大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第10作!
ルイス・ギルバートが監督を務めた、1977年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/私を愛したスパイ』。
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、ソ連の情報機関・秘密警察「ソ連国家保安委員会(KGB)」の女スパイと共に、英ソの弾道ミサイル原子力潜水艦が行方不明になった事件を調査していく姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
ロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンドを演じた「007」シリーズ第10作、『007/私を愛したスパイ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
スポンサーリンク
CONTENTS
映画『007/私を愛したスパイ』の作品情報
(C) 1977 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
【公開】
1977年(イギリス・アメリカ合作映画)
【原作】
イアン・フレミングの小説『私を愛したスパイ』
【監督】
ルイス・ギルバート
【キャスト】
ロジャー・ムーア、バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス、キャロライン・マンロー、リチャード・キール、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル、ウォルター・ゴテル、ジェフリー・キーン、ジョージ・ベイカー、マイケル・ビリングトン、ロバート・ブラウン、オルガ・ビセラ、ヴァーノン・ドブチェフ、ナディム・サワラ
【作品概要】
『アルフィー』(1966)のルイス・ギルバートが監督を務めた、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品。
原作であるイギリス人のスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの小説『私を愛したスパイ』をもとに描かれた、「007」シリーズ第10作目です。
「007」シリーズのロジャー・ムーアが3代目ジェームズ・ボンドを、『タランチュラ』(1970)のバーバラ・バックが本作のボンドガールであるアニャ・アマソヴァ役を、『悪の決算』(1955)のクルト・ユルゲンスが本作の悪役であるカール・ストロンバーグ役をそれぞれ演じています。
映画『007/私を愛したスパイ』のあらすじとネタバレ
(C) 1977 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
核ミサイル「ポラリス」を16発搭載した英国海軍の原子力潜水艦「レンジャー」と、ソ連海軍の原子力潜水艦「ポチョムキン」が突如消息を絶ちました。
これを受け、英国情報局秘密情報部「MI6」とソ連の情報機関・秘密警察「ソ連国家保安委員会(KGB)」は、「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドと、「トリプルX」ことKGBの女スパイであるアニヤ・アマソヴァに調査を命じました。
その時、ボンドは英国海軍とMI6の特務装備開発課「Q課」の課長であるQからある情報を得ます。
英国海軍とQの推測によると、「レンジャー」が突如消息を絶ったのは、何者かが人工衛星の熱感応センサーを使って核ミサイルと潜水艦を追跡するシステムを開発し、東西の防衛戦略を妨害しようとしているからです。
しかも、その潜水艦追跡システムを売ろうとした者がいると言います。潜水艦追跡システムについて知る人物に接触するため、ボンドとアマソヴァはそれぞれエジプト・カイロへ向かいました。
カイロ到着後、ボンドは潜水艦追跡システムについて知る人物、アジズ・フェケシュに接触します。その際、ボンドは同じ目的で彼に接触したアマソヴァと出会いました。
しかし2人が情報を聞き出す前に、フェケシュは謎の暗殺者に襲われ殺されてしまいました。
その後、フェケシュの手帳から、彼が潜水艦追跡システムのマイクロ・フィルムを売ろうとしている男マックス・カルバと会う約束をしていたことを知ったボンドは、2人が待ち合わせした場所「モジャバ・クラブ」へ向かいました。
そこでボンドは、再びアマソヴァと遭遇します。2人の目的は、モジャバ・クラブのオーナーを務めているカルバに接触することです。
しかし、2人がカルバからマイクロ・フィルムを回収する前に、カルバはフェケシュを殺した大男の暗殺者に殺され、マイクロ・フィルムを奪われてしまいます。
マイクロ・フィルムを取り返すため、フェケシュとカルバを殺した暗殺者ジョーズが偽装した、電話の修理屋のライトバンに忍び込み、ジョーズを追跡するボンドたち。
ルクソールのカルナック神殿での格闘戦の末、2人は協力してジョーズからマイクロ・フィルムを奪取し、ライトバンを使って何とかジョーズから逃げきりました。
