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Entry 2019/01/11
Update

映画『十二人の死にたい子どもたち』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『十二人の死にたい子どもたち』は、2019年1月25日(金)より全国公開

安楽死を望む12人の集いを描いた冲方丁の原作を「SPEC」シリーズや「トリック」シリーズ、また『天空の蜂』『イニシエーション・ラブ』とサスペンス映画で定評のあるヒットメーカー堤幸彦監督が映画化。

当初演者が発表されていなかった12人の子供たちには杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、吉川愛、萩原利久、淵野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗、そしてさらに極秘扱いにされていた橋本環奈という、実績と将来性のある若手が集結。

ほぼこの12人だけで進む物語を若い力でけん引していきます。

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映画『十二人の死にたい子どもたち』の作品情報


(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【原作】
冲方丁『十二人の死にたい子どもたち』(文藝春秋)

【監督】
堤幸彦

【キャスト】
杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、古川琴音、萩原利久、渕野右登、坂東龍汰、吉川愛、竹内愛紗

【作品概要】
『天地明察』『光圀伝』といった時代小説や『マルドゥック・スクランブル』などのSF小説で人気の冲方丁が、初めて現代を舞台に描いたミステリー小説を実写映画化。

閉鎖された病院を舞台に、それぞれの理由で安楽死をするため集まった12人の少年少女が、そこにいるはずがない13人目の少年の死体を見つけたことから始まる犯人捜しと、その過程で少年少女たちの死にたい理由が徐々に明らかになっていくことで、変化していく人間関係や心理を描いています。

出演には杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜ら人気若手俳優がそろいました。

脚本は岸田國士戯曲賞受賞経歴を持つ劇作家の倉持裕。監督はドラマ『池袋ウエストゲートパーク』をはじめ『SPEC』シリーズ、『イニシエーション・ラブ』を手がけた堤幸彦氏が務めます。

