大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第11作!
ルイス・ギルバートが監督を務めた、1979年製作のイギリス・フランス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/ムーンレイカー』。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、捜査を任されたハイジャックされたスペースシャトル「ムーンレイカー」を巡って、人類抹殺を目論む謎の組織に挑む姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
ロジャー・ムーア演じる3代目ジェームズ・ボンドがついに大宇宙へ飛び立つ、「007」シリーズ第11作目『007/ムーンレイカー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『007/ムーンレイカー』の作品情報
【公開】
1979年(イギリス・フランス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説『ムーンレイカー』
【監督】
ルイス・ギルバート
【キャスト】
ロジャー・ムーア、ロイス・チャイルズ、ミシェル・ロンズデール、コリンヌ・クレリー、リチャード・キール、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル、マイク・マーシャル、ウォルター・ゴテル、ジェフリー・キーン
【作品概要】
前作『007/私を愛したスパイ』(1977)のルイス・ギルバートが監督を務めた、イギリス・フランス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『ムーンレイカー』をもとに描かれた、「007」シリーズ第11作目です。
「007」シリーズのロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンド役を、『ナイル殺人事件』(1978)のロイス・チャイルズが本作のボンドガールであるホリー・グッドヘッド役をそれぞれ演じています。
映画『007/ムーンレイカー』のあらすじとネタバレ
英国は米国の大型ジェット旅客機「ボーイング747」を借りて、「ドラックス社」という会社が製造したスペースシャトル「ムーンレイカー」を空輸しようとしていました。
しかしアラスカ上空を飛行中、ボーイング747は空中爆発し、カナダ・ユーコンに墜落してしまいました。
ですが不可解なことに、墜落現場にはボーイング747の残骸しかなく、ムーンレイカーは影も形もありません。
米英政府から捜査を委任された英国情報局秘密情報部「MI6」の部長であるMと、米国の国防大臣のフレデリック・グレイは、「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドに、ハイジャックされたムーンレイカーの行方を捜索するよう命じました。
MたちとMI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQから事件の概要を聞いたボンドは、ドラックス社の社長ヒューゴ・ドラックスに接触するため、カリフォルニアへ向かいました。
カリフォルニアに到着後、ボンドはドラックス社の女性パイロットであるコリン・ダフォーと出会います。
ボンドは彼女が操縦するヘリに乗り、上空からドラックス社とドラックスの邸宅を観察しました。
コリンの話によると、ドラックスは宇宙制覇を夢見ており、ムーンレイカーを製造する工場・格納庫・実験室・試験センター全てを所有していました。
さらにドラックスは、宇宙飛行士の育成にも惜しみなく投資しており、ドラックス邸では宇宙飛行士を目指す訓練生が日々訓練に励んでいました。
ドラックス邸に到着後、ボンドはドラックスと謁見し、彼にムーンレイカーの製造は全てここでやっているのか尋ねます。
これに対しドラックスは、「宇宙を制覇することは人類の未来への投資だ。ゆえに世界各国の優秀な人材と技術を結集させる必要がある」、「だからムーンレイカーの部品はここだけではなく、世界各国で作っている」と答えました。
その後、ボンドはNASAから派遣された女性科学者ホリー・グッドヘッドと会い、彼女にムーンレイカーの総合施設(工場・格納庫・実験室・試験センター全てがある施設)を案内してもらいました。
スペースシャトル打ち上げ時の重力に対する訓練をする装置「遠心力訓練機」を目にしたボンドは、ホリーに勧められるがまま試乗することに。
そこへドラックスの手下チャンが現れ、ホリーと制御室にいるインストラクターに嘘を言い、退室させます。
そしてチャンは、遠心力訓練機を制御不能にし、ボンドを殺そうとしました。
どんどん遠心力と重力が増していき、意識を失いかけたボンド。間一髪のところでQから支給された新兵器を使って遠心力訓練機を停止させ、自力で脱出します。
この時ボンドは、ドラックスの指令を受けたホリーとチャンが、遠心力訓練機を使って自分を殺そうとしたのではないかと疑いました。
その日の夜。ボンドはコリンの寝室に忍び込み、彼女を誘惑して、ドラックス社はムーンレイカーの製造以外に何かしていることはあるか尋ねます。
