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Entry 2018/09/05
Update

映画『マガディーラ 勇者転生』ネタバレ感想レビュー。ラスト結末も

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

400年の時を超えて繰り広げられる壮大なラブストーリー『マガディーラ 勇者転生』

日本でも大ヒットした『バーフバリー』2部作のS・S・ラージャマウリ監督とスタッフによる『バーフバリー』の原点とも呼べる本作をご紹介します。

映画『マガディーラ 勇者転生』の作品情報


(C)GEETHA ARTS, ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2018年(インド映画)

【原題】
Magadheera

【監督・脚本】
S・S・ラージャマウリ

【キャスト】
ラーム・チャラン、カージャル・アグルワール、デブ・ギル、スリハリ、サラット・バーブ

【作品概要】
ウダイガル王国の勇者と姫、対峙する将軍の運命を輪廻転生を絡めて描くアクション・アドベンチャー。

『バーフバリー』2部作のS・S・ラージャマウリが監督と脚本を担当し、本国インドではロングランを記録した大ヒット作。

主演は南インド映画界の「メガスター」と呼ばれる、チランジーヴィの息子でインドではトップスターのラーム・チャラン。

映画『マガディーラ 勇者転生』のあらすじ


(C)GEETHA ARTS, ALL RIGHTS RESERVED.
400年前のウダイガル王国。

ウダイガル王国のミトラ姫と、勇者バイラヴァは戦いに破れ、ミトラ姫は「あなたの妻として死にたかった」と言葉を残し、崖から落ちていきます。

バイラヴァはミトラ姫を追いかけて、崖から飛び降りミトラ姫に手を伸ばしますが、両者が触れ合う事はありませんでした。

400年後のハイデラバード、勇者バイラヴァの生まれ変わりで、バイクレーサーのハルシャは、仲間たちと賭けレースなどに興じ、楽しい毎日を送っていました。

ある日、オートリキシャ(三輪タクシー)に乗っていたハルシャは、偶然歩道に立っていた白い服を着た女性の手に触れた事で、バイラヴァであった過去を一瞬だけ思い出します。

ハルシャはオートリキシャを停めて、白い服を着た女性を探しに行きます。

白い服を着た女性、インドゥは寒くなってきた事から黒いジャケットを身に着けます。

そこへ、ハルシャが現れ「白い服を着た女性を探している」とインドゥに告げます。

インドゥは、すぐに自分の事だと勘付きますが、ハルシャの必死の様子がおかしく、からかう為に「自分はインドゥの友人だ」と嘘をつき「今度インドゥと会わせる」とハルシャに約束をします。

約束の日、ハルシャにランチを奢らせたインドゥは、複数の友人を連れてきますが「インドゥは来れなくなった」と、また嘘をつき、今度は映画に連れて行く約束をさせます。

インドゥの友人が帰った後に、1人だけになってもインドゥを待っているハルシャの一途な優しさに、インドゥは少し心を動かされます。

インドの権力者の息子ラグヴィールは「欲しい物は必ず手に入れる」という思想の持ち主で、目的の為なら殺人も平気で行う危険な人物です。

ラグヴィールの父親は、インドゥの家族と親戚にあたり、一族の資産問題で揉めていました。

ラグヴィールは、インドゥの家族を訪れた際に、インドゥに一目惚れし、恋路に邪魔となる父親をその場で殺害、インドゥの父親に「一族の資産は全て渡す」と伝えて近づきます。

インドゥは友人を連れて、ハルシャとの待ち合わせ場所に向かっていましたが、若者の集団に絡まれ嫌な思いをします。

その後、合流したハルシャに「嫌な思いをしたインドゥが帰った」と伝えた事で、ハルシャは激怒、若者達に制裁を加えます。

インドゥはハルシャの強さに、恋心を抱くようになります。

ラグヴィールの提案で、インドゥの家族は宮殿のような邸宅に住むようになります。

その夜、寝室で眠るインドゥに、ラグヴィールは夜這いを仕掛けますが、バイラヴァの幻影が現れ、ラグヴィールは斬りつけられた幻覚を見ます。

不審に感じたラグヴィールは、祈祷師に相談をします。

そこでラグヴィールは、自分の前世がウダイガル王国の将軍ラナデーヴで、ウダイガル王国の姫だったミトラに、愛を受け入れらなかった憎しみで輪廻転生した事を知らされます。

