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【ネタバレ】ウイッシュ|あらすじ感想と結末の評価解説。ディズニー100周年を飾る“願いの力”をめぐる物語とは⁈

  • Writer :
  • もりのちこ

この願い、あきらめることはない!
ディズニー100周年の集大成が誕生。

ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年を記念して製作された長編アニメーション映画『ウイッシュ』。

新たなヒロイン・アーシャの「願い」をめぐる奮闘の物語です。

「どんな願いも叶う」と言われているロサス王国。人々は魔法の力を操るマグニフィコ王のもと、願いが叶う瞬間を夢見て暮らしていました。

17歳の少女アーシャの願いは、100歳になる祖父の願いが叶うこと。願いを叶えるべく、お城で働くことになったアーシャは、衝撃の真実を知ってしまいます。

すべての願いは、王によって支配されていたこと。そして、叶えられることのない人々の「願い」が、お城に閉じ込められていたことを。すべての「願い」を解放しなければ!

願いの力がアーシャを強くする。アーシャと仲間たちは、皆の願いを取り戻すことができるのか。映画『ウイッシュ』を紹介します。

映画『ウイッシュ』の作品情報

【日本公開】
2023年(アメリカ映画)

【原題】
Wish

【監督】
クリス・バック/ファウン・ビーラスンソーン

【脚本】
ジェニファー・リー

【音楽】
ジュリア・マイケルズ

【キャスト】
アリアナ・デボーズ、クリス・パイン、アラン・テュディック

【日本語吹替キャスト】
生田絵梨花、福山雅治、山寺宏一、檀れい、鹿賀丈史、大平あひる、蒼井翔太、青野紗穂、落合福嗣、岡本信彦、宮里駿、竹達彩奈

【作品概要】
ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年記念作品。ディズニーの歴史の集大成となる新たな物語『ウイッシュ』は、ドラマティック・ミュージカルとなっています。

監督は「アナと雪の女王」シリーズのクリス・バックと、アナ雪をはじめ『ズートピア』(2016)などでストーリーアーティストを務めたファウン・ビーラスンソーン。

脚本は、ディズニー・アニメーション・スタジオのクリエイティブ・オフィサーでもあるジェニファー・リーが担当。劇中楽曲は、ジャスティン・ビーバー、エド・シーランなど世界のトップスターに楽曲を提供しているジュリア・マイケルズが担当しています。

ヒロイン・アーシャの声優には、『ウエスト・サイド・ストーリー』(20219でアカデミー助演女優賞受賞したアリアナ・デボーズ。日本語吹替版では「元乃木坂48」で映画やドラマ出演の他にも、本格ミュージカルにも出演が続く生田絵梨花が担当しています。

また吹替版では、悪役となるマグニフィコ王役を福山雅治が演じています。

映画『ウイッシュ』のあらすじとネタバレ

「魔法の力で、人々の願いを叶える」というマグニフィコ王が統治するロサス王国は、今日も観光客で賑わうほど人気の町です。

この町に住む、17歳の少女アーシャにも願い事がありました。それは、12歳の時に亡くなった父の代わって自分を育ててくれた祖父・サバの願いが叶うことです。

18歳になった住民は、マグニフィコ王に願いを捧げます。その願いは、いつか叶えられる時まで本人の記憶から消されてしまいますが、人々はその願いが叶うことを信じ暮らしていました。

サバはまもなく100歳の誕生日を迎えます。どうしても願いを叶えてあげたいアーシャは、城の使用人の試験を受けることに。

マグニフィコ王に気に入られたアーシャは、人々の願いが集められた部屋へ案内されます。そこには、多くの願いが球体となりプカプカと浮かんでいました。

その中から、サバの願いを見つけ出したアーシャ。サバの願いは「自分の音楽で若者の心を動かすこと」でした。「なんて素敵な願いなの」アーシャは、マグニフィコ王にサバの願いを叶えてほしいとお願いします。

しかしマグニフィコ王は、サバの願いは危険すぎるという理由で、アーシャの願いを退けます。コネを使おうとした自分に落ち込むアーシャに、王はさらなる秘密を打ち明けます。

「ここにある願いは、叶えられないものばかりだ。私は保管しているだけなのだから」……マグニフィコ王は、人々の願いを集めては忘れさせ、どの願いを叶えるかは王次第、願いを返すこともなかったのです。

真実を知ったアーシャは、悲しみにひしがれます。「人々の願いは王だけのものではないはず」と反抗するも、城を追い出されてしまいます。

祖父や母に打ち明けるも、信じてもらえないアーシャ。家を飛び出し、夜のお星さまに願います。天文学者だった父と見上げた星空が思い出されます。

すると、ひとつの星が光を放ち動き出します。愛にあふれた光は森に降り注ぎ、動物たちがしゃべり始めます。魔法の力を持った願い星のスターは「誰もがみんなスターなんだ」と語ります。

相棒の子ヤギのバレンティノもしゃべりだします。そして「一緒に、王の元から皆の願いを盗もう!」と提案するのでした。

以下、『ウイッシュ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ウイッシュ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

アーシャとスターは仲間の協力もあり、秘密の通路を通ってお城へ侵入することに成功。

願いの部屋で、サバと母の願いを見つけたアーシャでしたが、侵入に気づいたマグニフィコ王が迫ってきます。どうにか脱出したアーシャは、願いを二人に返します。

「わしの一部が戻ってきたようじゃ」と幸福感に満たされるサバ。そこに、マグニフィコ王がやってきます。

王はアーシャの母の願いを取り上げ、目の前で砕いてしまいました。見る見る体調を崩す母。アーシャたちは、どうにか二人を町の外れに避難させました。

マグニフィコ王は、願いを自分の中に取り込むことで凄まじいパワーが生まれることを発見。とうとう、禁じられた書に手を出してしまいます。

町の人々を集めたマグニフィコ王は「裏切者アーシャたちの情報を提供した者の願いを叶えよう」と宣言。アーシャの仲間のサイモンの願いを利用し、悪者に変えてしまいました。

