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Entry 2021/08/11
Update

Bunkamuraル・シネマのオンライン映画館『APARTMENT』オープン!視聴方法/料金/上映作品紹介

  • Writer :
  • 石井夏子

オンライン映画館『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』8月11日オープン。

東京・渋谷の複合文化施設Bunkamura内にある、Bunkamuraル・シネマ。映像芸術の発信地として観客と世界をつなぐ橋渡しを担うミニシアターです。

(C)ototoi

Bunkamuraル・シネマが、オンライン映画館『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』を、2021年8月11日にオープンします。

オープニング上映の2作品にむけた松田青子と山崎まどかのコラムと、大島依提亜がデザインを手掛けたフライヤー画像が公開されました。

オンライン映画館『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』とは?

『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』は、1989年のオープン以来ミニシアターブームをけん引してきたBunkamuraル・シネマが、独自に権利を取得した日本初公開作品を中心にオンラインで配信上映するサービス

APARTMENTの名称は、「ひとりでも、親しい誰かとでも、ひとりひとりに寄り添う映画を、よりパーソナルな空間で心地よい孤独とともに楽しむ空間」というコンセプトに由来しており、そのコンセプトを象徴するイラストはイラストレーターのototoiによるもの。

渋谷の劇場で上映される作品とは異なるラインナップ編成を行うという『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』のオープニングを飾るのはイギリス製作の映画2作品

まずは、2021年英国アカデミー賞で『ノマドランド』の7部門を上回る最多8部門でノミネートされ、「最もパワフルなシスターフッド映画」と評される『Rocks/ロックス』(サラ・ガヴロン監督)

そして、リレーションシップ、ロマンス、そもそも映画を観ることとは──『恋人たちの予感』から『ブリジット・ジョーンズの日記』、『ゴッズ・オウン・カントリー』まで幾多のロマコメ映画の名場面を引用しつつ、その魅力とこれからについて語り合うフィルム・エッセイ『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』(エリザベス・サンキー監督)の2本。

どちらも約3ヶ月間上映予定となっています。

映画の公開にあたり、『Rocks/ロックス』には作家の松田青子が、『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』にはコラムニストの山崎まどかがコラムを寄稿、それぞれAPARTMENTの特設ページから閲覧できます。

映画の配信・視聴には動画配信プラットフォームのVimeoが使用され、サブスクリプション形式ではなく、好きな時に好きな場所で1本ごとに有料鑑賞する「通常の映画鑑賞のような」形式をとっています。

オープニング2作品の鑑賞価格はそれぞれ1,200円、決済完了後48時間以内であれば繰り返し視聴可能です。

詳細は『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』公式ページにてご確認ください。

映画『Rocks/ロックス』の作品情報

【製作】
2019年(イギリス映画)

【監督】
サラ・ガヴロン
【キャスト】
ブッキー・バックレイ、コーサル・アリ、ディアンジェロ・オセイ・キシェドゥ、シャネイヤ=モニク・グレイソン、ルビー・ストークス、トヒーダ・ベガム、アナスタシア・ディミトロウ、アフィ・オケイジャ、サラ・ナイルズ

【日本語字幕】
上條葉月

【本編尺】
93分

映画『Rocks/ロックス』の作品概要

ファーザー』『ミナリ』、そして『ノマドランド』……錚々たる話題作が肩を並べた2021年の英国アカデミー賞。

ノミネーション発表の段階で最大のサプライズとして迎えられたのが、本作『Rocks/ロックス』です。

ほぼすべてのキャストがプロの俳優ではなく無名、作品知名度の圧倒的な差にもかかわらず、監督賞・主演/助演女優賞の主要部門、公募部門のライジング・スター賞を含め『ノマドランド』を上回る最多8部門ノミネートを果たし、主役のロックスを演じたブッキー・バックレイは見事ライジング・スター賞を受賞。

その快挙はオーディエンスに鮮烈な感動をもたらしました。

「最もパワフルなシスターフッド」と評され、ガーディアン、エンパイア、テレグラフなど多くのメディアで最高評価の5つ星を記録、ロッテン
・トマトでも97%フレッシュをキープする本作の監督は、20世紀初頭のロンドンで女性の参政権を求め闘う「サフラジェット」を描き絶賛された
『未来を花束にして』のサラ・ガヴロン。

貧富も、人種も混じり合うロンドンの公営住宅=カウンシル・エステートを舞台に、社会問題と思春期の少女の心の動きを真摯な眼差しと力強い手触りでリンクさせます。

撮影には『17歳の瞳に映る世界』『幸福なラザロ』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』のエレーヌ・ルヴァール、前述の英国アカデミー賞を受賞したキャスティング担当には『アメリカン・ハニー』『フィッシュ・タンク』『アタック・ザ・ブロック』のルーシー・パーディーと、確かな腕を持つスタッフが集結。

さらに、ロンドンの演劇シーンでデビュー直後から注目を集めるテレサ・イココ、TVシリーズで高評価を得たクレア・ウィルソン、ふたりの新星が脚本に息を吹き込み、Ray Blk、JorjaSmith、Little Simzらの楽曲がサウンドトラックで映画を彩りました。

