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Netflixドラマ『イクサガミ』小説原作ネタバレあらすじと感想評価。実写で岡田准一×藤井道人監督が今村翔吾のバトロワ時代小説を活写

  • Writer :
  • 星野しげみ

今村翔吾「イクサガミ」シリーズ(講談社文庫刊)がNetflixで実写化!

「イクサガミ」シリーズ(講談社文庫刊)は、第166回直木賞をはじめ数々の賞を受賞してきた作家・今村翔吾が、武士政権の終焉を迎えた明治を舞台に描いたエンタメ時代小説。

このたび、「イクサガミ」シリーズのNetflixでの実写化が決定。監督は藤井道人が務め、主演・アクションプランナーの岡田准一がプロデューサーにも初挑戦しました。

明治11年、莫大な賞金を得る機会を与えられた腕に覚えのある志士292名は、京都の天龍寺に集まり《こどく》という名の「遊び」に参加。それは各自に配られた木札を奪い合い、東京に辿り着いた者には賞金を与えるというデスゲームでした。

主人公・嵯峨愁二郎も病気の妻子を救うために「遊び」に参加。そこで知り合った少女・双葉とともに、東京を目指す危険な旅に出ます。

ドラマ公開に先駆けて、小説『イクサガミ(天・地)』をネタバレありでご紹介します。

小説『イクサガミ(天・地)』の主な登場人物

【嵯峨愁二郎(さがしゅうじろう)】
病気の妻子を救うため《こどく》に参加。「京八流」後継者の一人。

【香月双葉(かつきふたば)】
病気の母を救うため《こどく》に参加。愁二郎と行動をともにする。

【柘植響陣(つげきょうじん)】
《こどく》参加者。愁二郎と双葉の頼もしい協力者。

【化野四蔵(あだしのしくら)】
愁二郎の義兄弟の一人で、「京八流」後継者の一人。

【衣笠彩八(きぬがさいろは)】
愁二郎の義兄弟の一人で、「京八流」後継者の一人。

【祇園三助(ぎおんさんすけ)】
愁二郎の義兄弟の一人で、「京八流」後継者の一人。

【寛地谷無骨(かんじやぶこつ)】
《こどく》参加者。冷酷な殺し屋。

【岡部幻刀斎(おかべげんとうさい)】
「朧流」継承者。「京八流」継承者に匹敵する実力者。

小説『イクサガミ(天・地)』のあらすじとネタバレ


(C)今村翔吾/講談社

「天」編

明治11年・京都の天龍寺。金10万円の大金を得るチャンスを与えるとの怪文書によって、腕に覚えのある強者たちがぞくぞくと集まってきました。

幕末に刺客「刻舟」として暗躍した28歳の嵯峨愁二郎は病身の妻子のため、半信半疑ながらも天龍寺に足を運ぶと、そこには見るからに腕のたちそうな男をはじめ、老人や女性までもいます。その数は総勢292人。

そこで告げられたのは《こどく》の開始と、七つの奇妙な掟でした。

《こどく》は、番号と点数が書かれた木札を一人ひとりに配った上で、参加者は木札を奪い合って持ち点数を獲得しながら、東海道を辿って東京を目指すという「遊び」です。

天龍寺んp総門、東海道の伊勢国関、三河国池鯉鮒、遠江国浜松、駿河国島田、相模国箱根、武蔵国品川の7ヶ所は必ず通らなくてはならないほか、各所に設定されたノルマの持ち点数を達成できていない場合には通行を許されません。

各自に配られた木札は、1枚につき1点を意味します。点数を稼ぐ手段は、ただ一つ。手段を問わず、奪い合うこと。そして《こどく》の離脱者に待っているのは、主催者側による処罰です。

目的地に着くまでは木札の奪い合い、つまり殺し合いをし続けならない《こどく》ですが、合計点数によって9人までは生き残れます。ゲーム開始の合図と同時に、あちこちでさっそく殺し合いが始まりました。

愁二郎は近くに12歳ぐらいの少女がいるのを見つけ、さっそくに餌食にされそうになったところを助けます。少女の名は双葉。病気の母のため《こどく》に参加したと言います。

自分の命も顧みず《こどく》に参加してしまった双葉を守りながら、東京を目指すことにした愁二郎。斬りかかってきた男を気絶させ、木札を1枚奪いました。

そして天龍寺を抜ける時には、愁二郎と双葉の様子を見ていた柘植響陣が、自身が獲得した木札を1枚双葉に渡してくれました。

二人は無事に天龍寺を脱出して東京を目指しますが、道を進むうちにも木札を求めて強敵たちが立ちはだかります。が、愁二郎は強い!双葉は何人もの敵を倒す愁二郎の剣術に驚きます。

実は愁二郎は、15歳の時に鞍馬で「京八流」という最古の剣術の奥義を極める修業を積んでいました。8人の弟子にそれぞれの極意を分けて教える「京八流」にて、弟子たちは義兄弟とも呼べる仲。義兄弟たちの姓は京都の地名、名は1〜8の数字に由来しています。

