ、激しい闘争へと発展していきます……。
映画『ビーキーパー』の感想と評価
冒頭は養蜂家が蜜蜂を飼育するシーンから始まります。蜜蜂が好きだからと養蜂し、ハチミツを生産し、のどかに暮らす1人の養蜂家。しかしアダム・クレイというこの養蜂家は只者ではありませんでした。
強面で謎めいたアダム・クレイのことを気にかけ、何かと親切にしていた老婦人が、パソコンからフィッシング詐欺に引っかかり、全財産を騙し取られました。
自責の念にかられた老婦人は自ら命をたち、アダム・クレイは「弱い者から金を騙し取るな」と怒り心頭! ここからアダム・クレイのかつての職業が観客にも判明し、彼の復讐劇が始まります。
インチキソフトをパソコンにインストールさせて遠隔操作を行い、騙して銀行口座の暗証番号を入力させて全口座から預金を送金する詐欺師たちの手口が映し出され、腹立たしくなってきます。
パソコンに映し出される預金残高がみるみる減って行き0になるシーンは、観る者も怖ろしくなることでしょう。
こんな恐ろしい詐欺師たちを逮捕することは出来ないのでしょうか。なぜか、彼らは法律の隙間をうまくすり抜けているのです。知能犯に対する防衛策が求められます。
ところで、ビーキーパーとは養蜂家のことですが、本作では別の組織を意味しています。
蜜蜂社会を人間界になぞって名付けられた組織「ビーキーパー」。それは、警察など法律や治安を遵守する組織の指揮系統を潤滑に継続させる体制を守る秘密組織だったのです。
大勢の働き蜂が働いて一匹の女王蜂が君臨する王国を築く蜜蜂社会は、確かにとても人間社会と似ています。時にはこの女王蜂に背く異端児も出現するという事実もそっくりです。
果たしてビーキーパーであるアダム・クレイのアクションと正義は、どんな結末を迎えるのでしょうか。
ジェイソン・ステイサムが、キレまくるアダム・クレイを見事に演じています。切れ切れのアクションにスカッとすることでしょう。
まとめ
無敵のヒーローを演じ続けるジェイソン・ステイサム。今回の敵は、フィッシング詐欺グループとその背後にいる黒幕、そして犯罪者となったジェイソン・ステイサムを追うFBIたちです。
法を犯した者が犯罪者と言うのなら、違法と知りながら見て見ぬふりをし保身に走る輩は犯罪者ではないのでしょうか。
蜜蜂の生態系を擬人化した組織「ビーキーパー」の元構成員だった主人公の怒りは頂点に達し、人が定めた「法律」か、人が求める「正義」か、どちらが真の正義だと問いかけてきます。
本作は目も覚めるようなジェイソン・ステイサムのアクションも痛快で、社会の悪に対するモヤモヤした感情も吹っ飛ぶことでしょう。来年の映画公開をお楽しみに!
映画『ビーキーパー』は、2025年1月3日(金)より全国公開!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。