主題歌“Warrior”を提供したRay Blkは『Rocks/ロックス』についてこう語っています。「この映画は──私も含めた──多くの人々が心を通わせられる素晴らしい映画です。困難に立ち向かう姿勢、強さ、そして友情を示すこの物語を私は愛し、そしてきっと沢山の若い人が共感してくれるだろうと信じています。このパワフルな映画に関われて本当に光栄です。」

誰かのことを強く想い、青い光をまばゆいストロボライツに変えてみせようとするロックスたちの声は、人を信じ身を預けることの困難と希望を、これ以上なく真摯に語りかけてきます。

映画『Rocks/ロックス』のあらすじ

(C) GIRL UNTITLED LIMITED

15歳の少女ロックスは、いたずら好きな弟エマニュエル、そして母親とイースト・ロンドンの公営住宅で暮らしていました。

メイクアップ・アーティストになることを夢見る彼女は、親友にも囲まれ学校では人気者。

しかしある日、母親が突如姿を消してしまいます。

心配した隣人が福祉局に連絡するも、「見つかれば弟とはなればなれになってしまう」と恐れたロックスは、右も左も分からないままロンドンの街を漂流することに。

やがてお金も尽き限界を迎えるロックス。そんな彼女に助けの手を差し伸べたのは、これまでいつも支え合ってきた親友たちで……。

映画『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』の作品情報

【製作】
2019年(イギリス映画)

【監督・脚本・編集】
エリザベス・サンキー

【キャスト】
ジェシカ・バーデン、チャーリー・ライン、アン・T・ドナヒュー、キャメロン・クック、シムラン・ハンス、ブロディ・ランカスター、エレノア・マクドーウォル、ローラ・スネイプス

【日本語字幕】
岡田悠里

【本編尺】
78分

【劇中に登場する名作ロマコメ映画】
ラブ・アクチュアリー、(500)日のサマー、フォー・ウェディング、ユー・ガット・メール、恋人たちの予感、素顔の私を見つめて…、ゴッズ・オウン・カントリーラ・ラ・ランド卒業、プリティ・ウーマン、紳士は金髪がお好き、ノッティングヒルの恋人、ヒズ・ガール・フライデー、プラダを着た悪魔メリーに首ったけ、40男のバージンロード、ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ、ブリジット・ジョーンズの日記、ルビー・スパークス etc……

映画『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』の作品概要

ラブコメ=ロマコメ映画は多くの人々に深く愛されている一方で、本格的な分析はほとんどなされてきませんでした。

本作は幾多の名作映画の実際のシーン映像を抜粋し、「あの映画を観たときの高揚」を観客とともに追体験しながら、「ロマコメ映画とは? 愛とは?」というテーマを探求し、自己発見の旅に出るフィルム・エッセイです。

監督はインディポップ・バンド Summer Campとして活動し、本作と同様のスタイルで青春映画について語ったドキュメンタリー『ビヨンド・クルーレス』のサントラも勤めたエリザベス・サンキー。

膨大な数の名シーンを巧みに切り取り、自らのボイスオーバーで個人的な想いを重ねつつ、サウンドトラックも手掛けます。

監督以外の「声」として、『このサイテーな世界の終わり』『ロブスター』で注目を集めるジェシカ・バーデン、前述の『ビヨンド・クルーレス』の監督チャーリー・ラインをはじめとして、Pitchfork、NME、Rolling Stone等のカルチャーメディアで活躍する批評家やライターたちが集結し、多様な視点からロマコメ映画について語り尽くします。

旧来のロマコメ映画を礼賛すると同時に、現代的な視点で問題提起を行う本作。その言及対象は、「愛」を描く映画のオルタナティブなスタイル
としてのブロマンス≒バディものにまで及びます。

愛について語るとき、わたしたちはどのような言葉を持ち得るのでしょうか? そもそも、映画を観て感動するとはいったいどういうことなのでしょうか。

相反するふたつの存在が互いの違いを認め、補い合うのがロマコメ映画の定石だとするならば、今あらためてロマコメ映画を語り直す意義は、きっと想像以上に大きいはずです。

映画『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』のあらすじ

ティーンエイジャーの頃、「私」はロマコメ映画に狂おしいほど恋をしていました。ロマコメ映画は孤独への不安を和らげ、甘美な人生が待っていると約束してくれたからです。

しかし、大人になった今はいろいろなことを考えてしまいます。なぜ『プラダを着た悪魔』でアンディはネイトの誕生日に怒られるの?マグノリアのカップケーキじゃだめ?

ブリジット・ジョーンズが57kgでオーバーウェイトだとバカにされるなら、私はどうなるの?ロマコメ映画ではなぜ、キャリアウーマンはみんな惨めに描かれるの?

みなが白人で、異性愛者で、誰もが結婚を望む、非現実なおとぎ話の世界。

なのに、なんで「私」はまだロマコメ映画を観てしまうのでしょう。何度も、何度も。あなたはどう思う?ロマコメ映画のこと……。

まとめ

渋谷の映画館・Bunkamuraル・シネマのセカンドラインとして新たにオープンするオンライン映画館『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』。

上映作品は、30年以上にわたり世界中の映画を紹介してきたBunkamuraル・シネマが独自に権利を取得した日本初公開作品を中心に、パソコン、スマートフォン、タブレットなどでお好きな場所からご覧いただけます。

オンライン映画館『APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA』は、2021年8月11日にオープンです。










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