普通ならそのまま8人の義兄弟が継承者となるはずですが、あくまで「京八流」の継承者はただ一人。《こどく》同様に8人の義兄弟が殺し合い、最後の一人だけが継承者を名乗れるのです。

愁二郎は義兄弟たちと戦うのが嫌で、継承戦の前夜に鞍馬から逃げ出したと双葉に告げました。

愁二郎はその後《こどく》参加者の中に、義兄弟たちも混じっているという情報も掴みました。継承戦の前夜に逃げ出した愁二郎は、義兄弟たちにとっても裏切り者であり、《こどく》に乗じて命を狙っていることに間違いありません。

やがて「京八流」の義兄弟である化野四蔵・衣笠彩八が姿を現し、愁二郎の命と木札を狙いますが、愁二郎はうまく逃げ延びます。しかし何度目かの逃亡の時に、双葉が攫われてしまいました。

双葉を攫ったのは、義弟の祇園三助。13年ぶりに会い、10代だった義兄弟たちも世間の荒波にもまれ顔つきも変わったりしていますが、昼夜を問わず厳しい訓練を乗り越えてきた義兄弟たちを愁二郎は忘れるはずがありません。

やっと祇園三助を見つけ出し、双葉を救出した愁二郎。そこで三助から、当時の義兄弟たちのその後の消息を聞くことができました。

そして「京八流」継承者をつけ狙う、恐るべき実力を持つ「朧流」継承者・岡部幻刀斎も《こどく》に参加しており、「京八流」の修業を受けた8人を殺そうとしていることが分かりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには小説『イクサガミ(天・地)』ネタバレ・結末の記載がございます。小説『イクサガミ(天・地)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)今村翔吾/講談社

「地」編

義兄弟たちと戦いたくない愁二郎に反し、祇園三助・化野四蔵・衣笠彩八は《こどく》の掟もあり、殺し合いを始めようとしますが、そこへ幻刀斎がやって来ました。

幻刀斎の出現に、仕方なく双葉を連れて皆で逃げることにした一行。三河国池鯉鮒宿を目指して二手に分かれて逃げたのですが、幻刀斎の手によって三助が命を落とします。

その後、愁二郎たち義兄弟と双葉、そして天龍寺を出た時から好意的で何度も窮地を助けてくれた響陣は、東京まで無事に行けるように同盟を組むことにしました。

《こどく》主催者側の手際のよい連絡手段について、愁二郎は郵便局の電報だと気がつきます。と同時に、主催者側はとんでもない国の大物が絡んでいるのではないかと危惧します。

愁二郎は、幕末の戊辰戦争の際には薩摩で知り合った大久保利通に助力を乞われたこともあり、大久保に《こどく》のことを知らせようとしました。

また愁二郎は郵便配達員をしていたこともあり、「日本近代郵便の父」こと前島密に秘かに電報を打って浜松郵便局で前島と面会を。前島に《こどく》の話をすると、さすがに彼も驚き、政府の警視局の中に《こどく》に関わっている者がいるのは明らかだと言います。

暗号に詳しい響陣が、前島側で秘かに手に入れた暗号文を読み解くと、3つの恐ろしい情報が判明しました。

1つは、《こどく》の黒幕が警視局長・川路利良であること。2つは、川路局長は大久保暗殺を企んでいること。そして3つは、間もなく警視局と静岡県庁第四課が浜松郵便局へ乗り込んでくること。

情報の判明とほぼ同時に「前島局長が謀反を起こした」という偽情報に踊らされた第四課が郵便局に乗り込んできました。そこから警視局と駅逓局の戦いが始まります。

愁二郎たちは襲ってきた第四課の警官たちから逃げながら郵便局の執務室へ入り、前島が内務卿・大久保利通へ直接「カワジケイシキョク ムホン バンゼンヲキサレタシ ワレイソギモドル」と電報を打ちました。

サーベルや日本刀を手に押し寄せる警官たちを切り倒し、銃兵には銃で応戦し、執務室は激しい戦場と化します。そこへ飛び入り参加したのは、愁二郎たちを付け狙う寛地谷無骨。愁二郎たちは戦いながら、何人かに別れて東京で落ち合うことにしました。

彩八に双葉を任せた愁二郎は無骨と戦いますが、無骨の右目が見えていないことに気が付きます。それでも苦戦を強いられていたところ、仲間の一人に助けられ、無事に無骨の魔の手から逃げることができました。

その頃、前島からの電報を受け取った大久保は、川路の謀反を知り絶句します。帝が急病という知らせを受け、手薄の護衛で馬車に乗り込みます。これまでの川路とのことを思い浮かべながら、馬車に揺られていた時、曲者たちに取り囲まれてしまいました。

