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Entry 2020/01/31
Update

映画『ナイブズ・アウト』ネタバレあらすじと感想。事件をドーナツに例えてアメリカの南部訛りで熱く推理を語る

  • Writer :
  • 奈香じゅん

映画『ナイブズ・アウト/ 名探偵と刃の館の秘密』は、犯人捜しの謎解きを楽しむミステリー作品。

資産家が死体で発見され、警察は遺産相続人である家族を事情聴取しますが、同行した名探偵は誰もが嘘をついていることに気が付きます。

主人公を務めるダニエル・クレイグの他に、クリス・エヴァンス、ジェイミー・リー・カーティス、ドン・ジョンソン、トニー・コレット、マイケル・シャノン、そしてクリストファー・プラマー等主演級の俳優が結集。

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映画『ナイブズ・アウト/ 名探偵と刃の館の秘密』の作品情報


Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
Knives Out

【監督】
ライアン・ジョンソン

【キャスト】
ダニエル・クレイグ、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティス、ドン・ジョンソン、トニー・コレット、マイケル・シャノン、ラキース・スタンフィールド、キャサリン・ラングフォールド、クリストファー・プラマー

【作品概要】
監督を務めるのは『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)や『ルーパー』のライアン・ジョンソンで、本作の脚本も執筆。10年前に自身が思いついたアイデアを基に練り上げたオリジナル作品です。

ジョンソンは、アガサ・クリスティの犯人捜しで物語を始めつつもそれだけに終始するのではなく、ヒッチコック調のスリラーでストーリーを展開する構想にしたかったと説明。

映画『ナイブズ・アウト/ 名探偵と刃の館の秘密』のあらすじネタバレ


Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

著名なミステリー作家ハーラン・スロンビーが朝食を持って来た家政婦によって死体で発見されます。

エリオット警部補は事情聴取の為スロンビー家の屋敷を訪問。公には警察とは関係が無いとしながらも、凄腕探偵のブノワ・ブランも同席。

事件の前夜85才の誕生日を迎えたハーランを囲み、家族やハーランの看護師・マルタ等親しい人が集まりお祝いをしていました。

ハーランの長女リンダと夫・リチャードが先ず警部補の聴取に対応。

リチャードは、ハーランの長男・ウォルターが誕生日パーティで父親と口論していたと話します。

ハーランは自分の作品を脚色されるのを嫌っていましたが、父親の出版を担っていたウォルターは、ネットフリックスで映画化すれば大きな利益になると主張。

しかし、ハーランは、長年作家を目指していたウォルターの邪魔をしてしまったと言う表現で、やんわり解雇を伝えていました。

ウォルターはそのことを隠し、孫のランサムとハーランが口喧嘩をしていたと言います。

更にウォルターは、仕事もしないランサムをハーランが金銭援助しており、パーティの晩2人きりで何か揉めていたと続けます。

リンダは、夫がパーティのケータリング事業者の手伝いをする為、早めに屋敷へ来ていたと話しますが、事業者はリチャードが手を貸さなかったと証言し、代わりにハーランが誰かと口論するのを聞いたことを警察に報告。

「お前が言わないなら、私から伝える」そうハーランが怒鳴った声を事業者が耳にしていたとブランが口にすると、リチャードの顔が強張ります。

その日、ハーランは、リチャードの浮気を撮った写真を見せながら、リンダに白状しないなら、翌日自分から封筒に入れた証拠を娘に渡すとリチャードに最後通牒を突きつけたのでした。

しかし、リチャードは、「あぁそのことですね~」と作り笑いで誤魔化しながら、リンダが長年反対していたものの、ハーランは自分の母親を老人ホームへ入所させることを決め、リンダに直ぐ話すよう説得されたと嘘をつきます。