ですがカイロまで戻る道中、ボンドはアマソヴァのハニートラップに引っかかってしまい、回収したマイクロ・フィルムを持ち去られてしまいます。
その後、ボンドはアブシンベル神殿内部にあるMI6の秘密事務所(Qの研究施設も併設されている)に向かいました。
そこにはアマソヴァと、アマソヴァの上司であるKGBのゴゴール将軍もいました。MI6の部長であるMにその理由を尋ねると、今回利害が一致した英ソ両政府は、力を合わせて消息を絶った両国の原子力潜水艦を捜すことになったと言います。
ゴゴール将軍は、敵対関係にあった英ソが協力する時代になったことへの誠意を示すため、アマソヴァがボンドから持ち去ったマイクロ・フィルムを彼に返そうとしました。
しかしボンドは、マイクロ・フィルムの返却を辞退します。カイロまで戻る際に使った舟で、マイクロ・フィルムの中身を確認したボンドは、肝心の中枢の技術情報が抜けていることに気づいたからです。
マイクロ・フィルムが本物かどうか確かめるべく、Mに調べてもらった結果、マイクロ・フィルムの中に入っているデータには世界の大富豪であり、西側の大搾取資本家である海洋学者カール・ストロンバーグの海洋研究所のマークが記されていました。
ストロンバーグが怪しいと睨んだMとゴゴール将軍は、ボンドとアマソヴァにストロンバーグを調査するよう命じます。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
映画『007/私を愛したスパイ』の感想と評価
(C) 1977 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
共闘する英ソのスパイ
作中では、ボンドたちMI6がある英国と、アマソヴァたちKGBがあるソ連は敵対関係にあります。ですが物語の中盤で、利害が一致した英ソの両政府は、協力して自国の原子力潜水艦と核ミサイルを奪還することになりました。
協力して任務に当たることになっても、元々敵同士であるため、ボンドたちは潜水艦追跡システムのマイクロ・フィルムを巡って争い、常に相手を出し抜こうとスパイならではの策を講じていきます。
しかも、本作のボンドガールであるアマソヴァは、これまでの「007」シリーズ作品に登場したボンドガールたちとは違い、ボンドと対等な関係にある女性です。
そのためボンドたちのスパイ同士の駆け引き、英ソのスパイが協力して悪党たちに立ち向かっていく場面はとても新鮮なものであり、また刺激的で観ているだけでワクワクドキドキさせられます。
核戦争勃発を目論むストロンバーグ
(C) 1977 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
本作の悪役であるストロンバーグの目的は、自身が所有する世界最大のタンカー「リパラス号」を使って、英ソの原子力潜水艦を強奪。
そこに搭載されている核ミサイルを米ソ両国の主要都市に発射し、核戦争を勃発させ世界を破壊し、念願の海底都市を築くことです。
そうまでして海底都市を築きたい理由は、作中でストロンバーグがボンドに語っていたとおり、ストロンバーグ自身が海と、そこに暮らす海洋生物たちをこよなく愛しているからでした。
その証拠に、ストロンバーグが研究所としているアトランティスには、様々な海洋生物が住んでいました。そのため海を汚染する世界と、腐敗した文明に嫌気がさしたのだと考察できます。
海と海洋生物への愛が強すぎてしまったが故に、悪の道へと進んでいってしまったストロンバーグ。彼の夢は最初こそ、純粋なものだったことでしょう。
まとめ
(C) 1977 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
「007」ことMI6の敏腕諜報員ジェームズ・ボンドが、「トリプルX」ことKGBの美しき女スパイと協力して、海底都市を築くために核戦争を勃発させようとしている海洋学者の野望を阻止する、イギリス・アメリカ合作のスパイアクション作品でした。
本作の見どころは、ボンドたち英ソのスパイvs世界の大富豪であり西側の大搾取資本家でもある海洋学者ストロンバーグとその手下たちの戦い、そして敵対関係にあるボンドたちが恋に落ちていくラブロマンスです。
また、世界一巨体な俳優として知られているリチャード・キールが、鋼鉄の歯で標的を嚙み殺す殺し屋ジョーズ役を演じているのも見どころの1つとなっています。
作中で登場した新しいボンドカー、ロータス・エスプリによるカーチェイス、潜水艇に変形した時の水中戦は、車好きにはたまらないアクション場面です。
そしてなんといっても、物語の終盤で繰り広げられるリパラス号での戦い。これまで米国と英国が協力することはありましたが、まさか米英ソの3か国の海軍が共に戦うことがあるなんて思いもしませんでした。
米英ソの海軍がリパラス号の乗組員と銃撃戦を繰り広げていく姿は、「007」ファンも軍隊が好きな人も楽しめるアクション場面となっています。
「007」シリーズ最大のスケールで放つ、ロジャー・ムーア演じる3代目ジェームズ・ボンドの新たな戦いを描いたスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。