鳥山明の伝説的名作をついに映画化!本当の悪は人か魔物か……
漫画家・鳥山明の伝説的名作『SAND LAND』がついに映画化されました。砂漠の街「SAND LAND」で共存する悪魔と人間。彼らが協力して「幻の泉」を探し出す物語は本当の悪(ワル)は誰なのかを浮き彫りにするストーリー展開になっています。
ドラゴンボールファンの人はもちろん、まだ鳥山作品を見たことのない子供でも、愛くるしいキャラクターや迫力ある戦闘シーンを楽しめることでしょう。
また豪華なベテラン声優陣が集結しており、アニメ好きなファンには贅沢な作品になっています。そんな『SAND LAND』のネタバレあらすじと作品の魅力を紹介します。
CONTENTS
映画『SAND LAND』の作品情報
【日本公開】
2023年(日本映画)
【原作】
鳥山明
【監督】
横嶋俊久
【脚本】
森ハヤシ
【音楽】
菅野祐悟
【キャスト】
田村睦心、山路和弘、チョー、鶴岡聡、飛田展男、大塚明夫、茶風林、杉田智和、遊佐浩二、吉野裕行、こばたけまさふみ
【作品概要】
本作は漫画家・鳥山明が2000年に手掛けた名作漫画です。激しい戦闘シーンや愛くるしいキャラクター、そして大人のカッコよさも描いたこの作品。超豪華な声優陣が集結しています。
『小林さんちのメイドラゴン』の田村睦心がベルゼブブを担当。バディのラオを山路和弘が演じます。そして脇を固めるのはチョー、鶴岡聡、大塚明夫、茶風林。ベテラン声優陣が大人の男の魅力を存分に表現しています。
映画『SAND LAND』のあらすじとネタバレ
魔物と人間の共存する砂漠の世界「SAND LAND」。そこでは誰もが深刻な水不足に悩まされていました。ある町で保安官として働くラオは町民から懇願され、この水不足の問題解決に向けて動き出します。
ラオは魔物の巣窟に向かい、協力してくれる者を集めます。そこで名乗りを上げたのが、魔王サタンの子供であるベルゼブブ王子、そして巧みな盗みを得意とするシーフ。ラオは二人を連れて町の南にあると言われる「幻の泉」を探す旅へ出ます。
車で移動する道中、彼らを待ち受けていたのは凶暴な生物でした。ゲジリュウという大きなドラゴンに襲われてしまいます。命からがら逃げることはできましたが、水、食糧、ガソリンを捨ててしまい、途方に暮れる一行。ひとまず、それらを確保するため、近くの町まで車で向かいます。
しかし彼らの不運は終わりませんでした。山賊と遭遇してしまい、車をパンクさせられてしまうのです。ラオとベルゼブブは山賊たちを一網打尽にすると、歩いて近くの町まで向かいます。町まであと少しのところで、彼らは奇妙な光景に出くわしました。
谷の下に見える国王軍の戦車。そこは何もない砂漠で、警備を必要とするような場所ではありません。このことにラオは違和感を覚え、この国王軍の戦車を襲い、移動に使うことを決めます。ラオは町の保安官でありながら国王軍のことを毛嫌いしているため、戦車を襲うことには抵抗はありません。
そもそも、このSAND LAMDを統治する国王は、水を高額で売りさばき、私服を肥やしていることで有名です。市民たち同様、ラオも国王側を全く信頼していませんでした。難なく国王軍の戦車を乗っ取ることに成功したラオたちは、戦車内に備蓄された食料、水、燃料と共に「幻の泉」を探しにまた南へ移動します。
しかし、さらに驚くべき光景が彼らの目の前に現れます。なんと、国で禁止されている空飛ぶ飛空艇が前から飛んでくるのです。そしてそこにも、国王軍のマークが……。飛行艇から、ラオたちの乗る戦車に止まるよう合図が出され、渋々ラオたちは戦車を止めます。
ラオが無線の故障で話せないことを合図すると、それを信じた国王軍一行は彼らの上空を通り過ぎるのでした。ラオたちは戦車を加速させ、飛空艇から逃げます。しかし、同じタイミングで戦車を乗っ取られたことが、飛空艇にいるアレ将軍の耳に入ります。
飛空艇は来た道を引き戻し、ラオたちの乗る戦車を追いかけます。ラオたちは飛空艇の追撃を避けながら、大砲で飛空艇の下部にある球体を打ち抜くことに成功しました。そこから出て来たのは大量の水。飛空艇には水を入れるタンクが備え付けられていたのです。
これで、すべての点が繋がったラオ。国王側は幻の泉の在り処を知っており、自らの私腹を肥やすため国民には隠し続けています。また、水を運搬する飛空艇を警備するために戦車が配備されていました。国民に飛行機で飛ぶことを禁止したのも、幻の泉を見つけるのを避けるためでした。
ラオの中で、国王側に抱いていた不信感が一気に高まります。そんな中、旅を一緒に続けるシーフから30年前のある事件に関して衝撃の事実が告げられるのです……。
映画『SAND LAND』の感想と評価
子供たちのニューヒーロー誕生?
『SAND LAND』の物語の魅力はやはり悪魔たちのキャラクター性です。その中でも、ベルゼブブは少年のような可愛らしさと卓越した戦闘スキル、どこか大人びた雰囲気を併せ持ちます。このキャラクター性に憧れる子供たちも多いはずです。
迫力ある戦闘シーンもさることながら、物語が進むにつれて、浮き彫りになる真の悪の存在が人間だったという展開にも目が離せません。「さすが鳥山作品!」とファンも納得の完成度。
昔、『ドラゴンボール』や『Dr.スランプアラレちゃん』が大好きだった大人も夢中になって童心に帰れる作品になっています。
ドラゴンボールでは描けない傷つく大人たちの哀愁
『SUND LAND』は大人たちの成長物語です。一見子供のように見えるベルゼブブたちですが、客観的に冷静な目で世界を見ています。むしろ初老を迎えるラオを始めとする大人たちこそ、過去と自分たちのやってきた行いを正しく見つめられていないのです。
知らなかったとはいえ、ラオの命令でピッチ族を滅ぼし、大切な家族や同志の命すら奪ってしまった事実を大人たちが改めて受け入れるストーリー。
物語は明るく、テンポよく進んでいきますが、その背景にあるのは過去の償いをしなければならない大人たちの葛藤と後悔でした。
『ドラゴンボール』では死んだ者も生き返るファンタジーとしての興奮と優しさを描いていますが、本作はどこか大人たちの悲しさも滲むからこそ、名作と評されるのでしょう。物語では子供(悪魔)と大人(人間)を対比させ、子供こそが真実を知っているというメッセージになっているのかもしれません。
私たち大人にこそ刺さるアニメーション作品になっています。
まとめ
魅力あるキャラクターと巧みなストーリー展開が光る『SAND LAND』。原作を好きな人たちも納得の出来栄えとなっています。
子供の頃、鳥山作品に夢中になった大人たち、そしてまだ、鳥山作品に触れていない子供たち両者が楽しめる作品です。
迫力ある戦闘シーンとスピーディーに進んでいく物語で、1時間46分の上映時間はあっという間に過ぎていきます。真の悪は誰なのか……。そのメッセージ性は大人だからこそ刺さることでしょう。