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Entry 2019/11/19
Update

映画『屍人荘の殺人』感想レビューと評価。真犯人を解く謎のほかにクローズド・サークルの存在が斬新⁈

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『屍人荘の殺人』は、2019年12月13日(金)より全国ロードショー。

デビュー作にして国内ミステリー賞4冠を達成した今村昌弘の原作を『金田一少年の事件簿N』や『ATARU』『99・9%』などの木村ひさし監督、「トリック」シリーズの蒔田光治の脚本で映画化した『屍人荘の殺人』。

キャストには神木隆之介を主演に、共演は浜辺美波、中村倫也ら、今旬な俳優陣が集結した新感覚ミステリー。

浮かび上がる15人のクセモノな容疑者たち、犯人は何者か?

予測不能な前代未聞のミステリー・エンターテインメント・ムービーの登場です。

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映画『屍人荘の殺人』の作品情報


(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会

【公開】
2019年(日本)

【原作】
今村昌弘

【脚本】
蒔田光治

【監督】
木村ひさし
 

【キャスト】
神木隆之介、中村倫也、浜辺美波、葉山奨之、矢本悠馬、山田杏奈、佐久間由衣、塚地武雅、池田鉄洋、ふせえり、古川雄輝、柄本時生

【作品概要】
今村昌弘のデビュー作にして国内主要ミステリー賞「このミステリーがすごい!」2018年版、「週刊文春」2017年ミステリーベスト10、2018本格ミステリ・ベスト10、第18回本格ミステリ大賞で1位並びに大賞の4冠を達成した新感覚ミステリーを映画化。

主演に神木隆之介、共演に浜辺美波、中村倫也ほか豪華キャストが集結、主題歌にPerfumeの『再生』が起用されることも話題になりました。

映画『屍人荘の殺人』のあらすじ


(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会

明智恭介と葉村譲は関西の有名大学・神紅大学のたった二人だけのミステリー愛好会のメンバー。

会長が明智は自称神紅のホームズで、学園内の大小さまざまな事件に首を突っ込んではかき回して回ります。一方の葉村は熱心なミステリー小説オタクではあるものの一度も推理が当たったこともない、頼りないワトソン役です。

そんなある日、二人の前に剣崎比留子という、謎の美少女が現れます。比留子は二人にロックフェス研究会の夏の合宿への参加を持ち掛けます。

全く門外漢のイベントへの参加に二の足を踏む二人ですが、研究会に謎の脅迫状が送られたこと、そして、湖畔のペンションという舞台設定に惹かれた二人は結果として合宿に参加することにしました。

さらに比留子は、昨年、参加した女子部員が行方不明になっていることを伝えます。

合宿のために山中のペンション“紫湛荘(しじんそう)”に向かった三人は、ペンションのオーナーの息子など一癖も二癖もありそうな面々が揃っていることを知ります。

ペンションの中を探検に向かった比留子と、離れた明智は葉村をつかまえ、ある情報を伝えます。

明智は知り合いの探偵事務所に頼んで比留子のことを調べた結果、比留子は本物の名探偵・本物ホームズで、警察から表彰もされたこともあることを知らされます。

湖畔のペンションで行われる脅迫状の届いた合宿・それに参加する癖のある人々、二人のホームズと一人のワトソン。

何かが起こる予感を感じた葉村でしたが、彼らの前に降りかかった出来事は彼らの想像をはるかに超えてくる異常事態でした。

大混乱の中で“紫湛荘”に立て篭もることになってしまった一行に、さらなる事件が起きますが…。

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映画『屍人荘の殺人』の感想と評価


(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会

原作と映画化された作品の違い

基本的に映画化された本作『屍人荘の殺人』は原作通りです。キャラクターの設定などがいくつか変更されていて、トリックというか事件の根幹にかかわる部分もいくつか省かれています。

一方で、採用されたトリック解明については、視覚的に一発で誰でも分かるような作りになっています。

原作者の今村昌弘が自身のミステリーの原体験に『金田一少年の事件簿』や『トリック』といったシリーズを挙げていますが、それらにスタッフとして関わってきた木村ひさし監督と脚本の蒔田光治によって映画化されたことはある意味、正しい映像化展開といえるのではないでしょうか。

原作から省かれた部分もありますが、映画に合わせて全く新しく追加された箇所があります

これは“いよいよことが起こる”という直前のあまり大きくない(短い)シーンなのですが、この僅か内改変によってもう一人のホームズもまたとても非凡な探偵としての資質を持った存在であることが伝わるようになっています。

原作においてはやや道化的な立ち位置になるもう一人のホームズですが、この些細な箇所が追加されたことで、この人物の優れた部分をさらりと語って見せます。探偵としての異例の行いを描いています

この、追加と改変は数分間のことですので見逃しがちですが、後々、絶妙なタイミングで真相解明につながっていく流れの一つになっています

“いよいよことが起こる”という直前のちょっとしたシーンですが、実は大きな意味を持っているとが分かるので見落とし厳禁です。

キャストの魅力


(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会

キャストで言えば、やはり主演の神木隆之介は圧倒的な巧さを見せて安心させてくれます。

今回は一度も推理を当てたことのないワトソンとしての受けの演技ですが、芸歴20年を越えるキャリアによって作られた懐の広さを感じさせてくれます。

映画・ドラマの「賭ケグルイ」シリーズの振り切った演技の印象もまだ新しい浜辺美波。今回もまたちょっと極端に飛んでいるヒロインを演じ、抜群のコメディエンヌぶりを発揮しています。

ドラマ「凪のお暇」でさらに注目を浴びた中村倫也は、本作でも変なテンポ感で作品とキャラクターを程よく掻き乱します。この二人のホームズの迷探偵としての存在感も抜群です。

まとめ


(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会

原作を読まれている方、ないし情報を知っている方なら、今回、伏せられているモノがなんなのかお分かりになるかと思いますが、ある映画文化に基づいたモノが大きく取り上げられていて、これがミステリーの定番であるクローズド・サークルを形作っています。

クローズド・サークルというのは舞台となる場(怪しげな館や山荘)を更に一回り大き囲み、その場に人の流入をできなくするものです。

分かり易い例を挙げれば絶海の孤島であったり、暴風雨や吹雪などの悪天候によってできるいわゆる“陸の孤島”などです。

こういう状況になると人の流入はもちろん、情報・連絡のやり取りも不具合が起こり、心理的にも取り残された人々に孤立感を与えていきます。

この『屍人荘の殺人』では、この場を囲むモノ(クローズド・サークルの原因)が今までにない新しい存在を採用しています。

これが実に映画的な存在で、当然、映画化になった時に非常に映える画となりました。

この大胆なモノの採用に戸惑うこともあるかもしれませんが、よくよく考えると1960年代後半から映画では、たびたび登場してるシチュエーションでもあり、特に日本人には意外とすんなりと来るのではないでしょうか。

また、このモノの発祥の地であるアメリカでも意外とウケるかもしれません。

突飛な状況設定なので戸惑うかもしれませんが、本格ミステリーの登竜門鮎川哲也賞を受賞している本格的でフェアなミステリーです。

2019年は『マスカレード・ホテル』や『十二人の死にたい子どもたち』など、本格ミステリー映画が公開されてきました。

本作品『屍人荘の殺人』もまた、その系譜に連なる正統なミステリー映画となっています。

原作第2弾『魔眼の匣』も好評刊行済みですので、映画『屍人荘の殺人』のヒット次第では新たなミステリーシリーズが始まるかもしれませんね。

映画『屍人荘の殺人』は、2019年12月13日(金)より全国ロードショー


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