そして、ミトラの生まれ変わりがインドゥで、前世で愛し合っていた勇者バイラヴァの生まれ変わりが近くにいると教えられます。

そして、バイラヴァの生まれ変わりが存在する限り、ラグヴィールはインドゥに触れられないと告げられます。

ラグヴィールは、自分の部下を使い、バイラヴァの生まれ変わりを捜索、途中で立ち寄ったカフェでハルシャに遭遇します。

貴族の衣服を着用していたラグヴィールは、ハルシャに馬鹿にされます。

そこへ、インドゥの通話履歴を入手した部下が現れ、ラグヴィールは直近の通話記録がある電話番号に連絡します。

電話が鳴ったのは、ハルシャがカフェに忘れて行った携帯電話から、ラグヴィールは勇者バイラヴァの生まれ変わりがハルシャであると確信します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『マガディーラ 勇者転生』ネタバレ・結末の記載がございます。『マガディーラ 勇者転生』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ラグヴィールは、ハルシャを亡き者にする為、近くにあった槍をハルシャ目掛けて投げますが、狙いは外れて配電盤に当たり、電線がショートを起こした事で街中がパニックになります。

ハルシャはラグヴィールから逃げるため、停車していたバスに隠れますが、そのバスに偶然乗車していたインドゥと手が触れ、バイラヴァの記憶が蘇ります。

発車してしまったバスを追いかけて、ハルシャは騎兵隊の乗っていた馬に乗ります。

そして、バスに乗っていた友人との会話から、これまで友人を名乗っていた女性が、インドゥである事を知ります。

その時に、インドゥの巻いていたストールが飛んでいき、ハルシャがキャッチします。

ハルシャはインドゥをからかうように、ストールをなかなか渡そうとしませんでした。

大学に着いたインドゥは、ハルシャから「インドゥが分かった、これから会う」と嘘をつき、古城へ向かいます。

ハルシャの言葉に焦りを感じたインドゥは、古城に向かいますが、それはハルシャの悪戯であると気づき、お互いの想いが通じたハルシャとインドゥは、恋人になります。

ですが、そこへ偶然現れたインドゥの父親は2人の交際を反対、逆上したハルシャは、インドゥの父親に暴力を振るいます。

自宅に帰ったインドゥと父親、インドゥはハルシャとの交際を懇願し、自分の部屋へ戻ります。

その後、インドゥの自宅を訪れたハルシャに、父親は「娘に初めてお願いをされた」と2人の交際を認めます。

一部始終を見ていたラグヴィールは、インドゥの父親の首を絞めて命を奪い、全てをハルシャの責任にします。

ラグヴィールの言葉を信じたインドゥは、父親を病院に連れて行くために、ラグヴィールと共にヘリコプターに乗り込みます。

自身の疑いを晴らす為に、ハルシャは自分を押さえつけていたラグヴィールの部下を振り払い、飛行するヘリコプターに掴まり、インドゥと話をしようとしますが、ラグヴィールに振り落とされます。

落下するハルシャは、前世の記憶が完全に蘇ります。

400年前のウダイガル王国は、インド全土を征服しようとする独裁者、シェール・カーンに狙われていました。

ウダイガル王国の国民は、勇者バイラヴァを心の支えにしており、ミトラ姫もバイラヴァに心を奪われていました。

ですが、ウダイガル王国の将軍、ラナデーヴはミトラ姫と国を我が物にする為、2人の仲を引き裂こうとします。

ミトラ姫の婚約者の座を争い、バイラヴァとラナデーヴは対決をする事になります。

対決方法は、ミトラ姫が身に着けていたストールを槍に巻き、馬車に刺して走らせ、先に馬車に追いついて、ストールを持ち帰った方が勝ちというルールです。

更にラナデーヴの提案で、負けた方は国外追放となってしまう事が決まります。

当初はバイラヴァがリードしていましたが、ラナデーヴの姑息な罠にかかりストールを奪われ、バイラヴァは追いかける展開となりますが、ゴール直前で逆転し勝利します。

ラナデーヴは国外追放となり、バイラヴァとミトラ姫は結ばれたかと思われましたが、先祖代々近衛兵として戦ってきたバイラヴァの家系は全員短命、ミトラ姫を悲しませる事になると、国王は不安を感じます。

国王の心中を察したバイラヴァは、今後も近衛兵としてミトラ姫の側にいる事を宣言し、ミトラ姫はショックを受けます。

シェール・カーンとの戦争を目前に控えたウダイガル王国は、厄災を振り払う儀式を行う為、シヴァ神が祀られる聖地で儀式を行います。

ですが、儀式の途中で、バイラヴァへの愛を認められない事を悲観したミトラ姫は、儀式に使う七色の液体を壁に叩きつけ、自身の血で手形をつけて「あなたの記録は、私の血で染まる」とバイラヴァに伝えます。

