Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

映画『仮面ライダーセイバー』ネタバレ評価感想レビュー。キャストからテレビ版演出との共通点を解説|邦画特撮大全80

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第80章

今回の邦画特撮大全は劇場短編『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』を紹介します。

2020年12月18日から劇場公開されている『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』。現在放送中の令和仮面ライダー第2弾『仮面ライダーセイバー』初の劇場版です。

神山飛羽真/仮面ライダーセイバーたち6人の仮面ライダーが、不死身の剣士バハト/仮面ライダーファルシオンが企む世界滅亡に立ち向かう物語となっています。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

映画『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』の作品情報


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

【公開】
2020年(日本映画)

【原作】
石ノ森章太郎

【監督】
柴崎貴行

【脚本】
福田卓郎

【出演】
内藤秀一郎、山口貴也、川津明日香、青木瞭、生島勇輝、富樫慧士、岡宏明、内山そうた、山口美月、中村公隆、緒方ありさ、宮岸泰成、レ・ロマネスクTOBI、谷口賢志

【作品概要】
令和ライダー第2弾『仮面ライダーセイバー』の劇場短編作品。本作を手がけた柴崎貴行監督と脚本の福田卓郎は、『仮面ライダーセイバー』のTVシリーズでもメイン監督・メインライターを務めています。

出演者には内藤秀一郎、山口貴也らTVシリーズの仮面ライダー、“ソードオブロゴス”の仲間たちが総出演。そしてゲストキャラクターのバハト/仮面ライダーファルシオン役には谷口賢志。『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999)の巽ナガレ/ゴーブルー、ネット配信ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』(2016~2017)の鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファでも変身ヒーローを演じています。

同時上映は『仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』。

映画『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』のあらすじネタバレ


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

小説家で書店の店主でもある神山飛羽真/仮面ライダーセイバーは、“ソードオブロゴス”という組織に属する剣士=仮面ライダーたちと共に、世界の均衡を守るため脅威と戦っていました。

ある時、飛羽真は公園で小学生の田中逸樹と出会います。逸樹は公園でサッカーをして遊ぶ他の小学生たちの輪に入れずにいました。飛羽真はそんな逸樹を見て、彼に勇気づける言葉をかけます。


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

一方、封印されていた剣士バハトがなぜか復活。“破滅の本”を開いてしまいました。本から闇があふれ、現実世界と異世界“ワンダーワールド”の2つの世界を虚無に呑み込んでいきます。

神山飛羽真、そして新堂倫太郎/仮面ライダーブレイズ、富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダ、尾上亮/仮面ライダーバスター、緋道蓮/仮面ライダー剣斬、大秦寺哲雄/仮面ライダースラッシュ。

6人の剣士たちは世界を消滅の危機から守るためバハト/仮面ライダーファルシオンに立ち向かっていきます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』ネタバレ・結末の記載がございます。『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

バハトの目的は無から始まった世界を再び無に戻すこと。彼は争いを繰り返す人類の歴史に意味がないと考えているのです。

飛羽真たちは「人類の歴史は争いだけじゃない」とバハトに反論し、それぞれの信じる強さのもと、仮面ライダーファルシオンと彼の操る尖兵シミーの大軍と戦います。

飛羽真が変身した仮面ライダーセイバーは仮面ライダーファルシオンを倒します。しかしファルシオンは“エターナルフェニックスワンダーライドブック”の力を持つ不死身の剣士。倒されてもファルシオンは炎を浴びて復活するのです。

不死身の仮面ライダーファルシオンになす術のない仮面ライダーセイバー。しかしブレイブドラゴンと「破滅の本」から出現した2匹のドラゴンがクロスし、“エモーショナルドラゴンワンダーライドブック”が形成されます。


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

新たなワンダーライドブックを手に入れたセイバーは、“仮面ライダーセイバーエモーショナルドラゴン”にパワーアップ。見事に仮面ライダーファルシオンを打倒します。

消滅の危機を脱し、世界に平和が訪れます。飛羽真に勇気づけられた逸樹は、公園で遊んでいた他の小学生たちの輪に入り一緒にサッカーをします。

しかしその一方で、何者かがバハトの封印された本を密かにソードオブロゴスの基地へと保管するのでした。

映画『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』の感想・評価


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

早くも劇場版が製作された『仮面ライダーセイバー』。短編作品という事もあり上映時間が20分と短いため、やや駆け足な展開が気になりますが、各ライダーたちの見せ場のアクション、「世界消滅」という大きな危機をしっかりとスケールのある映像で見せてくれました。仮面ライダー6人が円陣を組んで同時変身するシチュエーションはシンプルに格好良いです。

