夢を見ることからすべては始まる。
チョコレートの美味しさの秘密とは?
世界中で愛されたファンタジー映画『チャーリーとチョコレート工場』(2005)で有名な、工場長ウィリー・ウォンカの始まりの物語。
チョコ職人のウィリー・ウォンカは、亡き母と約束した「世界一のチョコレート店を開く」という夢を叶えるため、有名チョコレート店が集まる町へとやってきます。
ウォンカの作り出す魔法のチョコは、町中の人を幸せな気持ちにさせました。しかし、その町は、夢見ることを禁じられた町でした。
ウォンカを追い出そうと「チョコレート組合」が動き出します。果たして、ウォンカは夢を叶えることができるのでしょうか。映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を紹介します。
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の作品情報
【日本公開】
2023年(アメリカ映画)
【原案・キャラクター創造】
ロアルド・ダール
【監督】
ポール・キング
【製作総指揮】
マイケル・シーゲル ロージー・アリソン
【製作】
デビッド・ハイマン アレクサンドラ・ファーガソン ルーク・ケリー
【脚本】
サイモン・ファーナビー ポール・キング
【キャスト】
ティモシー・シャラメ、ヒュー・グラント、キャラー・レイン、キーガン=マイケル・キー、パターソン・ジョセフ、マット・ルーカス、マシュー・ベイントン、サリー・ホーキンス、ローワン・アトキンソン、ジム・カーター、オリビア・コールマン、ナターシャ・ロスウェル、リッチ・フルチャー、ラキー・ザクラル、トム・デイビス、コブナ・ホルドブルック=スミス、サイモン・ファーナビー
【作品概要】
「ハリーポッター」シリーズのプロデューサーが贈るファンタジーアドベンチャー『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』。
『チャーリーとチョコレート工場』(2005)では、ジョニー・デップが演じ人気キャラとなったチョコレート工場長ウィリー・ウォンカを、本作では『DUNEデューン 砂の惑星』のティモシー・シャラメが演じます。
監督は「パディントン」(2016)シリーズのポール・キング。夢と希望あふれるファンタジーの世界を、美しい映像と感動のストーリーで描きます。
また『チャーリーとチョコレート工場』でも人気を博した、チョコレート工場で働く小さな紳士「ウンパルンパ」を、本作ではヒュー・グラントがユニークに演じています。
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のあらすじとネタバレ
魔法のチョコ職人ウィリー・ウォンカは、亡き母との約束である世界一のチョコレート店を開業するため、有名チョコ店が建ち並ぶ町「グルメ・ガレリア」へとやってきました。
町は活気にあふれ、ウォンカの手持ち金はたちまち底をついてしまいます。その夜、野宿をするウォンカに、ある男がおすすめの宿を紹介してくれました。
なにやら契約は多いものの「宿代は後払いで良い」というその宿に、お世話になることにしたウォンカ。明日は、町でチョコレートを売ることにします。
次の日、ウォンカはアーケードの中で魔法のチョコを売り始めます。口にするとふわふわと浮き上がる体。町の人々は、ウォンカの魔法のチョコに夢中です。
そこに町の警察が押し寄せてきました。警察署長は「この町は夢見ることを禁じている」とウォンカのチョコを没収。売上金も取り上げてしまいます。
ウォンカが宿に戻ると、宿主のミセス・スクラビットと宿を紹介してくれたブリーチャーが待ち受けていました。
「宿代を払えないなら働いて返せ」とウォンカを地下部屋へと放り込みます。そこには、ウォンカと同じように宿主に騙され、タダ働きをさせられている人たちがいました。
少女ヌードルもその一人です。捨て子だったヌードルは、スクラビットに育てられるも、一生ここで働かなければなりませんでした。
ウォンカは、ヌードルにチョコレートを作ってあげます。「素敵なことはすべて夢から始まるんだよ」という、母から教えられた言葉とともに。
幼少期、母と二人暮らしだったウォンカは、母が作ってくれるチョコレートが大好きでした。貧しいながらも、誕生日には買い集めたカカオ豆で特別なチョコをプレゼントしてくれました。
そんな母から「世界一のチョコはグルメ・ガレリアにある」と聞いたウォンカは、その町で母とチョコレート店を開くことを夢見ていました。
「魔術師」になりたかったウォンカは、母のチョコレートの味に近づこうと試行錯誤を繰り返します。そんな彼に母は「美味しさの秘密は、大人になったら教えるわ」「チョコレート店のオープンの日は側にいるわね」と約束します。
