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Entry 2024/06/29
Update

【11話ネタバレ/忘却バッテリー】アニメ感想評価。大きな壁を前に立ちすくむ千早を救い出してくれた存在とは⁈

  • Writer :
  • 谷川裕美子

千早が大きな一歩を踏み出す第11話

「少年ジャンプ+」にて連載中の、みかわ絵子による大人気高校野球漫画をテレビアニメ化した『忘却バッテリー』。

完全無欠の豪腕投手の清峰葉流火と、記憶喪失となった元・切れ者キャッチャーの要圭を主人公に、ひたむきな若者たちの姿を熱く描きます。

前話第10話では、智将・要圭はあっという間にアホ圭に戻ってしまいました。今回、圭はまた智将として復活するのでしょうか。

また、因縁のある元同級生と再会した千早は、過去の傷を乗り越えられるのでしょうか。見どころ満載の第11話をご紹介します。


アニメ『忘却バッテリー』の作品情報

【放送】
2024年(日本アニメ)

【原作】
みかわ絵子

【監督】
中園真登

【制作】
MAPPA

【キャスト】
増田俊樹、宮野真守、阿座上洋平、島﨑信長、梶裕貴、山谷祥生、大塚剛央、石井マーク、河西健吾

【作品概要】
みかわ絵子・原作の大人気高校野球漫画をテレビアニメ化。

中学時代に名を馳せた豪腕投手の清峰葉流火と、記憶喪失となった元・切れ者キャッチャーの要圭を主人公に、なぜか野球無名校である都立高校に進学したふたりが、同じく野球から遠ざかっていた天才たちとともに、再び野球に向き合っていく姿を熱く描きます。

主人公を増田俊樹、宮野真守が演じるほか、阿座上洋平、島﨑信長、梶裕貴らがメインキャストを担当。

アニメ『忘却バッテリー』第11話のあらすじとネタバレ

小手指高校は1点を先取したものの、圭は智将モードからアホに戻ってしまいました。その事実に葉流火は動揺し、流れが悪くなっていきます。やがてミスも重なり、すぐに氷河に逆転されてしまいました。

そんな中、「壁からは逃げられない」という過去に監督からかけられた言葉を、千早は思い出していました。

ベンチの雰囲気も悪くなる中、圭は葉流火のこれまでの優しさを誉め、空気を和ませます。

圭は、千早の顔が曇っていることにいち早く気づき、敵のピッチャーの巻田と何かあったかと尋ねますが、千早は自分の問題だからと言って話そうとしませんでした。

7回のチャンスで打席に立った千早は、すぐに打ち取られてしまいます。「ドチビの非力じゃ俺の球は飛ばせねえ」巻田の勝ち誇った声が、千早の胸を抉りました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアにはアニメ『忘却バッテリー』第11話ネタバレ・結末の記載がございます。アニメ『忘却バッテリー』第11話をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

中学時代の千早は自分の小柄な体を気に病み、体重だけでも増やそうと無理矢理食べていましたが、結局吐いてしまっていました。知識を増やし、頭を使って食らいついていましたが、葉流火と圭の最強バッテリーに出会った時に己の無力さを痛感します。

さらに努力を続けていく千早でしたが、思わず呟いた「いいなぁ」のひと言から自分が周りに嫉妬を抱いていることに気づかされ、心が折れて野球をやめてしまいました。

9回表の打席に立ちながら、どうして自分はまた野球をやっているのだろうかと悩み続ける千早。彼は挑むことを決心し、大振りして空振りします。

「壁は壊せる!」と意気込む千早を見て、彼の元チームメイトの氷河の選手は「千早は肝心な場面では自分しか信じていなかった」と語ります。

次の打順の圭を信用できない千早は、自分で勝負をつけねばならないと考えていました。やっと勝負に乗ってくれた千早を見て、投手の巻田は嬉しそうな顔をしています。

しかし、「圭は変わってしまったが、変わったのは自分も一緒だ」と気づいた千早は、天才たちの努力を「いいなぁ」のひと言で無下にしてきた己を深く恥じました。

野球は時間の無駄だと言い続けてきたのは、全力でやっても報われないのがこわくて逃げ出しただけ。「俺は嘘つきだ」と千早は認めました。彼はただ野球がやりたかったのです。

千早の元チームメイトは、監督が言っていた「壁」とは千早のフィジカルの問題ではなく、他人への信頼かもしれないと呟きます。

「みんなと一緒に勝利したい。」そう心から思えた千早は強引にヒットを狙うことなく、フォアボールを選んで打順を圭に繋ぎました。

アニメ『忘却バッテリー』第11話の感想と評価

前回、智将モードからすっかりアホに戻ってしまった圭。結論からいうと、今回第11話でも圭はアホのままでした。その落差のすごさに、小手指ナイン同様驚かされます。

しかし、アホ圭になってはいるものの、元凶の葉流火の心をほぐしてベンチの空気を和ませたり、千早の顔が曇っていることにすぐに気づいたりと智将の片鱗が見え隠れします。もしかすると、前回智将・要圭が目覚めた時に、何かが彼の精神に影響を与えたのかもしれないと期待させられます。

一方、千早は過去に監督から突きつけられた、決して逃げられない「壁」の存在に苦しめられていました。小柄であることをコンプレックスに感じていた彼は、本当の気持ちに蓋をして一度は野球を離れた経験を持っています。

「野球なんて時間の無駄だ」と自分に嘘をつき続けてきた千早の悲しみ。周囲を見て思わずもらした「いいなぁ」という言葉により、周囲に対する自分の嫉妬心に気づいたことが原因でした。しかし、羨む者たちの努力を無下にしてきた自分の愚かさに気づいた千早は、猛烈な羞恥心を抱き猛省します。

「壁」は千早の小柄な体のことではなく、仲間への信頼でした。かつて千早の心を絶望の底に叩き落としたのは、圭と葉流火の天才バッテリーでしたが、千早を救い出したのもまたこの二人の存在でした。天才たちの日々積み重ねている努力や、天才とアホを行き来する圭の姿が、千早の頑なな心をいつの間にか溶かしていたのです。

自分だけの力で無理に勝負を決めようとせず、フォアボールを選んで圭に打順を回した千早彼は、大きな壁を初めて乗り越えたのでした。

次回、圭は千早の思いを受け取って、逆転の一打を打つことができるのでしょうか。また、消えてなくなったかに見える智将が復活する日は来るのでしょうか。何をしてくれるかまったく読めない圭ですが、本当はやればできる男です。思わず期待してしまいます。

まとめ

小手指高校で出会った仲間達を「信じる」力で、大きな壁を乗り越えた千早大きな才能を持つ彼の、これからのさらなる活躍が楽しみです。

彼が信じて打順を繋いだのは、アホモードに切り替わった圭でした。次回、強豪・氷河高校との勝負の決着がつきます。果たして、圭は期待に応えてくれるのでしょうか。

普通のスポ根アニメとは一線を画す作品と知りつつも、つい応援してしまいます。次回を楽しみに待ちましょう。





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