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Entry 2018/12/21
Update

映画『マスカレード・ホテル』あらすじネタバレ感想とラスト結末の評価解説。木村拓哉×長澤まさみW主演で現代と融合した新たな古典ミステリーを描く

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『マスカレード・ホテル』は2019年1月18日(金)より全国ロードショー!

作家・東野圭吾の人気小説シリーズ「マスカレード」シリーズの第1作『マスカレード・ホテル』を映画化。本作で初の刑事役を演じる木村拓哉と長澤まさみがダブル主演を務めます。

殺人の現場として予告された豪華ホテル「コルテシア東京」に関わる人々に小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、濱田岳、前田敦子、篠井英介、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、生瀬勝久、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、松たか子、鶴見辰吾、石橋凌、渡部篤郎という映画何本も取れるようなキャストが集結。

一方で、舞台はほぼホテルだけという実験的な構成で物語が展開されていく本作。監督の鈴木雅之監督は、かつてレストランから一歩も出ないドラマ『王様のレストラン』を手がけています。

映画『マスカレード・ホテル』の作品情報


東野圭吾『マスカレード・ホテル』(集英社文庫)

【公開】
2019年(日本映画)

【原作】
東野圭吾『マスカレード・ホテル』(集英社文庫)

【監督】
鈴木雅之

【キャスト】
木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、生瀬勝久、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、松たか子、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎

【作品概要】
「HERO」シリーズで知られる鈴木雅之監督が、シリーズ累計275万部を突破した東野圭吾の小説を実写映画化を木村拓哉が刑事役に初めて挑んだミステリー作品。

ダブル主演のヒロインの尚美役に長澤まさみ。「ライアーゲーム」シリーズの岡田道尚が脚本を担当。

映画『マスカレード・ホテル』のキャラクターとキャスト

新田浩介(木村拓哉)
帰国子女の刑事。英語が堪能故にホテルのフロントマン役に。

山岸尚美(長澤まさみ)
ホテル・コルテシア東京の敏腕フロントマン。新田の教育係に。

稲垣(渡部篤郎)能勢(小日向文世)尾崎(篠井英介)本宮(梶原善)

関根(泉澤祐希)
予告連続殺人を捜査する警察。コルテシア東京での潜入捜査を計画する。

川本(石川恋)久賀(東根作寿英)田倉(鶴見辰吾)藤本総支配人(石橋凌)
コルテシア東京側の人間、前代未聞の潜入捜査に協力することに。

宿泊客(生瀬勝久、菜々緒、濱田岳、橋本マナミ、笹野高史、前田敦子、田口浩正、宇梶剛士、松たか子、勝地涼)
様々な事情を抱えてやってくるホテルの利用者。犯人やターゲットがいる可能性も。

映画『マスカレード・ホテル』のあらすじとネタバレ


(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

ホテル・コルテシア東京の敏腕フロントマンの山岸尚美は、突然、異例ともいえる任務を言い渡されます。

それは、警察がホテルに潜入捜査をするので、それをサポートするようにという事でした。

特に山岸が担当していいるフロントは宿泊客と接する機会が多くて、中途半端な成り切りでは、かえって違和感を抱かさせてしまいます。

そんなフロントにやってきたのは新田という刑事でした。

英語が堪能で、警察側から見れば適材適所の配置でしたが、人を疑ってみる刑事と利用客にNOとは言わないホテルのフロント係とは水と油のようなもので、案の定新田と山岸は至る所で衝突します。

とある視覚障害者と思われる老婆がやってきます。

視覚障害者の外泊はとても大変なためにホテル側として全面サポートをするという尚美。

対して、新田は彼女が手袋をしていることが、視覚障がい者が重視しているはずの触覚を妨げる手袋をずっとはめていることを気にします。

実際には彼女は視覚障がい者ではなくて、彼女の視覚障がい者の夫の外泊の下見に来ていたのでした。

山岸は視点は違うものの、新田の観察眼の鋭さを認めざるを得ません。

またある中年男性が執拗に新田に絡んできた時は、山岸のアドバイスから新田の学生時代の教育実習生だった男性でした。

お互いを認め合った二人はそれぞれの秘密、事件に関する出来事やホテルマンとして恨まれたことを話し合います。

ホテルコルテシア東京に潜入捜査が決まった理由。それは一見すると関係性のない事件に、暗号が残されていてそれが次の事件の現場を指し示していたのでした。

以下、『マスカレード・ホテル』ネタバレ・結末の記載がございます。『マスカレード・ホテル』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
一方、尚美はかつて宿泊客を追ってきた女性客に相手の部屋を教えず、更に空き室もないとして追い返したことがありました。

