『REBEL MOON パート1 炎の子』はNetflixで独占配信中
「宇宙空間で繰り広げられる壮大な冒険活劇」と位置付けられる「スペースオペラ」と言うジャンル。
2020年代ともなるとCGの技術向上によって「スペースオペラ」に求められるクオリティは上がり、製作費の嵩むこのジャンルはかつてほどの勢いを見せないのではとも危惧されていました。
しかし、マーベル映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や大人気小説の映像化「DUNE」シリーズが、2020年代でも物語とCG共に高クオリティな出来で「スペースオペラ」を牽引しています。
そして2023年末、原作の存在しない完全な新作として新たな「スペースオペラ」映画がNetflixにて独占配信。
今回はザック・スナイダーが監督を務めた映画『REBEL MOON: パート1 炎の子』(2023年)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『REBEL MOON: パート1 炎の子』の作品情報
【日本公開】
2023年(アメリカ映画)
【原題】
Rebel Moon: Part One – A Child of Fire
【監督】
ザック・スナイダー
【脚本】
ザック・スナイダー、シェイ・ハッテン、カート・ジョンスタッド
【キャスト】
ソフィア・ブテラ、チャーリー・ハナム、ジャイモン・フンスー、ミキール・ハースマン、スタズ・ネアー、レイ・フィッシャー、クレオパトラ・コールマン、ペ・ドゥナ、エド・スクライン、アンソニー・ホプキンス
【作品概要】
『ウォッチメン』(2009年)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)を手掛けたザック・スナイダーが物語を構想し映画化したNetflix独占配信映画。
『キングスマン』(2015年)や『スター・トレック BEYOND』(2016年)に出演したソフィア・ブテラが本作の主演を務めました。
映画『REBEL MOON: パート1 炎の子』のあらすじとネタバレ
レルム王国による絶対的な統治が複数代に渡り続いたマザーワールド。
レルム王国の国王が暗殺者によって暗殺されると、征服下にあった多くの星が反乱を目論見始めます。
王国内で権力を奪取したバリサリウスは、各星に残忍な軍隊「インペリウム」を派遣し、反乱を考える人間たちの殺戮を命じました。
王国の統治下にある衛星ヴェルトに住むコラは、村民同士が硬い絆で結ばれる村に身を寄せていました。
ある日、村にインペリウムの弩級船が現れます。
村民のガンナーは余った穀物を反乱軍に密売しており、長老のシンドリはインペリウムに詳しいコラの助言を聞き入れ、事態を荒立てないように考えます。
軍隊を引き連れ村に降り立ったノーブル提督は反乱軍によって消失した食料の穴埋めとして、村から穀物の支給を要求。
シンドリは過剰な要求を避けるため、食料の余裕はないと断りますが、ノーブルは食料に貯蓄があることを見抜きます。
すると事態を好転させたい思いからガンナーが貯蓄があることをノーブルに伝えてしまったため、シンドリとその妻は殺害されてしまいます。
ノーブルはガンナーに10週間後までに村民が餓死するほどの大量の食料を用意するように命じると、インペリウムの隊員を複数名残して村を去って行きました。
残されたインペリウムの隊員マーカスは村で横暴に振る舞い、アリス二等兵や機械騎士のジミーはマーカスに対して不満を抱き始めます。
村の少女サムと親交を深めようとするジミーは、亡き王の娘が戦争や侵略に疲れ果てた亡き王を変えた素晴らしい人間だったことや、その希望が暗殺によって潰えたことを語りました。
村人たちはインペリウムに慈悲を訴えようとしますが、冷めた目で村民を見つめるコラは村から逃げようと考えます。
夜、コラが村から出る準備をしていると、サムがインペリウムの兵隊に犯されようとしている現場を目撃。
アリスは同僚たちを止めようとしますが、逆にマーカスたちに捕まってしまいます。
その場に現れたコラは驚異的な身体能力で隊長を除く兵士を殺害。
隊長はサムを人質に取り、駆けつけたジミーにコラとアリスの殺害を命じますが、ジミーは悩んだ末に隊長を射殺しました。
翌日、コラはノーブルが戻る10週間以内に仲間を集め対抗するため、反乱軍のデヴラとダリアンと取引をしたことのあるガンナーを連れて旅に出ます。
旅の途中、コラはガンナーに自身がインペリウムの隊員だったことを話します。
【過去】
かつて自身の故郷をバリサリウスに滅ぼされたコラは、なぜかバリサリウスに「アースレイアス」と名付けられた上で彼の娘として育てられました。
インペリウムの一員として大きな戦果を上げたコラは王室近衛兵に昇進し、王の娘イサの警護を担当することになり、彼女の生命を与える能力を目にするのでした。
映画『REBEL MOON: パート1 炎の子』の感想と評価
さまざま惑星を渡り歩く冒険活劇
「スペースオペラ」と言えば、多くの星や種族が登場する多様性が作品の魅力でもあります。
本作『REBEL MOON: パート1 炎の子』では5つ以上の惑星が登場するだけでなく、すべての星に特徴が存在しており、それぞれの星で住民たちがどのような生活を過ごしているのかを空想させてくれる楽しみがありました。
宇宙を跨ぎ、銀河系の命運を握る戦いが田舎の星から始まる、「スペースオペラ」の王道をしっかりと継承する物語展開。
パート1ではあれど大乱戦のクライマックスも用意され、1作のSF映画として充分すぎるほどの濃度を感じることが出来ました。
黒澤明に影響を受けたスペースオペラたち
スペースオペラの傑作シリーズとして時代を越えて愛される「スターウォーズ」シリーズ。
その生みの親であるジョージ・ルーカスは黒澤明の『隠し砦の三悪人』(1958)が「スターウォーズ」の原点であることを公言していました。
実は本作の原案はザック・スナイダーによって「スターウォーズ」シリーズの一部となることを想定してディズニーに持ち込まれたものの採用には至らなかったと言う経緯があり、物語に構想段階からの大幅な改変があったとは言え本作は「スターウォーズ」に近い系統の作品となっています。
黒澤明作品にリスペクトした「スペースオペラ」+「時代劇」を想わせる構成も引き継がれており、村を守るため寄せ集めの7人のチームを結成する展開はまさに『七人の侍』(1954年)。
壮大なスケールのSFでありながら、馴染み深い時代劇の物語展開を楽しめる古き良き「スペースオペラ」な作品でした。
まとめ
『七人の侍』にリスペクトした7人の仲間たちとの銀河系を賭けた壮大な戦いの序章。
序章といえど本作だけでも満足の出来る作品ではありましたが、物語に残された多くの謎とコラたちの戦いの結末も非常に気になる『REBEL MOON: パート1 炎の子』。
コラがなぜ「傷跡を刻む者」と呼ばれるようになったのか、彼女の犯したあまりにも重い罪とは、そして生身の姿を現さなかったバリサリウスの正体とは。
『REBEL MOON: パート2 傷跡を刻む者』(2024年)は2024年4月19日より配信、ぜひ本作と併せて最新の「スペースオペラ」の世界を堪能しましょう。