次に事情聴取を受けたのは、リチャードと同じように早めに屋敷へ訪れたジョニ・スロンビー。

ハーランの息子と結婚しスロンビー家に嫁いできたジョニは、夫の死後コスメの会社を運営。

ハーランは、孫・メグの学費を毎年支払っていました。学費が未払いになっていることを知ったジョニは、ハーランに事情を尋ねる為早めに屋敷を訪問。

ジョニが長年学費を二重に受け取っていたことを突き止めていたハーランは、これが最後の支払いだと告げてジョニに小切手を渡しました。

ジョニは、ブランやエリオットにそのことは伏せて、行き違いがあり話し合いの為に早く来ただけだと返答。

事情聴取を終えたエリオットは、明らかな自殺なのでこれ以上捜査の必要はないとの見解を示しますが、ブランは、喉を切って自殺するはずがないと疑問を呈します。

ブランは、リチャードの浮気とジョニの使い込みという疑念を、嘘がつけない体質のマルタにぶつけて彼女の反応から確信します。ウォルターも自分に嘘をついていると当たりを点けますが、どれも証拠がありません。

なぜこの事件に興味を持ったのかエリオットに訊かれたブランは、前日自分が住むアパートの玄関扉の前に現金の入った封筒とハーランの自殺を伝える新聞記事が入っていたと説明。

自殺を疑う何者かの行為であり、雇い主不明のまま事件の真相を究明するつもりだと話します。

ブランは、ハーランの死亡時、家族がそれぞれ何をしていたのかエリオットに質問。

誕生日パーティは夜11時半に散会。ハーランのプライベート・ナースのマルタは薬を投与する時間なので、ハーランを自室へ連れて行きます。

上階で物音を聞いたジョニは、屋根裏を書斎にしているハーランを訪問。その際、階段のきしむ音で就寝中のリンダも目覚めます。

毎晩囲碁を打っていたハーランは、囲碁盤を落としたとジョニに説明。ジョニは、床に散らばる碁石に視線を落とし、マルタがハーランと一緒に居るのを見て辞去。

10分後、また階段がきしむ音でリンダは目覚めます。帰宅しようとマルタがハーランの書斎から階段を下りた為で、玄関の外で葉巻を吸っていたウォルターの前を通り過ぎます。

時計を見たウォルターは、その時間が夜中の12時だったと記憶していました。更に、15分後小腹の空いたハーランが階下へ降りた時、リンダは再び目を覚まします。家族全員その後就寝。

その後、犬が吠えた声で目を覚ましたメグは、その時間が3時だったと覚えていました。検死官はこれらの証言から死亡時間は夜中12時15分から午前2時と推定。

ブランは、帰宅する12時までハーランと何をしていたのかマルタを事情聴取します。

碁の相手をしていたマルタですが、負けそうになったハーランは、地震だとふざけて囲碁盤をひっくり返して対戦終了。

いつもの様に薬を注射するマルタに、ハーランは、マルタの助言通り、ウォルター、ジョニ、そしてランサムの資金援助を中止し自立を促したと話します。

しかし、囲碁盤と一緒に薬瓶も落ちてしまい、薬を間違えたマルタは、モルヒネを大量に注射してしまったことに気が付きます。

ハーランは、自分の小説でそれを殺害方法に利用すると言ってマルタを咎めませんでした。

10分以内にモルヒネの効果を低減させる拮抗薬を注射しなければ、ハーランが命を落とすとマルタはパニック。

救急車を呼ぼうと走り出したマルタをハーランが止めようとして、マルタは転倒。

もう間に合わないと言ったハーランは、自分の母親のことを考えるようマルタを説得して落ち着かせようとします。

そこへ、階下で音を聞きつけたジョニが様子を見に部屋を訪れます。ハーランは、囲碁盤を落としたと説明。

ジョニを追い払ったハーランは、マルタの母親がアメリカに不法滞在している為、警察の捜査が入ればそのことが表沙汰になり国外追放処分を受けて家族がばらばらになってしまうと心配したのでした。

自分の言う通りことを運ぶよう、ハーランはマルタに約束させます。

敢えてきしむ音が大きくなるように階段を下り、玄関の外で葉巻を吸っているウォルターが時計の時間を確かめるよう、もう夜中だと言いながら通り過ぎて車で屋敷を辞去。

監視カメラから外れた所で車を止めて屋敷に戻り外付けの階段で窓から侵入し、ハーランのローブを着てウォルターが空かし窓を通して見えるように歩いた後ローブを戻してから帰宅。