悪化するマグニフィコ王の様子に、アマヤ王妃は不満を募らせていました。そんな王妃のもとに、アーシャから伝言が届きます。その伝言は「森でアーシャを見かけた」という情報を、マグニフィコ王に伝えるというものでした。

森では、スターから魔法の杖を授かったアーシャが囮となり、王をおびき寄せる。そして王のいない城で、王妃と仲間たちが願いの部屋の天窓を開けることで願いたちを解放し、スターの魔法で皆のもとへ返すという作戦でした。

アーシャとマグニフィコ王の戦いの時です。使い慣れない魔法の杖は、何が飛び出すかわかりません。最後には杖を折られ、追い詰められるアーシャ。

しかしそこに現れたのは、王の姿をしたサイモンでした。アーシャの作戦は王に読まれていたのです。どうにか城へと引き返すアーシャ。

マグニフィコ王は願いを全部吸収し、闇の力の中にスターを閉じ込めようとしていました。空は曇り星が消えていきます。希望も光もない世界。「お前たちは何者でもないのだ」……王の言葉に、人々の心も沈んでいきます。

「違う!私たちはスターよ!」アーシャの必死な願いの力が、人々の目を覚まさせます。「この願い、あきらめることは、ない!」立ち上がる民衆。

輝きを取り戻した願いたちが、スターに力を与えます。はじけ飛ぶ闇の世界。願いがそれぞれの持ち主のもとへ返っていきます。

「願いは自分で叶えるもの」力を封じ込められた王は、鏡の中に閉じ込められました。

その後、ロサス王国はアマヤ王妃の手によって、皆が願いを叶えるために協力し合える素敵な王国へと生まれ変わりました。

アーシャは、魔法を使える「フェアリーゴットファーザー」に任命されます。スターから授かった魔法の杖を使いこなせるようになるまでは、まだまだのようですが。

そしてスターは、他の誰かの願いを受け取るため、旅立っていきました。皆はスターへの恩返しをしたいと考えました。

アーシャは答えます。「ただ願い続けることよ」と。

映画『ウイッシュ』の感想と評価

長きにわたり、私たちに夢と希望を与え続けてくれたディズニーが創立100周年を迎えました。子どもから大人まで楽しめるディズニー作品は、今なお世界中の多くの人に愛されています。

100周年を記念する作品として誕生した『ウイッシュ』は、人々の「願い」が持つ力をテーマに、星の子スターが繰り出す魔法や、悪に立ち向かう少女アーシャの勇気など、これまでのディズニーが育んできた歴史がぎゅっと詰め込まれた作品となっています。

ヒロインのアーシャは、心優しいおてんば娘。彼女の願いは「亡き父に代わって自身を育ててくれ、100歳の誕生日を迎える祖父の願いを叶えること」であり、王に奪われた「願い」を人々に返そうと星に願います。

自分のことよりも、他者のために願うアーシャの綺麗な心。自分のことばかり考えてしまう自分が、恥ずかしくなってしまいます。

アーシャの想いに応えて現れる星の子スターは、クルクルと光を放ちながら飛び回る、とても可愛らしいキャラクター。スターの魔法で動物たちはしゃべり出し、皆の心がひとつになっていきます。

マグニフィコ王との戦いでは、闇に閉じ込められてしまうスター。願いが消えてしまう悲しみの中で、アーシャの歌で町の人々が立ち上がり、スターを助け出すシーンは感動で涙があふれました。

「願い」が戻ってきた人々は笑顔を取り戻し、心も明るく希望に満ち溢れています。願い続けることが、人生でいかに大切なことなのか教えられました。世の中を明るく幸せにするための願いであふれる、そんな世界になれば良いですね。

日本語吹替版でアーシャ役を演じた生田絵梨花が、見事にアーシャそのもの。劇中歌『ウイッシュ~この願い~』を力強く感情いっぱいに歌い上げ、とても心に響きました

声優では他に、悪役マグニフィコ王を演じた福山雅治が印象的でした。悪役にしては良い声過ぎる感もありましたが、歌のシーンは迫力満点。思わず、聞き入ってしまいました。

さらに本作はディズニー100周年の記念作品とあって、これまでのディズニーアニメ作品へのオマージュが、あちこちにちりばめられています

物語の始まりが絵本を開くところからスタートする演出は、ディズニーのアニメーション映画『白雪姫』『シンデレラ』など多くの作品で使われています。

また魔法でしゃべり出す子ヤギのバレンティノも、「アナ雪」のオラフのようなおしゃべり大好きキャラ。星の子スターのハート型の顔も、どこかミッキーマウスを彷彿とさせます。

ちなみにクリス・バック監督は、「オマージュは100個以上ある」と明かしているとのこと。どのシーンにどんなオマージュが隠されているのか、探してみるのも楽しいかもしれません。

まとめ

ディズニー100周年記念作品にして、新たなヒロイン・アーシャの「願い」の物語『ウイッシュ』を紹介しました。

他人のために願うことができる心優しいヒロイン・アーシャと、魔法で願いを叶えるためにやってきた星の子スター。新たに魅力的なキャラクターが、ディズニーに仲間入りしました。

これまでディズニーが育んできたすべての要素が詰まった本作は、願いをあきらめない心、願い続けることの大切さを感じられる作品となっています。

願いがこめられた劇中歌にも注目です。「願いの力」だけじゃない、「歌の力」も感じてみてはいかがでしょうか



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