『ノー・ウェイ・ホーム』に登場した
「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ歴代ヴィランを徹底解説!
2022年1月7日に公開された『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』(以下、『ノー・ウェイ・ホーム』)では、「スパイダーマン」シリーズ、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズと過去のスパイダーマン映画から多くの敵キャラクター“ヴィラン”が登場し、多くのファンを驚かせました。
いずれもスパイダーマンを代表する強敵たちですが、過去作の設定を忠実に再現しているのはもちろん、本作ならではの変化もあり、ファンにとってはたまらない演出になっています。
この記事では2012~2014年に公開されたアンドリュー・ガーフィールド主演の「アメイジング・スパイダーマン」シリーズから登場したヴィランをオリジナル版の活躍も含め、ヴィランごとに解説していきます。
CONTENTS
リザード:『アメイジング・スパイダーマン』(2012)
参考映像:『ノー・ウェイ・ホーム』リザード紹介動画
リザードはアンドリュー・ガーフィールド版スパイダーマンの第1作『アメイジング・スパイダーマン』(2012)に登場しました。
『ノッティングヒルの恋人』などで知られ、コメディアンとしても活躍するイギリスの俳優であるリス・エヴァンスが、リザードことカート・コナーズを演じています。
リザードは体表が爬虫類のような鱗で覆われ、トカゲのような尻尾はもちろん、体中の至る部位が欠損しても驚異的な速度で再生されるという高い身体能力でスパイダーマンを苦しめました。
『アメイジング・スパイダーマン』でのリザード
『アメイジング・スパイダーマン』劇中でのカート・コナーズは、優秀な遺伝子学者であり主人公・ピーターの父であるリチャードとはかつて研究仲間でした。
ピーターは幼いころに謎の死を遂げたリチャードの話を聞くため、コナーズの元を訪れるうちに彼から才能を見出され、人間の細胞を再生させる薬を作る研究を手伝うようになりました。
しかしコナーズは研究の早期完成を急かされ、やむなく自身に未完成の薬を投与。失っていた自身の右腕は再生したものの、薬の副作用によって巨大なトカゲのような肉体と凶暴な人格を持つ「リザード」へと変貌してしまいます。
しかし一定時間で元のコナーズの姿へ戻ってしまうため、より長く・より強い体を手に入れるためにコナーズは薬の改良を行います。
やがてリザードの正体がコナーズであると気づいたピーターは、自身にも目覚めた力を使ってコナーズを止めることを決意。スパイダーマンとして対峙します。
一方で「薬で完全な生命体に進化した」と自負するリザードは、それを他の人間にも促すために薬を撒き、ニューヨークの住民を自身のようなトカゲ人間へと変えていきます。そしてもっと多くの同胞を作ろうと、ニューヨーク中に薬を散布しようと計画します。
しかし、コナーズを元に戻す血清を恋人・グウェンと共に作り出したピーターは、リザードの妨害を受けながらも装置に入った薬を散布寸前ですり替えることに成功。トカゲ人間に変えられてしまったニューヨーク市民たちが元の姿へと戻るのと同時に、本来の姿と理性を取り戻したコナーズは自身の行いを悔い、警察に逮捕されました。
『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』でのリザード
『ノー・ウェイ・ホーム』劇中でのリザードは、すでにドクター・ストレンジによって捕らえられた状態で登場。当初は口を閉ざしていましたが、同様に捕らえられていたエレクトロから話しかけられてようやく口を開き、その容姿から「しゃべらない」と思っていた登場人物たちを驚かせていました。
またリザードは『アメイジング・スパイダーマン』結末にてコナーズの姿へ戻っていたことから、リザードは『アメイジング・スパイダーマン』結末の一歩手前の時間軸から『ノー・ウェイ・ホーム』本作の世界へやってきたことが予想されます。
『ノー・ウェイ・ホーム』劇中でのリザードは他のヴィランとは異なり、一線を引いて傍観しているように感じられたのが印象的で、これはコナーズ自身の高い知能を持ちながらも、人間を卑下した考え方を持っているというリザードの設定を基づいているといえます。
やがて物語中盤にてグリーン・ゴブリンが本性を現すと、誰からに唆されたわけでもなく、申し合わせたように暴れ始めたところから、すべて計算ずくだったように感じられ、凶暴さと知能を備えたリザードらしい立ち回りをしていたと考えられます。
クライマックスのバトルシーンでは、非戦闘員のネッドとMJを狙うなどの狡猾さを見せており、『アメイジング・スパイダーマン』同様、一般人に容赦なく襲いかかる様子が見受けられます。
また、対峙した自身と同じ世界から来たスパイダーマン=「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのピーターに糸を全身に巻きつけられ、動きを封じられる描写が登場しましたが、同様の戦い方を『アメイジング・スパイダーマン』でも見せています。
そして『アメイジング・スパイダーマン』と同じく、最後には血清でコナーズに戻ったリザードが「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのピーターと会話する場面から、「治療」が成功し元のコナーズへと無事戻ったことが分かります。
エレクトロ:『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)