その時、軍隊を引き連れたシェール・カーンと、ラナデーヴが現れます。

国外追放となったラナデーヴは、シェール・カーンと組みウダイガル王国へ侵攻していました。

シェール・カーンの軍に攻撃され、ミトラ姫と2人になったバイラヴァに、シェール・カーンは「バイラヴァの家系に代々伝わる100人斬りを、やれるならやってみろ」と挑発します。

シェール・カーンの挑発に乗ったバイラヴァは、シェール・カーンの軍に1人で挑み、ボロボロになりながら100人斬りを実行します。

バイラヴァの強さに感服したシェール・カーンは、バイラヴァにひれ伏しますが、ラナデーヴの攻撃に遭い、ミトラ姫が倒れます。

激怒したバイラヴァは、ラナデーヴの首を跳ね飛ばしますが、力尽きたミトラ姫は「あなたの妻として死にたかった」と言葉を残し、崖から落ちていきます。

ミトラ姫を追いかけて、崖から飛び降りたバイラヴァに、シェール・カーンは輪廻転生の秘術をかけました。

バイラヴァとしての記憶が全て蘇ったハルシャは、湖の中に落下し、漁師でシェール・カーンの生まれ変わりである、ソロモンに助けられます。

ソロモンの看病により回復したハルシャは、ラグヴィールのアジトに向かいます。

そこで、祈祷師とラグヴィールの会話を聞いたハルシャは、惑星集中が起きている1日の内にインドゥがミトラ姫としての記憶を取り戻さないと、永遠に記憶が失われる事を知ります。

ハルシャはインドゥを脅して、無理やり外に連れ出し、シヴァ神が祀られている聖地へ向かいます。

ハルシャを追いかけて、ラグヴィールと部下も聖地へ現れ、最初はラグヴィールに助けを求めていたインドゥですが、ミトラ姫が自らの血の手形を残した壁を見た事で、前世の記憶が蘇ります。

激怒したラグヴィールは、槍を持ってハルシャに襲いかかります。

ハルシャは、400年前にラナデーヴを倒した剣を、地面から取り出し応戦、勝てない事を悟ったラグヴィールは、インドゥの腕を引っ張り共に崖から飛び降りようとします。

ハルシャは、剣を投げてラグヴィールの片手を切り落としてインドゥを救います。

ラグヴィールは1人谷底へ落ちていきます。

前世の記憶が蘇り、恋人となった2人の前にソロモンが助けに来ます。

ですが、目の前でイチャイチャしているハルシャとインドゥに、ソロモンは呆れた様子を見せます。

映画『マガディーラ 勇者転生』の感想と評価


(C)GEETHA ARTS, ALL RIGHTS RESERVED.
400年越しのラブストーリーを描いた本作は、壮大なスケールの物語となっています。

特に演出が素晴らしく、現代でハルシャがインドゥを特定する為に使われたストールが、実は過去でも物語を進行させる重要なアイテムとなっていたり、ハルシャがインドゥに触れて、バイラヴァとしての記憶を取り戻す時だけ、触れ合った2人の間に電流が流れたりと、非常に芸が細かいです。

中でも、映画序盤でミトラが絶命し崖から落ちていくシーンでは、周囲の風景がアニメ風のCGで描かれており、他のシーンと明らかに違う印象を与えています。

これは映画中盤以降で、前世と現世が交わる重要で神聖な場所である事を観客に知らせる為の、非常に上手い演出だと思います。

作品全体としては、巧みな演出と同時に、インド映画特有の過剰過ぎる演出の数々で、かなり振り切った娯楽作となっています。

映画序盤で、20分近くのダンスシーンがあり、ここで女性の胸から発せられたフェロモンで、男性が石化するというVFX技術が使われた謎のシーンがあるのですが、この時点で、この映画がエンターテインメント作品である事が分かり、ニヤニヤしていました。

私は日曜日の夜の回に行ったのですが、劇場はほぼ満席で、上映終了後は拍手も起こっていました。

日本で大ヒットした『バーフバリ』が好きな方なら、必ず気にいる作品ですよ。

まとめ


(C)GEETHA ARTS, ALL RIGHTS RESERVED.
『マガディーラ 勇者転生』は、日本人に受け入れられる要素が盛り込まれている作品です。

バイラヴァとミトラ姫の、身分違いの叶わぬ恋は、時代劇などで描かれる事が多く、輪廻転生を絡めたストーリーは、アニメなどのSF作品でお馴染みですね。

この2つの様子を合わせて、派手なアクション満載で見せる今作は、日本人の感性に直撃する娯楽作品として最高の映画です。

『バーフバリ』の大ヒットに加え、1998年に日本へインド映画ブームをもたらした『ムトゥ 踊るマハラジャ』も2018年11月にリバイバル公開が決まっています。

インド映画好きの方はもちろん、まだ未見の方も、この機会に触れてみてはいかがでしょうか?

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