これに対しコリンは、「閉鎖同然の研究所があって、そこで秘密の研究をしていたけど違う場所に移転したの」と答えました。
その秘密の研究とは何か探るべく、ボンドはコリンの静止する声も無視して、ドラックスの書斎に忍び込みます。
書斎内を調べた結果、秘密の研究所はドラックス社の傘下にある、イタリア・ヴェネツィアのガラス工房「ヴェニーニ工芸」で、ある製品を製造していることが判明。
その設計図のマイクロ・フィルム撮影に成功したボンドは、研究所で何を製造しているのか探るべく、ヴェネツィアへ向かいました。
しかし、ボンドに手を貸したコリンは、翌日ドラックスが飼っている猛犬2頭の餌食となってしまいました。
ヴェネツィアに到着後、ボンドは自分と同じようにヴェニーニ工芸を調べているホリーと遭遇します。
ホリーに上手く煙に巻かれてしまったボンドの元へ、ドラックスが差し向けた殺し屋たちが襲撃。壮絶なボートチェイスを繰り広げた末、ボンドは殺し屋たちを撃退しました。
その日の夜。ボンドは昼間目をつけたヴェニーニ工芸の中に隠された研究所に潜入。研究員たちの目を盗んで、そこで製造されている製品のサンプルを手に入れました。
するとそこへ、竹刀を持ったチャンが襲来。ボンドはヴェニーニ工芸内を調べつつ、チャンと激闘を繰り広げていきます。
激闘の最中、ボンドはドラックス航空貨物が、「C&W」というリオデジャネイロの会社に送られていることを知りました。
新たな手掛かりを得たボンドは、チャンを倒した後、ホリーの宿泊先のホテルに押しかけました。
この時、ホリーの部屋にCIAの常備品があるのを見て、ボンドはホリーがCIAのエージェントであることを見破りました。
翌日。ロンドンから駆けつけたMとグレイの立ち会いのもと、ボンドが見つけた研究所の現場検証が行われました。
ですが、研究所は跡形もなくなっており、代わりにドラックスが待ち構えていました。
恥をかかされたと怒り心頭でグレイと共に立ち去ろうとするMを引き止め、ボンドは製品のサンプルをQに渡してほしいとお願いしました。
そしてボンドはリオデジャネイロへ飛び、「C&W」について調べることにしました。
映画『007/ムーンレイカー』の感想と評価
ついに宇宙へと飛び立つボンド
ハイジャックされたムーンレイカーを見つけ出すため、カリフォルニア・ヴェネツィア・リオデジャネイロ・アマゾン、そして宇宙へと飛ぶボンド。
これまでの「007」シリーズ作品以上で壮大で迫力があるボンドの戦いが、全編通してスピーディーな展開となっており、一瞬たりとも画面から目が離せません。
何度捕まって殺されかけても諦めず、ドラックスを倒しその野望を打ち砕こうとするボンドの姿はとても格好良いです。
そしてなんといっても、物語の終盤で前作『007/私を愛したスパイ』(1977)で死闘を繰り広げた殺し屋ジョーズとボンドが協力する場面は、これまでの彼らの戦いを見てきた人にとって、一番テンションが上がるところでしょう。
壮大な野望を抱くドラックス
ドラックスは「完璧な肉体を備えた新人類を創造し、新たな帝国を築く」という長年の夢を実現するため、ある計画を企てました。
それは、希少な蘭「オーキディア・ネグラ」から抽出した有毒神経ガスを地球上にばら撒き、全人類を抹殺するというものでした。
物語の後半まで「ハイジャック事件の被害者」という顔を被っていたドラックスでしたが、実はドラックスがムーンレイカーを宇宙ステーションへの移動用シャトルとして奪った犯人だったのです。
そしてガラス工房を隠れ蓑にして、有毒神経ガスとそれを入れる球体カプセルを作る研究をしていました。
おそらくボンドが発見した航空貨物には、有毒神経ガス入りの球体カプセルを積んでいたのでしょう。
さらにはドラックスは、新人類を創造する場所である宇宙ステーションを極秘に建造していました。そこまで用意周到で夢の実現に挑んだドラックスの努力を考えると、呆気なく宇宙へと散っていったのは少し可哀想でした。
まとめ
「007」ことMI6の敏腕諜報員であるジェームズ・ボンドが、壮大な野望を抱く悪党との戦いに挑むため、宇宙へと飛び立ったイギリス・フランス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
本作の見どころは、世界各地で繰り広げられるボンドvsジョーズとドラックスの手下による激闘の数々と、米軍の攻撃部隊vsドラックスの手下による宇宙での戦いです。
前作『007/私を愛したスパイ』(1977)に引き続き登場したジョーズですが、作中ではボンドを執念深く追いかけ殺そうとする姿以外に、意外な一面を見せます。
それは、リオデジャネイロで繰り広げられたケーブルカーでの戦い。部下のミスによって乗っていたケーブルカーが大破し、負傷したジョーズは、自分を助けてくれたドラックス社の女性ドリーと恋に落ちるのです。
それを知ってか知らずか、ボンドはドラックスの計画の盲点を突いて、ジョーズを味方につけました。ジョーズがドリーと一緒にボンドを助けるところ、そんな2人の無事を祈るボンドの姿は、それまで殺し合っていた2人とは思えないほど穏やかなものでした。
ロジャー・ムーア演じる3代目ジェームズ・ボンドの戦いが、ついに宇宙に進出した壮大かつ迫力あるスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。