物語もシンプルなもので、アクションに次ぐアクション、最初からクライマックスという短い上映時間の中に見所を凝縮させた作りとなっていました。

またこれまでの仮面ライダーシリーズの劇場版と同様に、主人公である神山飛羽真/仮面ライダーセイバーの新フォーム、オリジナルの敵キャラクターの登場といった要素も盛り込まれています。


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

そして、谷口賢志が演じるバハト/仮面ライダーファルシオンの圧倒的な存在感がやはり見所です。『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999)の巽ナガレ/ゴーブルーでデビューし、後に『仮面ライダーアマゾンズ』(2016~2017)で仮面ライダーアマゾンアルファに変身した経験のある谷口賢志。前述したように上映時間の関係で、バハトという人物をそこまで掘り下げて描いていない点は惜しいのですが、演じる谷口賢志の存在感がその点をカバーしてくれています。

『仮面ライダーセイバー』のTVシリーズには、『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006)の三上真史や『仮面ライダー555』(2003)の唐橋充といった東映特撮作品に出演していた俳優が、かつてのソードオブロゴスの剣士としてゲスト出演しています。さらにTVシリーズに登場する裏切りの剣士・仮面ライダーカリバーには、谷口賢志と同じく1977年生まれの平山浩行がキャスティングされています。

主人公を演じる若手俳優よりも2回り年長で、尚且つ特撮作品OBでもある谷口賢志のキャスティングは、TVシリーズに登場するかつての剣士たちと同じ流れにあるものだと考えられます。

現在、若手俳優の登竜門として認識されている仮面ライダーシリーズ。デビュー間もない若手俳優の演じる若き剣士=仮面ライダーたちの前に立ちはだかる大きな壁として、今回のバハト/仮面ライダーファルシオンのキャスティングは見事に効果的だと言えるでしょう。

まとめ


(C)2020 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

若き仮面ライダーたちが世界の脅威に挑む『仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』。短い上映時間の中に、『仮面ライダーセイバー』の見所を凝縮させた作品となっていました。

次回の邦画特撮大全は…

次回の邦画特撮大全は『ネズラ1964』を紹介します。お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら




関連記事

連載コラム

『終末の探偵』あらすじ感想と評価解説。映画で北村有起哉が挑む探偵物語の先の“裏社会のどぶさらい”|映画という星空を知るひとよ128

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第128回 故・松田優作の代表作とも言えるドラマ『探偵物語』(1979)をオマージュしたかのような映画『終末の探偵』。 主人公の探偵を生業とする連城新次郎は、借 …

連載コラム

三池崇史×椎名桔平映画『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』をトークイベントにて振り返る|2019SKIPシティ映画祭3

第16回を迎えるイベントが、2019年も開幕! デジタルシネマにフォーカスし、“若手映像クリエイターの登竜門”として次代を担う新たな才能の発掘を目指す「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」(7月21日( …

連載コラム

Netflix『全裸監督』第5話あらすじネタバレと感想。AV女優の黒木香がデビュー!|パンツ一丁でナイスですね〜!5

連載コラム『パンツ一丁でナイスですね〜!』五丁目 Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』が2019年8月8日より配信中です。 伝説のAV監督村西とおるを描いた本シリーズ。 前話で自分の出生の秘密 …

連載コラム

映画『二宮金次郎』あらすじと感想。小田原を出て功績を挙げた尊徳の人間性|シニンは映画に生かされて9

連載コラム『シニンは映画に生かされて』第9回 はじめましての方は、はじめまして。河合のびです。 今日も今日とて、映画に生かされているシニンです。 第9回でご紹介する作品は、約200年前、600以上の村 …

連載コラム

映画『くれなずめ』ストーリー内容と感想評価。タイトルの意味から成田凌とウルフルズの音楽の関連性を解く|映画という星空を知るひとよ60

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第60回 『アズミ・ハルコは行方不明』『君が君で君だ』など、独創性の高い作品を次々と生み出してきた松居大悟監督が、自身の体験を基に描いたオリジナルの舞台劇を映画 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学