何とか潜入捜査も違和感が無くなってきたころ、大掛かりな結婚式が行われる予定があることが分かります。

花嫁宛に送られた荷物を新田が見たところ、デパートの包装紙に包まれているにも関わらず、住所がデパートではないという事から、この結婚式こそが次の事件になる可能性が高いとして、特別な警戒シフトが引かれます。

その一方で以前にやって来た視覚障がい者の件の女性が、尚美を担当に指名して改めてコルテシア東京に現れます。

ここで、新田は犯行現場をコルテシア東京にしたのは、ホテル側の人間に犯人が恨みを持っているのではという考えに至ります。

気が付くと尚美の姿が見えません。新田はホテル中を駆け回ります。

視覚障がい者の件の女性は老婆に変装した女性でした。その女性とはかつて、尚美が追い返した女性でした。この時の恨みを晴らすために壮大な連続殺人計画を立てたのでした。

すんでのところで間に合った新田によって助けられた尚美。

二人の間には相棒としての確たる関係性が出来上がっていました。

潜入捜査がおわった新田は、尚美に今度は宿泊客としてぜひホテルに訪れたいと笑顔で話します。

映画『マスカレード・ホテル』の感想と評価

東野圭吾の原点回帰“マスカレード”シリーズ

「ガリレオ」シリーズ、「新参者(加賀恭一郎)」シリーズに続く東野圭吾の大型小説シリーズの「マスカレード」シリーズ。

先端科学が鍵になる「ガリレオ」、人々の想いに寄り添う「新参者」の二つに対して、このシリーズは現代に合わせつつものクラシカルなミステリーの再現を狙っています。

「暗号」「殺人予告」「豪華ホテル」「事情と秘密を抱えた容疑者候補」「意外性のある相棒(バディ)」「仮面」「変装」などなど、キーワードだけ並べるとアガサ・クリスティーやエラリー・クインの古典名作群のようです。前日譚の『マスカレード・イブ』、シリーズ第二弾の『マスカレード・ナイト』などでもその雰囲気は保たれていいます。

今までの東野圭吾作品と並べるとちょっと違う感じもしますが、クラシカルなミステリーの雰囲気が感じられる逸品となっています。

クラシカルなオールスターミステリー映画の復活

『オリエント急行の殺人』『ナイル殺人事件』、邦画で言えば『犬神家の一族』……かつて作られたミステリー映画のマスターピースです。端役まで認知度の高い役者を起用して、ミステリー映画の格を一段も二段も上げました。

オリジナル作品ですが、群像劇の達人である故ロバート・アルトマン監督の『ゴスフォード・パーク』などがあります。

またミステリーやサスペンス(一部のホラー)の映像化で難しいのがキャスティングです。分かり易く言えば、有名な俳優は簡単に殺されたりしないだろうとか、探偵役の主人公以外に有名と思えない俳優ばかりいる中で突出して有名俳優が出てくれば犯人に違いないだろうなどと見られてしまうのです。

もちろん、これを逆手に取っていきなり映画の中でトップクラスの俳優が死んでしまうパターンもあります。サメ映画の『ディープ・ブルー』のサミュエル・L・ジャクソンの例などはよく上がるたとえ話ですね。

他にもハイジャックものの『エグゼクティブ・デシジョン』では、なんと「スティーブン・セガールが戦死する」という驚きの展開をみせたりします。

話を本筋へ戻しますと、小説の文字の上では登場人物は平等に見えています。出番の多さ少なさはありますが、少なくとも上記のように顔を与えられていないので、見た瞬間にジャッジが下せることはありません。

『マスカレード・ホテル』は錚々たる俳優の名前が並んでいますが、実は一瞬の出番だけの人もいます。その一方で出ずっぱりの人も

どの有名俳優がその他大勢で、誰がキーパーソンで、誰が犯人か。原作通りの展開ではありますが、それでも犯人登場の場面になると「あっ、そうなんだ!?」という思いになること間違いないです。

まとめ

本作『マスカレード・ホテル』は、これは報道もされているので言ってしまってもいいと思いますが、花嫁姿の前田敦子の前に現れる不審者役で現夫の勝地涼が出演しています。こういう現実とのオーバーラップも楽しいですね。

他にも木村拓哉を軸に松たか子、小日向文世、濱田岳、篠井英介、宇梶剛士、鈴木雅之監督といえば『HERO』。笹野高史との並びで見れば『武士の一分』。

長澤まさみ&小日向文世といえば、映画も公開される『コンフィデンスマンJP』 などなど豪華キャストならではつながりがたくさん発見できます。

さらに超大物お笑い芸人が登場しますが、果たして気が付くでしょうか?



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