参考映像:『ノー・ウェイ・ホーム』エレクトロ紹介動画
アンドリュー・ガーフィールド版スパイダーマンの第2作『アメイジング・スパイダーマン2』のメインヴィランとしてエレクトロは登場しています。
エレクトロことマックス・ディロンを演じたのは、『ジャンゴ 繋がれざる者』や『ホワイトハウス・ダウン』などで知られ、『Ray/レイ』ではアカデミー主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスです。
エレクトロは自らの肉体に大量の電気を帯電させ、自在に放出する能力が特徴のヴィランです。
『アメイジング・スパイダーマン2』でのエレクトロ
『アメイジング・スパイダーマン2』劇中でのディロンはオズコープ社の社員の一人であり、世界一の規模のラボが入ったオズコープ社社屋の電気配線を一人で設計したほどの優秀なエンジニアでしたが、内向的な性格ゆえに友人もなく孤独な生活を送っていました。
ある日彼はスパイダーマンに命を救われたことから、勝手に「親友」と思い込むほどにスパイダーマンに対し執着するようになりますが、やがて職場での作業中に感電し、そのままラボ内の電気ウナギが入った水槽に転落したことで、肉体に電気を蓄え自在に操ることができる能力を手に入れます。
その能力をうまく扱えず、タイムズスクエアで騒動を起こしていたところでスパイダーマンと再会するも、「スパイダーマンに裏切られた」と誤解したマックスは自らを「エレクトロ」と名乗り、スパイダーマンの命を狙うようになります。
一度はスパイダーマンの機転もあって拘束・収容されたエレクトロでしたが、ハリーの手引きによって脱走。発電所を占拠・停止することでニューヨーク全域を停電させ、スパイダーマンをおびき出し倒そうとします。
スパイダーマンことピーターはエレクトロの妨害を受けながらもと恋人・グウェンの協力によって発電所を再起動。破損した送電線を蜘蛛の糸でつなぎ、ニューヨークに再び電気を送ります。
その際、肉体の許容量を超える莫大な過電流が流れ込んだことで、エレクトロは爆発。跡形もなく消え去りました。
『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』でのエレクトロ
『ノー・ウェイ・ホーム』でのエレクトロは他のヴィランと同じく別世界からやってきますが、出現した瞬間に周囲の電線から電気を取り込んでいる状態で現れます。
のちの場面でエレクトロは「俺はスパイダーマンを追い詰め、電気が自分に流れてきた」と話していることから、『アメイジング・スパイダーマン2』で最期を迎える直前のタイミングで本作の世界にやってきたことがうかがえます。
また『アメイジング・スパイダーマン2』でのエレクトロは体表が透け、電気の光で青白く輝いていましたが、本作では人間だった頃のディロンの姿を取り戻しています。しかし『アメイジング・スパイダーマン2』劇中でのディロンの姿ではなく、たくましい肉体に短髪という容姿で登場しています。
また攻撃の際に放出される電撃の色は『アメイジング・スパイダーマン2』では青色でしたが、本作では黄色に輝く色へと変化していました。
『ノー・ウェイ・ホーム』劇中でエレクトロが「電気の味が違う」と話していることからも、世界が異なることで電気の質が変化し、それが電撃の色の変化につながったのかもしれません。またこの「電気の味」で自身が別世界にやってきたとすんなり納得する描写もあり、電気を肉体に蓄え操るエレクトロらしい表現といえます。
他にもエレクトロが電撃を放つ際、顔の周りに電気が迸っている描写がありましたが、よく見るとその姿は、エレクトが「星形の仮面」を着けているようにも見えます。これは原作コミック版のエレクトロが着用しているマスクへのオマージュ描写であり、ファンを驚かせていました。
クライマックスのバトルシーンでは、『ノー・ウェイ・ホーム』のピーターから奪ったアークリアクターを装着し登場。このアークリアクターはMCUファンにとってはおなじみのアイテムであり、アイアンマンのパワードスーツなどの動力源に使われている膨大な電力を発生させる装置です。
蓄えた分の電気しか使えないエレクトロにとってはこの上ないほど強力なサポートアイテムであり、よりパワーアップした姿でスパイダーマン達を苦しめましたが、のちにドクター・オクトパスにアークリアクターを奪われたことで電気を失い、それが敗北へとつながりました。
その後、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのピーターが素顔を晒しエレクトロと会話する場面では、「黒人だと思ってた」と言いながらも「カッコいい」「最高だ」と褒めちぎっていることからも、「治療」を経ても未だ「ヒーロー」であるスパイダーマンへの憧れが彼の内で燻っていることが察せられました。
まとめ
映画『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』に登場した、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ(2012~2014)の各ヴィラン解説はいかがだったでしょうか。
『ノー・ウェイ・ホーム』を通じて、スパイダーマンの人気の一因には魅力あるヴィランの存在が大いにあると改めて実感できたはずです。
本作においては多くのヴィランが登場するものの、いずれのヴィランも単純な敵役としてではなく、ストーリーを構成する重要なキャラクターとして描かれ、その上で再びスパイダーマンに立ちはだかる強固な敵としてスケールアップされていました。
時を経てもなお成長し、ファンを熱くさせてくれるのはスパイダーマンはもちろん、ヴィランたちも同様なのかもしれません。