これまでかと思った時、助っ人が現れて助けてくれました。その助っ人こそ「嵯峨刻舟(愁二郎)の義弟」と名乗った化野四蔵でした。

四蔵は曲者たちを倒していきますが、そこへ「人斬り半次郎」こと桐野利秋が現れ、大久保を斬ろうとします。

四蔵は桐野と一騎打ちを試み、その間に大久保を逃がしましたが、「まもなく軍が来る」と口にした桐野は戦いをやめ、退くと告げました。そして、四蔵が東京に入れるだけの点数を持っていることを確認すると、戦いはまたにしようと言います。

清水谷を通る予定の大久保を待ち伏せする輩もいると知り、焦る四蔵をその場に残し、桐野は振り返ることなく黄金の煙の中に溶け込んでいきました。

小説『イクサガミ(天・地)』の感想と評価

今村翔吾の「イクサガミ」シリーズ(講談社文庫刊)は三部作で完結予定ですが、2024年6月時点では1作目の「天」編と2作目の「地」編しか発売されていません。3作目の「人」編で締めくくる本シリーズの結末は、まだ知らされていないのです。

ですが、日本が大変貌を遂げる時代の中でうごめく腹黒い企みに真っ向勝負する主人公たちの雄姿に魅了され、ファンになる方も多いのではないでしょうか

主催者の号令とともに始まる、全ての人が敵と思える危険極まりない東海道中の旅物語。明治維新における政府の要人や刺客である人斬りたちも登場し、歴史小説としての面白さも含んでいます。

「天」編では、主人公の嵯峨愁二郎が奇妙なデスゲーム《こどく》に参加する過程を描きます。京都から東京までの東海道の旅は、命と参加証とも言える木札を狙われる死の旅です。

一人でも大変なのに、愁二郎は12歳の双葉を連れての旅です。この二人連れは、剣術に自信のある武芸者たちにとって、絶好の獲物と言えます。それでも愁二郎は双葉と行動をともにします。

愁二郎の過去も明かされ、その命を狙う天敵たちも姿を見せますが、やがて同盟を結んで東京を目指そうとする作戦に同意する仲間も増えてきました。

「地」編では、《こどく》の狙いと主催者の正体が明かされます。歴史上で知られる大物たちが続々と登場し、国を揺るがす大胆な策略に震えあがることでしょう。最終章では誰が“勝者”となる物語が待っているのか、とても気になります。

小説の時代背景も興味深いものです。明治初期といえば「文明開化」を奨励されましたが、幕末の殺伐とした動乱期にも刀を握り続け、武士の矜持を捨て切れないまま生き延びた者たちも大勢いました。

その中には、動乱期後の新政府のやり方に、不満を募らせる者もいたはずです。《こどく》の黒幕には、そんな政府への不満を持つ者たちを同士討ちにし、一網打尽にしようとする狙いもあったのです。

着々とゴールの東京を目指すうちに、再会した義兄弟たちとの昔のわだかまりも解け、双葉を中心に仲間としての団結を強める愁二郎たち。‟正義の刺客”とも言える戦いぶりがますます過熱し、物語の結末を早く知りたくなります

Netflixドラマ『イクサガミ』の見どころ

Netflixドラマ『イクサガミ』の主演を務めるのは、『ヘルドッグス』(2022)「ザ・ファブル」シリーズの岡田准一。

映画・ドラマなどでアクション俳優として高い力量を発揮し続ける岡田准一が、主演・アクションプランナーに加え、本作でプロデューサーにも初挑戦しました。

岡田准一は「今までの時代劇を継承しながらも、新たな時代劇を作ること」を目標にしていると語っています。主役にも抜擢された岡田准一の迫力ある殺陣シーンに期待が高まります。

また、監督は『最後まで行く』(2023)で岡田准一と仕事をともにした藤井道人。

監督と俳優の息の合ったコンビぶりも、作品に反映されることでしょう。実写で描かれる、岡田准一演じる愁二郎の「京八流」の剣が楽しみです。

Netflixドラマ『イクサガミ』の作品情報

【配信】
Netflixで世界独占配信

【原作】
今村翔吾「イクサガミ」シリーズ(講談社文庫刊)

【監督】
藤井道人、山口健人、山本透

【プロデューサー・アクションプランナー】
岡田准一

【脚本】
藤井道人、山口健人、八代理沙

【キャスト】
岡田准一

まとめ

今村翔吾による「イクサガミ」シリーズ(講談社文庫刊)が、主演・プロデューサー・アクションプランナーの岡田准一、監督の藤井道人によってNetflixで実写化されます。

明治11年、一人一人に与えられた木札を奪い合って、京都から東京までを目指すデスゲーム《こどく》に参加した愁二郎と双葉が、助け合いながら困難な旅を続ける物語。

壮大なスケールと果てしなく続く戦いシーンが魅力の本作を、実写でどう魅せてくれるのか。岡田准一の「嵯峨刻舟(愁二郎)」アクションも早く観たいものです。

Netflixドラマ『イクサガミ』は、ただいま制作中。配信が待たれます


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