しかし、その約束は果たされないまま、母は病気で亡くなってしまいました。ウォンカはお店を開けば、母にもう一度会えるかもしれないと信じていました。
初めてチョコレートを口にしたヌードルは、あまりの美味しさに希望が溢れだすようです。彼女が忘れかけていたママとの思い出「ママと本のいっぱいある家で暮らしたい」という夢が戻ってきます。
ヌードルと一緒に働く仲間たちの協力もあり、ウォンカは宿を抜け出し、町でチョコレートを売り歩くことに成功。街中の人々がウォンカのチョコを楽しみに待っていました。
しかし裏では、ウォンカを町から追放しようとする勢力が動き出していました。自分たちより美味しいチョコを作るウォンカを気に入らない「チョコレート組合」のスラグワース、プロドノーズ、フィクルグルーバーの3人です。
チョコレート組合は、甘いものに目がない警察署長をチョコレートで買収し、ウォンカを捕まえるように命令します。
ある夜、ウォンカの部屋にチョコを盗もうと忍び込む小さな影が現れます。その正体は「ウンパルンパ」と名乗る、オレンジ色の小さな紳士でした。
聞けば以前、ウォンカが島を訪れた際に貴重なカカオ豆を持ち去ってしまったことで、豆の見張り役だった自分は種族から追放されてしまったとのこと。それ以来彼は、持ち去られたカカオ豆分の代償をもらおうと、ウォンカの隙をついてはチョコを盗んでいました。
不思議な紳士の訪問に驚くウォンカでしたが、二人の息はぴったりのようです。
ウォンカのチョコレートの売上は上々。仲間たちのおかげもあり、ウォンカはとうとう母との約束であったグルメ・ガレリアにチョコレート店をオープンすることに成功しました。
店内には大きなチョコレートの木、カラフルなお菓子が散りばめられ、チョコレートの川が流れています。夢が詰まった幸せな空間。オープンには多くの人々が押し寄せます。
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の感想と評価
世界中で大ヒットし、チョコレート工場長ウィリー・ウォンカを演じたジョニー・デップの奇抜な容姿も話題となった映画『チャーリーとチョコレート工場』(2005)。
本作は、その工場長ウォンカの若かりし頃を描くとあって、ウォンカの姿に期待する人も多かったのではないでしょうか。
若かりしウォンカを演じたのは、吸い込まれそうな瞳が魅力的なティモシー・シャラメ。
『チャーリーとチョコレート工場』の工場長ウォンカは人間不信で変わり者な印象でしたが、世界一のチョコレート店を開くことを夢見る青年ウォンカは、夢と希望に満ち溢れた心優しい青年でした。
純粋ですぐ騙されてしまい落ち込む姿や、チョコレートと母の話を語る時のキラキラした表情、ミュージカル仕立てで進むストーリーは、歌も踊りも上手なティモシー・シャラメの魅力が存分に発揮されています。
とくに少女ヌードルとバルーンで浮き上がり、夜の町を散歩する場面は、とても可愛らしく楽しい気分へとさせてくれます。
他にも、オレンジ色の小さな紳士・ウンパルンパの歌に奇妙なダンスは、『チャーリーとチョコレート工場』に次いでクセになる面白さです。
本作でウンパルンパを演じたのは、ヒュー・グラント。甘いマスクでラブコメの印象が強い彼ですが、ウンパルンパになっても紳士的で思わずクスっと笑ってしまいます。
母との約束である世界一のチョコレート店を開くため、奮闘する若かりしウォンカの物語は、誰もが応援したくなるような心温まる物語でした。
人生を諦めていた少女ヌードルの心も、ウォンカの魔法のチョコを食べることで希望を取り戻していきます。
ウォンカとヌードルの関係は、前作でのチャーリーとウォンカの関係にも似ています。それは、たとえ描かれる時代・設定が異なろうとも、ウォンカのチョコには、人を幸せにする力があることの証でしょう。
そんなウォンカの魔法のチョコの原点は、母親の手作りチョコにありました。「チョコの美味しさの秘密」を教えてくれると言っていた母が亡くなり、答えを見つけられずにいたウォンカ。
最後には、一人の力ではなく仲間たちのおかげで「チョコの美味しさの秘密」にたどり着くことができました。
のちに、世界一のチョコレート工場を建てることとなったウォンカ。工場に引きこもり、人間嫌いになってしまった彼の「その後」は、また別のお話です。
まとめ
ロアルド・ダールの児童小説『チョコレート工場の秘密』の前日譚にあたる映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を紹介しました。
チョコレート工場の工場長ウィリー・ウォンカの若き日の冒険を描くミュージカル映画となっています。
夢見ることからすべては始まる。つらいことがあっても、希望を持ち続けること。そして、喜びは仲間と分かち合うこと。
夢と希望に満ちたウォンカの魔法のチョコレート。ぜひ一口食べてみたいものです。