この一連の行動により、マルタが帰宅した後にハーランの姿を目撃するウォルターの証言がマルタを容疑者リストから外すことになるとハーランは説明。

嘘をつくと吐いてしまう体質のマルタは無理だと拒みますが、ハーランは、真実の断面を切れ切れに話せば大丈夫だとマルタを励まします。

書斎を押し出されたマルタですが、やはり出来ないと扉を開けます。手にナイフを握りソファに体を横たえていたハーランは、自分の為にやって欲しいと言葉を残し、マルタの目の前で自ら喉を切り裂いたのでした。

以下、『ナイブズ・アウト/ 名探偵と刃の館の秘密』ネタバレ・結末の記載がございます。『ナイブズ・アウト/ 名探偵と刃の館の秘密』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

マルタは、ハーランが囲碁盤を落としてジョニが様子を見に来たこと、肩の痛み止めと睡眠用に少量のモルヒネを注射したこと、そして書斎を出てウォルターに挨拶してから帰宅したことを話します。

自分がいつも持参していた医療バッグがハーランの部屋から忽然と消えており、マルタは内心動揺。

ブランは、マルタに翌日から捜査を手伝うよう依頼し、その理由をハーランの死で唯一何も利益を得ない関係だからだと説明。

自宅に戻ったマルタは、母親の手を握りながら神経質な表情でテレビを一緒に見ます。

マルタの履くスニーカーには、1滴の血痕の染み。

ハーランの遺言書が開示される日、家族全員が揃います。お葬式にも来なかったランサムも屋敷へ姿を現し、ハーランの犬が吠え捲くります。

態度の悪いランサムとウォルターは口論に発展。

更に、ハーランが遺産の相続人からランサムを外すと告げていたことも明るみになり、家族から自立する良いタイミングだと言われたランサムが皆をなじり、全員で怒鳴り合いになります。

その頃、外に居たブランは、ハーランの犬がくわえた折れた木片を発見。それは、マルタが外付けの階段を上った際に途中で折れた木片でした。

上に視線を走らせたブランは外の階段から入れそうな窓を見て、2階へ駆け上がります。

廊下に敷かれたカーペットに這いつくばったブランは、泥を発見。誰かが窓から侵入してハーランの部屋へ行ったのだとエリオットに話します。

弁護士は遺言の開示をするに当たり、死亡する1週間前にハーランが遺言の内容を変更していたと集まった家族に伝えます。

屋敷や出版会社も含め、全財産をマルタに残すと弁護士が読み上げ、リンダやリチャードは一気に青ざめます。

そんな訳は無いと弁護士から遺言状をひったくるウォルターの横でジョニが違法だと声を震わせる中、ランサムはしたり顔。

リンダがマルタに怒声を浴び始めるのを皮切りに、自分は何も知らないというマルタの周りを全員が取り囲みます。

ランサムは皆に責められるマルタを車に乗せて屋敷を後にします。その様子をじっと見つめるブラン。

ランサムは、祖父から一銭も貰えないと言われた時は腹が立ったものの、誰の世話にもならずに自立しなければと思いが至った時、逆に気持ちの整理が出来たとマルタに話します。

そして、ランサムは、祖父を良く知る自分はハーランが自殺ではないと確信していると告げ、あの晩何が起きたのか全て話すよう、嘘をつけば嘔吐するマルタに挑みます。

一方、屋敷では、スロンビー家が遺言を覆す方法がないかと模索中。グーグルで検索したジョニは、マルタが殺したなら相続できないと伝えますが、弁護士は、ハーランは自殺なので該当しないと返答。

黙って聞いていたブランに視線が集まります。ブランはまだ調査中とした上で、犯罪を疑っていると認めます。

メグは祖父の望み通りにするべきだと母親のジョニに訴えますが、ジョニはメグの学費を支払う余裕が自分には無いと焦り顔。

同じ頃、マルタはランサムに全てを白状していました。家族と反りの合わないランサムは、皆には事件の真相は伏せ、マルタに全財産を残した祖父の意志を尊重すると言いつつ、自分の取り分は渡すよう目配せ。

そこへメグからマルタのスマホに電話が掛かって来ます。これまでマルタを家族同然に扱って来たスロンビー家に遺産を返して欲しいと頼み、母親が破産寸前で自分は学校を中退しなくてはならない状況だと泣き声。

マルタは、学費のお金はメグに渡し、全て面倒見ると返答。メグの側では、親族全員が固唾をのんで会話を聞いていました。

翌日、マルタは、郵便で届いた封書を受け取ります。中には、検死官の報告書と自分の医療バッグに付いていたタグのコピーが入っており、その下に「お前がやったことは知っていると」とマジックの走り書き。

