伝説の元UFC二階級王者ランディ・クートゥア出演のアクションスリラー!
ティボー・タカクスが監督を務めた、2021年製作のアメリカのアクションスリラー映画『ブロウバック』。
難病の娘の治療費を工面するため、銀行の貸金庫から貴重なブリーフケースを盗み出す計画を立てたニック。
元恋人のヴェロニカを通じて、経験豊富な銀行強盗のジャックとその仲間と手を組み計画を遂行し、見事に成功します。
ところが、ジャックたちはニックを裏切り、彼を殺そうとしたのです。
辛うじて一命を取り留めたニックは、ジャック一味への復讐を開始。ブリーフケースを数百ドルで売る手配をしていたジャックは、次々と仲間を処刑されてしまい………。
映画『ブロウバック』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『ブロウバック』の作品情報
【日本公開】
2023年(アメリカ映画)
【脚本】
ケヴィン・ヤリス、ロバート・エドワード・トーマス、マシュー・イーソン、ロバート・ジャルディーナ
【監督】
ティボー・タカクス
【キャスト】
ランディ・クートゥア、キャム・ギガンデット、ルイス・マンディロア、クリス・マー、ベンジャミン・アビオラ、ミシェル・プレイア、テキサス・バトル、カム・ジガンディ
【作品概要】
『地獄のサイバーウェポン レッドライン』(1997)のティボー・タカクスが監督を務めた、アメリカのアクションスリラー作品。
2023年2月10日(金)より、シネマート新宿ほか全国順次公開された作品です。
『トワイライト~初恋~』(2009)や『バーレスク』(2010)で知られる甘いマスクのアクションスター、キャム・ギガンデットが本作の主演を務め、伝説の元UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップの略。アメリカの総合格闘技)二階級王者であり、「エクスペンダブルズ」シリーズのランディ・クートゥアと共演しています。
映画『ブロウバック』のあらすじとネタバレ
病気で妻を亡くした配車サービスの運転手ニック・ギブソンは、難病の娘エマの治療費を工面するために、アメリカ・ネバダ州ラスベガスにある銀行の大型の貸金庫からブリーフケースを盗む計画を立てます。
内通者の銀行の副支店長ライアンの情報によると、海外にいるブリーフケースの所有者ゼディ・ヴァレンティの国内代理人である弁護士キャメロンが、ライアンの勧めでブリーフケースの中身に400万ドルという多額の保険金をかけているというのです。
ニックのお目当ては、多額の保険金がかけられたブリーフケースの中身。「シードフレーズ」という12個から24個の単語で構成される暗号資産の鍵とそのメモリーです。
この「シードフレーズ」が漏洩された場合、持ち主は自分の暗号通貨に不正にアクセスされてしまいます。
ニックがブリーズケースを盗めば、ヴァレンティの暗号通貨を盗んだも同然。さらにそれを売却すれば、大金を手に入れることができます。
ニックは、ジムのオーナーをしている元恋人のヴェロニカを通じて、彼女の現恋人である経験豊富な銀行強盗犯ジャックが率いる強盗団と手を組み、予定どおりに計画を遂行しました。
銀行の支店長が子供の送り迎えに行って不在の間に、覆面を被って銀行を襲撃。
貸金庫の鍵を持つライアンを人質にして貸金庫へ侵入。他の貸金庫にある現金や貴金属と、お目当てのブリーフケースを盗み出す。
そして素人の犯行に見せかけるために、暴力は振るわず誰も殺さずに、速やかに銀行から逃げる、というのがニックの計画でした。
ニックが刑務所でお世話になった恩人の息子ザンダーが銀行内部の監視と警報の妨害、警察の動きも探ってくれたおかげで、ニックの計画は見事成功。
あとはブリーフケースの売買取引を行い、それで得た大金をみんなで山分けするだけ。だったのですが、ジャックたちはブリーズケースの中身を見て目の色を変え、ニックを裏切って殺そうとしたのです。
左の肩と腕を撃たれた挙句、自分の車のタイヤもパンクさせられてしまったニック。意識が朦朧としつつも運転していたら、すれ違ったパトカーに呼び止められます。
タイヤが道路脇の縁石に乗り上げ、車が止まったと同時にニックは意識を失いました。パトカーから出てきた男性保安官はそれを見て救急車を手配します。
エマと同じ病院に救急搬送されたニックは、かろうじて一命を取り留めました。
病室にやってきたラスベガス・メトロポリタン警察のクーパー刑事とその相棒オーウェンスによる事情聴取を終えてすぐ、ニックは病室から脱走。
エマのベッド横の机の上に、見慣れないぬいぐるみが置いてあることに気づきます。
そのぬいぐるみには、「エマ、ウィリスおじさんだよ」と男の声が録音されていました。