映画『十二人の死にたい子どもたち』のキャラクター&キャスト


(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

本作の醍醐味というべき、どんでん返しを味わっていただくため、子供たちに割り振られた番号の一部を伏せて紹介します

1番 サトシ(高杉真宙)集いの主催者。
動機:母と兄が心中未遂を起こし、父が自殺したことで死に憑りつかれている。

2~12番
シンジロウ(新田真剣裕)推理好きで薬や医療関係の知識がある。
動機:不治の病に侵されているため。

ケンイチ(渕野右登)空気を読めないタイプ、お調子者タイプ。
動機;長い間いじめを受けているため。

リョウコ(橋本環奈)実は人気アイドル秋川莉胡(アキカワリコ)。
動機:作られた自分を壊すため。

ミツエ‘(古川琴音)ゴスロリ少女。
動機;自殺した憧れのスターの後を追うため。

メイコ(黒島結菜)利己的なタイプでファザコン気質。
動機:自分の死によって支払われる保険金を経営難の父親の会社に活かすため。

アンリ(杉咲花)はっきりとした物言いをする少女。
動機:自分たちの死によって望まれない命の誕生を否定するため。

タカヒロ(萩原利久)吃音で人と接するのが苦手なタイプの少年。
自身の吃音や幼い頃のわがままは治らない病と母親から言い聞かされてきたため。

セイゴ(坂東龍汰)不良キャラ、タバコが欠かせない。
動機:間もなく自殺でも支払われる期間に入る保険金を母親に渡さないため。

ノブオ(北村匠海)昔から人並みに何でもこなせるタイプの青年。
動機:一年前にあることを経験したため。

マイ(吉川愛)ギャル風女子高生、マイちょっと付いていけないが口癖。
動機:ある病に罹ってしまったため。

ユキ(竹内愛紗)おとなしいタイプの女子高生。
動機:ある事情から“もう楽になっていいはずだと思った”ため。

ゼロバン(?)集いの招かれざる客。

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映画『十二人の死にたい子どもたち』のあらすじとネタバレ


(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

とある廃病院に12人の子供たちが集まります。

1番のサトシ主催のもとに開かれたこの“集い”は、この場で集団自殺をするためのものでした。

それぞれ、抱える事情や自殺を望む理由はバラバラですが、集団で自殺することを望んでいました。

最後の場所となったのは地下の多目的ホール、そこには人数分のベッドが用意されていました。

続々と約束の時間帯に参加者が集まってきます。

彼らが気にしていることは、1番のベッドにすでに横たわっている人間がいること。

7番と9番は彼こそ1番であり、集団での意思決定を待たずに決断したのだろうと結論付けました。

しかし、そこに13番目の青年がやってきます。彼こそ1主催者の1番サトシでした。

そしてサトシは彼らに話しかけます『この方はどなたですか?』と。

誰かが漏らしたの、それとも自力で調べたのか、仮にゼロバンと呼ぶことにしたベッドの青年の扱いについて“集い”の中で議論が起きます。

お調子者気質の2番は誰も知らないゼロバンとともに死ぬことに疑問を抱き、集団自殺のすぐの実行に待ったをかけます。

長い事、病気と闘っている5番。警察官を両親に持つ彼は思考だけが唯一の娯楽であり、この状況が示すことを推理していきます。

焦点の一つにゼロバンが自殺したのか、殺されたうえで“集い”の犠牲者に紛れ込まされているのかという事が挙がりました。

ゼロバンの傍らには大量の睡眠薬のカラが置かれていましたが、この薬物の量では死に至らないことを薬物に詳しい5番に加えて、自身も経験があるらしい8番もつっかえつっかえですが、語ります。

少なくともゼロバンは、“集い”の場では自殺していないことはほぼ明らかになりました。

そして、ゼロバンを運び込んだ者が他の参加者を殺すことになる可能性が出てきました。

最終的に自分たちが迎える死の形が、他者によるものでは困るに参加者からは、事情がはっきりするまでは集団自殺に賛成できないという意見が出てきます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『十二人の死にたい子どもたち』ネタバレ・結末の記載がございます。『十二人の死にたい子どもたち』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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そうなると各々気になっていた事柄を発言しあうようになります。

まず、女性用のトイレにゼロバンのものと思われる靴の片方が落ちていました。

参加者は裏口からこっそり入るはずでしたが、表玄関の自動ドアが稼働していました。

サトシは一番最初についたつもりだったものの、配電盤のスイッチが入っていることを気にします。

集合の最期の一人になったのは病院内を巡回していたためでした。

入り組んだ話についていけなくなりつつある11番ですが、裏口から入るときに脇の花壇にマスクと帽子が捨てられていたことを思い出します。

未成年にもかかわらず、ニコチン中毒に近い10番は一服するために場を離れます。

タバコを吸うわけでもなく10番に同行したサトシは、表のベンチに10番とは別の銘柄のタバコが落ちていたことを証言します。

結果として参加者たちはいくつかのグループに分かれて病院内を探索することに決めます。

そんな中で10番は喫煙している4番の姿を目撃します。

裏口脇に落ちていた帽子とマスクと、同じようなものを身に着けている4番に、事情を問いただします。

4番の素顔は誰も知る顔でした。

その顔を見た3番は、自分のような後追い自殺者が出るからやめるべきだと責めますが、芸能の世界で作り上げられてきた自分を崩すために、4番は何としても自殺したかったのです。

それぞれの証言とそれを裏付ける別の参加者からの証言を合わせていくことで8番は、ゼロバンのことは9番の仕業ではないかと問いただします。

すると素直に9番はそれを認めますが、集いの場に戻る階段で何者かに突き落とされてしまいます。

9番の安否とこのまま自殺を進めていくのかという意思の有無を押しのけて6番は、半ば強引に自殺を薦めようとします。

当初は同調していたように見えた7番と6番ですが、いつの間にか自殺は大人へのメッセージだという7番と、自己の強い願望を叶えるために自殺したがる6番とは険悪な関係になっていきます。