脅迫状をメールで受け取ったマルタは指示通りの住所へ向かいます。

コインランドリーの跡地に足を踏み入れたマルタは、自分の医療バッグを見つけます。奥にはモルヒネを過剰摂取されたハーランの家政婦が椅子に座っていました。

マルタは緊急通報をして家政婦の蘇生を開始。家政婦が病院で治療を受ける間、マルタはブランに真相を明かすと告げます。

スロンビー家にも事実を伝えると言うマルタにブランは同行。

一連の事件に疲弊し自分がハーランを殺したことを白状したいと訴えるマルタに対し、ブランは、まだ全ての謎は解けていないと返答。

エリオットは、遺言をひっくり返そうと企んでいる人間が居ると言い、ブランはその推測を肯定。

「つまりハーランが遺言を変更したことを開示前に知っており、且つマルタがモルヒネを過剰摂取することも知っていた人間が居る」とブランは続けます。

そこへ警官に連れられたランサムが現れ、全てを話したとマルタに申し訳なさそうな態度。

ブランは、全部ではないとランサムの言葉を改め、なぜ自分を雇ったのかランサムに尋ねます。ランサムは訳が分からないと言う表情。

ニヤリと笑ったブランは、事件が起きたハーランの誕生日会の夜へ話を戻し種明かしを始めます。

ランサムは、祖父からマルタに全財産を残すと聞かされ自分の力で生きて行けというハーランの言葉に腹を立てて屋敷を飛び出しました。

一度は立ち去ったものの考え直したランサムは、こっそり屋敷へ戻り外階段を使いハーランの書斎へ侵入。注射器で薬瓶の中身をすり替え、ハーランがモルヒネの過剰摂取で死亡するよう計画。

マルタがいつも常備していたモルヒネに対する緊急用の拮抗薬を取り去り、確実にハーランが死ぬよう仕向けます。

例え故意では無くてもハーランを死に至らしめたマルタが法律上遺産の相続人にはなれず遺言状が無効となり、その結果元通り自分の取り分を得られるとランサムは目論んだのでした。

つまり、その晩囲碁盤と一緒に落ちた薬瓶を取り違えたマルタは、いつも通りの鎮痛剤をハーランに注射していたのです。

ブランは、そうとは知らないハーランがマルタを守る為に喉を切って命を落としたのは明確な自殺だと言い放ちます。

「もしハーランがマルタの助言を聞いて、救急車を呼んでいれば命を落とすことは無かった」そうブランは説明。

夜中にこっそり薬瓶の中身を元に戻そうと屋敷へ戻るものの、犬に吠えられたランサムは、翌日モルヒネの過剰摂取でマルタが掴まると推測し一先ず退散。

しかし、自殺と伝える新聞を読んだランサムは、記事とお金を封筒に入れてブランのアパートへ届けます。

警察の捜査や集まった親族で屋敷へ帰るのが得策でなかった為、ランサムは、確実に人気が無くなる葬儀の日にハーランの書斎に戻り薬瓶の中身を再びすり替えました。

しかし、階段のきしむ音を聞いた家政婦がランサムを目撃。検死報告書を最初に手にしたランサムは、モルヒネの過剰摂取と記載が無いことに頭を捻ります。

そこでマルタを説得して白状させたランサムはやっと事情を呑み込んだのです。一方、ランサムを怪しんだ家政婦は、ランサムにメールで脅迫状を送付。

マルタ当てにメールが送信されたように見せかけた後、ランサムは落ち合った場所へ先に到着。モルヒネを大量に家政婦に打って殺害し、後から来るマルタに罪をなすりつけようと医療バッグを置いていったのです。

ランサムの誤算は、マルタが家政婦を助けたことで、刑務所へ行くのはお前だとブランはランサムに告げます。

その時、マルタのスマホに病院から電話が掛かって来ます。マルタは、家政婦の容態が安定したと報告。ブランは、これから病院へ向かい聴取をするべきだとエリオットへ助言。

苛立つランサムは、家族の一員のように扱ってやったのに自分達から財産を奪おうとしたとマルタをなじり、結局死んでいない家政婦に対する殺人未遂や他の細々した罪など、腕の良い弁護士を雇えば直ぐに出所できると空威張り。