そのウィリスとは誰か、ニックは知っていました。自分を裏切ったジャック一味の1人ボビー・ウィリスだと。
ウィリスが娘に近づいたことにも腹を立てたニックは、ジャック一味への復讐を開始。
まず、車の中でクスリを吸っていたウィリスを襲撃。ブリーフケースはどこにあるのかと尋問します。
ウィリスは、「ブリーフケースはジャックが持っている。彼が取引したらその分け前を貰う予定だった」と答えるも、肝心のジャックの居場所は知りませんでした。
ニックはウィリスの口の中に、彼がエマに贈ったぬいぐるみを突っ込み、二度と娘に近づくなと警告します。
ですがその直後、ウィリスは心臓麻痺と窒息、薬物の過剰摂取により死んでしまったのです。
その日の夜。ニックは傷口が開いて出血したため、知り合いの医師のバーン博士のもとを訪れ、応急処置をしてもらいました。
翌日。キャメロンが勤務する「アンダーソン&ディマティーニ法律事務所」を訪れたニックは、「貸金庫の盗品について、直接ヴァレンティと話をしたい」と彼に頼みます。
最初は顧客情報云々いって門前払いしたキャメロンでしたが、他からヴァレンティに盗品の話が知られるのはまずいと判断し、彼と彼の手下がいる店の住所と電話番号をニックに教えました。
ヴァレンティの海外の会社「アージェンティ」は、世界の不動産を扱う合法的な企業だと謳っています。
ですが、国際犯罪の防止を目的として世界各国の警察機関により組織された「国際刑事警察機構(略称はICPO。海外ではインターポールと呼ばれている)」の報告書では、アージェンティはマフィアのフロント企業だとされているのです。
その後、ヴァレンティとその手下たちと直接対峙したニックは、臆することなくヴァレンティに取引を持ちかけました。
「副支店長から、貸金庫にあなたのブリーフケースがあると聞いて盗んだ」、「彼を殺し、俺を撃ってブリーフケースを横取りした奴から、俺が取り戻してくる」。
「その報酬に、保険金400万ドルの15%、50万ドルをくれないか。娘に手術を受けさせたい」と。
ヴァレンティはこれを承諾し、取引成立。手下のピートをニックの護衛兼助っ人兼監視役として、彼のそばにつかせました。
映画『ブロウバック』の感想と評価
最後まで難病の娘のために、悪党たちと渡り合い戦い続けたニック。
自分を裏切り殺そうとしたジャックたちへの復讐を始めた彼ですが、彼らを殺すつもりはありませんでした。
事実、最初に処刑したウィリスが車の中で死んだとき、ニックは激しく動揺していますし、サリヴァンをピートに拷問させても殺してはいません。
結局のところ、ジャックが人生の勝ち組となるという己の夢の実現のために、自分の仲間を手にかけたのです。
ジャックは自ら破滅への道を進んだことで、金も仲間も愛も失う結果となりました。逆にニックは金と娘との幸せな生活を手に入れました。
対照的な結末を迎えることとなったニックとジャックがでぶつかり合バトルシーン、彼らが手を組みラスベガスの銀行で強盗した場面は観る人の胸を熱くさせ興奮させます。
また、物語のラストでは、ヴァレンティの手下がシャルパンティエにブリーフケースを届ける姿が描かれていました。
受け取ったブリーフケースにシードフレーズがないと訴えるシャルパンティエの姿から察するに、ヴァレンティの暗号通貨を狙っていた1人なのでしょう。
ですが土壇場でヴァレンティたちにしてやられてしまい、金だけ搾り取られるという有り様でした。
まとめ
銀行強盗計画が成功した直後に仲間に裏切られ、殺されかけた男の究極の復讐劇を描いたアメリカのアクションスリラー作品でした。
本作の見どころは、ニックとジャック一味による迫力満点の銀行強盗シーンと、同じ女を愛したニックとジャックによるマフィアの暗号通貨を巡る熱きバトルです。
ニックがジャック一味への復讐のため、難病の娘の治療費を工面するために、ヴァレンティに臆することなく自分がブリーフケースを盗んだと告白し、彼に取引を持ち掛けたのは衝撃的でした。
だってヴァレンティはマフィアですから、そんなことを話せばその場で殺されてしまいます。ヴァレンティはニックのその度胸に感心し、彼を殺さず、彼の要求をのんで手を貸したのでしょう。
ヴァレンティとニックが手を組んでいたことなど最後まで知ることなく、ジャックは夢を実現するまであと少しというところで死んでしまいました。
ジャック一味が作中で言っていた「借金」とは、ヴェロニカたちがジャックにそれぞれ金を借りていたことなのか、はたまた自らこさえたものなのか、最後まで明言されなかったのがまた謎でした。
伝説の元UFC二階級王者ランディ・クートゥアが、仲間を裏切る極悪非道な銀行強盗という最凶の悪役を演じるアクションスリラー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。