強引にでも自殺を薦めようとする6番の前に、怪我をした9番がやってきます。

9番は自分を突き落としたたのは6番であり、自分もまた一年前に同じように人を突き落として死なせたことを告白します。

様々な証言や証拠、自殺の動機をまとめていった5番はある結論に達します。

その時、衝撃的なことが起きます、死んでいると思われてゼロバンがかすかに呼吸をしていたのでした。

5番はまずゼロバンを“集い”の場に運び込んだのは、7番と9番でと推理します。

誰よりも先に病院にやってきて屋上から参加者を見張っていた二人は、何者かが車いすに乗ったゼロバンを運び込んだ姿を見ます。

車いすを押した人間も帽子とマスクをしていて誰だかわかりませんでした。

一階に向かった二人は、そこで車いすに乗せられたまま放置されているゼロバンを発見します。

裏口経由の順路では狭く手車いすは通ることができません。

車いすを押してきた何者かは表口に回り自動ドアを起動させようとし、更に配電盤も操作するためにその場を離れていました。

そこで運び込んだ者の手を離れたゼロバンを“集い”の参加者だろうと考えた7番と9番は、参加者に仕立て上げるために工作を始めます。

そこで起きた矛盾や怪しげな行動を証言の中から、5番は真相を導き出したのです。

ただ、7番と9番は偽装工作は認めましたが、ゼロバンが死んでいるものだと思い込んで偽装工作をしたのであって、よもやゼロバンが生きているとは思わなかったと語ります。

5番は更にゼロバンを運び込んだ者についても話し始めます。その参加者はゼロバンの家族でした。

一緒に事故巻き込まれゼロバンは植物状態になりました。

5番は自殺の動機を聞いた中で、その物言いが“自分を助けようとしている人がいることが分かっている立場”では、発することのできない言葉であり、“(その参加者と)同じように厳しい状況にある人間(ゼロバン)に向けての言葉”だと感じました。

ゼロバンの正体と、“集い”の場に連れてこられた事情、そして他の参加者の事情をすべて聞いた5番は、“死について考える”ことは“生きることについて考える”ことでもあるとして、主催者の1番のサトシに集団自殺の中止の提案します。

それまで常に意見の分かれてきた参加者ですが、全員が賛成し、それを受けたサトシは中止に12票が入ったとして“集い”を中止するのでした。

映画『十二人の死にたい子どもたち』の感想と評価


(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

クローズドミステリーにおけるキャスティング

マスカレードホテル』でも少し触れましたが、いわゆる“フーダニット(Who Done It?)”を映像化する時にはキャスティングという大きなフィルターがかかります

困ったことに、“フーダニット(Who Done It?)”はミステリーのド定番で、はるか昔から無数の作品が存在しています。

文面で読んでいる分には登場回数以外にキャラクターを格付けするものはありませんが、これを映像化するとなると、演ずる俳優さんの格が見ている側観客の中で自然とフィルターとなってしまいます。

それを回避するには端役に至るまで相応の認知度の役者さんをキャスティングしなくてはいけません

結果として豪華キャストが勢ぞろいすることになります。

邦画で言えば『マスカレードホテル』(2019)や『インシテミル』(2010)、市川崑監督の「金田一耕助」シリーズなど、洋画で言えばリメイクもされている『オリエント急行殺人事件』(2017)『裏切りのサーカス』(2012)などが分かり易い例でしょう。

本作でも杉咲花、新田真剣裕、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈という若手の売れっ子が揃いました

それに対してオーディションで選ばれた吉川愛、萩原利久、淵野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗の6人は認知度の面ではこれからの存在ですが、それぞれに空気の読めないお調子者、ゴスロリ少女、ギャル風女子高生、不良タイプ、身体に障害のある少女、吃音の少年とある意味“分かり易い”色を付けることで、どうして見てしまう役者としてのキャリアの溝を見事に埋め、文字通り同一線上に並んだ12人を揃いあげました。

原作を読んで真相を分かっている方は仕方がない部分がありますが原作未読の方は、本当に最後まで誰が何をしたのかがわからない作りにできてます。

ぜひ2度見とエンドロールも最後まで


(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

この映画は作りで言うと、『オリエント急行殺人事件』に近い作りがあります、閉ざされた空間で、限られた人間たちが何かをした。

それに対して、誰が、何をしたかをそれぞれの証言を基に明らかにしていく物語です。

いくつかの部分をカットしていますが、本筋は原作通りになっています。

ところが、この原作文庫にして500ページ近いボリュームの長編小説

12人だけと言いつつも他の人間が基本的に介在しないために一人一人の情報の密度が濃く、読みながら整理するだけでも大変です。

さらに集いの場の廃病院という複雑な作りの舞台も手伝って、どうやってら映画になるんだろうかと思いましたが、これが倉持裕の見事な脚本によってまとめ上げられていました

圧倒的な完成度の高い脚本ですが、それもそのはずなんと脚本開発に2年近くかけた力作とのことです。

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まとめ


(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会

倉持裕は映画脚本は本作品『十二人の死にたい子どもたち』が初めてとのことですが、すでにドラマ・演劇で実績を積んでいて、2004年には岸田國士戯曲賞を受賞しています。

倉持裕自身の劇団「ペンギンプルペイルパイルズ」のほか、ドラマ『弱くても勝てます』『信長のシェフ』や、劇団☆新感線の『乱鶯』やNHKのコント番組『LIFE~人生に捧げるコント~』なども手掛けています。

ぜひ、この名前も憶えておきましょう

映画『十二人の死にたい子どもたち』は、2019年1月25日(金)より全国公開



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