するとマルタが突然、ランサムの顔に吐しゃ物を浴びせます。エリオットは思わず、「つまり君は嘘を言ってるのか」と質問。

ランサムの顔を睨みつけたマルタは、「その通り。病院は家政婦が死亡したと報せて来たわ。あんたは、たった今、彼女を殺害したと自供したのよ」

鬼のような形相になったランサムは、飾ってあったナイフの中から1つを掴んでマルタに飛び掛かり胸を一突き。

しかし、それは剣が引っ込む仕掛けの玩具でした。手錠を掛けられランサムは警察に連行されます。

それを見送りながら煙草を吸うリンダは、ハーランの机から持って来た白紙の便箋をライターで炙ります。

するとリチャードが浮気していると伝えるハーランの文字が浮かび上がります。

マルタは、いつ自分がハーランの死に関与していることに気づいたのかブランに質問。

最初に自分の前に現れた時だと答えたブランは、マルタのスニーカーを指し示します。

血痕に気づいてうな垂れるマルタに、ブランは、君は良い人だと言葉を残し立ち去ります。

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映画『ナイブズ・アウト/ 名探偵と刃の館の秘密』の感想と評価


Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

本作は、誕生日を迎えたばかりの富豪が翌日に死亡し、事件の捜査を始めた名探偵が遺産相続を巡る家族の愛憎劇を冷静な視線で眺めつつ真相と真犯人を突き止める物語です。

ミステリーの王道である謎解きを主軸に進行しますが、移民という現代のアメリカ社会を象徴する政治的な話題を盛り込み、且つコメディの要素もふんだんに含んでいます。

また、登場人物を多面的に描いており、良質な小説を読んだような映画と言えます。

本作の監督・脚本を務めたライアン・ジョンソンは、70年代の『オリエント急行殺人事件』(1975)や『ナイル殺人事件』(1978)を例に挙げ、出演した有名俳優陣の中で誰が犯人なのか推理する楽しみは外せない所だったと述べ、今回の豪華キャストにした理由を説明。


Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

映画『キャプテン・アメリカ』で長くヒーローを演じて来た超イケメン俳優クリス・エヴァンスが最高にイヤな奴ランサム役で登場

本作の脚本を読んだエヴァンスは出演を希望し、オフ・ブロードウェイ『Lobby Hero』(2001)で悪役を演じたエヴァンスを見ていたジョンソンは、彼をキャストしたとコメント。

注目は、主人公の探偵ブノワ・ブランを演じたダニエル・クレイグのキャラクター。


Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

椅子に腰掛けて足を組む様子やコインを指で弾くシーンは、ジェームズ・ボンドを思わせる格好良さですが、アメリカ南部訛りで事件をドーナツに例えて熱く自分の推理を説明しようとする場面は意味不明すぎて逆に笑いを誘います

レストランのウェイターとして働き長い下積み時代を過ごしたクレイグは、『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)で一躍名声を得たものの、興味を持った監督へ直に連絡を取って次作の出演を交渉する等積極的な営業も厭わない俳優。

粗暴ながら正義感の強い売れない小説家を演じた『マイ・サンシャイン』(2018)など幅広い役柄をこなせる俳優であり、ジョンソンは、またタッグを組みたいとクレイグを絶賛しています。

スロンビー家の面々に扮する豪華なアンサンブルキャストが遺産を巡って言い争いながら自分勝手に振舞う場面で見せる個々の演技力は本作の特筆すべき点で、良質の脚本も加わり楽しいミステリー映画として完成しています。

まとめ


Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

大成功を収めていた小説家ハーラン・スロンビーが死亡。明らかな自殺と見る警察に対し、異議を唱えた名探偵ブノワ・ブランは独自の推理で捜査を始めます。

全員が怪しく思える序盤から事件当夜の様子を程無く明かす異例の展開を見せつつ、最後に用意されたどんでん返しは予測不能。

映画『ナイブズ・アウト/ 名探偵と刃の館の秘密』は、監督を務めたライアン・ジョンソンの脚本とオールスターキャストが伝統的な犯人捜しの謎解きミステリーを高次元のエンターテイメンへ到達させた映画です。

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